屋根貸し太陽光のデメリットと知らずに損するリスクを解説
屋根に太陽光パネルを載せても、自分の電気代は1円も安くならない。
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屋根貸し太陽光のデメリット①売電収入がゼロになる仕組み
屋根貸し太陽光で最も大きなデメリットとして挙げられるのが、売電収入を一切得られない点です。発電した電力の売電権はすべて事業者側に帰属しており、建物オーナーは賃料収入のみしか受け取れません。
賃料の相場は1㎡あたり年間100〜300円程度というのが業界の標準です。仮に20㎡の屋根を貸した場合、年間の収入は最大でも6,000円にとどまります。一方、自分で太陽光発電を設置して3kWのシステムで年間3,000kWhを発電し、1kWhあたり15円で売電できれば年間45,000円の売電収入となります。この差は約7.5倍です。
初期費用がかからない代わりに、長期にわたって大きな収益機会を失っていることになります。結論は、収益性を最重視するなら屋根貸しは向いていないということです。
もちろん、自己資金を一切使わずにリスクゼロで収入を得たい場合には意味があります。ただし、「屋根貸しを始めたら儲かる」という期待値は、初期の段階でしっかり修正しておく必要があります。
参考:賃料の相場根拠については下記ガイドラインも確認してください。
東京都環境公社「太陽光発電”屋根貸し”契約書モデル:ガイドライン」(クール・ネット東京)
屋根貸し太陽光のデメリット②20年契約と途中解約の違約金リスク
契約期間の長さは、屋根貸し太陽光のデメリットのなかでも特に注意が必要な項目です。一般的な契約期間は10〜20年が標準とされており、なかには20年以上の長期契約を求められるケースもあります。
この契約期間中に建物を売却したい、建て替えを行いたい、大規模リフォームを検討しているといった事態が生じた場合、原則として中途解約は認められません。もし貸主都合で解約を申し出た場合は、多額の違約金が発生するリスクがあります。これは大きなデメリットです。
具体的にどれくらいの違約金が発生するかは契約によって異なりますが、事業者が設備を撤去することで受ける損失(ローン残債・撤去工事費用など)を補填する形で算出されるケースが多く、数十万円から百万円単位の金額になることもあります。痛いですね。
また、事業者が倒産するケースも想定されます。太陽光発電業界は参入障壁が低く、2023年の上半期だけで全国4,006件の企業倒産があり、前年比31.6%増という状況でした(東京商工リサーチ調べ)。事業者が突然倒産した場合、放置されたパネルの撤去費用は誰が負担するのかという問題が発生します。
契約前に「事業者倒産時の対応」「中途解約時の違約金の計算根拠」「パネルの所有権の移転タイミング」を必ず書面で確認することが原則です。
屋根貸し太陽光のデメリット③補助金・FIT制度を利用できない二重の損失
屋根貸し太陽光は初期費用ゼロというメリットがある一方で、建物オーナーが本来受け取れたはずの公的支援を丸ごと失うことになります。これが意外と見落とされがちなデメリットです。
まず、FIT(補助金の申請資格がありません。
さらに、建物の耐震補強工事や屋根の防水工事が必要な場合は、その費用は貸主側の負担となるケースがあります。この工事費用に対しても補助金は活用できないため、数十万円単位の出費が必要になることも珍しくありません。
つまり屋根貸し太陽光は「費用ゼロ」の代わりに「FITも補助金も諦める」という選択になります。自己所有型に比べて20年間の収支差額が数百万円単位になる可能性があることも、知っておけば判断材料になります。
参考リンク:FIT制度の概要については以下で確認できます。
経済産業省 資源エネルギー庁「太陽光発電について」(費用・制度概要)
屋根貸し太陽光のデメリット④自家消費できない・電気代が下がらない盲点
屋根に太陽光パネルが設置されているにもかかわらず、その建物の電気代が一切安くならないという状況に戸惑う方は少なくありません。これが屋根貸し太陽光の根本的な特徴であり、見落としやすいデメリットです。
屋根貸し契約では、発電した電気はすべて事業者が電力会社に売電します。建物の配電盤には接続されていないため、隣で発電しているにもかかわらず、その電気を自分で使うことはできません。自家消費できない仕組みになっているわけです。
この点で注意が必要なのが「オンサイトPPA」との違いです。オンサイトPPAは同じく初期費用ゼロで屋根に太陽光パネルを設置する契約ですが、発電した電気を建物内で直接使えるため電気代削減につながります。
| 比較項目 | 屋根貸し | オンサイトPPA |
|—|—|—|
| 電気代の削減 | ❌ 不可 | ✅ 可能 |
| 売電収入 | ❌ 不可(事業者に帰属) | ❌ 不可 |
| 賃料収入 | ✅ あり | ❌ なし |
| CO2削減の実績 | ❌ 自社には帰属しない | ✅ 自社に帰属 |
| 初期費用 | ✅ 0円 | ✅ 0円 |
電気代を削減したい、あるいは脱炭素経営の取り組みとして太陽光発電を活用したいという目的がある場合は、屋根貸しではなくオンサイトPPAの方が適しています。
目的が「屋根スペースを活用した副収入」なら屋根貸し、「光熱費削減・環境対応」ならオンサイトPPAが条件です。どちらが合っているかを見極めることが、契約前の最重要ポイントです。
屋根貸し太陽光のデメリット⑤契約終了後に発生する意外な出費と手続き
屋根貸し太陽光の契約が満了したあとの処理も、見落としがちなデメリットのひとつです。多くの人が「20年後は設備が自動的に撤去される」と思い込んでいますが、実際はそうではないケースもあります。
契約終了後の取り扱いには、大きく2つのパターンがあります。ひとつは事業者が設備を撤去して屋根を元の状態に戻すケース、もうひとつは設備が建物オーナーに無償譲渡されるケースです。
無償譲渡される場合、パネルを所有することで売電や自家消費ができるようになる一方で、その後のメンテナンス費用はすべて自己負担になります。パネル1枚あたりの撤去処分費用は約4,000円、取り外し費用は約2,500円、運搬費は約30,000円が相場です(参考:屋根材工事業者の費用目安)。10kWシステムで30〜40枚程度のパネルがある場合、撤去だけで最低15万円以上のコストが発生することがあります。
さらに、無償譲渡後の設備でFIT制度は利用できません。FITの認定はもともと事業者側に紐づいているため、建物オーナーに譲渡された時点で売電条件が変わります。
このため「20年後に設備をどうするか」という出口戦略を契約前に明確にしておくことが非常に重要です。書面で「撤去費用の負担者」「無償譲渡の条件」「譲渡後のFIT扱い」を必ず確認しておきましょう。これだけ覚えておけばOKです。
参考:環境省が公開している下記資料では、第三者所有モデルの各種パターンと注意事項が網羅的にまとめられています。
環境省「公共施設への再エネ導入 第一歩を踏み出す自治体の皆様へ(PPA等の第三者所有による太陽光発電設備導入の手引き)」