根抵当権元本確定を単独申請する手順と実務の要点
根抵当権元本確定の単独申請では、印鑑証明書も権利証も不要なのに、書類が1通でも足りないと申請が即日却下されます。
参考)https://ameblo.jp/shihousyoshitaro/entry-12383602953.html
根抵当権元本確定 単独申請が認められる3つの事由
根抵当権の元本確定登記は、原則として根抵当権者(登記義務者)と設定者(登記権利者)が共同で申請します。 これは不動産登記法第60条が定める共同申請の原則に基づくものです。
参考)https://ameblo.jp/shihousyoshitaro/entry-12383152624.html
しかし例外として、不動産登記法第93条により、根抵当権者が単独で元本確定の登記を申請できる場合が3つあります。
参考)https://ebisudo-office.com/joubun/futouhou93/
- ①根抵当権者による確定請求(民法398条の19第2項):根抵当権者が設定者に対して元本確定の意思表示をした場合
- ②競売・差押えを知ってから2週間経過(民法398条の20第1項3号):根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続開始または滞納処分による差押えがあったことを知ったときから2週間が経過した場合
- ③債務者または設定者の破産手続開始決定(民法398条の20第1項4号):破産手続開始の決定を受けた場合
参考)https://blog.goo.ne.jp/hiromi4649isyu/e/a9b3f3b15f3e634240303794573edb9a
①の確定請求に基づく場合は、無条件で元本確定登記の単独申請が認められます。 これが実務で最もよく使われるケースです。
参考)https://os-nextmirai.blog.ss-blog.jp/2015-04-02
一方、②と③の場合は重要な制限があります。元本確定登記だけの申請は受理されません。 元本確定登記と同時に「根抵当権またはこれを目的とする権利の取得の登記」(例:代位弁済による根抵当権移転登記)を申請することが条件です。 これは現場で見落とされやすい落とし穴なので注意が必要です。okada-shihou+1
根抵当権元本確定 単独申請に必要な書類と手順
①の確定請求に基づく単独申請では、必要書類が驚くほど少なくなります。
必要書類(確定請求による単独申請)
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 内容証明郵便(元本確定請求書)の控え | 確定請求をしたことを証する書面として機能 |
| 配達証明書(ハガキ) | 設定者への到達を証明するもの |
| 委任状(根抵当権者のもの) | 司法書士に依頼する場合に必要 |
| 資格証明書(会社の場合) | 法人番号の記載で省略可 |
印鑑証明書・登記識別情報(権利証)は不要です。 これは単独申請という性質上、設定者の同意を証明する書面が要らないためです。
手順は次のとおりです。
参考)https://kisaragi-office.jp/forfinancial/theme2.html
- 内容証明郵便(配達証明付き)で元本確定請求の通知書を設定者宛てに送付する
- 通知書が設定者に到達した時点で元本が確定する
- 配達証明書ハガキが根抵当権者に届いたことを確認する
- 元本確定登記を申請する(登記原因は「確定請求」、日付は設定者への到達日)
内容証明郵便には3つの記載事項が必須です。①元本確定請求する旨、②不動産の表示、③根抵当権の受付年月日と受付番号です。 この3点が欠けていると、確定請求が有効でも単独申請の添付書類として認められません。
参考)https://ameblo.jp/shihousyoshitaro/entry-12383696006.html
根抵当権元本確定 単独申請で押さえたい到達と受取拒否の違い
元本確定請求は「意思表示が相手方に到達すること」が要件であり、受け取ることが要件ではありません。 この違いが実務では非常に重要です。
- 受領拒否で内容証明郵便が返送された場合 → その書面をもって単独申請が可能 ✅
- 保管期間満了で内容証明郵便が返送された場合 → その内容証明を利用した登記は不可 ❌
保管期間満了と受領拒否の違いは一見わかりにくいですが、法的効果が正反対です。 郵便局の保管期間は原則7日間(約1週間)なので、設定者が意図的に受け取りを引き延ばすケースには注意が必要です。
受領拒否の場合は到達とみなされるので問題ありませんが、単に不在で保管期間が過ぎた場合は到達とはならず、再度の送付が必要になります。 この点は民法97条の到達主義の原則が関係しており、「到達≠受取」という理解が必須です。
不動産が複数ある場合、設定者(所有者)が物件ごとに異なるときは、それぞれ各別に通知書を送る必要があります。 たとえば物件Aの設定者と物件Bの設定者が別人であれば、2通を別々に送付し、それぞれ配達証明を取得しなければなりません。
不動産が共有になっているケースも要注意です。 共有者Aと共有者Bの両方に元本確定請求をする必要があり、Aのみ、またはBのみへの通知では足りません。これは長野地方法務局でも確認されている実務上の取り扱いです。
参考)内藤司法書士事務所、内藤土地家屋調査士事務所(品川区大井)
根抵当権元本確定 単独申請と共同申請で異なる添付書類の落とし穴
単独申請か共同申請かで、まったく異なる書類が必要になります。これが実務で混乱しやすいポイントです。
申請方法別の添付書類比較
| 申請方法 | 確定請求の証明書面 | 配達証明付き内容証明の要否 |
|---|---|---|
| 共同申請 | 不要(報告式の登記原因証明情報で足りる) | 不要 |
| 単独申請(確定請求) | 必要 | 必要 |
参考)https://ameblo.jp/micrayh8856/entry-12888871875.html
共同申請の場合は設定者が登記に協力しているため、確定請求を証明する書面は原則不要です。 ところが、単独申請ではその請求が適法に行われたことを第三者的に証明しなければならないため、「配達証明付き内容証明郵便」の実物が必須となります。
差出人の名義にも注意が必要です。 内容証明の差出人が代表取締役であれば問題ありませんが、支店長名義で送付した場合には、支店長に対する包括委任状を別途添付しなければなりません。 この包括委任状を取り忘れると、申請が受理されないリスクがあります。
また、登記申請書の登記原因証明情報として、内容証明郵便の控えをそのまま使えるケースが多いです。 別途「登記原因証明情報」という書面を作成する必要は通常ありません。ただし、共有不動産でA・Bそれぞれへの到達日が異なる場合は、遅い方の日付をもって元本確定日となるため、その日付を明記した登記原因証明情報を別途用意する必要があります(名古屋法務局確認済み)。
参考:不動産登記における根抵当権の元本確定手続き全般を解説した信頼性の高い実務資料です。配達証明付き内容証明の書式や手順が詳しく紹介されています。
根抵当権者の単独申請による元本確定の登記|司法書士法人きさらぎ事務所
根抵当権元本確定 単独申請でよく見落とされる独自視点:債務者が法人破産した場合の二重確定問題
実務でしばしば見落とされるのが「破産そのものも元本確定事由なのに、さらに確定請求が必要なのか?」という点です。
これは意外なポイントです。
債務者(法人)が破産手続開始の決定を受けた場合、民法398条の20第1項4号により元本は確定します。しかし不動産の登記簿(登記事項証明書)に破産の登記は入りません。 つまり、不動産登記の上では元本が確定しているかどうかを第三者が読み取れない状態になっています。
「法的に確定していても登記では見えない」ということです。
根抵当権の移転登記(例:代位弁済後の保証協会への移転)や債権譲渡に伴う根抵当権移転を行う場合、登記上で元本が確定していることが形式的に読み取れることが必要です。 このため、破産による確定事由があっても、別途「元本確定登記」を申請する実務上の必要性が生じるわけです。
この場合の単独申請は、破産事由(民法398条の20第1項4号)に基づく申請となり、根抵当権の移転登記と同時申請が条件です。 破産を知った後に確定請求(民法398条の19第2項)を重ねて行い、確定請求に基づく単独申請とすることも実務上あり得ます。 どの根拠条文で申請するかによって、添付書類や同時申請の要否が変わるため、事前に司法書士と方針を決めておくことが重要です。os-nextmirai.ss-blog+1
| 根拠 | 単独申請 | 同時登記の要否 | 添付書類の特徴 |
|---|---|---|---|
| 民法398条の19第2項(確定請求) | ✅ 可能 | 不要 | 内容証明+配達証明 |
| 民法398条の20第1項3号(競売・差押え) | ✅ 可能 | 必要 | 移転登記等と同時 |
| 民法398条の20第1項4号(破産) | ✅ 可能 | 必要 | 移転登記等と同時 |
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参考:不動産登記法93条の条文と解説。単独申請が認められる根拠条文を正確に確認できます。
不動産登記法93条 根抵当権の元本の確定の登記|えびすどう法務事務所
参考:民法398条の20の確定事由ごとの整理と、元本確定が登記上明らかかどうかの違いを学べる試験向けまとめサイト。実務的な整理にも役立ちます。
元本確定が明らかor明らかでない/元本確定事由まとめ|司法書士合格革命

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