案内所設置と届出の手順・注意点を不動産業者向けに解説

案内所設置と届出の要件・手順を徹底解説

届出を出した翌日から数えて11日後でないと業務を開始できず、うっかり30万円の罰金対象になります。

📋 この記事の3つのポイント
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「10日前」は実は「11日前」まで

届出期限の「業務開始10日前」とは「中10日」を空ける意味。4月15日開始なら4月4日ではなく4月4日(届出日翌日から11日後が開始日)と解釈され、計算を誤ると違法スタートになります。

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届出先は最大2か所・売買以外も対象

免許権者と案内所所在地の都道府県知事、両方に届け出が必要。売買だけでなく賃貸の代理・媒介で10戸以上を扱う場合も届出義務の対象になります。

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事務所の専任宅建士を案内所に兼務させるのはNG

事務所に登録している専任の宅建士を案内所の専任宅建士として兼任させることは宅建業法上できません。案内所ごとに別途1名以上の専任宅建士を用意する必要があります。


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案内所設置の届出が必要になる「4つの場面」とは

 

案内所の届出が必要かどうかは、「どこで」「何をするか」という2軸で判断します。宅建業法第50条第2項が根拠条文です。

届出が必要になるのは、次の4つの場面において「契約の締結または申込みの受理」を行う場合です。

  • ① 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの(出張所・現場事務所など)
  • ② 売主である宅建業者が設置する、10区画以上または10戸以上の一団の宅地建物の分譲案内所
  • ③ 他の宅建業者が売主である一団の宅地建物について、代理または媒介を行う宅建業者が設置する案内所
  • ④ 業務に関する展示会・相談会・抽選会などの催しを実施する場所

重要なのは「10区画・10戸以上」という基準です。これは「今回分譲する数」ではなく、全体計画の戸数・区画数が判断基準になります。たとえば今回8戸しか販売しなくても、全体計画が10戸以上であれば届出が必要です。見落としやすいポイントなので注意が必要です。

逆に届出が不要なケースもあります。単に物件を案内・広告宣伝するだけで、契約や申込みを一切受けない場合は届出不要です。つまり「契約行為の有無」が条件です。

また、意外と知られていないのが賃貸の代理・媒介も届出対象になることです。売買だけが対象だと思い込んでいると痛いですね。10戸以上の賃貸物件の入居申込みを受ける展示会場を設けた場合も、届出義務が生じます(宅建業法施行規則第15条の5の2)。

参考:不動産取引に関する相談センター(RETPC)による実務Q&A

案内所等の設置に伴う宅建業法第50条第2項の届出について(公益財団法人不動産流通推進センター)

案内所設置の届出先・届出期限・届出内容を正確に把握する

届出先は1か所だけではありません。これが基本です。

届出先は「免許権者(免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事)」と「案内所の所在地を管轄する都道府県知事」の両方が原則です。知事免許で同一都道府県内に案内所を置く場合は1か所で済みますが、他県に案内所を設置する場合は2か所への届出が必要になります。

届出先 条件
免許権者(知事)+案内所所在地の知事 知事免許で他県に案内所を設置する場合
免許権者(知事)1か所 知事免許で同一県内に案内所を設置する場合
地方整備局(直接)+案内所所在地の知事 大臣免許業者(令和7年度改正後)

令和7年度(2025年)の法改正により、国土交通大臣免許業者が案内所の届出をする際の大臣への届出方法が変わりました。改正前は都道府県知事を経由していましたが、改正後は主たる事務所の所在地を管轄する地方整備局に直接届け出ることができます。

届出期限については、「業務を開始する日の10日前まで」と定められていますが、これは「中10日を空ける」という意味です。届出日の翌日から数えて11日目から業務開始できることになります。たとえば4月15日に業務を開始したい場合、届出は4月4日ではなく4月4日(届出した翌日の4月5日から10日空けて4月15日)…と聞くと混乱しやすいので、栃木県のわかりやすい例示を参考にすると「4月15日開始なら4月4日までに届出」となります。

届出内容として必要な事項は次の4点です。

  • ① 所在地
  • ② 業務内容
  • ③ 業務を行う期間
  • ④ 専任の宅地建物取引士の氏名

また、都道府県によっては届出書に加えて案内所の周辺図・案内図の添付を求めているところもあります。事前に管轄の窓口で確認しておくと安心です。

参考:栃木県が公開する届出期限の詳細と書類提出の要件

宅地建物取引業法第50条第2項の届出について(栃木県)

案内所に必要な「専任宅建士」の設置ルールと兼務禁止の落とし穴

届出が必要な案内所では、必ず成年者である専任の宅地建物取引士を1名以上常時設置しなければなりません。これは契約や申込みを受ける案内所に限った話です。

ここで現場で多く発生するミスが「事務所に登録している専任宅建士を案内所の専任宅建士として兼任させる」というやり方です。これは認められません。他の事務所等に登録されている専任の宅建士が、案内所の専任宅建士を兼務することは法律上できないのです(宅建業法第31条の3)。

つまり、既存事務所の専任宅建士はあくまでその事務所専属であり、別途、案内所専任の宅建士を1名確保する必要があります。人手が限られている中小の不動産業者にとっては厳しいところですね。

ただし例外もあります。同一の物件について、売主業者と代理・媒介業者が同じ場所で業務を行う場合は、どちらか一方の宅建業者が専任宅建士を1名以上置けば要件を満たします。一方、異なる物件を複数の業者が一か所で扱う不動産フェアのような場合は、各業者がそれぞれ1名以上の専任宅建士を置かなければなりません。これが条件です。

案内所の専任宅建士が変更になった場合は、変更内容を含む届出書を改めて提出する必要があります。変更前の届出書を使い回すことはできないため、人事異動のタイミングには注意が必要です。

案内所の業務期間は最長1年・延長するには新規届出が必要

案内所として届け出た場合、業務を行うことができる最長期間は1年間です。1年を超えて継続して案内所を設置し続けたいとしても、同じ届出書を延長することはできません。この点は意外ですね。

1年を超えて引き続き同じ場所で案内所の業務を行いたい場合は、あらためて新規の届出書を提出し直す必要があります(大阪府のガイドラインでも「変更後の業務を行う期間を含め1年を超える場合は、新規の届出として取り扱います」と明記されています)。

この上限期間の存在には実務上の意味があります。案内所はあくまで「一定期間に限って設けられる営業の場」であるという位置付けだからです。1年を超えて継続的に不特定多数の物件を取り扱い、契約締結権限を持つ担当者が常駐するようになれば、それはもはや「案内所」ではなく「事務所」とみなされ、事務所の変更届が必要になります。

案内所と事務所の違いを理解しておくことが大切です。案内所は「特定の物件を取り扱う場所」に限られるのに対し、事務所は「不特定の物件について継続的に取引を行う場所」です。この区別が崩れると、免許上の手続きも変わってきます。

また、業務期間中に専任宅建士の変更があった場合は変更届を、業務を途中で終了した場合は廃止届をそれぞれ提出することが求められる都道府県もあります。設置・変更・廃止すべてのフェーズで行政との連絡を丁寧に行う必要があります。

参考:大阪府が公開する案内所等の届出に関する詳細ガイドライン

事務所以外の案内所等の届出について(大阪府)PDF

標識の掲示義務は届出不要の案内所にも適用される・クーリングオフとの関係も要注意

届出が不要な案内所でも、やるべきことが1つあります。標識の掲示です。

宅建業者は、契約行為の有無にかかわらず、案内所を設置したすべての場所に標識(業者票)を掲示しなければなりません(宅建業法第50条第1項)。「届出が不要だから標識も不要」という解釈は誤りです。標識は必須です。

標識に記載すべき主な事項は次のとおりです。

  • 免許証番号および有効期間
  • 商号または名称
  • 代表者氏名
  • 主たる事務所の所在地
  • 専任の宅地建物取引士の氏名(設置義務のある案内所の場合)

さらに、案内所で申込みや契約を受ける場合はクーリングオフの適用がある旨も標識に記載する必要があります。案内所はクーリングオフの適用対象となる場所に該当し(宅建業法第37条の2)、買主が書面によって申込みを撤回できる権利を持ちます。この旨を標識に明示していなければ、クーリングオフの起算日が「告知日」から始まらず、業者側に不利な状況が生まれる可能性もあります。

標識を掲示しないと30万円以下の罰金が科せられます。罰金だけでなく、監督処分の対象にもなりえます。届出を怠った場合も同様の罰則があるため、「案内所を開く=標識掲示+届出(必要な場合)」をセットで動くのが原則です。

国土交通省では標識のサンプルを公式に公開しています。案内所の形態(売主直接・代理・媒介・展示会など)によって様式が異なるため、実務では事前の確認が欠かせません。

参考:標識の様式サンプルが確認できる国土交通省の公式ページ

宅地建物取引業者票・報酬額表の標識様式(国土交通省)

現場担当者が実際に迷う「届出が必要か不要か」の判断フロー

実務では「うちのケースは届出が必要なのか」と迷う場面が少なくありません。判断の軸を整理しておきましょう。

まず確認すべきは「その場所で契約の締結または申込みを受けるか」です。単なる案内・宣伝・物件紹介だけであれば、届出は不要です。契約行為に踏み込む場合にのみ届出義務が生じるのが原則です。

次に「取り扱う物件が一団の宅地建物(10区画・10戸以上の計画)に該当するか」を確認します。9戸以下の小規模分譲の場合は、申込みを受けても届出は不要です。なら問題ありません。ただし繰り返しになりますが、全体計画が10戸以上であれば、現時点での販売数が少なくても届出対象となります。

判断フローを整理すると次のようになります。

  • ✅ 契約・申込みを受けない → 届出不要(ただし標識掲示は必要)
  • ✅ 契約・申込みを受ける+全体計画が9戸以下 → 届出不要
  • ⚠️ 契約・申込みを受ける+全体計画が10戸以上 → 届出必要
  • ⚠️ 展示会・相談会で契約・申込みを受ける → 届出必要(戸数にかかわらず)
  • ⚠️ 継続的に業務を行う施設で申込みを受ける → 届出必要(出張所等)

また、不動産フェアなどに複数の宅建業者が参加するケースでは、各業者が個別に届出を行う必要があります。「他社が届出したから自社は不要」という解釈は誤りです。ただし、同一物件に対して売主と代理業者が同じ場所で業務を行う場合は、専任宅建士の設置はどちらか一方で済みます(ただし届出は双方が行います)。

届出の判断に迷ったときは、案内所を設置する都道府県の宅建担当窓口や、所属する宅建協会・全日本不動産協会などに相談するのが確実です。宅建業法は解釈の細部に落とし穴が多い法律のひとつですから、判断が微妙な場合は自己判断で済ませず、専門家に確認する習慣が大切です。

参考:宅建業法第50条第2項の届出内容や提出方法を公式に解説

契約の申込受付等を行う案内所等を設置する場合の手続き(佐賀県)

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