フラット35維持保全型の条件と活用で差がつく提案術

フラット35維持保全型の条件と不動産業従事者が押さえるべき全知識

📋 この記事でわかること
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対象となる6種類の住宅と利用条件

長期優良住宅・管理計画認定マンション・インスペクション実施住宅など、維持保全型が適用される住宅の種類と具体的な要件を解説します。

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金利引き下げの仕組みと併用ルール

単独利用で年0.25%、フラット35Sとの併用で当初5年間は年0.5%引き下げ可能。ただし、リノベとの併用は禁止など注意点もあります。

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現場で使えるNG事例と落とし穴

「適合証明書を取得していれば安心」は危険。有効期限・借換不可・予算終了リスクなど、クライアントへの説明ミスを防ぐポイントを整理します。

インスペクションに合格しても、その適合証明書が期限切れなら維持保全型は使えません。

フラット35維持保全型の条件:対象となる6種類の住宅

フラット35維持保全型は、2022年4月に新設された金利引き下げ制度です。 維持保全・維持管理に配慮した住宅や、既存住宅の流通に資する住宅を取得する場合に、フラット35の借入金利を一定期間引き下げられる仕組みとなっています。flat35+1

対象となる住宅は以下の6種類で、いずれか1つに該当すれば利用できます。

参考)【フラット35】維持保全型 利用要件

住宅の種類 対象 主な条件
①長期優良住宅 新築・中古 長期優良住宅建築等計画または維持保全計画の認定を受けた住宅
②予備認定マンション 新築マンションのみ マンション管理センターから「予備認定」を受けたマンション
③管理計画認定マンション 中古マンションのみ 地方公共団体から「管理計画認定」を受けたマンション
④安心R住宅 中古住宅のみ 耐震性あり・建物状況調査済み・リフォーム情報提供あり
インスペクション実施住宅 中古住宅のみ 既存住宅状況調査を行い、劣化事象等がないことが確認された住宅
既存住宅売買瑕疵保険付保住宅 中古住宅のみ 住宅瑕疵担保責任保険法人の登録検査事業者による検査に合格し保険付保済み

中古住宅に関しては④⑤⑥の3パターンで申し込みやすいのが特徴です。不動産業務の現場では、売主側に「この物件はどの区分に該当するか」をあらかじめ確認しておくと、案内がスムーズになります。

また、2022年4月以降に適合証明書の交付を受けたものが対象です。 ただし、①長期優良住宅または④安心R住宅の場合は、2022年3月以前に機構の技術基準に適合していることが確認できれば、2022年4月以降の融資実行でも対象となります。

フラット35維持保全型の条件:適合証明書の有効期限と取得手順

フラット35を利用するには、適合証明書の取得が必須です。 「以前に証明書を取ったから大丈夫」と思いがちですが、有効期限があるため注意が必要です。

参考)【フラット35】維持保全型は利用しないと損?メリットと条件、…

有効期限は以下のとおりです。

  • 📄 戸建て住宅:1年間
  • 🏢 マンション(竣工から5年以内):5年間
  • 🏢 マンション(竣工から5年超):3年間

一戸建ての場合は1年という短さです。つまり、1年以上前に取得した証明書は使えません。

取得手順も確認しておきましょう。新築住宅の場合は、買主が調査機関に依頼するか、建築会社・売主に依頼して竣工前の所定タイミングで書類審査と現地調査を受けます。 中古住宅の場合は、買主が適合証明検査機関に直接申し込み、書類審査と目視中心の現地調査が行われます。

一戸建てで延床面積70㎡未満、またはマンションで専有面積30㎡未満の物件は、そもそも技術基準の適合審査の対象外となります。 これは東京の狭小マンションや古いワンルームを扱う際に特に注意が必要なポイントです。

さらに、インスペクション実施住宅として申請する場合、維持保全型向けの既存住宅建物状況調査報告書の作成費が別途8,800円(税込)かかる場合があります。 クライアントへの見積もり説明の際は、この費用も含めて案内しておくと親切です。

参考)フラット35(中古タイプ)適合証明審査・発行オプション

参考:適合証明書の交付要件・有効期限の詳細(住宅金融支援機構 公式)

【フラット35】維持保全型 利用要件 | 住宅金融支援機構

フラット35維持保全型の条件:金利引き下げ幅とフラット35S併用の恩恵

維持保全型を単独で利用した場合、当初5年間に限り金利が年0.25%引き下げられます。 借入当初の5年間だけの優遇ですが、3,000万円の借入であれば通常のフラット35と比べた総返済額の差は約40万円になります。smuu+1

これは使えそうです。

さらに、フラット35S(金利Aプラン)と組み合わせると効果が大きくなります。 当初5年間は合計0.5%引き下げ、6〜10年目は0.25%引き下げとなり、総返済額の差は約74万円(同条件・借入3,000万円の場合)に拡大します。magazine.sbiaruhi.co+1

プラン 金利引き下げ期間 引き下げ幅 フラット35との総返済額の差(3,000万円・35年の試算)
維持保全型のみ 当初5年間 年0.25% 約40万円
維持保全型+フラット35S(金利Aプラン) 当初5年間:年0.5%、6〜10年目:年0.25% 最大0.5% 約74万円以上
維持保全型+地域連携型または地方移住支援型 制度による 最大0.5% 制度による

74万円の差は、大きいですね。

不動産業従事者としては、購入希望者に「組み合わせ次第でこれだけ変わる」という具体的な数字を示せると、提案力が一段と上がります。ローンシミュレーターを活用して複数パターンを提示すると、客観的な比較が可能になります。

参考:SBIアルヒによる維持保全型の金利引き下げシミュレーション解説

【フラット35】維持保全型で金利は下がる? 適用条件・併用プランを紹介|ARUHIマガジン

フラット35維持保全型の条件:絶対に混同してはいけない併用禁止ルール

維持保全型には、他のフラット35商品との組み合わせに明確な禁止ルールがあります。これを現場で間違えると、申請段階で却下されるリスクがあります。

禁止の組み合わせ、要注意です。

フラット35リノベとの併用は不可です。 リノベーションを前提にした中古購入案件で「維持保全型とリノベを組み合わせてお得に」という提案は、ルール上成立しません。リフォームを希望するクライアントには、維持保全型かリノベのどちらかを選択してもらう必要があります。

もう一つ見落としがちなのが、フラット35「中古プラス」との組み合わせです。 具体的には、「中古プラス」は維持保全型のうち「⑤インスペクション実施住宅」と限定的に併用不可となっています。 長期優良住宅や管理計画認定マンションなど他の区分との組み合わせは問題ありませんが、インスペクション実施住宅に限っては中古プラスとの同時申請ができません。issei-syoji+1

併用OKなプラン一覧

  • フラット35S(金利Aプラン・Bプラン)
  • フラット35地域連携型
  • フラット35地方移住支援型

併用NGなプラン一覧

併用可否が条件です。この一覧を手元に置いておくだけで、提案ミスを防げます。

フラット35維持保全型の条件:適合証明審査合格≠安全宣言という現場の現実

ここは、あまり語られない独自視点の話です。

フラット35の適合証明審査に合格しても、それは「住宅金融支援機構の技術基準を満たす」という判定に過ぎません。 建物の実態的な安全性を全面的に保証するものではない点を、不動産業従事者は正確に理解しておく必要があります。

適合証明審査の検査項目は、ホームインスペクション(住宅診断)の約6割程度とされています。 床・壁の施工状況や建物全体の傾き確認などは、適合証明審査の対象外となっています。

実例として、適合証明審査に訪れた検査員がホームインスペクションに切り替えて床下詳細調査を実施した結果、基礎の裏側にひび割れが発見され、不同沈下の可能性が判明したケースがあります。 適合証明審査だけでは気づかなかった問題です。

クライアントに「フラット35の検査に通ったから大丈」と安易に説明すると、後日クレームや損害賠償リスクに発展する可能性があります。維持保全型の利用とは別に、ホームインスペクションの同時実施を提案することが、不動産業従事者としてのリスク管理にもなります。

ホームインスペクションは、フラット35の適合証明審査と同時実施が可能な検査機関もあります。 検査費用の目安は機関によって異なりますが、維持保全型向けの既存住宅建物状況調査報告書の作成費だけで8,800円(税込)程度が追加になる場合があります。 検査機関の選定情報は、さくら事務所などの実績ある機関のウェブサイトで確認できます。

参考:適合証明審査とホームインスペクションの違い・リスク事例の詳細

【フラット35】維持保全型は利用しないと損?メリットと条件|さくら事務所

フラット35維持保全型の条件:予算終了・借換不可という2大リスクへの備え

維持保全型には、制度上の「打ち切りリスク」が存在します。 これを知らないまま顧客に案内すると、申し込みのタイミングを逃したときに信頼を損なうことになります。

予算は有限です。

フラット35の金利引き下げ制度には予算金額が設定されており、達成見込みとなった時点で受付が終了します。 終了の告知は約3週間前に住宅金融支援機構の公式サイトで行われる予定です。 3週間というのは、東京から大阪を往復する新幹線の予約期間よりも短い感覚です。物件探し・書類準備が遅れると間に合わない可能性があります。

もう一つが借換不可というルールです。 維持保全型は新築住宅の建築・購入、または中古住宅の購入に限定された制度で、他の住宅ローンからの借り換えには対応していません。 「今の変動金利が不安になったのでフラット35に借り換えたい、維持保全型も使いたい」という要望には応えられない制度設計です。

🗓️ 不動産業従事者が取るべきアクション

  • フラット35公式サイトの「お知らせ」ページを定期的に確認する
  • 物件案内の時点で「維持保全型の受付状況」を確認する習慣をつける
  • 借換希望の顧客には別のプランを案内する

これだけ覚えておけばOKです。

維持保全型の最新の受付状況は、住宅金融支援機構のトピックスページで随時公開されます。不動産業務のルーティンの中に定期チェックを組み込んでおくと、クライアントへの情報提供が迅速になります。

参考:フラット35の金利引き下げ制度・受付状況の最新情報(住宅金融支援機構)

【フラット35】維持保全型 | 住宅金融支援機構