地目の種類一覧と宅地変更で知るべき全知識
登記地目が「宅地」でも、固定資産税は宅地並みに課税されないケースがあります。
地目の種類一覧:全23種類を表で整理
地目(ちもく)とは、土地の登記記録(登記事項証明書)に記載される「土地の用途」のことです。不動産登記法第34条に法的根拠があり、不動産登記事務取扱手続準則第68条によって全23種類に区分されています。つまり、どんな土地であっても、必ずこの23種類のいずれかに分類されるということです。
以下が全23種類の地目一覧です。
| 地目 | 読み方 | 概要 |
|---|---|---|
| 田 | た | 農耕地で用水を利用して耕作する土地(水稲・わさびなど) |
| 畑 | はたけ | 農耕地で用水を利用しないで耕作する土地 |
| 宅地 | たくち | 建物の敷地及びその維持・効用を果たすために必要な土地 |
| 学校用地 | がっこうようち | 校舎・附属施設の敷地および運動場 |
| 鉄道用地 | てつどうようち | 鉄道の駅舎・附属施設および路線の敷地 |
| 塩田 | えんでん | 海水を引き入れて塩を採取する土地 |
| 鉱泉地 | こうせんち | 鉱泉(温泉を含む)の湧出口及びその維持に必要な土地 |
| 池沼 | ちしょう | かんがい用水でない水の貯留地 |
| 山林 | さんりん | 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地 |
| 牧場 | ぼくじょう | 家畜を放牧する土地 |
| 原野 | げんや | 耕作によらず雑草・かん木類の生育する土地 |
| 墓地 | ぼち | 人の遺体または遺骨を埋葬する土地 |
| 境内地 | けいだいち | 宗教法人法の規定に基づく境内に属する土地 |
| 運河用地 | うんがようち | 運河法の規定に基づく運河に要する土地 |
| 水道用地 | すいどうようち | 給水目的で敷設する水道の水源地・貯水池・ろ水場等 |
| 用悪水路 | ようあくすいろ | かんがい用または悪水排泄用の水路 |
| ため池 | ためいけ | 耕地かんがい用の用水貯留地 |
| 堤 | つつみ | 防水のために築造した堤防 |
| 井溝 | せいこう | 田畝または村落の間にある通水路 |
| 保安林 | ほあんりん | 森林法に基づき農林水産大臣が指定した保安林 |
| 公衆用道路 | こうしゅうようどうろ | 一般交通の用に供する道路(道路法の適用有無を問わない) |
| 公園 | こうえん | 公衆の遊楽のために供する土地 |
| 雑種地 | ざっしゅち | 上記いずれにも該当しない土地(駐車場・資材置き場など) |
この23種類以外の地目は登記することができません。原則として1筆の土地に対して地目は1種類です。
地目の認定は「現況及び利用目的に重点を置く」とされており、部分的にわずかな差異があっても、土地全体としての状況を観察して判断されます。23種類が基本です。
参考:地目の法的根拠および全種類の一覧(不動産登記事務取扱手続準則第68条の解説)
地目とは?23種類の一覧!宅地以外の地目は何がある? – 不動産お友.com
地目の種類ごとの特徴:宅地・田・畑・雑種地の違い
宅建事業従事者が実務上で最もよく目にする地目は、宅地・田・畑・雑種地の4種類です。それぞれの特徴と、取引時に意識すべきポイントを整理しておきましょう。
🏠 宅地
建物の敷地および、その維持・効用を果たすために必要な土地が「宅地」と定義されています。住宅の庭や勝手口までのアプローチ部分も、維持に必要な土地であれば宅地に含まれます。最もよく目にする地目です。
🌾 田・畑(農地)
田は用水を利用して耕作する農耕地、畑は用水を利用しない農耕地です。休耕地や不耕作地も田・畑に分類されます。この2つは農地法の適用を受けるため、売買・転用には農業委員会の許可が必要です。農地が条件です。
田・畑の大きな特徴は「農地転用」なしには住宅を建てられない点にあります。農業振興地域内の農地(いわゆる「青地」)に指定されている場合は、転用が原則不可なので要注意です。また、第1種農地(集団的な農地・農業生産基盤の整備された農地)も原則として転用不可とされています。
🗑️ 雑種地
田・宅地・山林など22種類のいずれにも当てはまらない土地が雑種地です。露天駐車場・資材置き場・コンテナ置き場などがこれに当たります。これは使えそうです。
雑種地は土地活用の自由度が高く、駐車場経営などで活用されるケースが多い一方、住宅建設を目的として購入する場合には事前に用途地域の確認が必要です。特に市街化調整区域内の雑種地は、開発許可なしに建物を建てられないケースが多々あります。
参考:宅建業者が知っておくべき、雑種地の特徴と活用に関する注意点
地目の種類を左右する「登記地目・課税地目・現況地目」の違い
地目には実は3種類の見方があります。宅建実務では特にこの3つの違いが理解できているかどうかで、判断ミスが起きやすい場面があります。
- 課税地目:固定資産税の賦課期日(毎年1月1日)時点での現況に基づき、市区町村が認定する地目。
- 現況地目:実際にその土地がどのように使われているかを示す地目。
この3つは必ずしも一致しません。たとえば、登記地目が「田」のままでも、実態として駐車場として活用されている土地の課税地目は「雑種地」として扱われるケースがあります。固定資産税は現況地目が基本です。
さらに複雑なのが、隣接する複数の土地が一体として使われているケースです。たとえば登記地目が「宅地」のB土地と「雑種地」のA土地が一体のゴルフ場として利用されている場合、B土地も主たる地目(雑種地)として評価されます。
不動産売買においても同じ考え方が適用されます。登記地目が「原野」や「山林」であっても、現況が宅地として利用されていれば、宅地並みの評価がなされることがほとんどです。登記地目だけを見て取引価格を判断すると、認識のズレが生じる可能性があります。
🔍 地目の確認方法:2つのルート
| 確認する地目 | 確認方法 |
|---|---|
| 登記地目 | 法務局で登記事項証明書(謄本)を取得、または法務省の登記・供託オンライン申請システムで確認 |
| 課税地目 | 毎年送付される固定資産税の「課税明細書」に記載 |
登記・供託オンライン申請システムのPDF書類は、住宅ローン審査では認められないことがほとんどです。金融機関に提出する際は、法務局で発行した原本が必要です。これは必須です。
参考:登記地目・課税地目・現況地目の詳しい解説と確認方法
地目の種類と地目変更:1ヶ月以内の義務と10万円の過料リスク
地目に変更が生じた場合、土地の所有者は変更のあった日から1ヶ月以内に地目変更登記を申請しなければなりません(不動産登記法第37条)。この申請を怠った場合、10万円以下の過料に処される可能性があります(不動産登記法第164条)。痛いですね。
宅建事業従事者が特に注意すべきなのは、「地目変更のタイミング」です。たとえば宅地への地目変更は、「これから宅地にするから先に変更しておこう」ということはできません。あくまでも造成が完了して現況地目が「宅地」に変わった時点から、1ヶ月以内に申請する必要があります。
📅 宅地への地目変更の正しいタイミング
実務上は、建物表題登記と地目変更登記を同時に土地家屋調査士へ依頼するケースが一般的です。
💴 地目変更登記の費用目安
| 申請方法 | 費用の目安 |
|---|---|
| 土地所有者が自分で申請 | 登録免許税なし・実費(証明書取得費約600円など)のみ |
| 土地家屋調査士に依頼 | 1筆あたり4万〜6万円程度(複雑な案件はさらに加算) |
自分で申請することも法的には可能であり、法務局でもある程度の指導を受けられます。ただし、農地の地目変更や複数筆にまたがる変更など、認定・判断が難しいケースは土地家屋調査士への依頼が安全です。
参考:地目変更登記の義務・費用・必要書類の詳細
【地目変更登記】について土地家屋調査士が解説します – 杉山賢司 土地家屋調査士事務所
地目の種類と農地転用:田・畑の宅地化に潜む落とし穴
田・畑という農地の地目は、宅建業者が特に慎重に扱うべき地目です。農地法によって保護されているため、自由に地目変更できません。農地転用が条件です。
農地を宅地などに転用するには、農業委員会(または都道府県知事・農林水産大臣)への申請と許可が必要です。農地転用の許可区分は以下の通りです。
| 農地の区分 | 転用の可否 |
|---|---|
| 第1種農地(集団農地・農業生産基盤整備済み) | 原則不可 ❌ |
| 甲種農地(特に良好な条件の農地) | 原則不可 ❌ |
| 農業振興地域内農地(「青地」) | 原則不可 ❌ |
| 第2種農地(条件次第) | 代替性の審査あり △ |
| 第3種農地(市街化区域内など) | 原則許可 ✅ |
農地転用の手続きを行政書士に依頼する場合の費用相場は、届出の場合で4万〜7万円程度、許可申請の場合は8万〜十数万円程度です。さらに、造成工事費用として100坪の土地で200万〜500万円かかることもあります。つまり農地転用は想像以上にコストがかかるということです。
宅建業者としては、田・畑の土地を取り扱う際に「転用許可が取れる農地かどうか」を事前に確認することが必須のチェックポイントになります。農業委員会へ事前相談することで、転用の見通しを把握できます。
また、農地転用の許可を得ることなく建物を建ててしまうと、農地に戻すよう行政指導を受けるリスクがあります。特に相続などで田・畑を取得したお客様が「うちの田んぼに家を建てたい」と相談してきた際には、農業委員会への事前確認を強くアドバイスすることが重要です。
参考:農地転用の区分・費用・手続きの詳しい解説
農地転用とは?費用や必要な許可、手続きの流れを詳しく解説 – 中日不動産
地目の種類が住宅ローン審査に直結する意外な落とし穴
宅建事業従事者の中でも案外見落としがちな点として、「地目が住宅ローンの審査に影響する」という事実があります。これは実務上の重要ポイントです。
住宅ローンを組む際、金融機関は土地に抵当権を設定しますが、地目が「田」「畑」の場合はほぼ確実に住宅ローンが組めません。農地には農地法の制限があり、抵当権の設定が困難だからです。
🏦 地目別・住宅ローンへの影響
| 地目 | 住宅ローンの扱い |
|---|---|
| 宅地 | 問題なし |
| 田・畑 | ほぼ不可。地目変更後に申請が必要 |
| 山林・原野 | 金融機関によっては要地目変更 |
| 雑種地 | 金融機関によって対応が異なる |
フラット35(住宅金融支援機構)の場合、地目が田・畑・山林・雑種地などでも申込自体は可能です。ただし融資実行前に地目変更登記を完了させる必要があります。これは重要なポイントです。
実際の流れとして、地目変更が住宅ローン実行の前提となるため、「造成工事の費用」はつなぎ融資で対応しなければならないケースが多くなります。農地からの宅地化では、造成工事費用(100坪で200万〜500万円)が先行して発生し、住宅ローンに組み込めないのが一般的です。この点を事前にお客様に説明しておかないと、後々トラブルの原因となります。
宅建事業従事者として覚えておくべきもう一つの点は、地目変更登記の代理申請ができるのは「土地家屋調査士」のみであるということです。司法書士は地目変更登記の代行ができません。お客様から依頼があった際に誤った専門家を紹介しないよう、整理しておきましょう。
参考:地目変更と住宅ローンの関係・フラット35の取り扱い

