重要事項説明義務と宅建業者の正しい対処法

重要事項説明義務と宅建業者が知るべき全知識

重要事項説明書の交付は、相手が宅建業者でも省略できません。

重要事項説明義務と宅建業者が知るべき全知識
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説明義務の基本ルール

宅建業法35条に基づき、売買・賃貸借の契約前に宅建士が書面を交付して説明する義務。相手方が宅建業者でも書面交付は必須です。

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違反時の罰則

説明を怠ると2年以下の懲役または300万円以下の罰金。情状次第では免許取消処分まで進むケースがあります。

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義務が免除されるケース

宅建業者が「自ら貸主」となる場合は宅建業法の規定外となり、重要事項説明義務が発生しません。知らずに行うと業務の非効率につながります。

重要事項説明義務とは:宅建業法35条の基本を確認する

 

重要事項説明義務とは、宅建業者が売買・賃貸借の契約成立前に、宅地建物取引士(宅建士)をして、取引の相手方に物件や取引条件に関する重要事項を記載した書面を交付・説明させる義務です。 根拠は宅地建物取引業法(宅建業法)第35条第1項で、宅建業者自らが売主として売却する場合の買主、および売買・賃貸借を媒介する場合の買主または借主が対象となります。

参考)不動産取引における重要事項説明義務|弁護士法人ポート

「契約前に説明すればよい」が原則です。

説明のタイミングは契約成立前であれば場所は問いません。 ただし、宅建士が宅建士証を提示してから説明を始めることが必須であり、相手から請求がなくても提示しなければなりません。 提示義務を怠った場合は10万円以下の過料が科されます。biz.homes+2

重要事項として説明すべき項目は宅建業法35条1項に列挙されていますが、これはあくまで「最低限」の事項です。 列挙されていなくても、取引の判断に影響し得る事項であれば説明義務が生じます。 「リストにある項目さえ説明すれば免責」という考え方は危険ですね。

参考)【2026】重要事項の説明義務に違反するとどうなる?罰則はあ…

宅建業者が見落としがちな重要事項説明の「義務が免除されるケース」

義務免除のケースは3つあります。

重要事項説明義務が発生しない場面を正確に把握しておくことは、業務効率化と法的リスク回避の両面で重要です。以下の3つのケースは現場でも混乱しやすいポイントです。

  • 🏠 宅建業者が「自ら賃貸人」となる場合:宅建業者が自社物件を自ら賃貸する行為は「自ら貸借」に該当し、宅建業法の規定が適用されない。そのため重要事項説明書の交付も説明も不要です。
  • 🤝 相手方が宅建業者の場合(説明のみ省略可):買主または借主が宅建業者であれば、口頭による説明は省略できます。ただし35条書面(重要事項説明書)の交付は省略できません。
  • 🏢 売主・賃貸人への説明義務は存在しない:重要事項説明は買主・借主を保護するための制度なので、売主や賃貸人への説明義務はありません。実務で売主にも説明するケースはありますが、それは法的義務ではありません。

宅建業者間取引では、書面交付だけは義務です。

なお、「相手が業者なら書面もいらない」という誤解は非常に多く、実際には書面交付を省略した場合は宅建業法違反となります。 実務現場では「相手もプロだから」という判断で書面を省くケースが散見されますが、これは厳禁です。

参考)重要事項説明書は誰が誰に行うもの?

重要事項説明義務に違反した宅建業者が受ける罰則と行政処分

違反すると最大で免許取消まで進みます。

重要事項説明義務の違反は、行政処分と刑事罰の両方が同時に科される可能性があります。 行政処分の段階は「指示処分→業務停止処分(1年以内)→免許取消処分」という順序で重くなります。 情状が特に重い場合や業務停止命令に違反した場合は、直接免許取消となることもあります。es-service+1

違反内容 罰則
重要事項の説明を怠る 2年以下の懲役または300万円以下の罰金(もしくは両者の併科)
故意に重要事項を告げず、または不実を告げる 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(もしくは両者の併科)
宅建士証の提示義務違反 10万円以下の過料
非宅建士による重要事項説明の実施 業務停止処分・損害賠償リスク

刑事罰と行政処分は別物です。

民事上の損害賠償請求も別途発生します。 特に「宅建士ではない従業員が重要事項説明を行い、買主に損害を与えたケース」では宅建業者に損害賠償責任が認められた判例があります。 会社としてリスクを正確に把握しておくことが、最大の防衛策です。

参考)重要事項説明|違反した場合の責任と罰則 | 愛知宅建業免許.…

重要事項説明に関する行政処分の内容は国土交通省・都道府県のサイトで公表されます。自社業者番号での処分歴を定期的に確認する習慣をつけておくと、早期対応につながります。

国土交通省|重要事項説明・書面交付制度の概要(PDF)

重要事項説明制度の全体像と35条・37条書面の位置づけが整理されており、制度の根本的な理解に役立ちます。

宅建業者が実務で直面しやすい重要事項説明のトラブル事例

説明したつもりでも、証拠がなければ負けます。

実務でよく発生するトラブルの一つが「説明した・していない」問題です。 借主から「用途制限について説明がなかった」として341万円超の損害賠償を求められた事例では、宅建業者が重要事項説明の読み上げ記録を保持していたため請求が棄却されました。 説明記録の保存は、訴訟リスクへの有効な対策になります。

参考)重説の読み上げが証拠となり借主の損害賠償請求が棄却された事例…

もう一つの落とし穴は「35条書面の記載漏れ」です。 区分所有建物(マンション)の売買では、計画修繕積立金や管理費の滞納がある場合はその額を必ず記載しなければなりません。 この記載を怠った場合、買主から「知っていたら購入しなかった」として契約解除や損害賠償を求められるケースがあります。takken-success+1

説明内容の記録化は必須です。

さらに、買主や借主の「契約目的」を事前に確認・記録していなかったケースでもトラブルが発生しやすくなっています。 「エステサロンとして使いたい」という希望を口頭で聞いていたにもかかわらず、用途制限の説明をしなかった場合、説明義務違反を問われる可能性があります。 媒介契約時に契約目的を書面に残しておくことが、後からのリスク管理に直結します。

重説の読み上げが証拠となり借主の損害賠償請求が棄却された事例(実例解説)

重要事項説明の証拠保存がいかにトラブル解決に機能するか、具体的な事例で理解できます。

宅建業者だけが知っておくべき:重要事項説明とIT重説・電磁的交付の実務活用

IT重説は「対面と同等」の効力を持ちます。

2022年の宅建業法改正(施行)により、重要事項説明書のオンライン説明(IT重説)が正式に全面解禁されました。 IT重説を行うには、「双方向でやりとりできる映像・音声システム」を使用し、事前に相手方の書面受領確認と映像環境の確認が必要です。 宅建士証の提示も画面上での確認が必要で、省略はできません。gmosign+1

電磁的交付(書面をデータで送る)も認められており、相手方の承諾を事前に得ることが条件です。 承諾を取る方法は電子メールやWebフォームが利用可能です。 手続きは増えますが、遠方の顧客対応や業務効率化に大きく貢献します。

参考)35条書面とは?ポイントや必要性、メリットを詳しく|宅建業法…

これは使えそうです。

ただし、IT重説が使えても「相手方が宅建業者の場合は説明省略・書面交付は必須」というルールは変わりません。 また、電磁的交付の際に相手方の承諾を得る記録が残っていないと、後から「受け取っていない」というトラブルになるリスクがあります。承諾の取得はシステム上で記録が残る方法を選ぶことが、現場では賢い運用です。

参考)宅建業法「重要事項説明(35条書面)」記載事項を徹底解説

重要事項説明書の電子化ツールを活用する場合、「電子署名」や「電子記名」の対応可否を事前にベンダーに確認しておきましょう。宅建士の電子記名が法的要件を満たしているかどうかは、実務運用の要となります。

GMOサイン|宅建業法「重要事項説明(35条書面)」の記載内容とIT重説の解説

IT重説と電磁的交付の要件、35条書面と37条書面の違いが整理されており、実務対応の参考になります。

AccelServe法律事務所|重要事項の説明義務違反とその罰則(2026年版)

違反時の行政処分・刑事罰・民事賠償の全体像をわかりやすく解説しており、リスク把握に役立ちます。


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