私募REIT一覧で知る運用会社と銘柄の選び方完全ガイド

私募REIT一覧で把握する銘柄・運用会社・市場動向

私募REITは、価のように毎日値動きしないため「リスクがほぼない」と思われがちですが、過去に元本割れした銘柄も実際に存在します。

この記事の3ポイント要約
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私募REITの銘柄数は61本(2025年12月末)

2025年12月末時点でARESが集計した私募REIT銘柄数は61本。公募型J-REITの57本をすでに上回っており、市場規模は資産総額7兆6,309億円に達している。

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主な投資家は地域金融機関・中央金融法人・年金

私募REITへの出資は、地域金融機関(地銀・信金)が31.1%と最大勢力。中央金融法人27.4%、年金21.7%と続き、個人投資家は原則として参加できない。

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過去10年の年率リターンは日本が主要4市場で最高

三井住友トラスト基礎研究所の調査によると、過去10年の年率トータルリターン平均は日本7.9%。米国6.6%・英国5.3%を上回り、安定性と収益性の両立が際立っている。


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私募REITの一覧と基本的な仕組みをわかりやすく解説

 

私募REITとは、証券取引所に上場せず、機関投資家などの限られた投資家を対象に資金を集めて不動産を運用する投資法人のことです。「私募」は不特定多数への公募と違い、特定少数への募集を意味します。つまり私募REITは、「プロの投資家だけが参加できる非上場の不動産ファンド」と理解してください。
日本初の私募REITは、2010年11月に運用を開始した「野村不動産プライベート投資法人」です。公募型J-REITが2001年にスタートしたことと比べると、約9年遅れて誕生しています。
その後、市場は急速に拡大しました。不動産証券化協会(ARES)が2026年1月に公表した「私募リート・クォータリー No.41」によると、2025年12月末時点の主な数値は以下の通りです。

指標 数値(2025年12月末) 1年前比
投資法人数(銘柄数) 61本 +3本
資産総額 7兆6,309億円 +12.4%
保有物件数 2,123物件 +255物件
出資総額 4兆3,046億円 +10.6%

銘柄数でJ-REITを上回ったのが話題になっています。資産総額はJ-REITの約23兆円には及ばないものの、その差は着実に縮まっています。
私募REITと公募リート(J-REIT)の主な違いも確認しておきましょう。

項目 公募リート(J-REIT) 私募REIT
上場の有無 証券取引所に上場 非上場
投資対象者 個人・機関投資家 主に機関投資家・適格投資家
最低投資額 数万円〜 約1億円〜
価格変動 市場で毎日変動 不動産鑑定評価ベースで安定
流動性 高い(市場売買可) 低い(払戻し・相対取引)
運用期間 クローズドエンド型 オープンエンド型

最低投資額が1億円以上に設定されているケースが多く、一般の個人投資家が直接参加することはほぼできません。これが基本です。ただし最近では、クラウドファンディングや投資信託を通じて私募REITに間接的に近いかたちで投資できる商品も登場しています。関心のある方は各金融機関の窓口で確認することをおすすめします。
参考:ARESが四半期ごとに公表する私募リート市場の最新データ
一般社団法人不動産証券化協会「私募リート・クォータリー No.41(2025年12月末基準)」

私募REIT一覧の主要銘柄と運用会社を年代別に整理

ARESが2025年12月末基準で集計している61本の私募REITを、運用開始時期の順に整理すると、市場の歴史が見えてきます。つまり初期は大手不動産系・証券系が中心で、年を経るごとに参入企業が多様化していった構図です。
以下は、主な銘柄と運用会社を年代別にまとめたものです。

運用開始 投資法人名 資産運用会社
2010年11月 野村不動産プライベート投資法人 野村不動産投資顧問㈱
2011年3月 日本オープンエンド不動産投資法人 三菱地所投資顧問㈱
2012年3月 三井不動産プライベートリート投資法人 三井不動産投資顧問㈱
2012年9月 ジャパン・プライベート・リート投資法人 ゴールドマン・サックス証券㈱
2014年3月 ブローディア・プライベート投資法人 東急不動産リート・マネジメント㈱
2014年9月 丸紅プライベートリート投資法人 丸紅アセットマネジメント
2015年8月 東京建物プライベートリート投資法人 東京建物不動産投資顧問㈱
2016年6月 D&Fロジスティクス投資法人 大和ハウス不動産投資顧問㈱
2016年8月 DBJプライベートリート投資法人 DBJアセットマネジメント㈱
2016年8月 ニッセイプライベートリート投資法人 ニッセイリアルティマネジメント㈱
2017年1月 地主プライベートリート投資法人 地主アセットマネジメント㈱
2017年3月 Oneプライベート投資法人 みずほリートマネジメント㈱
2018年2月 三井物産プライベート投資法人 三井物産リアルティ・マネジメント㈱
2019年9月 MUFGプライベートリート投資法人 三菱UFJ不動産投資顧問㈱
2020年3月 第一生命ライフパートナー投資法人 第一生命リアルティアセットマネジメント㈱
2021年3月 SMBCプライベート投資法人 ㈱SMBCリートマネジメント
2022年3月 JR九州プライベートリート投資法人 JR九州アセットマネジメント㈱
2023年3月 JR東日本プライベートリート投資法人 JR東日本不動産投資顧問㈱
2023年9月 JR西日本プライベートリート投資法人 JR西日本不動産投資顧問㈱
2024年1月 第一生命総合リート投資法人 第一生命リアルティアセットマネジメント㈱
2025年3月 東京メトロプライベートリート投資法人 東京メトロアセットマネジメント㈱
2025年3月 りそなプライベートリート投資法人 ㈱りそな不動産投資顧問
2025年7月 戸田建設プライベートリート投資法人 戸田建設不動産投資顧問㈱

特徴的な点として、2022〜2023年にかけてJR九州・JR東日本・JR西日本の3社が相次いで参入したことが挙げられます。鉄道会社が保有する駅周辺の不動産を活用する形で市場に参入したケースです。これは使えそうです。また2024〜2025年にかけても、東京メトロ・りそな・戸田建設と新規参入が続いており、市場の裾野が広がり続けています。
なお、ARESのリストに掲載されていない私募REITも存在する点には注意が必要です。非公開の情報が多い性格上、全容把握には限界があります。完全な一覧を把握することは難しいということですね。

私募REITのアセットタイプ別一覧と投資対象の特徴

私募REITは、どの種類の不動産に投資しているかという「アセットタイプ」によって性格が大きく変わります。ARES「私募リート・クォータリー No.41」によると、2025年12月末時点の資産総額7兆6,309億円の内訳は以下の通りです。

アセットタイプ 資産総額 比率 特徴
🏢 オフィス 2兆7,115億円 35.5% 景気連動性あり。都心立地の優良物件が中心
🏠 賃貸住宅 1兆6,858億円 22.1% 景気変動の影響が比較的小さく安定性高い
📦 物流施設 1兆5,244億円 20.0% EC需要拡大で成長。長期契約が多く収益安定
🏬 商業施設 1兆1,231億円 14.7% 消費動向・立地に影響を受けやすい
🏨 ホテル 4,291億円 5.6% インバウンド需要と連動。変動性は高め
その他 1,570億円 2.1% 底地・海外資産など多様な形態

オフィスが全体の35.5%と最大のシェアを占めているのがわかります。ただし、テレワークの普及により都心オフィス需要の変化が議論されている点には注意が必要です。
物流施設は、AmazonやZOZOTOWNなどのEC(ネット通販)拡大を背景に需要が伸び続けています。物流倉庫は設備への多大な投資が必要なため入居テナントが移転しにくく、長期の安定収益が期待できるアセットです。東京ドーム約3,200個分に相当する2,123物件を2,123社のテナントに貸し出しているわけではなく、賃貸住宅だけで925物件を保有している点に改めて注目できます。これは物件分散効果が非常に高いということです。
また、アセットタイプで銘柄を選ぶという視点も重要です。例えばD&Fロジスティクス投資法人(大和ハウス不動産投資顧問)は物流特化型の私募REIT、大和証券ホテル・プライベート投資法人はホテル特化型と、それぞれ異なる不動産セクターに注力した銘柄が揃っています。
参考:私募リート市場の安定性と各国比較データを詳しく解説
三井住友トラスト基礎研究所「国内私募リート市場の際立つ安定性」(2025年3月)

私募REIT一覧から読む投資家分布と市場規模の実態

私募REITへの出資者は誰なのか。この点を理解することで、なぜ私募REITが安定的な市場を形成しているかが見えてきます。
ARES「私募リート・クォータリー No.41」(2025年12月末基準)によると、出資総額4兆3,046億円の投資家分布は次の通りです。

投資家属性 割合 具体例
地域金融機関 31.1% 地方銀行・信用金庫など
中央金融法人 27.4% 都市銀行・生命保険・損害保険・系統中央機関など
年金 21.7% 企業年金・厚生年金基金など
事業会社等 19.9% 一般事業会社・その他

最大の出資者が「地域金融機関(地銀・信金)」で31.1%を占めています。意外ですね。一般的に私募REITの出資者は年金や大手金融機関というイメージを持ちやすいですが、地方銀行や信用金庫が最大勢力という点は覚えておく価値があります。
これには背景があります。マイナス金利政策が長期化した時期、地方銀行は国債運用でマイナスリターンになるリスクを抱えていました。そのため安定した利回りを求めて私募REITへの資金シフトが加速したのです。資産総額が年間で12.4%増(約8,443億円増)というペースで拡大していることは、それだけ多くの機関投資家が資金を投入している証拠です。
ARESが2026年2月に公表した「第25回機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査」では、年金の86%・一般機関投資家の89%がすでに不動産投資を行っており、その中で「国内私募リート」は投資先の上位に挙げられ続けています。機関投資家の関心は依然高い水準を維持していることがわかります。
ただし注意点もあります。金利上昇局面では不動産ファンド全般に逆風が吹く傾向があり、2024年の調査では「投資を拡大したい」という回答が前年比で減少しています。慎重な姿勢が広がりつつあることも確かです。この点は投資判断において見逃せません。
参考:機関投資家の不動産投資動向と私募リートへの関心度の最新データ
一般社団法人不動産証券化協会「第25回機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査」(2026年2月)

私募REITの一覧にない!個人が近づく方法と注意点【独自視点】

私募REITは機関投資家専用の世界であり、最低投資額が1億円以上のため個人は手が届かない——これが一般的な常識です。しかし、2020年代以降、この「壁」に少しずつ変化が起きています。
まず知っておきたいのは、「不動産クラウドファンディング」との違いです。不動産クラウドファンディングは私募REITとは仕組みが異なりますが、同様に不動産収益に間接的にアクセスできる手段として注目されています。1万円程度から参加できるサービスも登場しており、私募REITの「安定性」を一定程度模倣する設計になっているものも出てきました。
また、J-REITを通じた間接的な接触という方法もあります。一部の資産運用会社は公募J-REITと私募REITの両方を運用しており、J-REIT銘柄に投資しながら同じ運用会社が手がける物件ポートフォリオに近い恩恵を受けられる構造を持っています。例えば野村不動産投資顧問、三菱地所投資顧問、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントなどは、J-REITと私募REIT双方を運用しています。これを利用するというのは現実的な選択肢です。
さらに近年では、「私募REIT向けファンド・オブ・ファンズ」という仕組みも登場しています。複数の私募REITに分散投資する投資信託のような形態で、機関投資家向けに組成されているものが中心ですが、一部では適格機関投資家以外でも参加できる商品が設計されつつあります。
ただし、こうした商品を検討する際にはリスクを正しく理解することが不可欠です。私募REITは「価格が安定している」という評価がありますが、それは毎日の市場価格がないため「見えにくい」だけで、元本割れのリスクは厳然として存在します。不動産鑑定評価は通常3〜6ヶ月ごとに行われるため、市況悪化が起きていても価格への反映が遅れる場合があります。リスクを正しく把握することが条件です。
個人投資家が私募REITに近い形で不動産市場に参加したい場合は、以下の選択肢を検討してみてください。
– 💡 J-REITへの投資:証券口座さえあれば数万円から参加可能。流動性が高く情報開示も充実。
– 💡 不動産クラウドファンディング:1万円程度から参加できるサービスも。ただし元本保証なし。
– 💡 不動産投資信託(投信):J-REITに分散投資する投資信託を通じた間接的な参加が可能。
重要なのは、「私募REITは安全」という先入観を持ちすぎないことです。過去10年の日本市場の年率リターン7.9%という数字は魅力的ですが、これは主に機関投資家が長期保有を前提として積み上げてきた実績であり、短期的なリターンを保証するものではありません。長期保有が大前提ということを忘れずに、情報収集を続けることが大切です。
参考:私募REITとJ-REITの仕組み・投資対象者の違いについて詳しく解説
ValueHack「私募リートが拡大中!私募リートと公募リート(J-REIT)の違いをわかりやすく解説」

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