居住支援協議会一覧と宅建業者が知るべき連携の要点

居住支援協議会の一覧と宅建業者が押さえるべき仕組み

居住支援協議会に加入しなくても、宅建業者は要配慮者と一切関わらなくて済むと思っていませんか?

この記事の3つのポイント
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居住支援協議会とは何か

住宅確保要配慮者(高齢者・障害者・外国人など)の民間賃貸住宅への入居を支援するため、地方公共団体・不動産関係団体・福祉団体が連携する会議体。令和7年12月末時点で全国176協議会が設立済み。

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全国一覧の調べ方と連絡先

国土交通省が公開するPDFに都道府県・市区町村別の連絡先が掲載されており、宅建業者は最寄りの協議会を把握しておくことで、要配慮者対応のネットワークを即活用できる。

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宅建業者が連携すべき理由

令和6年の住宅セーフティネット法改正により市区町村の設置が努力義務化。不動産会社が協議会と連携することで、仲介機会の拡大・家賃債務保証の活用・補助金情報の取得という3つの実務メリットが得られる。

居住支援協議会とは何か:住宅セーフティネット法上の位置づけ

 

居住支援協議会は、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(通称:住宅セーフティネット法)第81条第1項に基づいて設立される協議体です。

正式名称は「住宅確保要配慮者居住支援協議会」といいます。対象となる住宅確保要配慮者とは、低額所得者・被災者・高齢者・障害者・子育て世帯・外国人など、住宅の確保に特に配慮を要する方々のことです。こうした方々は、大家から「孤独死が心配」「家賃を滞納しそう」「連絡先がない」などの理由で入居を断られるケースが多く、調査によれば高齢者の入居に拒否感を持つ大家は約7割、障害者・外国人でも同様の傾向があります。

協議会は、この問題を解消するために地方公共団体の住宅部局・福祉部局、宅建業者や賃貸住宅管理業者等の不動産関係団体、居住支援法人・社会福祉協議会等の福祉関係団体が一堂に会して連携する仕組みです。つまり、宅建業者は協議会の中心的な構成員として当初から想定されているということですね。

活動内容は多岐にわたります。具体的には、メンバー間での情報交換、要配慮者向け民間賃貸住宅情報の発信・紹介・斡旋、住宅相談サービスの実施(相談会の開催・住宅相談員の配置等)、家賃債務保証制度や安否確認サービスの紹介、賃貸人や要配慮者を対象とした講演会等の開催などがあります。

国土交通省「住宅確保要配慮者居住支援協議会について」(概要・設立手引き・補助事業情報が一括掲載)

居住支援協議会の一覧:令和7年度第3四半期末176協議会の全体像

令和7年(2025年)12月31日時点では、全国に176協議会が設立されています。この数字は令和4年3月末時点の114協議会から大幅に増加しており、近年の制度整備が急速に進んでいることがわかります。意外ですね。

設立状況の内訳は次のとおりです。都道府県レベルでは全都道府県47か所すべてに設立済みです。市区町村レベルでは125市区町村以上に設立されており、東京23区・大阪・神戸・横浜・福岡・名古屋などの大都市はほぼ網羅されています。

都道府県別に主な設立市区町村をまとめると以下のとおりです。

地域 設立市区町村(一部抜粋)
🗾 北海道・東北 札幌市、旭川市、函館市、本別町、仙台市、横手市、大館市、鶴岡市、山形市
🗾 関東 さいたま市、千葉市、船橋市、東京23区の多数、八王子市、府中市、川崎市、横浜市、鎌倉市、相模原市、藤沢市など
🗾 中部・北陸 長野市、岐阜市、名古屋市、岡崎市、豊田市、越前市、敦賀市
🗾 近畿 京都市、宇治市、豊中市、堺市、神戸市、宝塚市、姫路市、草津市など
🗾 中国・四国 広島市、廿日市市、呉市、岡山県全域、東温市、松山市、宇和島市
🗾 九州・沖縄 福岡市、北九州市、熊本市、大分市、鹿児島市、沖縄市、久留米市など

各協議会の連絡先は、国土交通省が公開するPDF「居住支援協議会の連絡先」にまとめられており、都道府県単位で事務局名・電話番号が一覧化されています。担当は都市整備部住宅課や社会福祉協議会など、自治体ごとに異なる点に注意が必要です。

国土交通省「居住支援協議会の連絡先一覧(令和7年12月31日時点・全176協議会)」(PDF)

令和6年改正・住宅セーフティネット法が宅建業者に与える影響

令和6年(2024年)5月30日に成立し、令和7年(2025年)10月1日に施行された改正住宅セーフティネット法は、宅建業者にとって見過ごせない内容を含んでいます。

最大のポイントは3点です。

第1に、市区町村による居住支援協議会の設置が努力義務化されました。これにより、今後は各市区町村の協議会が急増すると予想されます。宅建業者が地元の協議会と連携する機会も格段に増えるということです。

第2に、「居住サポート住宅」認定制度が創設されました。居住支援法人等が賃貸人と連携し、日常的な安否確認・見守り、生活・心身状況が不安定になったときの福祉サービスへのつなぎを行う住宅が認定を受けられる制度です。この制度に登録された物件は、要配慮者が入居しやすくなるとともに、大家側のリスク軽減にもつながります。宅建業者が大家に対してこの制度を説明できれば、空き室物件の活用提案ツールとして非常に有効です。

第3に、終身建物賃貸借の認可手続きの簡素化が行われました。これは「賃借人の死亡時に相続されない」賃貸借契約のことで、大家が単身高齢者の入居を断る最大の理由の一つ(「死亡後に借家権が残って困る」)を解消します。この仕組みを理解している宅建業者は、大家の不安を払拭できる力強いアドバイザーになれます。

さらに、認定家賃債務保証業者制度も創設されました。要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者を国土交通大臣が認定する制度で、これにより保証会社の審査に通りにくかった要配慮者の入居案件が成立しやすくなります。これは宅建業者の機会損失を減らす制度です。

三井住友トラスト不動産「住宅セーフティネット法の改正(令和6年)」(改正の全体像を弁護士解説)

居住支援協議会と連携することで宅建業者が得られる3つの実務メリット

居住支援協議会は「福祉の話」だと感じている宅建業者も少なくないかもしれません。これは大きな誤解です。

メリット①:仲介機会の拡大

日本の高齢者世帯は急増しており、2040年には65歳以上の単身世帯が全世帯の約2割に達するとも言われています。加えて、外国人居住者・障害者・低額所得者など、従来「入居困難」とされてきた層へのニーズは確実に高まっています。居住支援協議会を通じた物件紹介・マッチングの仕組みに参加することで、これまで接点が少なかった顧客層への仲介機会が生まれます。これは使えそうです。

メリット②:家賃債務保証・補助金情報へのアクセス

協議会の活動には、家賃債務保証制度の紹介や、国土交通省の「居住支援協議会等活動支援事業」(令和7年度予算10.81億円)に関する情報も含まれます。補助金の活用方法や家賃低廉化支援の詳細を早期にキャッチできるのは、協議会に関与している事業者の強みです。

メリット③:大家との信頼関係の強化

要配慮者の入居に不安を持つ大家は多いです。しかし協議会と連携することで、「万が一の際のサポート体制がある」「見守りサービスへの接続ルートがある」という安心材料を大家に提示できます。結果として、空き室が多い物件オーナーとの関係強化にも直結します。

なお、宅建業者が協議会に参加する際は、まず地元の宅建協会(全国宅地建物取引業協会もしくは全日本不動産協会の各支部)を通じて情報を得るのが最も確実なルートです。多くの協議会では宅建協会の支部が構成員として既に加入しており、支部経由で個別の不動産業者も情報共有ネットワークに参加できる場合があります。地域の協議会事務局に直接連絡し、参加の可否を問い合わせることも選択肢の一つです。

国土交通省「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する中間とりまとめ」(協議会参加メリットの詳細記載)

居住支援協議会と居住支援法人の違い:宅建業者が混同しがちなポイント

居住支援協議会と居住支援法人は、名称が似ているために混同されることがあります。整理すると以下の違いがあります。

項目 居住支援協議会 居住支援法人
設置主体 地方公共団体が中心となって設立 都道府県が個別団体を指定
性質 複数の関係者が参加する協議体(会議体) 個別の法人(NPO・社会福祉法人等)
根拠法 住宅セーフティネット法第81条 住宅セーフティネット法第40条
主な役割 地域の居住支援体制の整備・情報共有 入居前の相談・情報提供、入居中の見守り・生活支援、家賃債務保証など

居住支援法人は都道府県の指定を受けた個別の団体であり、実際に要配慮者への直接支援を担います。一方、居住支援協議会はそれらの関係者が連携するための「場」と考えるとイメージしやすいです。

宅建業者の立場からすると、居住支援協議会を通じて地域の居住支援法人を把握し、案件に応じて連携先を選ぶという動き方が実践的です。令和7年10月の法改正施行以降、居住支援法人の業務範囲には「入居者からの委託に基づく残置物処理」も追加されており、宅建業者が抱える高齢者対応リスクの一部をカバーできる存在になりました。残置物問題への不安から高齢者入居を渋っていた大家への説明に、この情報は直接役立ちます。

全国居住支援法人協議会「会員一覧」(371団体の居住支援法人の所在地・活動内容を確認できる)

宅建業者が今すぐできる居住支援協議会への関わり方【独自視点】

多くの宅建業者は「協議会に参加するには行政の許可が必要」「業務とは離れた話」と感じているかもしれません。しかし実際には、協議会への関与は段階的に始めることができます。

まず最初の一歩として有効なのは、地元の協議会が開催する勉強会・研修会への参加です。多くの協議会では、大家向け・不動産業者向けの講演会や情報交換会を定期的に開催しています。東京都の例では、各区の協議会が住宅相談員の養成研修を行っており、参加した不動産業者が相談窓口として機能するケースもあります。参加は無料の場合がほとんどです。

次のステップは、セーフティネット登録住宅の管理物件への適用です。賃貸管理を手がける宅建業者であれば、管理オーナーにセーフティネット登録住宅制度を提案し、空き室対策の一環として活用できます。登録済み物件の情報は協議会を通じて要配慮者に提供されるため、入居者募集の露出が増えるというメリットがあります。

さらに一歩踏み込むと、「協力不動産店」として登録・活動するという方法もあります。一部の協議会(例:神奈川県厚木市など)は、要配慮者の入居を積極的に受け入れる「協力不動産店登録制度」を設けており、登録することで要配慮者からの相談が自社に届く仕組みになっています。宅建業免許があれば申請できる場合が多く、敷居は高くありません。

協議会との連携は、コンプライアンス対応という観点でも注目されています。高齢者・障害者・外国人の入居を「一律に断る」行為は、障害者差別解消法や外国人差別の問題と接続するリスクがあります。協議会と連携し「受け入れ体制がある」という実績を作ることは、法的リスクを回避しながら社会的信頼を高める経営戦略とも言えます。

国土交通省「居住支援協議会設立の手引き〜居住支援協議会はじめの一歩〜」(R7年3月改訂版・設立から活動まで詳細に解説)

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