担保の供与の意味と不動産取引で押さえる法的リスク

担保の供与の意味と不動産実務で知るべき法的リスク

取引先の信用が不安なときほど急いで担保を取得すると、かえって担保が無効になる。

この記事の3ポイント要約
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担保の供与とは

自己が所有する不動産などに抵当権を設定し、債権者に担保権を与える行為のことを指します。物的担保・人的担保の2種類があり、不動産実務では抵当権・根抵当権が特に重要です。

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偏頗行為と否認リスク

取引先が支払不能になった後、または支払不能前30日以内に既存債務の担保を取得した場合、破産管財人に否認される可能性が非常に高く、担保の効力が完全に失われます。

安全な担保取得のタイミング

担保は「平常時」に取得するのが原則。新規与信と同時に行う担保取得は否認対象外となりますが、融資目的を契約書に明記しないと詐害行為と判断されるリスクがあります。


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担保の供与の意味と不動産取引での基本的な位置づけ

 

「担保の供与」とは、債務者が自己の財産に担保権を設定して債権者に担保を与える行為を指します。最も身近な例が、不動産に抵当権を設定することです。ローンの返済が滞った際に、債権者(金融機関など)がその不動産を売却して優先的に弁済を受けられる仕組みです。

担保の供与が行われる場面は、住宅ローンや事業融資、売掛金の保全など多岐にわたります。不動産実務に関わる人にとっては、日常的に目にする手続きのひとつです。担保は大きく「物的担保」と「人的担保」の2つに分類されます。

  • 🏠 物的担保:不動産・動産・債権などの具体的な財産を対象にする担保。抵当権・根抵当権質権・譲渡担保などが含まれます。
  • 👤 人的担保:保証人や連帯保証人のように、別の人物の財産全体を回収対象にする担保です。

不動産取引では物的担保が中心です。物的担保のうち、最もよく使われるのが「抵当権」です。抵当権は、対象不動産の占有を移転せず、債務者がそのまま使い続けながら担保として提供できる点が大きなメリットです。抵当権が基本です。

一方、継続的な取引や複数の融資を一括して担保したい場合には「根抵当権」が用いられます。根抵当権は、あらかじめ設定した「極度額」の範囲内で、将来発生する不特定の債権を担保できるため、事業者向けの融資で多く活用されます。通常の抵当権と異なり、個別の被担保債権が消滅しても根抵当権自体は消滅しない点も特徴的です(付従性が緩和されています)。

また、抵当権設定にあたっては、①抵当権設定契約の締結、②設定者が対象不動産の処分権限(所有権など)を持つこと、③被担保債権が存在することの3つの要件が必要です。これが原則です。登記まで完了して初めて第三者に対抗できます。

参考リンク(担保の種類と物的担保・人的担保の違いについて詳しく解説されています)。

担保|用語集 – 東京スター銀行

担保の供与における「偏頗行為」の意味と不動産業者が陥りやすい誤解

不動産業者や不動産投資家が取引先の財務悪化に気づいたとき、真っ先に頭をよぎるのが「早く担保を取らなければ」という判断です。しかし、この行動が「偏頗行為(へんぱこうい)」として問題視されることがあります。

偏頗行為とは、支払不能状態にある債務者が、特定の債権者だけを優遇して担保を供与したり、弁済を行ったりすることを指します。つまり公平であるべき債権者間の関係を、意図的に不公平にする行為です。意外ですね。

行為の種類 内容 偏頗行為に該当する可能性
担保の供与 既存の債務に対して不動産に抵当権設定 🔴 高い
偏頗弁済 特定の債権者だけに支払う 🔴 高い
新規与信と同時の担保取得 新しい融資と同時に担保設定 🟢 原則として対象外
光熱費・家賃の支払い 義務的な定期支払い 🟢 偏頗行為に該当しない

偏頗行為が破産手続きの中で問題になる理由は、「否認権」の存在にあります。破産管財人は、破産者が手続開始前に行った債権者全体の利益を害する行為を否定し、財産を破産財団に取り戻す権限を持ちます。これを「否認権」といいます。

この否認権の対象にな


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