37条書面記載事項 宅建 実務対応と罰則リスクまで網羅

37条書面記載事項 宅建 実務要点整理

あなたが37条書面を甘く見ると前科と数百万円の損害賠償が一度に飛んできます。

37条書面記載事項を甘く見ない
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必要的・任意的記載事項の線引き

「任意的=書かなくていい」ではなく、「定めがあれば必ず書く」が37条の原則です。一つ抜けるだけで契約トラブルや監督処分の火種になります。つまり線引きを理解して運用することが実務の生命線ということですね。

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宅建士の記名・説明責任

37条書面は宅建士の記名が必須で、無資格者に丸投げすると指示した側の宅建士も処分対象になります。記名は名前を書く作業ではなく、法的な「連帯保証」に近い重さがあるということですね。

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電子契約・IT重説時代の37条

37条書面は電磁的方法での交付が認められていますが、社内の運用ルール次第で逆に説明不足とクレーム増加を招くケースがあります。IT化しても「説明の濃度」を落とさないことが条件です。

37条書面記載事項 宅建の必要的記載事項と「任意的」の本当の意味

37条書面記載事項の話をすると、多くの担当者は「必要的記載事項さえ押さえておけば、任意的記載事項は余裕がある」と考えています。実務歴10年以上のベテランほど、社内の雛形どおりに打ち込めば大きな問題は起きないという感覚を持ちやすいです。ですが、宅建業法上の「任意的記載事項」は、定めがある以上は記載を省略できない“準・必要的”の性格を持っています。任意的という言葉から「書いても書かなくてもよい」と誤解していると、意外なリスクを抱え込むことになります。結論は「任意的=取引で内容を定めるかどうかが任意で、定めたら必ず書く」です。

まず必要的記載事項から整理します。37条1項では、当事者の氏名・住所、目的物の特定に必要な表示、引渡しの時期、移転登記申請の時期(売買・交換)、代金や交換差金の額および支払時期・方法などが列挙されています。中古住宅の売買では、構造耐力上主要な部分等の状況について当事者双方が確認した事項も必要的記載事項と位置付けられています。これらは一つ抜けると直ちに宅建業法違反になり、指示した宅建士に業務停止や指示処分などが及ぶ可能性があります。必要的記載事項の抜け漏れは、赤信号を渡るレベルのリスクということですね。agaroot+2

次に誤解が多い任意的記載事項です。損害賠償額の予定や違約金の定め、天災その他不可抗力による損害の負担の定め、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)に関する定め、保証保険契約等の措置、租税その他の公課の負担に関する定め、金銭の貸借のあっせんが不成立のときの措置などが代表例です。これらは「取引で特約を置くかどうかは自由だが、置いた場合には37条書面に必ず書け」という性格を持っています。つまり、定めがあるのに書かなかった場合は、必要的記載事項の欠落と同じ扱いで違反になるということですね。ss-up+1

実務レベルでは、特約を口頭で詰めたあと、契約書の特約欄をコピペで済ませてしまう場面が多いものです。このとき、手付解除と違約金、遅延損害金などの金額や条件が、37条書面と社内の別紙、重要事項説明書で微妙に食い違うケースがあります。例えば違約金を「売買代金の20%→10%に減額する」と口頭で合意したのに、37条書面側で旧文言が残っていると、紛争が起きたときに「どの書面が契約内容なのか」で揉めることになります。こうした齟齬は、1件で数百万円単位の損害賠償請求に発展しやすく、宅建業者側が劣勢になりやすいです。齟齬をなくすことが基本です。

参考)「37条書面(契約書)」の重要ポイントと解説 – 4ヶ月で宅…

リスクを抑えるためには、必要的・任意的記載事項をチェックリスト化し、取引類型ごと(売買・交換・貸借)に雛形を分ける運用が有効です。特に任意的記載事項は、「定めなし」「定めあり(内容)」のどちらかを必ず埋める方式にすると、書き忘れを物理的に防げます。この場面の対策としては、宅建試験向けの37条書面チェックシートを業務にも流用する、クラウド契約システムに必須ブロックとして組み込むなどが現実的です。つまりテンプレートの作り込みが実務リスクを下げる鍵です。ss-up+1

37条書面記載事項 宅建で見落とされがちな天災・契約不適合・公課負担の罠

37条書面記載事項の中でも、損害賠償や天災、契約不適合責任、公課負担の扱いは「普段通りで大丈夫だろう」と流されがちな部分です。多くの実務者は、「天災リスクは保険で何とかなる」「契約不適合は売主負担にしておけば安全」「固定資産税等は引渡日で按分すれば足りる」といった感覚で運用しています。ですが、条文どおりに見ると、これらは37条書面にきちんと記載するかどうかで、会社と担当者の負う責任が大きく変わります。意外ですね。

まず天災その他不可抗力による損害の負担です。この定めは、売買・貸借のいずれでも、定めを置いた場合には37条書面への記載が必要になります。例えば、引渡し前に地震で建物が半壊した場合、「売主負担とするのか」「買主負担とするのか」「契約を解除できるのか」といったルールを特約に入れることがあります。ここを曖昧にしておくと、災害発生時に双方が自分に有利な解釈を主張し、数百万円規模の補修費や解体費をめぐる紛争になります。天災の負担は37条に書くのが原則です。e-takken+2

次に契約不適合責任です。新民法では、旧来の瑕疵担保責任が契約不適合責任として整理され、特約で責任を軽減・免除する場合には、その内容を明確に定める必要が出てきました。この特約を売買契約書の特約欄だけに書き、37条書面の該当箇所には何も記載しない運用をしている会社もあります。ところが、宅建試験向けの解説では「契約不適合責任の定めがある場合は37条書面の任意的記載事項に該当する」とされており、記載漏れは業法違反の評価を受けます。つまり契約不適合責任の特約も、37条に落とし込むのが条件です。takken-success+1

租税その他の公課の負担に関する定めも要注意です。固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金などの按分について、「売主・買主で日割り」といったルールを口頭で済ませてしまう現場も少なくありません。ところが、宅建過去問では「定めなしの場合に『定めがない旨を記載する義務はない』」ことが出題されている一方、定めがあるならば37条書面への記載が必要であることが繰り返し確認されています。税や管理費は1物件あたり年間数十万円規模で、按分のズレが出ると1件で数万円の追加負担になることも珍しくありません。公課負担の取決めは37条に必ず落としておけばOKです。takken-success+1

これらのリスクを避けるには、特約を作る段階で「37条書面のどこに、どう書くのか」をセットで設計することが重要になります。例えば、天災や契約不適合、公課負担に関する定型文をリーガルチェック済みのテンプレートとして作成し、契約類型ごとにパターンを絞る方法があります。場面ごとの対策としては、弁護士監修のひな形集や業界団体が提供するモデル条項を参照しつつ、自社フォーマットに落とし込むのが現実的です。つまり条文ベースの設計を最初に済ませると、現場の迷いを減らせます。

37条書面記載事項 宅建と35条書面の違い・過去問で狙われる「罰則ライン」

37条書面記載事項の学習や実務指導では、どうしても35条書面との違いがごちゃ混ぜになりがちです。多くの人が、「35条は説明」「37条は契約内容」とざっくり理解し、細かい記載事項の違いや罰則ラインを十分に意識していません。ですが、宅建試験の過去問を見ると、「どちらの書面に書くべきか」「定めがない場合に『定めがない』と書く義務があるか」といった細かい線引きで毎年のように出題されています。結論は「どちらに書くかを条文で整理して覚えることが、試験と実務の両方で効きます」です。

例えば、建物を特定するための表示は、35条書面でも説明対象ですが、37条書面でも記載事項として義務付けられています。未完成建物の売買では、工事完了前で登記情報がない場合、図面など他の資料を用いて対象物を特定する必要があります。ある過去問では、未完成建物の売買で建物の表示を図面により説明し、その内容を37条書面に記載しなかったケースが問われ、「建物を特定するための表示を図面で補ったうえで37条書面にも反映させれば違反ではない」とされています。建物の特定は両方にまたがるテーマということですね。agaroot+2

一方、損害賠償額の予定や違約金、公課負担、金銭の貸借あっせんの不成立時の措置などは、37条書面の任意的記載事項として位置づけられており、「定めがない場合に『定めがない旨を記載する義務』はない」という趣旨の肢が繰り返し出題されています。つまり、「あるときだけ書く」項目です。これに対し、35条書面では、重要事項として説明が必要かどうかが別の観点で問われます。特にローン特約や融資あっせんに関する説明義務は、35条側で厚く求められるケースが多く、試験でも狙われやすいポイントです。35条と37条で役割が違うということですね。takken-success+2

罰則ラインについても整理しておきましょう。37条書面の記載義務違反は、宅建業者に対する指示処分・業務停止処分の対象になり得るほか、悪質な場合には免許取消や刑事罰に発展する可能性があります。月刊不動産の解説では、37条書面への宅建士の記名・押印が宅建士の職務として法律上明記されており、記名しない・させない運用は宅建士本人の処分にも直結すると説明されています。宅建士の署名は「印鑑を押すだけの儀式」ではなく、「内容に責任を負う」法的行為です。これは厳しいところですね。magazine.zennichi+1

試験対策の観点では、過去問を通じて「どの項目が35条・37条のどちらに出てくるか」を表にして整理するのが効果的です。1枚のA4にまとめれば、試験本番で迷う頻度が大きく減ります。実務でのメリットとしても、どの段階で何を説明し、何を契約内容として落とすかの感覚が磨かれ、クレーム対応のストレスが減少します。こうした知識をベースにすれば、社内研修や新人教育で「条文と実務をつなぐ説明」がしやすくなります。結論は「過去問で罰則ラインを体で覚えておくこと」です。

37条書面記載事項 宅建と電磁的方法・電子契約の実務注意点【独自視点】

ここ数年で、37条書面を電子契約サービスやPDFで交付する会社が一気に増えました。社内では、「紙をPDFに変えただけなので、37条書面のリスクはむしろ減っている」と感じている人も多いかもしれません。ですが、国土交通省の資料を見ると、「37条書面は契約書を兼ねるため、電子化しても契約内容の説明が疎かになりがち」という問題点が指摘されています。つまり、電子化しただけではリスクは減らず、説明不足のリスクがむしろ表面化しやすいのです。

国交省の「重要事項説明・書面交付制度の概要」では、IT重説や電磁的方法による書面交付の仕組みが整理されています。35条書面については、テレビ会議システムを用いたIT重説と電磁的交付が可能になってきましたが、37条書面は従来、対面での契約締結が前提であったため、電子化のニーズが相対的に小さかったとされています。しかし、コロナ禍以降、対面を避けるニーズやDX推進の流れで、37条書面も電子契約化が一気に進みました。IT化そのものはいいことですね。

参考)https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001477450.pdf

ここで問題になるのが、「説明」と「同意」が分離してしまうことです。従来は、店頭で重要事項説明を行い、その場で37条書面(契約書)への署名・押印をしてもらう流れが一般的でした。この場合、顧客が疑問を感じればすぐに質問でき、担当者も口頭で補足しながら署名に進めます。電子化後は、IT重説を別日にオンラインで行い、その後に電子署名のURLをメールで送る運用が増えています。こうなると、顧客が「よく分からないままクリックしてしまった」と主張し、クレームや紛争につながるリスクが高まります。説明と同意をセットで設計することが条件です。

対策としては、以下のような運用が考えられます。

・IT重説の録画とログの保存(何分何秒でどの説明をしたか)

・37条書面の各条項に「説明済み」チェック欄を設ける

・電子署名前に、重要な任意的記載事項(違約金、契約不適合責任、公課負担など)だけを抜き出した確認画面を表示する

・署名後に自動送信される完了メールに、問い合わせ窓口やクーリングオフの要件を分かりやすく記載する

これらは一見、業務が増えるように見えますが、将来のクレーム・訴訟対応の時間や弁護士費用を考えると、十分にペイする投資です。リスクの場面は「説明した・聞いていない」の水掛け論なので、その対策としてログや画面設計を整える、という順番を守ると自然に導入できます。具体的なサービスとしては、宅建業界向けに特化した電子契約・IT重説のクラウドが複数出ており、国交省のガイドラインへの対応状況も公開されています。つまり、ツール選定時に「37条書面の運用にどこまで踏み込んだ設計になっているか」をチェックするのがポイントです。

この部分の詳細な制度概要や、電磁的方法による書面交付の技術的条件は、国土交通省の公式資料が最も信頼性の高い情報源になります。制度の背景や今後の改正方向を把握したいときは、一度目を通しておくと実務判断の幅が広がります。

IT重説・電磁的方法の全体像と37条書面の位置付けを把握するときに役立つ公式資料です。

国土交通省「重要事項説明・書面交付制度の概要」

37条書面記載事項 宅建をめぐる宅建士の責任・前科リスクと実務防衛策

最後に、多くの実務者が「なんとなく怖い」と感じながらも、具体的なイメージを持てていないのが、37条書面記載事項をめぐる宅建士の責任と前科リスクです。一般的には、「最悪でも業務停止や指示処分で済むだろう」「会社が守ってくれるはずだ」と考えられがちです。ですが、法令や解説記事を読み込むと、37条書面の偽造や不交付、重要な記載事項の欠落が悪質と判断された場合には、宅建業者だけでなく、関与した宅建士個人にも刑事罰(例えば2年以下の懲役または300万円以下の罰金など)が科される可能性があります。痛いですね。

月刊不動産の特集では、37条書面への宅建士の記名が、宅建士法上の「宅建士の職務」の一部として明確に位置付けられていると説明されています。これは、単に名前を書く作業ではなく、その内容が宅建業法・民法・関連法令に適合しているかをチェックし、必要があれば修正を求める義務を負うことを意味します。形式的に記名だけして、内容の確認を一切していない宅建士は、「名義貸し」と同じような評価を受ける危険があります。結論は「記名=実質的なダブルチェック義務」です。

参考)Vol.67 宅建業法~37条書面の交付~

また、37条書面の不交付や虚偽記載が組織的に行われていた場合、宅建業者には免許取消営業保証金の取戻し・供託義務が生じるほか、顧客への損害賠償責任も重くのしかかります。1件あたり数百万円の損害賠償が連続すれば、中小の不動産会社なら簡単に財務が傾きます。特に、違約金条項や天災時の負担、契約不適合責任の特約が37条書面に正しく反映されていないと、会社側が想定していたリスク分担が無効と判断され、想定外の支払いを強いられることがあります。37条書面は会社の防波堤でもあるわけです。ss-up+1

実務防衛策としては、次のようなステップが現実的です。

・社内で使う37条書面のフォーマットを最新版の法令・判例に合わせて年1回は見直す

・宅建士向けに「37条チェック研修」を定期的に実施し、過去のトラブル事例を共有する

・作成・確認・説明・交付のプロセスに分けて、どの段階で誰が責任を負うかを明文化する

・トラブルが発生した案件については、原因となった記載や手順を文書化し、フォーマットやマニュアルに反映する

これらを行うことで、「たまたま大事故が起きなかっただけ」という状態から、「事故が起きにくい仕組みがある」状態に近づけます。将来、あなた自身が管理職や役員になったとき、37条書面まわりの仕組みをどこまで整えておくかで、会社の持続性と自分のキャリアの安全度が大きく変わります。37条書面記載事項は、試験対策の暗記項目ではなく、現場と自分を守るための“最後の盾”と捉えるのが現実的です。

宅建士の職務としての37条書面の位置付けと、実務上の注意点を解説した記事です。

月刊不動産「宅建業法~37条書面の交付」