セーフティネット住宅の入居条件と費用・申請方法を解説

セーフティネット住宅の入居条件・費用・申請方法を徹底解説

月収が15万8千円以上でも、セーフティネット住宅に入居できます。

📋 この記事の3つのポイント
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入居条件は「低所得者専用」ではない

高齢者・子育て世帯・障がい者・外国人なども対象。低所得者以外でも住宅確保要配慮者なら入居を拒まれません。

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家賃補助は最大月4万円・最長20年

条件を満たせば国と自治体が協力して家賃を補助。子育て・ひとり親世帯は月4万円の減額が受けられる場合があります。

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物件は「セーフティネット住宅情報提供システム」で検索可能

全国約96万戸以上が登録済み。Webで無料検索できるので、まずは条件に合う物件があるか確認しましょう。


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セーフティネット住宅とは何か|制度の基本と仕組みを理解する

 

セーフティネット住宅とは、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)」に基づき、都道府県や政令指定都市などに登録された賃貸住宅のことです。一言でいえば、「住まいを確保しにくい人の入居を断らないと登録した民間賃貸住宅」です。
この制度が本格的にスタートしたのは2017年10月のことで、比較的新しい制度です。背景にあるのは、日本が抱える2つの社会問題でした。一つは、高齢者・低所得者・子育て世帯などが一般の賃貸住宅で入居を断られやすい現実。もう一つは、全国で急増する空き家・空き室の問題です。これら両方を同時に解決するために生まれたのが、セーフティネット住宅制度です。
制度は3本の柱で成り立っています。第一の柱は「住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度」、第二の柱は「登録住宅の改修や入居者への経済的支援」、そして第三の柱が「住宅確保要配慮者に対する居住支援」です。貸す側(家主)には改修補助や相談窓口が、借りる側(入居者)には家賃補助や家賃債務保証・生活相談などのサポートが用意されており、双方の不安を和らげる仕組みが整備されています。
国土交通省の調査では、賃貸人の約7割が「高齢者や障がい者の入居を断ったことがある、または断りたい」と回答しています。断る主な理由は、「他の入居者・近隣住民との協調性への不安」「家賃滞納リスク」「居室内での孤独死への懸念」などです。セーフティネット住宅はこうした大家側の不安を解消する仕組みも併せ持つ制度です。
なお、2025年10月1日には改正住宅セーフティネット法が施行され、家賃債務保証業者の認定制度創設や、「居住サポート住宅」制度の新設など、さらに手厚い支援体制が整いました。制度は進化し続けています。
参考:改正住宅セーフティネット法の概要と施行内容(国交省・政府広報)

セーフティネット住宅の入居条件|住宅確保要配慮者に該当するか確認しよう

セーフティネット住宅に入居できるのは、「住宅確保要配慮者」に該当する人です。この言葉を初めて聞くと難しく感じるかもしれませんが、該当する範囲は実はとても広く設定されています。
法律(住宅セーフティネット法)で定められている対象は、以下のとおりです。

区分 具体的な条件
低額所得者 政令月収が15万8,000円以下の世帯
高齢者 年齢の下限は法律上定められていない(物件ごとに異なる)
障がい者 障害者基本法に規定する障がい者
子育て世帯 18歳未満の子どもを養育している世帯(年度末まで対象)
被災者 発災後3年以内。東日本大震災等の大規模災害は3年超えても対象
省令で定める者 外国人、DV被害者、矯正施設退所者、生活困窮者 など

ここで注目したいのは、「低所得者」以外にも幅広い属性が対象になっている点です。高齢者・障がい者・子育て世帯・外国人・DV被害者なども対象であり、単に収入が少ないだけが条件ではありません。
さらに、各都道府県や市区町村が「供給促進計画」で独自に対象者を拡大できます。たとえば東京都では、新婚世帯・LGBTの方・UIJターンによる転入者・児童養護施設退所者なども住宅確保要配慮者として追加で認定されています。住んでいる地域によって対象が変わる点が原則です。
低所得者の「政令月収15万8,000円以下」とはどのくらいの収入でしょうか?これは給与収入をそのまま使うのではなく、世帯全員の総所得から扶養控除などを差し引いた後の月平均額で計算されます。単身世帯なら年収約380万円以下、2人世帯(うち1名扶養族)なら年収約430万円以下がおおよその目安です。ただしこれはあくまで「低所得者」として家賃補助を受ける場合の目安であり、高齢者や子育て世帯などの別の区分に該当すれば、この所得制限は関係ありません。
参考:住宅確保要配慮者の範囲詳細(国土交通省)
住宅セーフティネット制度|国土交通省

セーフティネット住宅の2種類の違い|「登録住宅」と「専用住宅」はどう違う?

セーフティネット住宅には大きく分けて2種類があります。この違いを理解しておくと、物件探しの際に役立ちます。
まず「セーフティネット登録住宅(一般型)」は、住宅確保要配慮者の入居を断らないとして登録した物件です。一般の入居者も同時に受け入れることができます。大家側が「どの属性の入居者を受け入れるか」を選択できる仕組みで、たとえば「高齢者の入居は拒まない」「低額所得者と子育て世帯の入居は拒まない」というように、受け入れ対象を限定して登録することも可能です。
次に「セーフティネット専用住宅」は、住宅確保要配慮者のみが入居できる物件です。一般の入居者には貸し出さず、要配慮者専用で管理します。この「専用住宅」に限り、家賃補助や改修費補助といった手厚い国・自治体からの経済的支援の対象となります。
登録住宅として認められるための主な基準は以下の3点です。

  • 🏗️ 耐震性を有すること(旧耐震の場合は耐震性を証明する書類が必要)
  • 📐 1戸あたりの床面積が原則25㎡以上であること(約6畳×2部屋相当の広さ)
  • 💴 家賃が近隣の同種物件と均衡を失しない額であること(極端に高い設定は不可)

シェアハウスなど共同居住型住宅については、別途基準が定められており、専用居室が7㎡以上、共有部分に台所・浴室・便所・洗面設備があることなどが必要です。こちらは少し条件が異なります。
2022年12月末時点でのデータでは、登録住宅のほとんどが共同住宅(マンション・アパート)で、戸建て住宅はわずか0.1%程度しかありません。戸建てへの入居を希望する場合、選択肢が非常に限られる点は念頭に置いておきましょう。また、登録住宅の空室率は約2.3%と、既にほとんどが入居済みの状態です。空きが出た段階での応募が必要になることが多いです。
参考:セーフティネット住宅の登録基準と専用住宅の違い(墨田区資料)
住宅セーフティネット制度 専用住宅と登録住宅の違い(PDF)|墨田区

セーフティネット住宅の入居費用と家賃補助の仕組み|補助を受けるための条件とは

セーフティネット住宅に入居する際の費用は、基本的に一般の賃貸住宅と同じです。まず初期費用として、敷金礼金・初月分の家賃・共益費・管理費・家賃債務保証料がかかります。「低所得者向けだから安い」と思いがちですが、そうとは限りません。家賃の水準は物件によって異なります。
国土交通省の調査によると、全国のセーフティネット住宅の家賃は5〜8万円の帯に全体の70%以上が集中しており、東京都では6〜10万円の帯が主流です。一般の民間賃貸と大きく変わらない水準です。
ただし、条件が揃えば家賃補助を受けることができます。家賃補助(家賃低廉化補助)の対象になるためには、以下の2つの条件をどちらも満たす必要があります。

  • ✅ 入居者の政令月収が15万8,000円以下の低額所得世帯であること
  • ✅ 入居する住宅が「専用住宅(住宅確保要配慮者専用)」として登録されていること

補助の内容は、国と自治体が1/2ずつ負担し、家賃を最大月4万円まで減額できる仕組みです。たとえば、東京都墨田区の制度では原則「月2万円×最長20年間」の家賃減額が受けられ、子育て世帯・ひとり親世帯については「月4万円×最長10年間」に引き上げられています。20年にわたって毎月2万円の補助が受けられるなら、総額で480万円にのぼる計算です。これは見逃せない金額です。
さらに、連帯保証人を用意できない場合でも心配は不要です。国が登録している適正な家賃債務保証業者を利用できます。2025年10月の法改正で「認定家賃債務保証業者」制度が創設され、住宅確保要配慮者でも保証を断られにくくなりました。保証料の補助が受けられる自治体もあります。
補助内容や実施の有無は自治体によって異なるため、居住地の窓口や居住支援協議会への問い合わせが確実です。まずは手続き前に確認することをおすすめします。
参考:家賃低廉化補助の詳細制度(損保ジャパン総合研究所)
本格的な家賃補助制度の導入に向けて~住居確保給付金や家賃低廉化補助の現状と課題~|損保ジャパン総合研究所

セーフティネット住宅の探し方と申請手順|物件の見つけ方から入居までの流れ

セーフティネット住宅への入居を検討しているなら、まず物件の探し方から押さえておきましょう。探し方にはいくつかの手段があります。
最も手軽なのは、国土交通省が運営する「セーフティネット住宅情報提供システム」(Webサービス)を使う方法です。全国の登録物件を、都道府県・市区町村・家賃・間取り・受け入れ対象者の属性などで絞り込んで検索できます。2026年現在、全国で約96万戸以上が登録されており、お住まいの地域の物件を比較的簡単に調べることができます。

  • 🔍 セーフティネット住宅情報提供システム:PCやスマホで無料検索可能
  • 🏢 地域の居住支援法人・居住支援協議会:入居相談・物件紹介・見守りサービスなど総合的なサポートを提供
  • 🏡 一般の不動産仲介会社:セーフティネット住宅の仲介も可能

物件を探す際に一つ知っておきたい点があります。登録住宅は「すべての住宅確保要配慮者を受け入れる」と決まっているわけではありません。大家が受け入れ対象を「高齢者限定」「子育て世帯のみ」などと限定して登録することも認められています。自分の属性に合った物件を選ぶ必要がある点に注意しましょう。
入居までの一般的な流れは次のとおりです。

  1. 📋 情報収集:セーフティネット住宅情報提供システムや居住支援法人への相談
  2. 🏠 物件見学:間取り・設備・立地・周辺環境の確認
  3. 📝 入居審査・契約:重要事項説明を受け、初期費用の支払い
  4. 🚚 引越・入居:契約締結時に入居予定日を決定

入居後に困ったことが起きた場合も、都道府県が指定する「居住支援法人」に相談できます。居住支援法人は、賃貸住宅の情報提供・入居相談・生活相談・見守りサービス・家賃債務保証の紹介など、幅広いサポートを担っています。一人で不安を抱えずに相談できる窓口があります。
参考:セーフティネット住宅情報提供システム(一般社団法人すまいづくりまちづくりセンター連合会)
セーフティネット住宅情報提供システム|物件検索

知らないと損する!セーフティネット住宅で独自の視点から見えてくる活用のコツ

制度の表面だけを見ていると見落としがちな、セーフティネット住宅の「使い方」をここでまとめます。
まず押さえたいのは、「セーフティネット住宅は低所得者専用ではない」という点です。高齢であること・子育て世帯であること・障がいを持つこと、それだけで要件を満たします。たとえば定年後に収入が減り、新で契約を断られそうな方や、保証人が立てられない単身の高齢者など、「今の住まいに不安を感じている方」こそ早めに制度を知っておく価値があります。制度を知っていれば対策できます。
次に注目したいのが、2025年10月施行の改正法で新設された「居住サポート住宅」です。これは従来のセーフティネット住宅に加え、居住支援法人による安否確認・見守り・福祉サービスへのつなぎを標準搭載した上位版の住宅です。生活保護受給者が入居する場合には住宅扶助費(家賃)の代理納付が原則化され、大家側の滞納リスクもほぼゼロになる仕組みです。今後は居住サポート住宅の普及が加速する見通しです。
また、利用できるサービスの組み合わせを把握しておくことが重要です。セーフティネット住宅に入居しながら、「住居確保給付金」(離職等で困窮した際に最長9か月間家賃相当額を支給する制度)を組み合わせることができる場合があります。ただし、すみだセーフティネット住宅の例のように、住宅扶助や住居確保給付金を受給中は家賃補助との重複が認められないケースもあります。二重受給にならないよう、事前に福祉担当窓口や居住支援法人に確認が必要です。
さらに、物件探しで気をつけたいのが「空室率の低さ」です。前述のとおり、登録住宅の空室率は約2.3%と非常に低く、希望の物件がすぐに見つかるとは限りません。「急に住まいが必要になってから探す」では間に合わないケースもあります。今すぐ入居の必要がなくても、地域の居住支援法人や居住支援協議会に事前に相談・登録しておくことで、空きが出た際に連絡を受けやすくなります。準備が早いほど有利です。
最後に、セーフティネット住宅の物件の質についても知っておきましょう。空き家や古い賃貸住宅が活用されているケースが多く、「築年数が古い」「駅から遠い」「設備が共用」といったデメリットが生じることがあります。一方で、URや東京都住宅供給公社(JKK)などの公的住宅がセーフティネット住宅として登録されているケースもあり、こうした物件は設備が充実していて生活しやすいです。検索システムで物件ごとの詳細を確認し、見学したうえで判断することをおすすめします。
参考:改正住宅セーフティネット法の内容と居住サポート住宅制度(全日本不動産協会)
令和7年秋頃に改正住宅セーフティネット法が施行|全日本不動産協会

住宅セーフティネット法改正法〔令和6年〕―法律・新旧対照条文等 (重要法令シリーズ)