報酬額の制限 宅建業者が知るべき上限と罰則

報酬額の制限、宅建業者が押さえるべき全知識

実は、報酬を1円も受け取っていなくても、要求しただけで宅建業法違反になり100万円以下の罰金を科される可能性があります。

報酬額の制限 宅建業者が知るべき3つのポイント
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上限額の基本ルール

売買代金に応じた計算式(400万円超なら3%+6万円)で算出した金額が上限。これを超えた瞬間に違反となります。

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空家の特例(令和7年改正)

税抜き800万円以下の空家は、売主・買主双方から最大33万円(消費税込み)まで受領可能な特例が適用されます。

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違反時の罰則

不当に高額な報酬を「要求するだけ」で1年以下の懲役または100万円以下の罰金。受領しなくても違反が成立します。

報酬額の制限とは:宅建業法46条の基本ルール

 

宅建業法第46条は、宅建業者依頼者から受け取れる報酬の上限を国土交通大臣告示で定めています。 上限を超えて報酬を受け取ることはもちろん、「要求すること」自体も宅建業法第47条2号で明確に禁止されています。8111+1

これは原則です。

法律が上限を定める目的は、消費者保護にあります。 宅建業者側の事情に関係なく、取引価格に基づいた計算式で算出した額が絶対の上限となります。以下の計算式が基本です。

参考)https://takken-tokidokineko.com/houshuunoseigen/

売買代金 報酬の上限(税抜き)
200万円以下 売買代金 × 5%
200万円超〜400万円以下 売買代金 × 4% + 2万円
400万円超 売買代金 × 3% + 6万円

計算式を覚えるのが基本です。

たとえば売買代金3,000万円の物件の媒介を行った場合、受け取れる報酬の上限は「3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円(税抜き)」となります。 これが売主・買主それぞれに対する上限額です。東京の一般的なマンション1戸分の取引でも、この計算式がそのまま適用されます。

参考)宅建業法改正の報酬額について

この計算結果が「一方の依頼者から受け取れる上限」という点も重要です。

消費税については、課税事業者であれば計算式で出た金額に1.1を掛けた額が上限となります。 消費税免税事業者の場合は1.0を掛ける形になるため、受け取れる金額はやや少なくなります。免税か課税かで上限額が変わる点は見落としがちです。

参考)宅建業者が受領する報酬額

報酬額の制限 売買・代理の場合の上限2倍ルールと注意点

売買における代理では、媒介の場合の2倍まで報酬を受け取れます。 たとえば代金3,000万円の物件を代理した場合、「96万円(税抜き) × 2 = 192万円(税抜き)」が上限になります。

参考)「報酬の上限」の重要ポイントと解説 – 4ヶ月で宅建合格でき…

ただし、条件があります。

代理の場合でも、「売主と買主の双方から受け取る報酬の合計が、一方の上限の2倍を超えてはならない」というルールは変わりません。 たとえば売主側の代理業者と買主側の媒介業者がそれぞれ関与している場合、2社合計の報酬額が「媒介上限の2倍」を超えると違反になります。

合計額に注意が必要ということですね。

複数の業者が関与する取引では、自社だけで計算を完結させず、相手業者の報酬額も把握した上で上限を管理することが実務上の鉄則です。売主から145万2,000円受領したのに買主からも145万2,000円受領しようとすると、それだけで宅建業法違反になります。

参考:売買における報酬の上限計算を具体的な数字で解説しています。

「報酬の上限」の重要ポイントと解説|宅建レトス

報酬額の制限 賃貸借取引と居住用建物の承諾ルール

賃貸借の媒介における報酬の上限は、貸主と借主を合わせて「借賃の1ヶ月分(消費税別)」です。 これが原則であり、1社が貸主・借主双方から受け取れる報酬の合計上限になります。

参考)賃貸の仲介手数料の上限は?宅建業法46条の「原則0.5ヶ月」…

意外ですね。

原則として、貸主と借主それぞれから受け取れるのは「借賃の0.5ヶ月分まで」です。 たとえば月額家賃10万円の物件なら、貸主から5万円・借主から5万円の合計10万円が上限になります。

参考)【宅建業法】宅建業者が受領できる報酬限度額

ここに重要な例外があります。

居住用建物の場合、あらかじめ依頼者(借主)から承諾を得ていれば、「借主から1ヶ月分まで」受け取ることができます。 しかし承諾なしに借主から1ヶ月分を受け取った場合は、上限超過となり違反です。「慣習だから」「他社もやっているから」という理由は法律上まったく通用しません。

承諾の有無が条件です。

この承諾は、媒介契約締結前に取得することが求められます。後から追認する形での承諾は、法的に有効とみなされないリスクがあります。承諾の取得タイミングを社内マニュアルで明確にしておくことが、違反リスクを下げる実務的な対策になります。

報酬額の制限 低廉な空家等の特例(令和7年改正対応)

令和7年の法改正により、低廉な空家等の特例対象が「税抜き800万円以下の宅地建物」に引き上げられました。 それ以前は400万円以下が対象でしたが、空き家流通促進のために大幅に拡大されています。

参考)令和7年宅建試験に関係する宅地建物取引業法改正 その3 | …

これは使えそうです。

この特例では、売買代金や交換価額が税抜き800万円以下の物件であれば、通常の計算式を超えて報酬を受け取ることが認められています。 具体的には、媒介であれば「1当事者から最大30万円 × 1.1 = 33万円(税込み)」が上限です。

参考)【宅建業法】報酬の制限とは?覚え方や計算方法をわかりやすく解…

たとえば税抜き200万円の空き家を媒介した場合、通常の計算式では「200万円 × 5% = 10万円(税抜き)」が上限ですが、特例適用後は30万円(税抜き)まで受け取れます。 空き家1件あたりの報酬が最大3倍に拡大されることになります。

参考)低廉な空家等(800万円以下)と長期の空き家の媒介報酬の特例…

特例が条件です。

さらに令和6年7月施行の改正では、賃貸における空家等の特例も新設されました。 現に用途に供されていない空き家(1年超空室など)の賃貸媒介では、貸主・借主合わせて家賃の2.2ヶ月分まで報酬を受け取ることができます。相続で引き継いだ空き家を持つ地主からの依頼案件では、特に有効な特例です。

参考:低廉な空家等の特例について、改正前後を対比しながら図解しています。

低廉な空家等(800万円以下)と長期の空き家の媒介報酬|宅建fudosan.com

参考:国土交通省による媒介報酬規制の見直し概要(公式PDF)。空き家流通促進のための制度改正背景が解説されています。

空き家等に係る媒介報酬規制の見直し|国土交通省

報酬額の制限 違反した場合の罰則と報酬以外の費用受領ルール

報酬額の制限に違反した場合、大きく2種類の罰則があります。不当に高額の報酬を「要求した」場合は宅建業法80条により1年以下の懲役または100万円以下の罰金(併科あり)が科されます。 実際に受け取っていなくても、要求するだけで違反が成立する点が非常に重要です。e-takken+1

痛いですね。

報酬基準額を超えて「受領した」場合は、宅建業法82条により100万円以下の罰金が科されます。 要求罪より罰則が軽いように見えますが、行政処分(業務停止・免許取消)と併用される可能性があり、事実上の廃業リスクを伴います。mc-law+1

🔴 違反行為と罰則まとめ

違反行為 根拠条文 罰則
不当に高額の報酬を要求 宅建業法47条2号・80条 1年以下の懲役 or 100万円以下の罰金(併科あり)
報酬基準額を超えて受領 宅建業法82条 100万円以下の罰金
報酬額の掲示義務違反 宅建業法46条4項 30万円以下の罰金

報酬以外のお金を受け取れるケースにも限定的なルールがあります。

依頼者から報酬以外に受け取れるのは、「①依頼者の依頼に基づく広告費用」と「②依頼者の依頼に基づく特別の費用(遠隔地への旅費など)」の2種類だけです。 契約書の作成費用や印紙代などを別途請求することは認められていません。

参考)令和5年(2023年)問34/宅建過去問 – 4ヶ月で宅建合…

「費用だから問題ない」は通用しません。

実務では「報酬とは別に○○費として請求する」という名目で実質的な上限超過が行われるケースが散見されます。名目に関係なく、実質的に法定上限を超えた金銭を受け取れば違反となります。社内で請求書フォーマットを点検し、「依頼者からの明示的な依頼」がない費用項目がないか確認することが、コンプライアンス上の重要な一手です。

参考:宅建業法違反の刑事責任(刑事罰)の規定を条文ごとに整理した詳細解説です。

【宅建業法違反の刑事責任(刑事罰)の規定】|企業法務弁護士ナビ

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