不在者財産管理人の費用と司法書士への依頼を徹底解説
不在者の財産は管理人報酬で年間12〜60万円が自動的に消えていきます。
不在者財産管理人とは:不動産相続で必要になるケースとは
相続手続きには、相続人全員の同意が必要です。共同相続人の中に行方不明者や音信不通の人物がいる場合、その人抜きで遺産分割協議を進めることは法律上認められていません。
参考)https://kantan-souzoku.com/huzaisya-zaisan-kanrinin/
つまり「連絡が取れないから無視して進める」は違法です。
不動産業者が売買・名義変更・相続登記の相談を受ける場面で、この状況に直面するケースは珍しくありません。たとえば、父が亡くなり不動産を売却したいが、相続人の兄が20年前から行方不明というケースです。このような場合、家庭裁判所に申立をして「不在者財産管理人」を選任し、その管理人が不在者の代理人として遺産分割協議に参加する形をとります。
参考)不在者財産管理人とは?選任条件や費用も解説 – 日本クレアス…
不在者財産管理人が必要になる代表的な場面は以下の通りです。
- 相続人の一人が行方不明で遺産分割協議が進まない
- 不在者が所有する不動産のメンテナンス費用を口座から引き出したい
- 不在者名義の不動産を売却・処分したい
- 相続登記のために相続人全員の合意書類が必要creas-souzoku+1
不在者財産管理人が必要なケースか否か、まずここの判断が実務の出発点です。
不在者財産管理人の費用4種類:申立から終了までの全体像
費用は大きく4つに分かれます。
参考)不在者財産管理人の費用は4つに分かれるので各項目ごとに説明
| 費用の種類 | 金額の目安 | 負担者 |
|---|---|---|
| 申立手数料・実費 | 収入印紙800円+郵券数千円 | 申立人 |
| 予納金 | 30万〜100万円程度 | 申立人(最終的に不在者財産から精算) |
| 専門家報酬(司法書士等) | 10万〜30万円前後 | 申立人 |
| 管理人報酬 | 月1万〜5万円程度 | 不在者の財産から支払い |
申立手数料自体は収入印紙800円と郵便切手代だけなので、裁判所に納める実費は数千円程度です。 しかし問題はそれ以外の費用です。
予納金は30万〜100万円程度が相場で、不在者の財産が少ない場合に家庭裁判所から申立人へ請求されます。 「とりあえず申し立てれば安い」と思っていると、予納金で想定外の出費が発生します。痛いですね。
参考)不在者財産管理人とは?遺産分割協議で必要な場合を中心に解説
専門家報酬については申立手続きを依頼した司法書士等への費用であり、これは不在者の財産からは支払えません。あくまで申立人の自腹になります。 事務所によって金額が大きく異なるので、複数事務所への事前確認が必須です。
不在者財産管理人の費用で司法書士に依頼した場合の相場と注意点
司法書士に申立手続きを依頼した場合の報酬相場は、おおよそ10万〜30万円前後です。 事務所によっては「選任申立の基本報酬5万円+財産管理人就任費用25万円〜」のように分けて設定しているケースもあります。takeda-souzoku+1
これは使えそうです。
費用の内訳として代表的なのは以下の通りです。meigihenkou+1
- 不在者の戸籍収集代行
- 相続関係説明図の作成
- 不在者の財産目録作成
- 家庭裁判所への申立書類作成・提出
さらに、司法書士本人が不在者財産管理人として裁判所に選任される場合、就任後の管理人報酬が別途発生します。 管理期間が長引けばその分費用は増え続けます。遺産分割協議で不在者が100万円を取得しても、弁護士・司法書士への管理人報酬で1〜2年以内にその財産が消えるケースもあります。
管理期間は短ければ短いほどトータルコストが下がります。これが原則です。
不在者財産管理人の予納金:不動産業者が見落としやすい実務上のリスク
予納金は「将来の管理費用の担保」として家庭裁判所に預けるお金で、30万〜100万円程度が一般的な相場です。 東京ドームで例えるなら、約0.3〜1枚分の駐車場料金を前払いするイメージですが、実際には申立人がキャッシュを手元に用意しなければなりません。
不在者の財産が一定程度あれば、最終的に予納金は精算・返還される可能性があります。 ただし「可能性がある」というだけで、確実ではありません。
不動産業者として顧客から「費用の見通しを教えてほしい」と言われたとき、この予納金の存在を見落とすと説明が後から覆る可能性があります。顧客への初回説明時に「予納金として30万〜100万円程度を裁判所に預ける必要がある」という点を必ず伝えることが、後々のトラブル回避につながります。
予納金の具体的な金額は申立前に管轄の家庭裁判所に確認するのが確実です。事前確認が条件です。
不在者の財産状況によって予納金が不要になるケースもあります。不在者の財産が十分にあり、管理費用や報酬を賄える見込みがある場合、裁判所が予納金を求めないこともあるためです。 司法書士への相談段階で財産状況を整理しておくと、費用見積もりが格段に正確になります。
不在者財産管理人の選任申立:不動産業者が押さえる手続きフローと権限外行為の許可
選任申立の手続きは、不在者の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。 申立に必要な書類は主に以下の通りです。
- 申立書(申立人・不在者の情報、財産一覧、申立理由等)
- 不在者の戸籍謄本・住民票
- 不在者の財産に関する資料(登記簿謄本、預金通帳の写し等)
- 不在の事実を証する資料(捜索届受理証明書など)souzoku-mado+1
「不在の事実を証する資料」の準備が最も悩ましいポイントとされています。 どの程度の証明で「不在」と認められるか、基準が抽象的なため、実務では司法書士に相談しながら進めるのが現実的です。
参考)家裁への不在者財産管理人の選任申立てを徹底解説!予納金や費用…
申立後は裁判所による書面照会・参与員の意見聴取を経て、管理人が選任されます。 選任された管理人は日常的な財産の保存・管理は単独で行えますが、不動産の売却など財産を処分する行為は「権限外行為の許可」を家庭裁判所に申し立てる必要があります。takeda-souzoku+1
不動産売却を目的とした依頼では、この権限外行為の許可申立が別途必要になります。追加費用が発生する事務所もあるので要確認です。
参考)遺産分割協議でお悩みなら|広島相続遺言信託まるごとサポートへ
不動産業者として顧客のサポートをする際、「管理人が選任されれば即売却できる」と思い込んでいると後で計画が崩れます。権限外行為の許可という追加ステップが必要な点は、顧客への事前説明で必ず触れておきましょう。
不在者財産管理人と失踪宣告の違い:不動産業者が状況に応じて使い分けるポイント
不在者に対応する法的手続きには「不在者財産管理人の選任」のほかに「失踪宣告」があります。この2つは目的と効果が大きく異なります。
| 項目 | 不在者財産管理人 | 失踪宣告 |
|---|---|---|
| 目的 | 不在者の財産を守りながら代理人を立てる | 不在者を法律上「死亡」とみなす |
| 条件 | 行方不明・音信不通であること | 普通失踪:7年以上の生死不明/危難失踪:1年以上 |
| 効果 | 管理人が代理で遺産分割に参加できる | 相続が開始し遺産分割が可能になる |
| 費用目安(司法書士) | 10万〜30万円前後 | 15万〜20万円前後(別途)meigihenkou+1 |
失踪宣告は「7年以上の生死不明」が条件のため、行方不明期間が短い場合は不在者財産管理人を選ぶしかありません。 一方、7年以上の行方不明が確認できる場合は、失踪宣告の方が手続きが一本化されてシンプルになることもあります。
結論は「行方不明期間と目的によって選択肢が変わる」です。
不動産案件で顧客から相談を受けた際、まず「いつから行方不明か」「最終的に何をしたいか(売却・名義変更・相続登記)」の2点を確認することで、必要な手続きと費用の見通しが立てやすくなります。司法書士への相談前にこの2点を整理するだけで、初回相談の質が格段に上がります。
不在者財産管理人に関する申立手続きや費用の詳細については、管轄の家庭裁判所または専門の司法書士事務所への事前確認が最も確実な方法です。
以下の参考リンクも実務でご活用ください。
不在者財産管理人の費用4種類(申立費用・予納金・専門家報酬・管理人報酬)の詳細な解説ページです。
不在者財産管理人の費用は4つに分かれるので各項目ごとに説明 | みかち司法書士事務所
不在者財産管理人の報酬が不在者の財産から支払われる仕組みと、財産が尽きた場合の扱いを解説しています。
不在者財産管理人の報酬は不在者の財産から支払われる | みかち司法書士事務所
選任申立から終了までのフロー、権限外行為の許可申立も含む実務的な手続き解説です。

