区分建物表題登記の申請書を正しく作成する方法
申請書に1か所でも記載ミスがあると、法務局から補正通知が来て登記完了まで数週間以上ズレ込みます。
区分建物表題登記とは何か・申請書が必要になる場面
区分建物表題登記とは、1棟の建物を区分して、それぞれの専有部分を独立した不動産として初めて登記簿に記録する手続きです。新築マンションや分譲オフィスビルを建てた際に、表題部の情報を法務局に登録するために必要になります。
これが最初の登記です。所有権保存登記や抵当権設定登記はすべてこの表題登記が完了してから行われます。
不動産業に携わっていても「区分建物」と「普通の建物(非区分建物)」の登記がどう違うのか、混同しているケースが少なくありません。非区分建物の表題登記では1棟全体を1つの不動産として登記しますが、区分建物では専有部分ごとに独立した登記記録が作られ、さらに「敷地権」の概念が加わります。この点が申請書の記載内容を複雑にする最大の要因です。
申請義務が発生するのは、建物の新築完成から1か月以内と不動産登記法で定められています。この期限を守らないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。つまり期限は厳守です。
実務では建築確認済証・検査済証が交付された直後から申請準備を始めるのが一般的です。申請できるのは「表題部所有者(建物を建てた人)」のほか、土地家屋調査士が代理人として申請することが多く、不動産業者が直接申請するケースは分譲業者が自社物件を登記する場面などで見られます。
区分建物表題登記申請書の記載事項と書き方の基本
申請書の書き方を間違えると、法務局からの補正通知が届き、取引スケジュール全体が遅延します。基本の記載項目を正確に理解することが先決です。
申請書に記載が必要な主な項目は以下のとおりです。
- 🏷️ 登記の目的:「区分建物表題登記」と記載
- 📅 登記原因およびその日付:「〇年〇月〇日新築」など
- 🏢 専有部分の建物の表示:一棟の建物の所在・構造・床面積、各専有部分の家屋番号・構造・床面積
- 🌍 敷地権の表示:土地の所在・地番・地目・地積・敷地権の種類(所有権・地上権・賃借権)・敷地権の割合
- 👤 申請人(表題部所有者):住所・氏名または商号、法人の場合は代表者名
- 📞 連絡先電話番号
- 📎 添付書類一覧
- 💰 登録免許税:表題登記は非課税(0円)
表題登記の登録免許税はゼロです。これは意外と知らない人もいます。
床面積の記載は平方メートル(㎡)単位で小数点以下2桁まで表記します。たとえば「82.45㎡」のように記載し、「82㎡」のような丸め表記は不可です。建物図面・各階平面図の数値と完全に一致している必要があります。
敷地権の割合は分数で表記するのが原則です。たとえば「所有権 200000分の1500」のように、土地全体の持分を分数で示します。この数字が登記申請書と添付書類で1桁でも食い違うと、法務局から補正を求められます。数字の整合性が条件です。
区分建物表題登記申請書に必要な添付書類の全リスト
申請書本体だけでなく、添付書類が揃っていなければ受理されません。必要書類の漏れはよくある失敗例の一つです。
主な添付書類は次のとおりです。
- 📐 建物図面・各階平面図:法務省令で定められた様式に従い、建物の形状・面積を正確に図示したもの。縮尺は建物図面が1/500、各階平面図が1/250が原則
- 🔑 区分建物であることを証する書面:各専有部分の構造上の独立性・利用上の独立性を示す資料(建築確認申請書の平面図などが使われることが多い)
- 📋 建物の表示に関する調査報告書(土地家屋調査士が代理申請する場合)
- 🏗️ 確認済証・検査済証(建築基準法に基づく確認を受けた建物の場合)
- 📝 住所証明書:申請人の住民票または商業登記簿謄本
- 🤝 委任状:代理人(土地家屋調査士など)が申請する場合
- 🌐 敷地権となる土地の登記事項証明書
建物図面の縮尺は厳密に守る必要があります。1/500と1/250が逆になっているケースが補正理由として一定数見られます。縮尺ミスは最も多い補正原因の一つです。
各階平面図には、各専有部分の境界線・壁の中心線・出入口の位置を明示する必要があります。手書きでも受理されますが、実務では作図ソフト(CADや専用測量ソフト)を使用することが大半です。平面図の精度が申請の可否に直結するということですね。
住所証明書は登記申請日から3か月以内に発行されたものでなければなりません。書類の期限管理にも注意が必要です。
区分建物表題登記申請書の提出先・手続きの流れ
申請書一式が整ったら、実際の提出手順を確認しておきましょう。どこに・どのように提出するかを誤ると、二度手間になります。
提出先は建物所在地を管轄する法務局(登記所)です。法務局の管轄は市区町村単位ではなく、法務局ごとに定められた管轄区域で決まります。管轄外に提出しても受理されません。事前に法務局のウェブサイトで管轄を確認するのが確実です。
提出方法は3種類あります。
- 🏛️ 窓口申請:法務局の登記申請窓口に直接持参。受付時間は平日8:30〜17:15が原則
- 📮 郵送申請:書類一式を書留郵便等で送付。補正が発生した場合の対応が窓口より時間がかかる
- 💻 オンライン申請:法務省の登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)を使用。添付書類は郵送または持参が必要なケースもある
オンライン申請は手数料が窓口申請より安くなる場合があります。これは使えそうです。
申請後の流れとしては、①受付→②審査(法務局による書類確認)→③補正がある場合は補正通知→④登記完了通知→⑤登記完了証・登記事項証明書の受領、という順番です。審査期間は法務局や時期によって異なりますが、おおむね1〜2週間程度を見込む必要があります。年度末や年始は混雑するため、さらに時間がかかることがあります。
補正通知が来た場合、指定された期間内(通常は通知から数日以内)に対応しないと申請が却下になる場合があります。期限管理には十分注意が必要です。
区分建物表題登記申請書で不動産業者がやりがちなミスと対策
実務経験が豊富な不動産業者でも、区分建物特有のルールを見落として補正を受けるケースがあります。代表的なミスを把握しておくことが重要です。
最も多い補正原因の一つが床面積の算定方法のズレです。区分建物の専有部分の床面積は「壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積」、いわゆる内法(うちのり)面積で計算します。マンションのカタログなどに記載される「壁心(へきしん)面積」とは異なります。内法面積は壁心面積より小さくなるのが一般的で、その差は数㎡になることもあります。登記簿の面積とカタログ面積が違う、と購入者からクレームが来るケースの多くはこれが原因です。
次に多いのが敷地権の記載漏れまたは割合の誤りです。分譲マンションの場合、土地は各専有部分の所有者が持分で共有することになりますが、この割合を申請書に正確に反映しないと補正対象になります。持分割合の合計が必ず「1」になることを確認するのが原則です。
| よくあるミス | 具体的な内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 床面積の算定基準の誤り | 壁心面積で記載(正しくは内法面積) | 測量図から内法で再計算 |
| 敷地権割合の不一致 | 持分合計が「1」にならない | 全専有部分の割合を合算して確認 |
| 建物図面の縮尺ミス | 1/500と1/250が逆になっている | 提出前に縮尺スケールで実測確認 |
| 住所証明書の期限切れ | 発行から3か月超の書類を添付 | 申請直前に取得し直す |
| 構造の記載ミス | 「鉄筋コンクリート造」→「RC造」など略称を使用 | 法務局指定の正式名称を使用する |
構造の記載は正式名称を使う必要があります。「RC造」「SRC造」などの略称は補正対象になる場合があります。正式名称が原則です。
こうした記載ミスを事前に防ぐためには、申請前に法務局の窓口相談を活用する方法があります。多くの法務局では事前相談(登記相談)を受け付けており、書類が整っているかどうかを提出前にチェックしてもらうことができます。特に初めて区分建物の登記申請を担当する場合は、この事前相談を1回入れるだけで補正リスクを大幅に下げられます。これは使えそうです。
区分建物表題登記の申請手続きに関する公的情報は、法務省のウェブサイトで確認できます。
登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと」の詳細はこちらから確認できます。オンライン申請の手順や必要ソフトウェアについて詳しく案内されています。
床面積の算定方法(内法・壁心の違い)については、国土交通省の不動産情報ライブラリ等でも参考情報が公開されています。
