専任取引主任者の設置義務と違反リスクを徹底解説

専任取引主任者の設置義務と違反リスク

専任取引主任者として登録しているだけで、法的に問題ないと思っていませんか?実は、専任として名前だけ貸している状態だと、あなた自身が30万円以下の罰金刑を受けるリスクがあります。

🏢 専任取引主任者|3つの重要ポイント
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設置基準は「従業員5人に1人以上」

宅建業法では、業務に従事する者5人につき1人以上の専任取引士の設置が義務付けられています。事務所の人数変動に常に注意が必要です。

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名義貸しは「名義貸し禁止違反」で罰則対象

実態を伴わない専任登録(名義貸し)は宅建業法違反。本人だけでなく業者側も監督処分・業務停止の対象になります。

欠員時は2週間以内に補充が必要

専任取引士が退職・死亡などで欠員が生じた場合、2週間以内に新たな専任取引士を設置しなければ宅建業法違反になります。

専任取引主任者の設置基準と「従業者5人に1人」ルールの実態

 

宅地建物取引業法(宅建業法)第31条の3では、事務所ごとに「業務に従事する者5人につき1人以上」の専任の宅地建物取引士(旧称:取引主任者)を置くことが義務付けられています。「専任取引主任者」とは、この専任の取引士のことを指す旧来の呼称です。

ここで注意すべきなのは「業務に従事する者」の数え方です。正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣社員なども含まれます。つまり、週3日だけのパート従業員も人数にカウントされるということです。

例えば、従業員が10人の事務所なら、最低でも2人の専任取引士が必要です。東京ドームを5人ずつに区切るイメージで考えると、ブロックごとに1人の専任士が必要な計算になります。これは基本です。

11人になった瞬間に3人必要になるため、採用タイミングによっては一時的に基準を下回るリスクがあります。人員増加の前に専任士の確保を計画する必要があります。

  • 📌 正社員・パート・アルバイト・派遣社員はすべて「業務に従事する者」に含まれる
  • 📌 1〜5人:専任取引士1人以上、6〜10人:2人以上、11〜15人:3人以上
  • 📌 代表者本人が宅建士であれば、専任取引士として登録することも可能
  • 📌 複数の事務所を持つ場合は、各事務所ごとに人数基準を満たす必要がある

常勤性も重要な条件です。専任取引士は、その事務所に「常勤」していることが求められます。複数の事務所を掛け持ちで専任登録することは原則として認められていません。

国土交通省|宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(第31条の3関係)

専任取引主任者の「名義貸し」が引き起こす法的リスクと罰則

名義貸しとは、実際にはその事務所で働いていないにもかかわらず、書類上だけ専任取引士として登録されている状態のことです。

これは宅建業法第13条で明確に禁止されています。厳しいところですね。違反した場合、名義を貸した取引士本人には30万円以下の罰金が科される可能性があり(宅建業法第83条)、業者側は業務停止処分や最悪の場合は免許取消になるリスクがあります。

実際に行政処分を受けた事例も複数存在しており、都道府県の不動産業者への立入検査で発覚するケースが多いです。「バレないだろう」という認識は危険です。

特に注意が必要なのは、以下のような状況です。

  • ⚠️ 族や知人に頼んで名前だけ借りているケース
  • ⚠️ 転職後も前の事務所の専任登録を抹消していないケース
  • ⚠️ 在宅勤務や出張が多く「常勤」と言えるか曖昧なケース
  • ⚠️ 兼業・副業で複数の事業者に同時に専任登録しているケース

名義貸しに該当するかどうかのグレーゾーンとして、「在宅勤務」が挙げられます。コロナ禍以降、テレワーク運用の事務所が増えましたが、宅建業法における「常勤」の解釈については各都道府県の担当窓口に確認を取ることが最も安全な対応です。

(公財)不動産流通推進センター|宅建業法に関する実務相談・解説

専任取引主任者の欠員発生時に「2週間以内」に取るべき対応手順

専任取引士が退職・死亡・登録消除などで欠員が生じた場合、2週間以内に補充しなければ宅建業法違反になります。これは宅建業法第31条の3第3項に定められた義務です。

2週間というのは、カレンダーでいえば約14日間。意外と短いです。求人を出して面接して採用して…では到底間に合わないケースもあります。

そのため、実務上は以下の対応策が有効です。

  • 🔑 社内に複数の宅建士有資格者を確保しておく(常に候補者を育成する)
  • 🔑 代表取締役や役員が宅建士資格を取得して専任登録できる体制にしておく
  • 🔑 退職者が出た場合、退職前に後任の専任士を決定しておく
  • 🔑 退職日と専任登録変の届出タイミングを人事部門と連携して管理する

欠員が生じた場合の届出先は、免許を受けた都道府県知事または国土交通大臣です。届出の様式は都道府県ごとに異なる場合があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。これは使えそうです。

また、2週間を超えても補充できなかった場合、業務改善命令の対象になりえます。ただし、補充努力の実態(求人活動の記録など)を示すことで処分が軽減された事例もあるため、記録を残すことが重要です。

専任取引主任者と「宅建士証の有効期限」の関係——更新忘れで専任資格を喪失するケース

意外に見落とされがちなのが、宅建士証の有効期限の問題です。宅建士証の有効期間は5年間で、期限が切れると宅建士としての業務ができなくなります。

つまり、宅建士証の更新を忘れると、専任取引士としての要件を満たさなくなり、事務所全体が法定要件を下回る状態になります。本人が気付かない間に違反状態が続くことがあります。

宅建士証の更新には、登録をしている都道府県知事が指定する法定講習(16時間)の受講が必要です。この講習は更新申請前の6ヶ月以内に受講しなければなりません。

手続き 期限・費用の目安 窓口
法定講習受講 更新申請の6ヶ月以内・約12,000〜15,000円 各都道府県宅建協会など
宅建士証更新申請 有効期限の90日前〜30日前が目安 登録都道府県の窓口
更新手数料 4,500円(国土交通大臣登録の場合は別途) 収入証紙など

有効期限が近い専任取引士を抱えている事務所では、人事・総務担当者がカレンダー管理ツールやリマインダーを活用して、更新期限の3ヶ月前にアラートを設定するだけで、更新忘れのリスクをほぼゼロにできます。これが条件です。

複数の宅建士が在籍する場合は、全員の宅建士証の有効期限を一覧表で管理することを強くおすすめします。Excelや管理ツールで「氏名・有効期限・担当事務所」を一元管理するだけで十分です。

(公社)全国宅地建物取引業協会連合会|宅建士証更新・法定講習に関する情報

専任取引主任者の「兼務」問題——所長が他業務と掛け持ちすると違反になる意外な盲点

「社長が宅建士だから大丈夫」と思って、その社長が別の法人でも専任取引士に登録されているケース。これは宅建業法違反になる可能性があります。

専任取引士は「専任」である以上、その事務所に常時勤務していることが原則です。他の会社の役員や従業員として常時勤務しているとみなされれば、二重の専任登録は認められません。

一方で、同一会社内の複数の事務所への兼務については、各都道府県で判断が異なるケースがあります。一概にダメとは言えません。

以下のような状況は特に注意が必要です。

  • 🚨 グループ会社のA社・B社両方に専任登録している役員
  • 🚨 本店と支店の両方に専任登録されているが、実質的に本店にしかいない担当者
  • 🚨 宅建業以外の事業を本業として別会社で常勤扱いになっている代表取締役

この問題は特に小規模業者や、宅建業を副業的に営んでいる業者に多く見られます。監督官庁(都道府県)の立入検査で問題視されると、業務改善命令や最悪の場合は免許取消にまで発展します。

実務上の対策として、自社の専任取引士が他社や他事業において「常勤」と認識される立場にないかを定期的に確認することが大切です。確認は都道府県の宅建業担当窓口への照会が最も確実です。結論は「定期的な自己点検」です。

国土交通省|宅地建物取引業者の免許・専任の取引士に関するQ&A

ユニット 作業主任者職務板 鉛作業主任者 356-28B