祭祀承継者の拒否はできないが墓じまいで解決できる

祭祀承継者の拒否と対処法を不動産業従事者が理解する

この記事でわかること
⚖️

拒否できないのが原則

祭祀承継者に指定されると民法上の拒否規定がなく、相続放棄とは別の制度として扱われる。

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墓じまい・改葬が現実的な出口

祭祀承継者には祭祀財産の処分権限があり、墓じまいや改葬を合法的に進められる。

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節税と費用負担の両面がある

祭祀財産は相続税非課税だが維持費・墓じまい費用は全額自己負担。生前購入で節税できるケースも。

祭祀承継者に指定されても、法事やお墓の管理を放棄しても法律上は一切処罰されません。

参考)祭祀承継は拒否できるの?

祭祀承継者の拒否が法律上できない理由

 

祭祀承継者とは、系譜(家系図)・祭具(仏壇・神棚など)・墳墓(お墓・墓石)といった「祭祀財産」を引き継ぎ、先祖の祭祀を主宰する役割を担う人のことです。 相続財産とは完全に別の制度であることが大きなポイントです。

参考)祭祀承継者の承継を拒否したい場合は?納骨はどうするのかも解説…

民法第897条は、祭祀承継者の決定について①被相続人の指定、②慣習、③家庭裁判所による決定という3つの方法を定めています。 この3つのどれかによって指定された場合、民法には「承継を放棄する手段」が一切規定されていません。

これが原則です。相続放棄のような「離脱する手続き」が、祭祀承継には存在しないのです。 被相続人から口頭で指定されただけでも有効とされており、「言われた記憶がある」という事実だけで祭祀承継者になってしまうケースも実務上は少なくありません。nao-lawoffice+1

  • 🏛️ ①被相続人の指定:遺言書だけでなく口頭での指名も有効
  • 🤝 ②慣習:長男など地域の慣習によって決まる場合
  • ⚖️ ③家庭裁判所の決定:①②で決まらない場合に裁判所が選定

不動産業従事者が相続案件に関わる際、「相続放棄したのにお墓の管理費の請求書が届いた」という相談を受けることがあります。これはまさに、祭祀承継と相続放棄が別制度であることに起因するトラブルです。 仕組みを理解することが問題解決の出発点です。

参考)https://souzoku.shirato-law.jp/2024/01/25/%E7%A5%AD%E7%A5%80%E6%89%BF%E7%B6%99%E8%80%85%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E8%B2%A1%E7%94%A3%E3%81%A8%E3%81%AF%E7%95%B0%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%8A%E5%A2%93%E3%81%AE%E6%89%BF%E7%B6%99/

参考:祭祀承継の拒否可否と法的根拠をわかりやすく解説(弁護士監修)

祭祀承継は拒否できるの?

祭祀承継者の指定を拒否するための実務的な抜け道

法律上は拒否できない。では、実際に「やりたくない」と感じた場合はどうすれば良いのでしょうか?

法的な「拒否」はできませんが、指定される前の段階、つまり被相続人が存命のうちに「他の人を候補として合意形成しておく」という対処が現実的です。 家族間での事前の話し合いが、後のトラブルを防ぐ最大の手段になります。

参考)お墓を引き継ぎたくない方向け!承継を回避する方法や墓じまいの…

また、祭祀承継者には祭祀財産の「処分権限」が付与されています。 つまり承継した後でも、墓じまいをして墓石を撤去したり、仏壇を閉眼供養の上でお寺に引き取ってもらったりすることが法律上認められています。法的に義務付けられた「祭祀を継続する義務」は存在しないのです。nexillpartners+1

  • 👥 事前に代替候補者を家族で合意:口頭合意でも有効とされる裁判例がある
  • 🏯 墓じまいを選択:承継後に適法な手続きで墓石を撤去・改葬できる
  • 🙏 仏壇の閉眼供養+引き取り:お寺への返却も合法的な処分方法
  • ⚖️ 家庭裁判所への申立て:関係者間の合意が得られない場合は裁判所が最終判断

重要なのは、承継後に祭祀を「しなかった」としても法律上は罰則がないという点です。 これは意外ですね。ただし、親族間のトラブルに発展するリスクは現実として存在するため、丁寧なコミュニケーションが不可欠です。nagareyama-park+1

祭祀承継者に指定されたときの費用負担と相続財産の関係

祭祀承継者が引き継いだ後、現実的に重くのしかかるのが「費用の問題」です。これは痛いところですね。

お墓の年間管理費・お寺へのお布施・法要費用などの祭祀にかかる費用は、基本的に祭祀承継者の自己負担が原則です。 遺産から祭祀費用を補填してもらう合意を相続人全員から取り付けることも法律上は可能ですが、相続人全員の同意が必要なため、実務的にはハードルがあります。souzoku.vbest+1

一方で、税務上のメリットも存在します。祭祀財産(お墓・仏壇など)は、相続税法第12条第1項第2号により「非課税財産」に指定されており、相続税の課税対象から除外されます。 生前にお墓を購入しておくと、その分が相続財産から差し引かれるため、節税効果が生まれるのです。chester-tax+1

項目 内容
📋 法的根拠 相続税法第12条第1項第2号
💡 生前購入のメリット お墓・仏壇の購入額分が相続財産から控除され節税になる
⚠️ 注意点 祭祀財産購入のためのローンが残っていると、債務控除が使えず節税効果が減少する
💸 費用負担者 維持費・法要費用は原則として祭祀承継者の自己負担

費用が重すぎる場合は、いったん承継した上で墓じまいを検討するという順序が現実的な解決策になります。 墓じまいした後の墓地そのものは売却できず、運営団体に返還するのが一般的であることも覚えておきましょう。miraisoso+1

参考:祭祀財産と相続税の非課税規定について(国税庁)

〔墓所、霊びょう、祭具等関係〕|国税庁

墓じまいと不動産取引の接点:不動産業従事者が知るべき実務知識

不動産業従事者が祭祀承継の問題に直面するのは、相続に伴う不動産売却・仲介の場面です。実はここに見落としがちな実務上の落とし穴があります。

被相続人が所有していた不動産の売却を進める際に、敷地内や隣接地に「先祖の墓」が存在するケースがあります。 墓地は「忌避施設」として特殊な扱いを受けるため、売却前に必ず祭祀承継者が墓じまいの手続きを完了させておく必要があります。 売却手続きの前に確認が必要です。hakajimai-info+1

また、法律上の決定権は祭祀承継者が持ちますが、墓じまいを進めるにあたっては「法的・手続き上の同意(改葬許可申請)」と「家族・親族からの心理的同意」という2つの同意が実務上は必要になります。 書面上は問題なくても、後から親族が猛反発して取引が停滞するトラブルも起きています。anshin-shukatsu+1

  • 📄 改葬許可申請:市区町村役場への届出と改葬許可証の取得が必要
  • ⛏️ 石材店への依頼:墓石の撤去・地化には石材店が必要で費用は数十万円
  • 🔍 祭祀承継者の確認:不動産仲介の段階で誰が祭祀承継者かを確認しておくことが紛争回避につながる
  • 🗺️ 墓地登記の有無:民間霊園か寺院墓地かによって手続きが異なる

不動産取引の現場で「お墓があるから売れない」という状況を防ぐためには、早い段階で祭祀承継者を特定し、墓じまいのスケジュールを売却スケジュールに組み込む段取りが求められます。つまり祭祀承継の問題は不動産業務の一部です。

不動産業従事者が相談を受けたときに確認すべきチェックリスト

相続案件の相談を受けた不動産業従事者が、祭祀承継の問題を適切に整理するための実務的な確認ポイントをまとめます。これだけ覚えておけばOKです。

まず確認すべきは「祭祀承継者が誰であるか」の特定です。 被相続人が遺言で指定しているか、慣習上誰が担うとされているかを把握することが、その後の手続きをスムーズにする第一歩です。 次に、祭祀財産(お墓・仏壇)が相続財産の中に誤って含まれていないかを確認します。 相続財産の評価額に祭祀財産が混入していると、相続税の計算が狂う可能性があります。souzoku-pro+1

  • ✅ 祭祀承継者が遺言・口頭指定・慣習のどれで決まっているかを確認
  • ✅ 祭祀財産(お墓・仏壇)が相続税の課税財産に含まれていないかを税理士と連携して確認
  • ✅ 売却対象不動産の敷地内・隣接地に墓があれば、改葬・墓じまいの完了タイミングを確認
  • ✅ 祭祀費用の遺産からの補填について相続人間の合意形成ができているかを確認
  • ✅ 墓じまいを進める場合は、法的手続きと並行して族への事前説明が済んでいるかを確認

祭祀承継者が相続放棄をしている場合でも、祭祀承継者としての地位は継続します。 これは多くの人が誤解しているポイントです。相続放棄の手続きが完了した後であっても、祭祀財産の管理義務は引き続き存在し得ることを、依頼者にわかりやすく伝えることが不動産業従事者の役割のひとつといえるでしょう。

参考:遺産分割協議書における祭祀承継者の記載例と手続き解説

https://souzoku.shirato-law.jp/2024/01/25/

ケース別 特殊な遺言条項 作成と手続のポイント-補充事項・付言事項、祭祀承継等-