高圧線下 建築制限の実務チェック
この条件を知らないと、あなたの説明だけで数百万円の損失クレームになります。
高圧線下 建築制限の基準と17万Vライン
不動産実務でまず押さえたいのが、「何Vを境に建築がそもそもできるかどうか」という線引きです。
一般に送電線の使用電圧が17万Vを超えると、その線下および外側線から水平3m以内は建物が建てられない「建築禁止ゾーン」となります。
一方で17万V以下の高圧線であれば、電線から一定の離隔距離さえ確保すれば直下を含め建物を建てることが可能です。
つまり「高圧線がある=全部NG」と決めつけるのではなく、電圧と離隔距離、水平距離の3点セットで判断するのが実務の基本になります。
高圧線の表示だけ見て一律に嫌悪施設扱いしてしまうと、売主・買主双方にとって本来不要な機会損失につながるおそれがあります。
つまり電圧確認が原則です。
数字でイメージするとわかりやすいです。
たとえば17万V超の送電線であれば、外側線から水平3mの帯状部分は建物不可となるため、間口10m・奥行20m(約60畳、テニスコート半分弱)程度の土地でも、道路側3mが丸々「建築不可帯」になるケースがあります。xn--ihq79i060bvsbu8n+1
17万V以下の場合でも、最下垂時の電線から3m以上の離隔が必要とされるため、軒高や屋根形状を工夫しないと確認申請が通らない計画も出てきます。lab.iyell+1
離隔距離3mという数字は、人の身長(約1.7m)のほぼ2人分、一般的な室内ドアの高さ(約2m)よりも少し高いイメージです。
参考)高圧線がある土地
この感覚を持っておくと、現地で目視した際にも「この軒高で本当に3m取れているか?」という具体的な疑問が生まれますね。
結論は使用電圧と離隔距離のセット確認です。
送電線の電圧は、地図や現地表示、電力会社への照会、国土交通省や地方整備局の資料などから把握できます。iqrafudosan+2
国土交通省近畿地方整備局の「高圧線下地の土地評価について」では、電圧区分ごとの離隔距離や評価上の考え方が表形式で整理されており、査定や重要事項説明の裏付け資料としても有用です。abicnet+1
忙しい現場では「図面だけ見て距離を決め打ち」しがちですが、電圧区分と離隔距離の確認をルーティン化するだけで、後からの設計変更やクレームをかなり減らせます。fudolog+1
高圧線の鉄塔記号が載っている住宅地図や航空写真を、日常的に物件調査の起点として使う習慣づけも効果的です。iqrafudosan+1
高圧線下の離隔基準と評価の概要を整理する資料です。
高圧線下 建築制限と地役権・線下補償の意外な落とし穴
高圧線下の土地では、建築制限と並んで見落とされがちなのが「地役権」と「線下補償」の取り扱いです。
送電線のための地役権が設定されている場合、契約書には「最下垂時の電線から3.6m以内に家屋等を設置しないこと」などの具体的な条項が盛り込まれていることがあります。
この3.6mという距離は、天井高2.4mのワンフロア住宅にロフトを増築した程度でも、条件次第では抵触しうるレベル感です。
つまり、既存建物の軽微な増改築でも、条件次第で地役権違反や電力会社からの是正要請につながるリスクを含んでいるということです。
地役権内容の確認が基本です。
また、送電線の線下部分については「線下補償料」を一時金または毎年の地代のような形で受け取っているケースがあります。albalink.co+1
一見すると所有者にとってメリットのように映りますが、補償を受けていること自体が、物理的利用制限に対する「対価」として位置付けられている点が重要です。xn--ihq79i060bvsbu8n+1
相続税評価や売買価格の査定では、路線価に織り込まれた地域全体の高圧線による減価とは別に、「線下地としての個別減価」を反映する必要が出てきます。fuji-sogo+1
補償料の有無や金額、地役権設定の内容を確認しないまま査定すると、数百万円単位で評価を誤るおそれがあります。albalink.co+1
線下補償の扱いに注意すれば大丈夫です。
地役権の調査は、登記事項証明書の確認だけでは不十分な場合があります。iqrafudosan+1
古い時期に設定されたものだと、書式が簡略で具体的な離隔距離や禁止行為が明確に書かれていないケースも見られます。tax365management+1
そのような場合、送電事業者が保有する「線下地契約書」や図面、社内基準を取り寄せて確認することで、実務上の運用を把握できることがあります。abicnet+1
調査負荷は増えますが、契約条件を曖昧なままにして売買を進めると、後日の紛争リスクが高くなるのは明らかです。iqrafudosan+1
地役権と補償は必須です。
高圧線下 建築制限が価格と査定に与えるインパクト
高圧線が近くにある土地は、その地域一帯の選好性が低下するため、路線価や実勢価格に一定程度織り込まれているとされています。
しかし「高圧線の存在」と「高圧線下地であること」は評価上の意味合いがまったく異なり、線下地部分については個別要因としてさらに減価を行う必要があります。
たとえば、同じ路線に面した2筆の土地があり、一方の敷地上空だけに送電線が通っている場合、線下部分の面積割合に応じて10~30%程度の減価率を掛ける評価方法が用いられることがあります。
仮に路線価ベースの土地価格が1㎡あたり20万円、線下部分が50㎡(約15坪、自動車6台分の駐車スペースほど)で20%減価すると、その部分だけで200万円の差が生じる計算です。
つまり個別減価が条件です。
高圧線下に建物が建てられない場合と、制限付きで建てられる場合では、評価の方向性も変わります。lab.iyell+1
建築不可の場合、線下部分は「利用価値の低い宅地」や「雑種地に近い扱い」としてさらに強い減価が必要となり、場合によっては駐車場・資材置場としての利用を前提に査定することもあります。tochikatsuyou+1
一方で、高さ制限や材料制限を守れば建築可能な場合、制限の内容と建築計画の適合性によっては、実勢上の減価が想定より小さくなる事例もあります。lab.iyell+1
実際の売買では、高圧線下を理由に一律に「相場の3割引き」などとざっくり値付けしてしまうと、売主側の不信感や税務上の説明困難を招きかねません。fuji-sogo+1
高圧線下の土地評価の基本的な考え方を解説した資料です。
価格インパクトを冷静に説明するには、用途地域や周辺需要も踏まえて「どの程度まで建物のプランが制限されるか」を具体的に示すことが重要です。lab.iyell+2
例えば、3階建てを希望している顧客に対し、「高圧線の離隔距離を守ると実質2階建てまでしか容積を活かせない」などの形で、数字を交えたシミュレーションを提示すると納得感が高まります。tochikatsuyou+1
その際、将来の建て替えや増築の自由度も含めて説明しておくと、長期的な満足度のミスマッチを避けやすくなります。ouchi-kaumaeni+1
「今の建物が建っているから大丈夫です」といった曖昧な言い回しは、トラブルの火種になりやすい点に注意が必要ですね。ouchi-kaumaeni+1
これは使えそうです。
高圧線下 建築制限と健康・電磁波リスクの説明ポイント
高圧線の近くでは「電磁波(電界・磁界)」による健康影響を懸念する声が根強く、これも不動産実務では無視できない要素です。
日本では電気設備技術基準などにより、送電線から人が通常立ち入る場所までの電界・磁界が国際的なガイドラインを下回るよう設計されていますが、ゼロリスクではないという印象を持つ生活者も多いのが実情です。
たとえば、強風時に送電線から「ジー」というコロナ放電音が聞こえたり、アナログ放送時代にはテレビのゴーストが出た経験がある人もおり、心理的な嫌悪感が価格や成約スピードに影響するケースがあります。
音や見た目の影響は、東京ドーム数個分の広がりを持つ巨大な送電ルートでは特に顕著で、「眺望は良いが圧迫感がある」といった評価も聞かれます。
厳しいところですね。
電磁波そのものについては、世界保健機関(WHO)やICNIRPの勧告、日本の電気事業連合会の資料などで基準値や研究結果が公表されています。lab.iyell+1
不動産実務の現場では、「健康影響について医学的に確定的な因果関係は示されていないが、心理的な不安を感じる人もいる」という情報提供のスタンスが一般的です。ouchi-kaumaeni+1
ここで重要なのは、専門家でもない立場で「絶対に安全です」「健康被害はあり得ません」と言い切らないことです。abicnet+1
説明では、第三者機関の公表資料や電力会社の説明ページなど、参照元を提示しながら判断を顧客に委ねる形を取ると、後々のトラブル予防につながります。lab.iyell+1
どういうことでしょうか?
心理的な不安に対する対策としては、実際に現地で一定時間過ごしてもらい、音や見た目を体感してもらう方法があります。abicnet+1
また、鉄塔や送電線が視界に入らない位置取りの間取りや、バルコニー・窓の向きを工夫することで、生活上のストレスを減らすことも可能です。ouchi-kaumaeni+1
一方、高圧線があることで土地価格が周辺より下がり、同じ予算でも広い土地や駅に近い立地を選べるといったメリットが生じることもあります。albalink.co+1
こうしたプラス・マイナスを整理して示すことで、顧客が納得感を持って判断しやすくなります。albalink.co+1
高圧線と健康影響に関する基本情報をまとめた解説です。
高圧線下 建築制限の実務調査フローと独自チェックポイント
最後に、不動産業者として現場で使える「高圧線下 建築制限」の調査フローと、検索上位にはあまり載っていない実務的な注意点を整理します。
ステップとしては、①地図・航空写真で鉄塔と送電線ルートの確認、②登記・図面で地役権と線下範囲の確認、③電圧区分と離隔距離の確認、④送電事業者・行政資料で基準の裏付け取得、という順番がわかりやすい流れです。
このうち、③と④を現場で省略しがちですが、トラブルを避けたい物件ほど、ここを丁寧に行うことで後々の安心感が大きく変わります。
特に「既に家が建っているから大丈夫」といった先入観で現在の基準を確認しないと、建て替え時に思わぬ制限が判明し、買主が大きな不利益を被るリスクがあります。
高圧線の調査が基本です。
独自のチェックポイントとして有効なのが、「線下地をどこまで一体の宅地として評価するか」を早い段階で設計者と共有しておくことです。tax365management+2
たとえば、敷地面積のうち線下部分が3割を超える場合、駐車場・物置・庭などの外構用途を前提に「建物のボリュームは残り7割でどこまで取れるか」を検討する形にすると、プランと評価の整合性が取りやすくなります。tochikatsuyou+2
また、高圧線下を理由に金融機関が融資評価を厳しめに見るケースもあるため、事前に取引実績のある金融機関へ相談してスタンスを把握しておくと安全です。iqrafudosan+1
融資が想定より絞られた結果、決済直前に資金計画が崩れるような事態は、現場として最も避けたい事象の一つですね。iqrafudosan+1
高圧線近接不動産の調査手順と実務ポイントを詳しく解説したページです。
鉄塔・送電線・高圧線が近くにある不動産の調査方法(イクラ不動産)
さらに、重要事項説明書では「建築基準法その他の法令に基づく制限」だけでなく、「物件の形質・利用の制限」として高圧線下による建築制限や嫌悪施設としての評価も明示しておくと安心です。abicnet+1
その際、「使用電圧17万V以下・離隔距離3m以上で建築可」など、基準を可能な範囲で具体的に添えることで、説明を受ける側もイメージしやすくなります。abicnet+1
告知の濃淡はケースバイケースですが、「知っていれば購入を見合わせた可能性がある情報」は原則として丁寧に伝えるスタンスが、長期的な信頼関係の構築につながります。fudolog+1
高圧線下の物件を敬遠する顧客だけでなく、「条件次第で割安なら積極的に検討したい」という層もいるため、リスクとメリットの両面を整理して提示することが重要です。lab.iyell+1
結論は調査と説明の一貫性です。

