不動産流通機構レインズの仕組みと登録義務を完全解説

不動産流通機構レインズの仕組みと登録義務を完全解説

専任媒介を7日以内に登録しないと、業務停止処分になることがあります。

📋 この記事の3ポイント
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レインズは4つの不動産流通機構が運営

全国を東日本・中部・近畿・西日本の4エリアに分け、国土交通大臣指定の公益法人がそれぞれ運営しています。2024年の年間新規登録件数は約416万件にのぼります。

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媒介契約の種類で登録義務が変わる

専属専任媒介は5営業日以内、専任媒介は7営業日以内の登録が宅建業法で義務付けられています。一般媒介は任意ですが、賃貸物件も同様に登録義務はありません。

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2025年から「ステータス登録」が義務化

2025年1月より、取引状況(ステータス)のレインズへの登録が法律で義務化されました。違反すると指示処分・業務停止処分・免許取消処分へと段階的に重くなります。


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レインズ(不動産流通機構)とは何か:基本的な仕組みと歴史

レインズ(REINS)の正式名称は「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」といい、英語の頭文字を取って「レインズ」と呼ばれています。国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営するコンピューターネットワークシステムで、全国の不動産会社が物件情報を登録・共有するためのプラットフォームです。

1990年に前身となる財団法人首都圏不動産流通機構が設立され、その後1997年に事業圏域を東日本全体に拡大しています。それ以前は物件情報を紙媒体でやりとりしていた時代が長く、街の不動産会社の窓に貼り紙を出すような手法が主流でした。レインズの登場により、情報の非対称性が大幅に解消されたといえます。

運営主体は全国4つの公益法人です。それぞれの担当エリアは以下の通りです。

機構名 主な対象エリア
東日本不動産流通機構(東日本レインズ) 北海道・東北・北関東・首都圏・甲信越など17都道県
中部圏不動産流通機構(中部圏レインズ) 愛知・岐阜・静岡・三重・富山・石川・福井の7県
近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ) 滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の6府県
西日本不動産流通機構(西日本レインズ) 中国・四国・九州・沖縄など

重要な点が一つあります。各レインズは別組織ですが、実際の物件情報は4機構間でリアルタイムに連携されています。つまり、東日本レインズに加盟している業者が、近畿レインズのエリアにある物件情報も検索・確認できる仕組みになっています。これは意外と知られていない事実ですが、全国規模での物件流通を可能にしている重要な仕組みです。

2024年の全国新規登録件数は約416万件(前年比2.3%減)で、月平均約34.7万件が登録されていました。そのうち売り物件が約145万件、賃貸物件が約266万件という内訳になっています。不動産会社にとっては、毎月これだけの物件情報が流通しているという意識を持つことが、業務の土台となります。

参考リンク(不動産流通推進センター:レインズ活用状況の統計データ)。

公益財団法人不動産流通推進センター|指定流通機構の活用状況

レインズへの登録義務:媒介契約の種類ごとの違いと期日

登録義務が発生するかどうかは、媒介契約の種類によって完全に変わります。これが基本です。

宅地建物取引業法第34条の2第5項では、専任媒介契約を締結した場合のレインズ登録義務が明記されています。専属専任媒介契約は媒介契約締結日の翌日から5営業日以内、専任媒介契約は翌日から7営業日以内が法定期限です。なお、この「営業日以内」という計算には、不動産会社およびレインズの休業日は含まれません。つまり実質的には、カレンダー上の日数より多少余裕があることになります。

一方、一般媒介契約では登録義務がありません。任意で登録することは可能ですが、不動産会社は登録しなくても法的には問題ありません。ただし、一般媒介であっても売主がレインズへの登録を希望している場合は、その意向を無視することが信頼問題につながるリスクがあるため注意が必要です。

また、盲点になりやすいのが賃貸物件の扱いです。賃貸物件のレインズ登録は媒介契約の種類に関わらず任意であり、登録義務はありません。賃貸専門の業者は「レインズに登録しないといけない」という思い込みを持っている場合があり、不必要な混乱を招くケースもあります。賃貸は任意、売買は媒介種別で義務の有無が決まるという整理で十分です。

登録後には、不動産会社は売主に対して登録証明書を交付する義務があります。2025年以降、この登録証明書にはQRコード(2次元コード)の掲載が義務付けられました。売主がスマートフォンでQRコードを読み込むことで、取引状況をいつでも自分で確認できる仕組みが整えられたのです。

  • ⏱️ 専属専任媒介:翌日から5営業日以内に登録必須
  • ⏱️ 専任媒介:翌日から7営業日以内に登録必須
  • 一般媒介:登録義務なし(任意で可能)
  • 賃貸物件:媒介種別に関わらず登録義務なし(任意)

それだけではありません。売買契約が成立した後の「成約登録」も義務です。成約価格・成約年月日などを遅滞なく入力しなければならず、この義務を怠った場合も宅建業法違反として指示処分の対象になります。登録して終わりではなく、成約後の後処理まで含めて義務が続くと理解しておくことが重要です。

参考リンク(レインズ公式:媒介契約制度と登録期限の早見表)。

公益財団法人東日本不動産流通機構|媒介契約制度

2025年法改正:ステータス登録義務化と囲い込み規制の強化

2024年6月に宅建業法施行規則が改正され、2025年1月1日(実運用は2025年1月4日)から、レインズへの「取引状況(ステータス)」登録が新たに義務化されました。これは不動産業界に直結する重要な改正です。

ステータス管理機能とは、専属専任または専任媒介契約を締結した売り出し物件の取引状況をレインズ上で登録・管理する機能のことです。登録できるステータスは3種類です。

  • 🟢 公開中:現在広く購入希望者を募集している状態
  • 🟡 書面による購入申込あり:購入申込が入っているが成約には至っていない状態
  • 🔴 売主都合で一時紹介停止中:売主の意向で一時的に紹介を止めている状態

このステータスは原則として、変更原因が発生した翌日から2営業日以内に更新する義務があります。つまり「申込が入ったのに公開中のまま放置」「成約したのにステータスを変えない」といった行為は、今後は確実に行政処分の対象となります。

なぜこの改正が重要かというと、それまで実質的に野放しになっていた「囲い込み」に対し、初めて具体的なペナルティが設けられたからです。囲い込みとは、専任媒介を受けた業者が意図的に他社の客付けを妨害し、自社で売主・買主の両方から仲介手数料を得ようとする行為です。

この改正前は、囲い込みが発覚しても「指導」にとどまり、実効性がないと批判されていました。しかし2025年以降は、ステータスの虚偽登録や放置が確認された場合、宅建業法第65条第1項に基づく指示処分の対象となります。指示に従わなければ業務停止処分へ、さらに悪質・反復する場合は免許取消処分まで段階的に重くなります。

厳しいところですね。

免許を失えば事業の継続が不可能になるため、ステータス管理の徹底は今後の不動産業務において最優先事項の一つといえます。業務フローを見直す際には、「物件登録→ステータス設定→申込時の即時更新→成約後の成約登録」という一連の流れをチェックリスト化しておくことが実践的な対策になります。

参考リンク(国土交通省:ステータス管理義務化のリーフレット)。

国土交通省|宅地や建物の(専属)専任媒介契約を締結したらレインズの「ステータス管理機能」を利用してください

不動産業者がよく誤解するレインズの3つの盲点

業務歴が長くなるほど、思い込みが固定化しやすくなります。レインズに関しても例外ではなく、現場でよく見られる誤解がいくつかあります。

① 「一般媒介でも登録しなければならない」という思い込み

前の節でも触れましたが、一般媒介契約ではレインズへの登録義務はありません。これを理解せず「すべての売り物件は登録しなければ違反だ」と思っている不動産従事者は少なくありません。一般媒介は任意、これが原則です。ただし、売主と事前に合意してある場合は話が別です。売主がレインズ登録を前提に契約している場合、未登録はトラブルの原因になります。契約締結時に必ず登録の有無を明示することが重要です。

② 「賃貸もすべてレインズ登録が必要」という思い込み

賃貸物件には売買のような法定登録義務がありません。これは意外と知られていないポイントです。賃貸管理・仲介を主体とする会社では、レインズは主に物件検索ツールとして使われることが多く、登録は完全に任意です。賃貸の場合は問題ありません。混同しないよう、社内での教育・研修でも売買との区別を明確にしておく必要があります。

③ 「レインズ登録=手続き完了」という思い込み

登録しただけで業務が完了すると考えるのは大きなミスです。2025年以降は、登録後のステータス管理・成約登録まで含めて法的義務が課されています。申込が入った翌日から2営業日以内にステータスを更新しなければ違反リスクが発生します。これが条件です。登録はスタートに過ぎず、取引完了まで継続的なメンテナンスが必要だという認識に切り替えましょう。

こうした盲点は、ベテラン社員ほど改めて確認しにくい傾向があります。社内ルールの見直しや定期的な法令確認の機会を設けることで、リスクを大幅に減らすことができます。国土交通省やレインズ公式ページでは最新のガイドラインや改正情報が随時公開されているため、定期的にチェックする習慣を持つことをおすすめします。

参考リンク(レインズ公式:最新ガイドラインと改正情報)。

公益財団法人東日本不動産流通機構|レインズ利用ガイドラインの一部改訂のお知らせ(2024年12月)

不動産業者がレインズを正しく活用するための実務ポイント

レインズは「登録しなければならないシステム」という義務面だけでなく、積極的に業務効率を上げるツールとして活用できます。これは使えそうです。

まず、レインズには成約事例データが蓄積されているため、売主からの査定依頼に対して客観的な根拠を示しやすくなります。類似物件の直近成約価格をレインズで確認し、価格設定の根拠として活用することで、査定の信頼性が高まります。売主への説明時に「周辺の直近成約価格がこれくらいなので、この価格帯が適正です」と示せれば、根拠のある提案として受け取ってもらいやすくなります。

次に、レインズの「引合件数」機能も活用できます。登録した物件が他の業者から何件閲覧されているかが確認できるため、売主への報告時の材料として使えます。「登録後3日間で15件の業者が物件情報を確認しています」といった具体的な数字を伝えることで、売主の安心感につながります。

また、2025年以降に義務化されたステータス管理を確実に運用するためには、業務フローの整備が欠かせません。申込受付・成約確定などのタイミングでレインズのステータス新を漏らさないよう、管理台帳やタスク管理ツールと連動させておくことが実践的です。特に複数物件を担当する営業担当者にとっては、更新期限の管理が難しくなりがちです。

法改正への対応として、2025年1月から売主へのレインズ登録証明書交付時にQRコードを掲載することが義務化されている点も見落とせません。売主が自分でスマートフォンからレインズの取引状況を確認できるようになったことで、情報の透明性が格段に向上しています。つまり売主がいつでも「本当に登録されているか」「ステータスは正しく更新されているか」を確認できる環境になったということです。

不動産業界全体の信頼性向上と、個々の業者のコンプライアンス強化の両立が、現在のレインズ活用の本質です。レインズに関する法改正の最新情報は、国土交通省のプレスリリースや不動産流通機構の公式サイトで確認することを習慣化しておきましょう。

参考リンク(国土交通省:囲い込み規制と法改正の詳細)。

国土交通省|レインズの機能強化について、物件の売主向けリーフレット(令和7年1月)