耐震基準適合住宅の固定資産税を正しく減額する方法
工事が終わっても申告しなければ、固定資産税の減額はゼロになります。
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耐震基準適合住宅の固定資産税減額制度とは何か
耐震改修に伴う固定資産税の減額措置は、地方税法に基づく制度です。対象となるのは、昭和57年(1982年)1月1日以前から所在する家屋に対して、現行の耐震基準に適合させる耐震改修工事を行った場合です。改修後に申告すると、翌年度の固定資産税が2分の1に減額されます。
この制度の前提として、まず「昭和57年1月1日以前の建物」という対象要件があります。よく「新耐震基準(1981年6月1日施行)以前の建物なら対象」と混同されがちですが、固定資産税の減額においては新築年月日ではなく「昭和57年1月1日以前から所在していること」が条件です。建築確認の日付ではなく、家屋の実際の所在時点が判断基準になります。ここが実務上の最初の確認ポイントです。
減額要件は合計5つあります。
- 昭和57年1月1日以前から所在する家屋であること
- 現行の耐震基準に適合する耐震改修であること
- 耐震改修工事費が税込50万円を超えていること
- 店舗等併用家屋の場合は床面積の2分の1以上が居住用であること
- 改修工事を令和8年3月31日までに行っていること(※後述の改正により令和13年3月31日まで延長決定)
工事費の下限「50万円超」は税込金額で判断します。つまり50万円ちょうどでは対象外です。ここも現場でよく起きる確認ミスなので注意が必要です。
50万円という金額は、だいたい木造住宅の筋交い追加や壁補強1~2か所分に相当します。耐震補強工事の全国平均は100万〜200万円が最も多い割合(36.9%/木耐協調査)ですが、補強箇所が少ない場合は50万円を下回る可能性もあるため、事前に費用確認が必要です。
つまり、要件を満たしているかどうかは「築年・工事費・用途」の3点を必ずチェックということです。
国土交通省「耐震改修に係る固定資産税の減額措置」PDF(要件・申告書類を網羅)
耐震基準適合住宅の固定資産税の減額割合と上限を正確に把握する
減額の割合は状況によって3段階に分かれます。これが実務上、もっとも知識が不足しやすいポイントです。
まず基本パターンです。通常の耐震改修を行った住宅は、翌年度の1年度分について固定資産税が2分の1に減額されます。ただし減額対象となる床面積は、1戸あたり120㎡相当分が上限です。120㎡はだいたい37坪弱、一般的な戸建住宅のリビング・LDK込みの延床面積とほぼ同等のイメージです。120㎡を超える部分は減額されません。
次に、対象となる建物が「通行障害既存耐震不適格建築物」だった場合は、改修工事翌年度から2年度分が2分の1に減額されます。通行障害既存耐震不適格建築物とは、市区町村の耐震改修促進計画に掲げられた道路の沿道にある旧耐震建物のことです。対象路線は自治体ごとに異なるため、案件ごとに確認が必要です。
さらに、耐震改修によって認定長期優良住宅に該当することとなった場合は、翌年度の固定資産税が3分の2に減額されます。この場合も120㎡相当分が上限です。これは使える制度ですね。通常の1/2減額より効果が大きく、長期優良住宅化を視野に入れた提案が付加価値になります。
| 区分 | 減額割合 | 期間 |
|---|---|---|
| 通常の耐震改修 | 1/2 | 翌年度1年分 |
| 通行障害既存耐震不適格建築物 | 1/2 | 翌年度から2年分 |
| 耐震改修+認定長期優良住宅 | 2/3 | 翌年度1年分 |
具体的な数字で見ると、年間固定資産税が12万円の住宅を例に取ると、通常の耐震改修で1年間6万円の削減、長期優良住宅認定を受ければ1年間8万円の削減になります。
減額割合が3段階あることが基本です。案件によってはより有利なルートが選べるため、改修計画の段階で関係者と確認するのが理想です。
三鷹市「住宅の耐震改修に伴う固定資産税の減額制度」(減額期間・対象区分の比較が参照できる)
耐震基準適合住宅の固定資産税申告で見落としやすい期限と書類
申告手続きは必須です。固定資産税の減額制度は自動的に適用されるものではなく、所有者または代理人が市区町村の窓口に申告を行って初めて効力を持ちます。期限を過ぎれば遡及適用はなく、その年度分の減額は消えます。
申告期限は「工事完了日から3か月以内」です。工事が完了した翌月から計算が始まるのではなく、完了日当日から数えて3か月以内です。工事会社から完了通知が届いたタイミングで、速やかに申告準備に入ることが鉄則です。
提出書類は以下の4種類です。
- ① 固定資産税減額申告書(各市区町村の窓口またはHPからダウンロード)
- ② 工事請負契約書の写し
- ③ 耐震改修の費用が確認できる書類(領収書・請求書など)
- ④ 次のいずれか1点:増改築等工事証明書 / 住宅耐震改修証明書 / 住宅性能評価書
④の書類が特に重要です。増改築等工事証明書を発行できるのは、①登録建築士事務所の建築士、②指定確認検査機関、③登録住宅性能評価機関、④住宅瑕疵担保責任保険法人に限定されています。工事会社が任意に作成する書類は対象外です。書類の種類を間違えると受理されません。
提出先は「該当家屋が所在する市区町村の窓口」です。管轄の都税事務所・税務課・資産税課など呼称は自治体によって異なります。案件ごとに提出先の部署名を確認しておくと安心です。
3か月の期限を守ることが最低条件です。チェックリストを活用して、工事完了のタイミングで申告準備を自動的にスタートさせる仕組みを作っておくと実務上のミスが防げます。
住友林業緑化「耐震改修工事を行った住宅の固定資産税減額制度と所得税の特別控除」(申告書類の詳細と注意点)
耐震基準適合住宅の固定資産税に関する令和8年度以降の改正ポイント
令和8年度の税制改正により、耐震改修に関連する固定資産税の特例措置の適用期限は令和13年3月31日まで5年間延長されることが決定しています(令和7年12月公表の国土交通省資料より)。これは実務上、大きなプラスの変化です。
旧来の適用期限は令和8年3月31日でした。不動産従事者の中には「令和8年3月31日で終了する」という認識のままの方もいるかもしれません。しかし、改正によってこの期限は大幅に延長されているため、顧客への説明で「今年が最後のチャンス」と伝えてしまうと誤情報になります。令和13年まで続くということを正確に伝えることが大切です。
また、今回の改正では既存住宅のリフォームに関連する固定資産税の特例(耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化)がセットで5年間延長されています。特に床面積要件の下限が50㎡から40㎡に緩和されたことも注目ポイントです。単身者やコンパクト住宅向けの物件にも適用しやすくなりました。
さらに、新築住宅に対する固定資産税の減額措置(戸建て3年間、マンション5年間の1/2軽減)についても同様に5年間延長され、適用期限は令和13年3月31日まで延長されています。令和8年4月1日以降の新築工事分から新しい期限が適用されます。
令和8年度の改正で制度は継続・拡充です。「制度が終わった」「今から間に合わない」という誤情報は顧客の不利益につながります。最新情報を把握した上で提案することが、信頼を積み上げるうえでの基本です。
国土交通省「令和8年度税制改正概要」PDF(耐震改修・既存住宅リフォーム・長期優良住宅の特例延長内容を収録)
不動産実務で差がつく耐震基準適合住宅の固定資産税の提案活用術
固定資産税の減額制度を「制度の存在を伝えるだけ」で終わらせている事例が多く見られます。しかし実際には、タイミングと組み合わせによって提案の価値が大きく変わります。
まず、旧耐震物件(昭和57年1月1日以前)の売買仲介や賃貸管理に携わる場面で、この制度は活きます。買主・オーナーにとって「耐震改修を行えば翌年の固定資産税が半額になる」という情報は、改修コストを検討する際の重要な判断材料になります。改修費用100万円かかるとしても、年間6万円×数年分の節税効果を合わせると実質負担は下がります。
また所得税の特別控除(投資型減税)との組み合わせも有効です。耐震改修を行うと固定資産税の減額だけでなく、所得税からも工事費用の10%相当が控除されます(対象限度額250万円、最大控除額25万円)。税負担の軽減を複数の角度から伝えることで、提案の説得力が増します。
買取再販業者やリノベーション会社との連携においても、この制度の存在は差別化のポイントになります。対象物件の耐震性能を証明し、減額申告まで一貫してサポートする体制があれば、顧客満足度は高まります。
さらに、申告漏れがあった場合の対応も把握しておく必要があります。耐震改修の固定資産税減額申告は3か月期限のため、期限を過ぎると遡及適用はできません。固定資産税の誤課税に関しては最大5年〜20年遡れるケースもありますが、この制度はあくまで「申告ベース」のため、未申告分の還付は原則困難です。工事完了後の申告を見落とさないよう、チェック体制の構築が必要です。
この制度を正しく伝えることで、信頼は積み上がります。特に長期優良住宅化の認定と組み合わせた「2/3減額」ルートは、一般の顧客はほとんど知らない情報です。不動産従事者がその知識を持っているかどうかで、顧客側の体感する価値は大きく変わります。
HOME4U「固定資産税軽減措置一覧&申請に必要な書類一覧」(耐震・省エネ・バリアフリー等の比較一覧が参照できる)

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