住宅改修費の支給と介護保険の仕組みを正しく理解する
工事が終わってから申請すると、介護保険が一切使えず全額自己負担になります。
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住宅改修費の支給とは何か:介護保険制度の基本的な仕組み
介護保険の住宅改修費支給制度とは、厚生労働省が定めた制度で、要介護・要支援の認定を受けた方が自宅でのバリアフリー化リフォームを行う際に、工事費用の一部が保険から支給される仕組みです。正式名称は「居宅介護住宅改修費(介護予防住宅改修費)」といい、在宅での生活継続をサポートすることを目的としています。
この制度が生まれた背景には、高齢化社会の進展があります。転倒を原因とした骨折・寝たきりへの移行を予防し、介護を必要とする方が少しでも自立した生活を送れるようにするための支援策です。手すりの設置や段差の解消といった工事により、日常生活の動作が格段に楽になります。
対象者は、要支援1〜2または要介護1〜5のいずれかの認定を受けており、かつ介護保険被保険者証に記載された住所の自宅に居住している方に限られます。これが基本条件です。
注意が必要なのは「自宅に居住している」という条件です。入院中や介護施設に入居中の方は原則として支給対象外となります。ただし、施設の退去日が明確に決まっており、近日中に自宅生活に戻ることが確定しているケースでは、例外的に支給対象となる場合があります。また、賃貸物件に住んでいる方でも支給を受けることは可能ですが、その場合は住宅オーナー(大家さん)の承諾書が必要になるため、早めに相談しておくことが大切です。
つまり「要介護認定+自宅居住」が基本条件です。
参考:介護保険における住宅改修の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/dl/07.pdf
住宅改修費の支給対象となる介護保険の工事6種類
介護保険で支給が受けられる工事は、厚生労働省が定めた以下の6種類に限定されています。この範囲を外れた工事は、どれだけ必要性が高くても支給対象外になるため、事前にしっかり確認することが重要です。
| 工事の種類 | 具体的な内容の例 |
|---|---|
| ① 廊下・階段・玄関・浴室・トイレなどへの② 段差の解消 | スロープ設置、敷居を低くする、浴室の床をかさ上げする工事 |
| ③ 床材・通路の変更 | 滑りにくい床材への変更、車いす対応の通路確保 |
| ④ 扉の取り替え | 開き戸から引き戸への変更、ドアノブのレバー式への交換 |
| ⑤ 便器の取り替え | 和式トイレから洋式トイレへの取り換え |
| ⑥ 上記に付帯する工事 | 手すり設置に伴う壁の補強、床材変更に伴う下地補修など |
ここで意外と知られていないのが「工事を伴わない設置は対象外」という点です。工具を使わず取り付けられる突っ張り棒タイプの手すりや、敷くだけのスロープ・滑り止めマットは、住宅改修の対象にはなりません。これらは「福祉用具購入費」の支給対象になる場合があるので、別制度の確認が必要です。
また、階段昇降機やリフトなど動力を使って段差を解消する機器も、住宅改修費の支給対象外です。これは多くの方が誤解しているポイントで、「https://rifuri.jp/blog/kaigohoken_jutakukaisyu_taisyogai
住宅改修費の支給額と介護保険の自己負担を正しく把握する
住宅改修費の支給限度基準額は、要介護度に関係なく一律で上限20万円です。この20万円は「一生に一度・一人あたり」という枠で、住宅単位ではなく個人単位で管理されます。たとえば、夫婦ともに要介護認定を受けていれば、それぞれが20万円ずつ申請できるのは、知らないと損するポイントです。
自己負担額は、介護保険負担割合証に記載された割合によって決まります。負担割合は所得によって異なり、以下のように3段階に分かれています。
- 🟢 1割負担:合計所得金額が概ね280万円未満の方 → 自己負担は最大2万円、給付は最大18万円
- 🟡 2割負担:合計所得金額が概ね280万円以上340万円未満の方 → 自己負担は最大4万円、給付は最大16万円
- 🔴 3割負担:合計所得金額が概ね340万円以上の方 → 自己負担は最大6万円、給付は最大14万円
1割負担の方なら、20万円の工事で実際の出費は2万円。これはハガキ1枚分の薄さのわずかな負担で、本格的なバリアフリー工事ができるということです。この給付の大きさを正しく理解している方は、まだ多くありません。
20万円以内であれば、複数回に分けて利用することも可能です。たとえば1回目に10万円分の工事を行った場合、残りの10万円は次回の改修に使えます。この「残額の繰り越し」ができることを知らずに、1回で全部使い切る必要があると誤解している方も多いので注意が必要です。
ただし、20万円を超える部分については、超過額の全額が自己負担となります。大規模な改修を検討している場合は、事前に総工費の見積もりをしっかり確認しておくことが大切です。なお、介護保険の支給対象外となる工事部分(浴槽の取り換えなど)については、お住まいの自治体が独自の補助制度を設けているケースもあります。たとえば、世田谷区では浴槽取り替えや洋式便器への取り替えに上限37万9,000円の助成、港区では階段昇降機・ホームエレベーターの設置に上限133万2,000円の助成を行っています。
痛いですね、超過分の全額自己負担は。
参考:居宅介護住宅改修費(介護予防住宅改修費)とは | 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-service/kaishu-hi.html
住宅改修費の支給を受けるための介護保険申請の流れ
住宅改修費の支給を受けるには、決まった手順があります。この流れを守らないと、せっかくリフォームしても給付が受けられなくなる可能性があります。最大のポイントは「着工前に事前申請を済ませること」です。
- 要介護・要支援の認定を受ける
まず市区町村の窓口または地域包括支援センターに申請し、要介護認定を受けます。認定を受けていない状態での工事は給付対象外です。 - 担当ケアマネジャーへの相談
改修箇所や内容を担当ケアマネジャーと相談します。ケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターへ。 - 住宅改修業者の選定と理由書の作成
改修業者に見積書と図面を作成してもらいます。同時に、ケアマネジャーに「住宅改修が必要な理由書」を作成してもらいます。この理由書がなければ申請は受け付けられません。ケアマネジャーがいない場合は、作業療法士・理学療法士・事業者に支払い、後で給付分が戻ってくる方法です。受領委任払いは自己負担分だけを工事業者に支払い、給付分は自治体が直接業者に支払う方法で、初期費用の負担を大幅に抑えられます。ただし、受領委任払いを利用するには「受領委任払取扱事業者」に登録された業者へ依頼する必要があります。
事前申請が条件です。これだけは絶対に覚えておきましょう。
参考:介護保険で住宅改修を行う際の流れ(rifuri.jp)
https://rifuri.jp/blog/kaigohoken_jutakukaisyu_nagare住宅改修費の支給が再度受けられる介護保険の「3段階リセット」と転居リセット
「介護保険の住宅改修は一生に1回しか使えない」と思い込んでいる方は少なくありません。ところが実際には、条件を満たすことで20万円の限度額が復活し、再び支給を受けられる制度があります。これが「3段階リセット」と「転居リセット」です。
3段階リセットとは
1回目の住宅改修を行ったときと比べて、要介護状態区分が3段階以上上昇した場合に、20万円の限度額がリセットされ、再び支給が受けられる制度です。1回目の改修時の区分 リセットが適用される条件 要支援1 要介護3・4・5になったとき 要支援2または要介護1 要介護4・5になったとき 要介護2 要介護5になったとき 要介護3・4・5 3段階リセットは適用されない ここで知っておきたい重要な点があります。要支援2と要介護1は「制度上は同じ段階」として扱われるため、要支援1からの3段階上昇は要介護3(要支援2&要介護1→要介護2→要介護3)となります。これを誤解して「要介護2でリセットできる」と思い込むと、実際には適用外になります。
また、3段階リセットには「1人1回限り」というルールがあります。一度リセットが適用された後、再びどれだけ介護度が上がっても、2度目のリセットは適用されません。さらに、介護度が一時的に下がってまた上がった場合、「基準となるのは1回目に改修したときの区分」であり、下がった後の区分からの3段階上昇はカウントされません。
転居リセットとは
転居した場合は、それまでの利用状況に関係なく、新しい住宅で改めて20万円の限度額が適用されます。引越し先の自治体に新たに申請することで、再び支給を受けることが可能です。
3段階リセットが条件です。これを把握しておけば、将来の改修計画を立てやすくなります。
参考:住宅改修の3段階リセット!支給額が復活する条件と例外を詳しく解説(kaigor.com)
https://kaigor.com/jukai/3level_reset/住宅改修費の支給で見落としがちな介護保険の独自視点チェックリスト
多くの解説記事では触れられていない、実際の申請でつまずきやすいポイントを整理しておきます。手続きをスムーズに進めるために、ここでまとめて確認しておきましょう。
✅ 「工事前写真の日付」は証拠として非常に重要
事前申請に必要な写真は、日付が入っている必要があります。スマートフォンのカメラで日付表示をオンにして撮影することが推奨されます。日付がないと審査が通らないケースもあります。
✅ 「宛名」の記入ミスは意外と多い
工事見積書・領収書の宛名は必ず「被保険者本人の名前」にしなければなりません。家族の名前や「ご家族様」などの宛名では受け付けられず、差し戻しになります。これが原因で申請が遅れる事例が複数自治体で報告されています。
✅ 「認定申請中」でも着工できる場合がある
介護認定の結果が出る前でも、認定申請中であれば住宅改修の事前申請ができる自治体があります。ただし、後から認定が「非該当(自立)」となった場合は支給対象外になるため、状況の確認が必要です。
✅ 「残額の分割利用」は20万円の範囲内で何度でも可能
たとえば最初に8万円分の工事をした場合、残りの12万円は将来の改修に使えます。この残額管理は自治体が行っているため、問い合わせれば残額を確認できます。
✅ 「介護保険の支給申請の時効は2年」
工事完了後の事後申請には2年の時効があります(起算日は工事代金の支払い日の翌日)。工事が終わったらなるべく早めに事後申請を行うことが重要です。先延ばしにしているうちに時効を迎えてしまうと、給付を受けられなくなります。
✅ 市区町村によって提出書類が異なる
申請に必要な書類の種類や様式は、市区町村によって異なります。転居後に申請する場合、以前の自治体で使っていた書式がそのまま使えないケースがあります。必ず申請先の市区町村公式サイトや窓口で最新の書類を確認しましょう。
これは使えそうです。日頃の準備がそのまま給付額に直結します。
参考:https://www.town.uchinada.lg.jp/soshiki/fukushi/14588.html