長期優良住宅認定制度いつから始まり何が変わったか

長期優良住宅認定制度いつから始まりどう変わってきたか

認定後に維持保全の報告を怠ると、30万円の罰金と税制優遇の全額返還を同時に求められることがある。

この記事の3ポイント要約
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制度開始は2009年6月4日

新築住宅を対象とした長期優良住宅認定制度は平成21年(2009年)6月4日にスタート。その後2016年・2022年と2度の大きな改正を経て、既存住宅にも対象が拡大されました。

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認定には9つの基準を満たす必要がある

劣化対策・耐震性・省エネルギー性など9項目の基準をクリアし、着工前に所管行政庁へ申請することが必須。申請後の変更や報告義務も厳格です。

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住宅ローン控除の借入限度額は最大4,500万円

一般住宅(3,000万円)より大幅に高い借入限度額が設定されており、不動産取得税・固定資産税・登録免許税など複数の税制優遇を同時に受けられます。


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長期優良住宅認定制度の開始時期と3つの歴史的転換点

長期優良住宅認定制度は、平成21年(2009年)6月4日に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の施行とともにスタートしました。この日付は、不動産の商談で顧客から質問されたとき、即答できるようにしておくべき基本情報です。

制度が生まれた背景には、日本の住宅の短命さという構造的な問題がありました。日本の住宅は当時、平均使用期間が約30年と言われており、欧米(英国:77年、米国:55年)と比較して極端に短い状況でした。建てては壊し、また建てるという「スクラップ&ビルド」の文化から脱却し、良質な住宅を長く使い続けるストック型社会への転換を目指すために、この制度が設けられました。

制度の根拠となる法律の制定より約2年前、2006年(平成18年)に「住生活基本法」が施行されたことが大きな起点です。ここから国の住宅政策が「量の確保」から「質の確保」へと大きく舵を切り、その具体的な仕組みとして長期優良住宅認定制度が設計されました。

制度開始から現在までの主な転換点をまとめると次のとおりです。

時期 内容
2009年(平成21年)6月4日 新築住宅を対象とした認定制度スタート
2016年(平成28年)4月1日 既存住宅の増築・改築を伴う場合の認定制度を追加
2022年(令和4年)10月1日 建築行為を伴わない既存住宅への認定制度を新設・省エネ基準の引き上げ

2016年の改正は、新築だけでなくリフォーム市場にも制度の恩恵を届けるという狙いがありました。増改築をする既存住宅も認定を受けられるようになったことで、中古住宅の資産価値向上策として活用できる選択肢が広がりました。これは当時の不動産業界にとって大きな転換でした。

2022年10月の改正はさらに踏み込んだ内容です。これが原則です。増改築の有無にかかわらず、既存住宅が一定の性能を満たしていれば認定を受けられるようになりました。同時に省エネ基準がZEH水準(断熱等性能等級5)へ引き上げられ、耐震性の要件も強化されています。

参考:長期優良住宅認定制度の開始時期や改正内容の公式情報はこちらから確認できます。

国土交通省|住宅:長期優良住宅のページ

長期優良住宅認定制度の認定基準9項目を不動産目線で読み解く

認定を受けるには、計画する住宅が9つの性能基準をすべて満たしている必要があります。この基準は顧客説明でよく使われますが、各項目が具体的に何を意味するのかを理解していると、物件の付加価値説明やトラブル防止に役立ちます。

9項目は以下のとおりです。

基準項目 概要
① 劣化対策 構造躯体が数世代(75〜90年以上)にわたり使用できるよう、劣化対策等級3相当の措置を講じること
② 耐震性 耐震等級2以上(木造2階建ては壁量計算で等級3相当が暫定的に必要)
③ 省エネルギー性 断熱等性能等級5(ZEH水準)以上、かつ一次エネルギー消費量等級6以上(2022年改正より)
④ 維持管理・新の容易性 給排水管などの設備が点検・補修しやすい構造であること(維持管理対策等級3)
⑤ 可変性 将来の間取り変更に対応できる躯体天井高2,650mm以上の内法高さ(共同住宅等)
⑥ バリアフリー性 将来のバリアフリー化に対応できること(共同住宅等)
⑦ 居住環境 地区計画や景観計画などに沿った住宅であること
⑧ 住戸面積 戸建ては75㎡以上(少なくとも1つの階で40㎡以上)、共同住宅等は40㎡以上
維持保全計画 30年以上の定期点検・補修計画が策定されていること

この中で不動産従事者が特に押さえておくべきは、③省エネルギー性と⑨維持保全計画の2項目です。

省エネ基準は2022年改正で大きく引き上げられました。以前は断熱等性能等級4で足りていたものが、ZEH水準(等級5)へ一段引き上げられています。これは「標準的な新築住宅なら通る」という認識が通じなくなったことを意味します。意外ですね。

維持保全計画は少なくとも30年分の計画書の策定が必要で、点検・補修・更新の時期と内容を具体的に記載しなければなりません。この計画は認定後も実行義務が続くため、認定を受けたら終わりではありません。

参考:9つの認定基準の技術的な内容はこちらで詳細を確認できます。

住まいの情報発信局|長期優良住宅の認定基準

長期優良住宅認定制度で得られる税制優遇の具体的な金額

長期優良住宅の認定を取得することで受けられる税制優遇は、複数の税目にまたがっています。不動産会社として顧客に正確に説明できると、購入動機の強化につながります。これは使えそうです。

まず、最も影響が大きい住宅ローン控除についてです。長期優良住宅の場合、借入限度額は4,500万円(子育て世帯・若者夫婦世帯は5,000万円)とされており、一般住宅(3,000万円)と比べて1,500万円も高く設定されています。控除率は年末ローン残高の0.7%で、最長13年間適用されます。単純計算で年間の最大控除額は約31.5万円、13年間では最大409万円に上ります。

次に不動産取得税の優遇です。課税標準から控除できる額が一般住宅の1,200万円から1,300万円に拡大されており、差額100万円分の控除が追加されます。税率3%で計算すると3万円の節税効果があります。

固定資産税については、新築後の減税(1/2減額)が適用される期間が延長されます。戸建て住宅なら一般住宅の3年間から5年間へ、マンションなら3年間から7年間へ延長されます。この差は積み重なると十分な金額になります。

登録免許税についても軽減が受けられます。所有権保存登記の税率が0.15%から0.1%に、移転登記(戸建て)は0.3%から0.2%にそれぞれ引き下げられます。

さらに住宅ローン金利面でも優遇があります。フラット35Sを利用する場合、当初5年間は0.5%、6〜10年目は0.25%の金利引き下げが適用されます。また地震保険については耐震等級2なら30%割引、等級3または免震建築物なら50%割引を受けることができます。

つまり、税制・金利・保険の三方面で優遇を重ねられるのが長期優良住宅の強みです。顧客への提案時には、これら複数の優遇を組み合わせた総額での節約効果を伝えると、認定取得の意義が明確に伝わります。

参考:税制優遇の最新の制度内容はこちらから確認できます。

一条工務店|【2025年度版】長期優良住宅4つの減税・優遇制度を解説

長期優良住宅認定制度の申請手順と着工前申請の絶対ルール

認定を受けるうえで最も重要なルールが「着工前申請」です。長期優良住宅の認定申請は、住宅の工事に着手する前に所管行政庁へ提出しなければなりません。着工後に申請しても認定は受けられません。これが原則です。

不動産従事者として注意すべき点は、顧客が「建ててから申請すれば良い」と誤解していることがあるという点です。この誤解が判明したときに認定の道が完全に閉ざされるため、計画の初期段階で必ず説明しておく必要があります。

申請の一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 計画作成・事前相談:設計士やハウスメーカーと連携し、9項目の基準を満たす建築計画を作成します。
  2. 登録住宅性能評価機関への技術的審査依頼:所管行政庁に提出する前に、民間の登録住宅性能評価機関へ技術的審査を依頼して「確認書」を取得します。
  3. 所管行政庁への認定申請:確認書を添付して所管行政庁(都道府県・市区町村等)へ認定申請を提出します。
  4. 認定通知書の交付・着工:認定通知書が交付されてから工事を開始します。
  5. 工事完了報告:工事完了から7日以内に所管行政庁へ完了報告書を提出します。

申請に必要な費用として、ハウスメーカーや工務店への申請代行費用が10〜30万円程度かかることが多いです。また、基準を満たすための追加工事費が発生するケースもあります。一方、認定後に得られる税制優遇の総額はそれを大幅に上回ることが多いため、費用対効果は高いといえます。

認定を受けた後に計画を変更する場合も手続きが必要です。リフォームや増築をする場合は変更の認定申請が必要になりますが、「軽微な変更」(太陽光パネルの設置など)は手続き不要となるケースもあります。その判断基準については、一般社団法人住宅性能評価・表示協会のWebサイトで例示が確認できます。

売買で物件が変わる場合は、認定計画実施者としての地位を承継するための手続きが別途必要です。相続や売買で引き継ぐ方は所管行政庁に申請することで、認定の恩恵を引き続き受けることができます。

参考:申請書の様式や認定の手続きについての詳細はこちらから確認できます。

住宅性能評価・表示協会|長期優良住宅法情報コーナー

長期優良住宅認定制度の維持義務と認定取り消しリスク—不動産従事者が見落としがちな落とし穴

長期優良住宅の認定は取得して終わりではありません。認定後に課せられる義務を果たせない場合、最悪のシナリオとして認定取り消しと税制優遇の返還を同時に求められるリスクがあります。これは厳しいところですね。

認定を受けた住宅の所有者(認定計画実施者)には、認定時に策定した維持保全計画に従って定期的な点検・補修を実施する義務があります。具体的には、屋根や外壁は10年以内ごと、基礎・柱・床・壁は10年以内ごとといった形で、30年以上の期間にわたる点検スケジュールが組まれています。

所管行政庁は状況報告を求める権限を持っており、報告義務に応じなかった場合や虚偽の報告をした場合は30万円以下の罰金に処せられることがあります。また、維持保全が適切に行われていないと判断された場合は、是正指導→改善命令→認定取り消しの順に手続きが進みます。

認定取り消しになると、補助金・住宅ローン控除などで受けた優遇措置の返還を求められる場合があります。仮に13年分の住宅ローン控除を受けていた状態で認定が取り消されると、最大409万円の返還を求められる可能性があります。痛いですね。

不動産従事者として顧客に伝えるべき重要な点は、認定の取り消しを望む場合は「認定申請書の副本と認定通知書の原本を所管行政庁に返還する」という手続きを経る必要があるということです。この手続きをせずに維持保全を放棄してしまう所有者も現実にいるため、取引時の説明に含めることで後々のトラブルを防ぐことができます。

一方で、一般社団法人住宅性能評価・表示協会による運用実態の調査では、計画通りにメンテナンスができなかった場合でも、報告を怠ったり虚偽報告をしなければ、直ちに罰金や強制的な認定取り消しにはならないとされています。維持保全が難しくなった場合は早期に所管行政庁へ相談・報告することが正しい対応です。

なお、認定済み住宅の維持保全管理をサポートするため、定期点検代行サービスを提供する工務店や住宅管理会社も存在します。顧客が購入後に適切な管理を継続するための情報として、点検の代行業者を紹介しておくのは不動産従事者として付加価値の高い対応です。長期優良住宅の認定を活かすには、取得後の「管理の継続」が条件です。

参考:認定取り消しリスクや維持保全の義務についての詳しい解説はこちらから。

点検メイト|長期優良住宅の定期点検は義務?施主・工務店双方の立場から解説