建物表題登記の費用・相場を徹底解説
申請期限を1日過ぎただけで、あなたの顧客に10万円の過料が科される可能性があります。
建物表題登記の費用・相場の基本と内訳
建物表題登記の費用は、大きく「土地家屋調査士への報酬」と「実費」の2つで構成されます。登録免許税については、建物表題登記には課税されないため、費用ゼロです。これは意外に思われる方も多いですが、表題登記(表示登記)は所有権の登記とは異なり、免許税の対象外です。kenjim+1
実費としては、公図・地積測量図の取得費(1件あたり数百円〜500円)、住民票・印鑑証明書などの書類取得費(各数百円)が発生します。これらを合計しても、通常は5,000円〜1万円程度に収まります。tatemonohyoudaitouki+1
日本土地家屋調査士会連合会の2022年度報酬統計によると、一般的な新築戸建て(床面積100㎡前後)を依頼した場合の全国平均報酬額は約8.4万円です。ただし最低9,000円〜最高154,700円と非常に幅があります。費用が大きく変動するのが実態です。biz.ne+1
| 建物の種類 | 費用相場(土地家屋調査士依頼) |
|---|---|
| 一戸建て(3階まで) | 80,000〜100,000円 |
| 一戸建て(4階以上) | 100,000〜140,000円 |
| 小規模マンション・ビル | 160,000〜250,000円 |
| 8階建て共同住宅・事務所等 | 平均160,478円(税抜) |
建物表題登記の費用・相場が変動する4つの要因
「8万円と言われたのに、なぜ15万円になったんですか?」というトラブルは、不動産現場でよく起きます。費用が変動する理由を把握しておくことが重要です。
① 床面積と階数 建物が大きく、階数が多いほど図面作成や調査の工数が増えます。一戸建て3階建てまでは8〜10万円が目安ですが、4階以上になると10〜14万円以上が相場です。
参考)表題登記にかかる費用相場を紹介!表題登記に必要な書類や流れも…
② 建物の形状の複雑さ L字型・コの字型・屋根の形状が複雑な建物は、図面作成に時間がかかるため報酬が上がります。シンプルな直方体の建物と比べると、数万円の差が生じることもあります。
参考)料金表
③ 地域差 下の地域別データを見てください。近畿圏の平均報酬は約90,936円、九州は約83,887円と、地域によって約7,000円以上の差があります。土地価格が高いエリアほど調査士の報酬水準も高い傾向があります。
| 地域 | 建物表題登記の平均報酬(税抜) |
|---|---|
| 関東 | 86,519円 |
| 中部 | 83,675円 |
| 近畿 | 90,936円 |
| 中国 | 80,212円 |
| 四国 | 80,825円 |
| 九州 | 83,887円 |
④ 書類収集の難易度 確認済証や検査済証が紛失している場合は、代替書類の収集が必要となり、費用が加算されます。これが原因で相場より2〜3万円高くなるケースも珍しくありません。
地域と建物規模が費用の主な変動要因です。
建物の状況を事前に調査士に伝えることで、見積りの精度を高めることができます。物件情報を整理した上で複数社に問い合わせる、という一手間が後のトラブル回避につながります。
建物表題登記を自分で申請する費用とリスク
自分で申請する場合、費用は書類取得費のみで2,000〜5,000円程度です。登録免許税も不要ですので、専門家に頼む8〜15万円と比べると大幅なコスト削減になります。これは使えそうです。
ただし、建物表題登記の自己申請には明確なハードルがあります。特に「建物図面・各階平面図」の作成は、法務局の書式に準拠した正確な図面が必要で、専門知識なしでは時間がかかります。図面の縮尺・方位・隣接地との関係を正確に記載しなければなりません。
また、住宅ローンを利用する場合に注意が必要です。つなぎ融資のために先行登記が必要となるケースでは、金融機関の指定で土地家屋調査士による申請を求められ、本人申請ができない場合があります。費用を節約しようとした結果、ローン審査に影響することもあります。
自己申請で失敗しやすいポイントは主に3つです。
- 書類の不備:登記原因証明情報・建物図面・証明書類の漏れや誤記で法務局から差し戻しになる
- 図面の精度不足:縮尺や記載事項が法務局の基準を満たさず、訂正を繰り返すことで数週間のロスが発生
- 申請書の記載ミス:床面積・構造の誤記は修正のたびに手続きが止まり、スケジュールに影響する
自己申請は「費用ゼロ近く」ですが、時間コストが大きいのが実態です。
ローンを使わず、スケジュールに余裕があり、図面作成に自信がある場合のみ検討する選択肢と言えます。手続きに不安がある場合は、日本土地家屋調査士会連合会の相談窓口で事前に確認しておくのが安心です。
参考:表題登記の申請義務・自己申請の可否について詳しく解説されています。
建物表題登記とは?自分でできる?費用や必要書類【土地家屋調査士が解説】
建物表題登記の申請期限と罰則・法的リスク
不動産登記法第164条は明確に定めています。建物が完成してから1ヶ月以内に建物表題登記を申請しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。期限には注意が必要です。jibundetouki+1
「過料が科せられた実例はほとんどない」と考えている方も多いですが、未登記状態が発覚した場合の法的リスクは費用面だけにとどまりません。未登記建物は担保評価に影響し、売却・融資・相続のいずれの場面でも支障が出ます。
参考)未登記建物があったときどうする?未登記建物の悩みを解決|登記…
さらに、虚偽書類の提出や調査の妨害行為に対しては、30万円以下の罰金(不動産登記法第29条2項・第162条) という刑事罰の規定もあります。過料より重い制裁です。
参考)表示に関する登記を怠ったらどうなる?──申請義務・期限・過料…
不動産業従事者として顧客を担当する際は、建物完成後のスケジュールに表題登記の期限を組み込んでおくことが重要です。
特に、建売住宅の引渡しや注文住宅の竣工スケジュールを管理する立場の方は、工事完了(検査済証の交付日)を起点に1ヶ月のカウントを意識しておく必要があります。担当物件の竣工日をカレンダーに記録し、30日目にアラートを設定するだけで期限遅延のリスクをほぼゼロにできます。
参考:登記の懈怠と過料の制裁について、根拠条文を含めてわかりやすく解説されています。
建物表題登記の費用を抑える依頼先の選び方と比較
費用相場を知ったうえで、どこに依頼するかが次の判断です。建物表題登記を依頼できる専門家は土地家屋調査士に限られます。司法書士では表題登記の申請代理はできません。これが原則です。
参考)建物表題登記の費用・報酬相場と依頼の流れ – 登記と測量の研…
複数の土地家屋調査士に見積りを取ることで、同じ建物でも数万円の差が生まれることがあります。1件だけに問い合わせて決める方も多いですが、2〜3社から相見積りを取るだけで費用を1〜2万円程度抑えられるケースがあります。
見積りを依頼する際に伝えるべき情報は以下の通りです。
また、土地家屋調査士会が公表している「報酬ガイド」を参照することで、相場からかけ離れた金額を提示された際に気づくことができます。相見積りの前にこのガイドを確認するのが一手です。
「ワンストップサービス」として、表題登記から所有権保存登記まで一括対応する事務所もあります。表題登記と保存登記を別々に依頼するよりも、パッケージ料金で割安になる場合があるため、新築物件の担当時には事前に確認しておく価値があります。
参考:土地家屋調査士会連合会が公表している報酬ガイドと統計データです。費用の妥当性を判断する際に活用できます。

