ペアローン デメリット メリットを正しく理解して顧客に伝えるコツ

ペアローンのデメリット・メリットを正しく理解して顧客に伝える

夫婦2人で住宅ローンを組めば、片方が死亡しても残債がゼロになると思っている顧客が8割以上います。

📋 この記事の3ポイント要約
💡

団信はそれぞれの債務にしか効かない

夫が亡くなっても、妻の債務は残り続ける。「片方が死んだら完済」という顧客の思い込みを事前に解消することが重要です。

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借入上限を最大2倍に拡大できる強み

夫婦の合算収入で審査が通るため、単独では届かない物件価格帯を狙える。住宅購入の選択肢が広がるのが最大のメリットです。

⚠️

離婚時は「共有名義+2本のローン」が足かせに

ペアローンは離婚後も2人が連帯して返済義務を負う。売却・名義変更の複雑さは顧客が最も見落としやすいリスクです。

ペアローンの基本的な仕組みと収入合算との違い

 

ペアローンとは、婦や子などが同一の物件に対してそれぞれ個別にローン契約を結ぶ仕組みです。1つの物件に対して2本のローンが設定され、お互いが相手のローンの連帯保証人になるのが原則です。

よく混同されるのが「収入合算型(フラット35連帯債務など)」との違いです。収入合算では1本のローンに対して主債務者と連帯債務者が存在しますが、ペアローンは文字どおり「2本のローン契約」が独立して存在します。

つまり、ペアローンは「2本の独立した契約」が基本です。

この違いは実務上、かなり大きな影響を持ちます。住宅ローン控除(減税)の適用範囲、団体信用生命保険(団信)の効力範囲、そして売却・名義変の手続きすべてに関わってくるからです。不動産業従事者として顧客に説明する際は、まずこの「2本独立」という構造を最初に押さえてもらう必要があります。

比較項目 ペアローン 収入合算(連帯債務)
ローン本数 2本(それぞれ独立) 1本
団信の適用 各自の債務のみ 主債務者のみ(商品による)
住宅ローン控除 2人とも申請可能 主債務者のみ(原則)
審査基準 2人それぞれの審査 合算収入で審査

ペアローンのメリット:借入上限・住宅ローン控除の拡大効果

ペアローンの最大のメリットは、夫婦それぞれの収入を軸に審査が行われるため、単独では届かない物件価格帯に手が届くことです。

たとえば夫の年収500万円・妻の年収400万円の場合、単独で組むよりも合算収入900万円ベースで計算でき、借入可能額が大幅に拡大します。一般的に借入可能額は年収の約7倍程度が上限とされているため、単独では3,500万円程度のところが、ペアローンなら理論上6,300万円前後まで広がるイメージです。東京や大阪など高単価エリアで物件を探す顧客には、特に響く提案材料になります。

これは使えそうです。

さらに、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が2人それぞれに適用されるのも大きなポイントです。2024年以降の制度では、長期優良住宅や低炭素住宅の場合、控除対象借入限度額は1人あたり最大5,000万円(一般住宅は3,000万円)。ペアローンなら2人合算で最大1億円分の借入に控除が適用されます。

単独ローンでは得られない税制メリットが条件です。

ただし控除を受けるには確定申告または年末調整での申請が必要です。2人それぞれが申請する手間が発生する点は、顧客に事前に伝えておくと親切です。

  • 💰 借入上限の拡大:夫婦の収入を独立して審査するため、単独よりも高額物件に対応しやすい
  • 📄 住宅ローン控除の2重適用:2人それぞれが控除申請可能で、節税効果が倍増する可能性がある
  • 🏡 物件選択の自由度UP:高単価エリアや広い物件も選択肢に入るため、顧客満足度の向上にもつながる

ペアローンの主なデメリット:団信・離婚・収入減少リスク

ペアローンの最大のデメリットは、団信(団体信用生命保険)が「自分のローン分にしか効かない」点です。

夫が死亡または高度障害になった場合、夫の債務は団信で免除されますが、妻の債務は残ります。多くの顧客は「どちらかが死んだらローンはチャラになる」と思い込んでいますが、それは誤りです。この誤解を解かずに契約に進むと、後から深刻なトラブルになる可能性があります。

誤解のまま進むのはNGです。

2つ目のリスクは離婚時の処理の複雑さです。ペアローンは物件を共有名義で所有し、かつ2本のローンが紐づいています。離婚後に片方が物件に住み続けたい場合でも、もう一方のローンを引き受けることは銀行が簡単には許可しません。また残債が物件の市場価格を上回るオーバーローン状態になっていると、売却してもローンが完済できず、2人が共同で返済し続ける状況になります。

厳しいところですね。

3つ目が収入減少リスクです。ペアローンは夫婦2人の収入を前提に組んでいるため、育児休業・病気・失業などで一方の収入がゼロになると、返済負担が一気に片方に集中します。2021年の国土交通省「住宅市場動向調査」によると、共働き世帯の住宅ローン返済負担率の平均は収入合算世帯で約18%とされていますが、片方が離職した場合には実質的な負担率が40%超になるケースも少なくありません。

  • ⚠️ 団信は自分の債務にしか効かない:片方が亡くなっても、もう一方の残債は消えない
  • 💔 離婚時に共有名義+2本ローンが問題になる:売却・名義変更ともに銀行の同意が必要
  • 📉 収入減少時の返済リスク:育休・失業などで片方の収入がゼロになると返済が行き詰まりやすい
  • 🏦 諸費用が2倍かかる:登記費用・事務手数料・印紙税などが2本分発生する

ペアローンが向いている人・向いていない人の判断基準

不動産業従事者として顧客を適切に誘導するには、「ペアローンに向いているかどうか」の見極めが重要です。

ペアローンに向いているのは、夫婦ともに正規雇用で安定した継続収入があり、育児や転職で収入が急減するリスクが低い世帯です。また、住宅ローン控除を最大限活用したい、高単価エリアでの購入を検討しているといった場合も、ペアローンが有力な選択肢になります。

向いていない場合も明確です。

一方、近い将来に出産・育休を予定している、どちらかがフリーランスや契約社員で収入が不安定、または婚姻関係に不安がある場合は、ペアローンよりも単独ローンや連帯債務型の選択を検討したほうがリスクを抑えられます。

以下に判断の目安をまとめます。

条件 向いている🟢 向いていない🔴
雇用形態 夫婦ともに正社員・公務員 どちらかがフリーランス・契約社員
子育て計画 すでに子育て完了、または予定なし 近い将来に出産・育休を予定している
目的 借入上限拡大・控除最大化 節税効果より安定した返済を優先
物件価格帯 単独審査では届かない高額物件 単独でも審査が通る物件価格

この判断軸を顧客との初回ヒアリングに組み込んでおくと、後のトラブルリスクを大幅に減らすことができます。

不動産業従事者が見落としがちな「ペアローンの諸費用2倍」問題とその対策

ペアローンでは2本のローンを契約するため、諸費用がほぼ2倍かかります。これは知っているようで、実際に顧客に伝え忘れがちなポイントです。

具体的には、ローン事務手数料・登記費用(抵当権設定)・印紙税がそれぞれ2本分発生します。たとえば、金融機関の事務手数料が融資額の2.2%(税込)の場合、夫婦それぞれ3,000万円ずつ借りると手数料だけで合計132万円。単独で6,000万円を借りた場合と同じ132万円になりますが、登記費用や司法書士報酬は「2本」という件数分だけ追加コストが生じます。

痛いですね。

登記費用(抵当権設定登録免許税)は「債権額×0.4%」が原則のため、単独借入と総額が同じでも、2本に分割されれば書類作成・申請が2件分になります。司法書士報酬の目安は1件あたり3万〜5万円とされているため、2本では最大10万円の差が生まれる計算です。

この追加コスト分を見越した資金計画が条件です。

顧客がペアローンを選ぶ際は、諸費用の合計を単独ローンと比較した「実質的な差額」を試算して提示することを習慣にしてください。金融機関によっては、夫婦ペアローン専用のパッケージプランで事務手数料を一部割引している商品もあります。複数の金融機関の条件を比較する際は、住宅金融支援機構の公式サイトが参考になります。

住宅金融支援機構|フラット35公式サイト(商品比較・金利情報)

ペアローンに関する顧客へのヒアリング・説明の実務ポイント

実務で最も大切なのは、顧客がペアローンの「デメリットを正しく理解した上で選択しているかどうか」を確認することです。

顧客がメリットだけを聞いて前のめりになっている場合、後から「聞いていなかった」というクレームに発展するリスクがあります。特に団信の適用範囲、離婚時の処理、育休・収入減少リスクの3点は、必ず書面または口頭で明示しておくことが重要です。

説明記録を残すのが原則です。

初回ヒアリングの段階では、以下の質問を組み込むと判断がスムーズになります。

  • ❓ 今後3〜5年以内に育児休業・転職・独立などの予定はありますか?
  • ❓ 万一離婚になった場合、物件はどうしたいと考えていますか?(売却 or どちらかが住み続ける)
  • ❓ 住宅ローン控除の申請は2人それぞれ行う手間を許容できますか?
  • ❓ 諸費用が単独ローンより10〜20万円ほど多くなる可能性を理解していますか?

これらの質問を通じて顧客自身がリスクを言語化することで、説明済み事項として記録にも残しやすくなります。

また、住宅ローン専門のFP(ファイナンシャルプランナー)への相談を勧めることで、顧客の不安を解消しながら専門家への紹介という形で責任を分散させることも有効です。国土交通省が提供する「すまい給付金・住宅ローン減税」の情報ページも、顧客への資料として活用できます。

国土交通省|住宅ローン減税制度の概要(住宅ローン控除の最新条件確認に)

顧客に「デメリットも含めて丁寧に教えてくれた」と感じてもらえると、紹介・リピートにもつながります。結論はシンプルです。ペアローンの正確な知識が、顧客満足と自分自身のリスク回避の両方につながるということです。


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