HEMSとは一条工務店の省エネ管理と補助金の活用法

HEMSとは一条工務店での仕組み・費用・補助金を徹底解説

一条工務店にHEMSを付けなくても補助金はもらえると思っていたら、160万円を丸ごと逃します。

この記事の3つのポイント
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HEMSとは「電気の見える化」システム

HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)は、家庭内の電気・ガス等の使用状況をリアルタイムで管理・可視化するシステム。一条工務店では2025年よりクラウドHEMSに移行中。

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GX志向型住宅補助金にHEMSは必須

2025年度の「子育てグリーン住宅支援事業」では、最大160万円の補助金を受けるためにHEMS設置が必須要件に。設置費用約4〜15万円を払わずに申請すると補助金が取り消されます。

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後付けは難しい・早期判断が損失回避のカギ

一条工務店のクラウドHEMSは専用分電盤が必要なため、着工後・竣工後の後付けはほぼ不可。着手承諾前に導入を決断しないと、補助金160万円を丸ごと失うリスクがあります。


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HEMSとは何か・一条工務店での基本的な仕組み

 

HEMS(ヘムス)とは、「Home Energy Management System」の略称で、日本語に訳すと「住宅エネルギー管理システム」になります。家庭内で消費される電気・ガス・水道などのエネルギーをセンサーやスマートメーターで計測し、スマホやタブレットの画面上でリアルタイムに「見える化」する仕組みです。単に数字を表示するだけでなく、エアコン・給湯器・床暖房といった住宅設備を遠隔操作・自動制御する機能も持っています。

一条工務店では、以前は専用タブレット端末で操作する「オリジナルHEMS」が採用されていましたが、2025年以降は「クラウドHEMS」へ移行しています。これが基本です。

クラウドHEMSはインターネット経由で自宅の設備を管理するため、外出先のスマホからでも操作が可能です。たとえば、仕事帰りに帰宅30分前から全館床暖房をオンにしておく、旅行中にエコキュートのお湯張りを予約するといった使い方ができます。

一条工務店のクラウドHEMSでできる主な操作を整理すると、全館床暖房の温度設定・ON/OFF、エアコンの遠隔操作、給湯器・エコキュートのお湯張り停止、換気システム(ロスガード90)のスイッチ制御、調整防犯警報装置のON/OFF、そして家全体の電気使用量のグラフ表示、という6つが代表的です。

使い方はシンプルです。スマホアプリをダウンロードして初期設定を行えば、ほとんどの操作がワンタップで完結します。

なお、一条工務店のクラウドHEMSは三菱電機製のコントローラを採用しており、「ECHONET Lite AIF仕様」に対応した製品が設置されます。この規格は国の補助金申請において認定の前提となる重要な基準です。ECHONET Liteとは、家電・住宅設備を相互に通信・連携させるための国内標準通信プロトコルで、スマートホーム化の基盤となる技術です。

パナソニック公式:HEMSとは?政府の目標や仕組みをわかりやすく解説

HEMSとGX志向型住宅補助金・一条工務店での必須要件

不動産に関わるプロが今もっとも注目すべき点は、HEMSが単なる「便利な設備」から「補助金を受けるための必須条件」に変わったことです。

2025年度に施行された「子育てグリーン住宅支援事業」では、GX志向型住宅(Green Transformation住宅)として認定を受けるための要件が公表されました。断熱等性能等級6以上、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を35%以上削減、再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量を100%以上削減、の3条件に加え、2025年5月の追加発表により「HEMSの設置(ECHONET Lite AIF対応機器)」が必須要件として加わりました。

一条工務店の住宅は標準仕様だけでGX志向型住宅の基準をほぼクリアできます。つまり、HEMS設置という追加要件さえ満たせば、最大160万円の補助金が申請できる状態になるということです。これは使えそうです。

では補助金の全体像を確認しましょう。下表が制度の概要です。

対象世帯 対象住宅 補助額
すべての世帯 GX志向型住宅 最大160万円/戸
子育て世帯・若者婦世帯 長期優良住宅 80万円(建替えの場合100万円)
子育て世帯・若者夫婦世帯 ZEH水準住宅 40万円(建替えの場合60万円)

注意点として、GX志向型住宅分の補助金申請は、2025年7月22日に予算上限に達して受付終了となっています。ただし、政府は毎年同様の補助金制度を継続的に実施している傾向があり、2026年度に「みらいエコ住宅事業」として同水準の補助金制度が始まっています。一条工務店でこれから契約・建築を予定している施主への提案時には、次年度の補助金スケジュールを見越したHEMS導入の案内が重要です。

補助金の申請には別途費用も発生します。BELS評価書発行費用(2〜4.5万円)、申請手続費用(約9.5万円)、HEMS設置費用(4〜15万円)を合計すると約20〜30万円が必要です。つまり実質的な手取り補助金は160万円から費用を引いた130〜140万円程度となりますが、それでも十分なメリットといえます。

子育てグリーン住宅支援事業 公式サイト:HEMSの設置要件(国土交通省)

HEMSの導入費用と一条工務店のクラウドHEMS価格

一条工務店でHEMSを導入する際、費用の内訳を正確に把握することが重要です。HEMS本体の設置費用は約4〜15万円が相場ですが、最新のクラウドHEMSを採用する場合は専用分電盤や配線工事が含まれるため、約15万円程度になります。

一方、代替製品として「Nature Remo E2」(約5万円)という選択肢もあります。これもECHONET Lite AIF仕様に対応しており、GX補助金の要件を満たします。

下表で一条工務店のHEMS関連費用をまとめます。

項目 費用目安(税込) 備考
HEMS本体設置費用 約4〜15万円 オリジナルまたはクラウドHEMSの設置費
クラウドHEMS(最新仕様) 約15万円 専用分電盤・配線含む
Nature Remo E2(代替品) 約5万円 ECHONET Lite対応、後付け可
BELS評価書発行費用 2〜4.5万円 GX補助金申請に必須の省エネ性能評価書
申請手続費用 約9.5万円 一条工務店による補助金申請代行費用

全体の費用対効果で考えましょう。HEMS設置費15万円を支払うことで、160万円の補助金が申請できるなら、差し引きでは約130〜140万円のプラスです。HEMS設置費用が「コスト」ではなく「補助金を引き出すための鍵」と捉えると、判断は明確になります。

また、年間の電気代節約効果という側面も見逃せません。HEMSを使って電力使用量を「見える化」することで、無駄な消費に気づきやすくなり、平均的な家庭で月3,000〜5,000円程度の節電効果が期待できるという試算もあります。年間で3.6〜6万円の節約として積み上がっていけば、導入費用は5年前後で回収できる計算です。

HEMSの後付けが難しい理由・一条工務店での設置タイミング

「後から付ければいい」は通用しません。これが原則です。

一条工務店のクラウドHEMSは、専用の分電盤とそれに対応した配線工事がセットで必要な設備です。建物の電気系統は施工時に分岐回路単位で設計されており、どの回路がどの設備につながっているかを個別に計測するため、建築段階からの組み込みを前提としています。完成した建物に後から分電盤を交換し、配線を引き直す工事は、費用も手間も大規模なものになります。

実際に一条工務店の施主からの声として「着工後にHEMSを付けようとしたが、分電盤の仕様が変わるので実質的に難しいと言われた」というケースが複数報告されています。厳しいところですね。

ただし、「着手承諾後でも追加変更契約を結んで引き渡しまでに設置を完了できれば補助金対象になる」という情報も確認されています。完全に手遅れになるのは竣工後であり、それ以前なら営業担当に相談することで道が開ける場合があります。

不動産従事者として顧客に一条工務店を案内する場面では、着手承諾前という最も重要なタイミングで「HEMSを入れますか?」と確認する一言を添えるだけで、顧客は160万円の補助金を受け取れるかどうかが大きく変わります。この情報を得た顧客へのアドバイスとして、「HEMS導入の意思決定は着手承諾前まで」という明確な期限を伝えることが実務上のポイントになります。

一条工務店がHEMSを設計段階から取り込むことを推奨しているのは、性能上の理由だけでなく、補助金申請を確実に完了させるためでもあります。HEMSの設置要件を知らずに着工した施主が補助金160万円を逃すトラブルは、2025年に複数件報告されており、中には弁護士相談に発展したケースもありました。

エコーネットコンソーシアム:ECHONET Lite AIF対応コントローラ認定製品一覧(GX補助金の要件確認に活用)

不動産従事者が知るべきHEMSと住宅資産価値への影響

HEMSを搭載した省エネ住宅は、中古市場でも価格プレミアムが発生し始めています。これは不動産従事者にとって見逃せない動向です。

省エネ性能が「見える化」されたBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の星評価が高い住宅は、同条件の住宅より売却価格が高く評価されるケースが増えています。特にGX志向型住宅として認定を受けた一条工務店の物件は、断熱等性能等級6以上・一次エネルギー消費量削減率35%以上という高い性能証明が取れており、それが将来の売却価格にも反映されやすい状況です。

英国・米国・オーストラリアで実施された複数の研究では、太陽光パネルを設置した住宅が、設置していない住宅と比較して明確な価格プレミアムで取引されることが一貫して示されています。HEMSはその省エネ設備を統合管理するシステムであり、太陽光発電・蓄電池との連携が前提となっているため、同様の市場評価が期待できます。

一条工務店の住宅はもともと中古市場での評価が高く、築5〜10年でも価格下落率が他のハウスメーカーと比べて小さい傾向があるとされています。そこにHEMSによるエネルギー管理の実績データが加わると、「どれだけ電気代を節約してきたか」という運用履歴がデジタルで証明でき、買主への説得材料になります。

不動産従事者が一条工務店の物件を案内・査定する際には、HEMSの有無とその活用状況も確認ポイントとして加えておくべきです。HEMS搭載物件は省エネ住宅としての訴求力が高く、次世代補助金(2026年度の「みらいエコ住宅事業」等)の対象になりやすいという購入後のメリットも買主に伝えられます。

売主・買主双方にとって、HEMSは「あると得する」から「ないと損する」設備に変わりつつあります。不動産の価値をエネルギー性能の視点からも捉えることが、これからの不動産従事者に求められる新しい視点です。

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