公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の契約書を正しく使いこなす実務ガイド
古いバージョンの書式を使い続けると、業務停止処分になることがあります。
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公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の契約書式の全体像と種類
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(以下「全宅連」)は、宅地建物取引業法(宅建業法)に準拠した各種契約書式を会員向けに無料で提供しています。これらの書式は顧問弁護士の監修を受け、法改正のたびに更新されるため、実務における信頼性が高い点が特徴です。
全宅連が提供する書式は、大きく「媒介契約書」「重要事項説明書」「売買契約書」「賃貸借契約書」の4カテゴリに分類されます。これが基本の枠組みです。
ただし、それぞれが細分化されており、売買契約書だけでも、「一般売主用」「宅建業者売主用」「消費者契約用」の3タイプが存在し、さらに土地の種類(土地実測清算、土地公簿、土地実測建物公簿、区分所有建物など)によって書式が分かれています。結果として売買契約書だけで10種類以上のバリエーションがあります。
賃貸借契約書も「居住用建物」「事業用建物(事務所・店舗)」「土地」に分かれ、住宅賃貸借契約書(A)・(B)、定期住宅賃貸借契約書、事業用定期借地権設定合意書など幅広いラインナップです。書式の多さは実務の複雑さを反映しています。
これらの書式はWord・Excel・PDFの3形式が用意されており、重要事項説明書と売買契約書の共通項目が自動連動するExcel形式の「自動入力版」も提供されています。一方で賃貸借契約書については、全国賃貸不動産管理業協会との共同提供の関係上、Excel自動入力版の提供がありません。このあたりは知っておくと現場で役立ちます。
書式のダウンロードや利用は、全宅連の会員業務支援サイト「ハトサポ」から行います。ハトサポを利用するには「宅建協会かつ全宅保証の会員資格を有する本店・支店」であることが必須条件で、非会員はアクセスできません。
参考情報:全宅連書式の使い方・ダウンロード手順(石川県宅建協会 全宅連書式について)
https://www.takken-ishikawa.or.jp/images/1515-11.pdf
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の契約書を使う際の「一般売主用」と「宅建業者売主用」の使い分け
全宅連の売買契約書式には「一般売主用」と「宅建業者売主用」の2種類があり、この使い分けを誤ると取り返しのつかないリスクを招きます。これが実務で最も重要なポイントのひとつです。
宅建業者が自ら売主となって、宅建業者以外(一般消費者)に物件を販売する場合、宅建業法第33条の2から第43条の「8種制限」が適用されます。手付金の額は売買代金の20%以内に制限される、手付金が5%または1,000万円を超えるときは保全措置が必要など、消費者保護の観点から厳しいルールが課されます。
宅建業者売主用の書式はこの8種制限に対応した内容になっており、契約不適合責任の通知期間も「引渡しの日から2年以内に通知した場合に限り責任を負う」という宅建業法第40条に適合した条項が盛り込まれています。つまり、宅建業者が自ら売主となる取引では宅建業者売主用の書式が必要です。
一方で一般売主用の書式には8種制限対応の条項が入っていないため、宅建業者が誤って一般売主用書式を使ってしまうと、重要な消費者保護条項が抜け落ちた状態で契約を締結することになります。トラブルが生じた際、宅建業者が不利な立場に置かれる可能性が出てきます。
また、全宅連の書式と他の宅建業者団体(全日本不動産協会など)の書式では、契約不適合責任の範囲やローン特約等の条項内容が異なります。他社が作成した契約書を使う局面では、書式の細部まで確認する姿勢が欠かせません。愛媛県宅建協会の研修資料では「全宅連書式と他団体書式の違いに気づかずトラブルになった例が多発している」と明示されています。
なお、宅建業者間の取引(両者が宅建業者の場合)には8種制限は適用されません(宅建業法第78条第2項)。この点は試験でも問われる頻出事項であり、実務でも書式選択の基準になります。
参考情報:全宅連書式と他団体書式の違いに関する注意点(愛媛県宅建協会 研修会資料 2025年2月)
https://www.ehime-takken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2025/02/cb3d432c064579bcdb0b2562fb39d3fc.pdf
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の契約書の改訂対応と最新版確認の方法
全宅連の書式は法改正のたびに随時改訂されます。最新版を使っていないと、改正後の説明義務を果たせない状態になりかねません。
書式が最新版かどうかは、書式の右下に記載された4桁の数字で確認できます。たとえば「24.04」と記載されていれば2024年4月改訂版です。2025年1月現在の重要事項説明書の最新書式は「24.04版」とされており、現場での利用前に必ずこの番号を確認する習慣をつけることが大切です。
2020年(令和2年)4月施行の改正民法(債権法)に合わせ、全宅連はそれまでの「瑕疵担保責任」条項を「契約不適合責任」に改めた新書式を公開しました。旧書式を使い続けた場合、改正民法に対応していない条項で契約を締結したことになり、責任の範囲や通知期間などで実務上の齟齬が生じるリスクがあります。
宅建業法施行規則は宅建業法本体が改正されなくても国土交通省令で変更され、重要事項説明の説明事項が増加します。その代表例が「水害ハザードマップに関する説明」(2020年8月施行)や「建物状況調査(インスペクション)の実施の有無」(2018年4月施行)です。これらは宅建業法施行規則の改正で追加されたため、旧書式にはこれらの記載欄が存在しません。
古い書式に説明欄がなければ、その事項について説明したこと自体を立証できなくなります。これが直接的なリスクです。買主とのトラブル時に「書面に記載がない=説明していない」と判断されるケースもあり得ます。
書式の改訂情報は、ハトサポ内の「書式のダウンロード 更新のお知らせ」で随時確認できます。また「わかりやすい売買契約書の書き方」「わかりやすい重要事項説明書の書き方」などの解説書も全宅連から頒布されており、改訂のたびに内容が更新されています。改訂のたびに書籍も併せてアップデートしておくことが、実務リスクの低減につながります。
参考情報:宅建業法上の書面作成・交付の注意点(愛媛県宅建協会 研修会資料 2025年2月)
https://www.ehime-takken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2025/02/cb3d432c064579bcdb0b2562fb39d3fc.pdf
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の契約書における特約条項の正しい活用と注意点
全宅連の売買契約書には「特約条項」欄が設けられており、基本条項にない取り決めを自由に記載できます。実務では、この特約の書き方ひとつで大きなトラブルになることがあります。
たとえば、契約不適合責任の免責特約を入れるケースがあります。一般的には「現状有姿引き渡し・売主は契約不適合責任を負わない」といった特約がよく使われますが、このような免責特約は状況によって無効になることがあります。宅建業者が売主で買主が一般消費者の場合、引渡し後2年未満の免責特約は宅建業法第40条により無効です。また、消費者契約法が適用される取引では、消費者に一方的に不利な特約が無効とされることがあります。
特約を書けば何でも有効になるわけではありません。これが原則です。「契約不適合責任の特約制限は、消費者契約法や宅建業法が優先する」という点は、宅建業法の研修でも繰り返し強調されるポイントです。
ローン特約についても書き方に注意が必要です。住宅ローンの融資が否認された場合に手付金を返還して契約を白紙撤回できるローン特約は、全宅連の書式に記載されていますが、「融資未承認の場合の契約解除期限日」「金融機関名」「融資金額」の3項目を正確に記載しなければ特約の有効性に疑義が生じます。記入漏れは紛争の種になります。
特約条項欄が足りない場合は、全宅連のExcel版書式では「特約条項ページ」をコピーして挿入する操作で欄を増やすことができます。また、重要事項説明書の「その他」欄に記載した内容を売買契約書の特約条項にリンクさせる機能も備わっており、入力ミスや記載漏れを防ぐのに役立ちます。
記入漏れやチェック欄の誤りも現場で意外に多いです。特に別の案件の書式を上書き保存したまま流用するケースではチェックボックスの誤りが発生しやすく、最終提出前の入念なチェックが不可欠です。
参考情報:契約不適合責任と書式活用の実務ポイント(不動産流通推進センター論文)
https://www.retpc.jp/qualification/fellow/pdf/2021/morishita.pdf
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の契約書と電子契約・印紙税の最新実務
2022年5月の宅建業法改正により、重要事項説明書・売買契約書・媒介契約書など不動産取引に必要な書面の電子化が全面解禁されました。全宅連でも「ハトサポサイン」という電子契約システムを提供しており、1件あたり税込275円(10件以上からのチケット方式)から利用できます。これは業界内でも比較的安価な水準です。
電子契約の最大のメリットの一つが印紙税の節約です。紙の契約書には印紙税が課されますが、電子契約は印紙税法上の「文書」に該当しないため課税されません。たとえば3,000万円の売買契約書(紙)には印紙税1万円(軽減措置適用後)が必要ですが、電子契約であれば0円です。5,000万円超の物件なら3万円の節約になります。数十件の取引を年間こなす不動産会社にとって、これは無視できないコスト削減になります。
ただし、電子契約は取引相手(売主・買主・貸主・借主)の承諾を得ることが前提条件です。相手が電子書面での受け取りに同意しない場合は、従来どおり紙で対応しなければなりません。特に高齢の大家(貸主)など、デジタル機器に不慣れな相手への配慮は欠かせません。承諾が得られないケースも現実には一定数あります。
電子契約を実施する際には、電子書面が印刷可能な形式で提供されること、電子署名やタイムスタンプによる改ざん防止措置を講じること、そして書面を提供した旨を相手に通知することが義務付けられています。電子証明書の有効期限(最長5年)やタイムスタンプの有効期限(最長10年)にも注意が必要です。
ハトサポサインはGMOグローバルサイン・ホールディングスと全宅連の包括契約により提供されており、ハトサポのWeb書式作成システムで作成したデータをそのまま電子契約に使えるほか、自社で作成したPDFをアップロードして利用することも可能です。月額利用料なしのチケット制なので、取引件数が多い月も少ない月も、使った分だけのコストで済む点が利点です。
消費者側の受容も広がっており、GMOグローバルサイン・ホールディングスと株式会社いい生活による共同調査では、不動産の売買・賃貸を検討する人の62.6%が「内見から契約までオンラインで完結できる不動産会社を利用したい」と回答しています。電子契約対応は今後のサービス競争力にも直結します。
参考情報:不動産取引の電子契約 導入ポイントと法改正の内容(全宅連 REAL PARTNER 2022年9月号)
https://www.zentaku.or.jp/wp-content/themes/zentaku/pdf/useful/realpartner/rp2022_09.pdf
参考情報:不動産売買の電子化と印紙税の取り扱い(クラウドサイン)
https://www.cloudsign.jp/media/sales-contract-electronification/

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