leed認証とスターバックスの環境配慮型店舗への取り組み

leed認証とスターバックスが実現する環境配慮型店舗の全貌

スターバックスのコーヒーを飲むだけで、あなたはCO2削減に30%貢献できています。

この記事の3つのポイント
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日本初・世界初のLEED認証を取得

2010年、福岡大濠公園店が小売店舗として日本初、かつ新築カテゴリーで世界中のスターバックス約16,800店舗の中で初めてLEED認証を取得しました。

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LEED認証からGreener Storesへ進化

スターバックスはLEED認証で培ったノウハウをベースに、WWFと共同でより包括的な独自フレームワーク「Greener Stores Framework」を策定。CO2排出量約30%・水使用量約20%の削減を実現しています。

2025年に省エネ大賞を受賞

スターバックス コーヒー ジャパンは「環境配慮型店の標準化と省エネ活動の実践」で2025年度省エネ大賞・省エネルギーセンター会長賞を受賞。日本2,077店舗(2025年9月末時点)で継続的な取り組みが評価されました。


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leed認証とは何か?4段階の評価システムをわかりやすく解説

LEED認証とは、米国グリーンビルディング協会(USGBC)が開発・運用する、世界で最も普及しているグリーンビルディングの国際認証制度です。「Leadership in Energy and Environmental Design」の頭文字をとったもので、建物の環境性能を第三者が客観的に評価・認証します。対象は新築・改修ビルから商業インテリア、住宅、さらには都市開発まで幅広く、エネルギー効率・水の利用・室内環境品質・使用素材・立地と交通など多岐にわたる項目でポイントを積み上げる仕組みです。
認証レベルは獲得ポイント数によって4段階に分けられます。最低ラインの「標準認証」は40〜49点、「シルバー」は50〜59点、「ゴールド」は60〜79点、そして最高位の「プラチナ」は80点以上が必要です。つまり標準認証でも全体の約4割以上の厳しい基準をクリアすることが条件です。
日本国内でのLEED認証取得件数は2024年5月時点で271件と、まだ多いとは言えません。一方、世界最多はアメリカで85,540件を超えており、日本との差はおよそ300倍以上あります。グローバルな基準に照らすと、日本の普及はまだ黎明期にあるといえます。
ただし、2010年には国内取得件数がわずか10件だったことを振り返ると、約14年で27倍以上に増加したのは注目に値します。SDGsやESG投資への関心が高まる中、今後も日本国内での取得件数は増加傾向が続くと予測されています。
| 認証レベル | 必要ポイント | 特徴 |
|—|—|—|
| 標準認証 | 40〜49点 | 環境性能の基礎を証明 |
| シルバー | 50〜59点 | 省エネ・節水に本格対応 |
| ゴールド | 60〜79点 | 高水準の環境配慮を実現 |
| プラチナ | 80点以上 | 最高水準の環境性能 |
環境に配慮した建物を選ぶ基準として使えます。

LEED認証取得にはメリットとデメリットの両面があります。メリットとしては、エネルギーコストの削減(ランニングコスト低減)、従業員や利用者の快適性・満足度の向上、そして企業のブランド価値・不動産価値の向上が挙げられます。一方デメリットは、初期費用の増大と、認証手続きの複雑さです。環境配慮設備の導入コストが通常建物より2〜5%程度高くなるケースもありますが、長期的なランニングコストの削減で回収できる可能性が高いとされています。

LEED認証の詳細な評価基準については、Green Building Japan(非営利団体、米国グリーンビルディング協会の日本パートナー)の公式情報が参考になります。
LEED認証の評価基準・種類の詳細(H3「leed認証とは何か」の参考資料として)
LEEDとは | Green Building Japan

leed認証 スターバックス日本初取得の舞台裏——福岡大濠公園店と京都リサーチパーク店

2010年12月15日、スターバックス コーヒー ジャパンは、小売店舗として日本初となるLEED認証取得を発表しました。対象となったのは「福岡大濠公園店」と「京都リサーチパーク店」の2店舗です。とりわけ福岡大濠公園店は、新築カテゴリーにおいて全世界16,800店舗以上あるスターバックスの中で初めてとなる認証取得であり、世界的に見ても歴史的な快挙でした。
福岡大濠公園店が「世界初」となった背景には、スターバックスが環境負荷の低減を最初から設計に組み込んだ点があります。屋根に降った雨水をタンクに貯蔵してトイレ洗浄や植栽の水やりに再利用し、再生木材のルーバーを窓外に設けて自然光を確保しながら余分な日射熱を遮断。LEDや調光システムを採用した省電力照明を導入するほか、敷地内にコンポストを設置してコーヒー豆かすを堆肥化し、大濠公園の肥料として提供するという地域循環型の取り組みまで行っています。また、九州産のFSC認証木材(森林管理協議会が認定する持続可能な管理林材)を内装に採用し、地元の林業振興にも貢献しています。
一方、京都リサーチパーク店は商業インテリアカテゴリーでLEEDシルバー認証を取得しました。2004年のオープン後、2010年に改装した際に環境配慮設計を多数導入したのが取得のきっかけです。ソーラーパネルによる再生可能エネルギーの導入、ガスを使った自家発電で電力の一部をまかなうコージェネレーションシステム(発電時の廃熱を冬場の外部席の保温にも活用)など、より高度な技術が組み込まれています。客席の75%以上で自然光を確保するという設計も特徴的です。
つまり2店舗合計で「新築」と「改装(商業インテリア)」の両カテゴリーを日本初で達成したということです。
スターバックスはこの2店舗の認証取得を単なる「環境のアピール」にとどめず、その後の全国展開のモデルケースとして活用しました。各店舗には「グリーンブック」が置かれ、その店舗固有の環境配慮の取り組みをお客様に説明する仕組みを整備しています。このグリーンブックの装丁には、スターバックスの店舗で実際に使用済みのグリーンエプロンを再利用しているというこだわりも見られます。

環境省によるテナントの環境取り組み事例としてもスターバックスの取り組みは掲載されており、官公庁レベルでも評価されています。
環境省によるスターバックスのLEED認証取得事例の詳細(H3「日本初取得の舞台裏」の参考資料として)
テナントによる取組み事例 スターバックスコーヒー ジャパン | 環境省

leed認証を超えた独自戦略——Greener Stores Frameworkとは何が違うのか

スターバックスはLEED認証を活用しながらも、2018年には独自の新しい認証フレームワーク「Greener Stores Framework(グリーナー ストアーズ フレームワーク)」を発表しました。これはスターバックスと世界自然保護基金(WWF)が共同で策定し、SCS Global Servicesが第三者監査・認証を行う仕組みです。
なぜスターバックスはLEED認証だけでは不十分と判断したのでしょうか?
理由は2つあります。第一に、LEED認証は主に「建物の設計・建設段階」を評価するのに対し、Greener Stores Frameworkは店舗の「長期的な運用・運営段階」も含む包括的な評価を行う点で異なります。第二に、このフレームワークをオープンソース化することで、スターバックス以外の小売業者も参加できる業界全体の標準として広めることを意図しているためです。スターバックスは自社の競争優位性を超えて、業界全体のサステナビリティ底上げに貢献する姿勢を示しています。
Greener Stores Frameworkには以下の8つの基準があります。
– 🌱 エンゲージメント:環境知識を持つパートナー(従業員)育成
– ⚡ エネルギー効率:省エネ設備・地域特性に合わせた設計
– 💧 水の管理:センサー式節水水栓など節水型機器の導入
– 🌲 責任ある素材の調達:トレーサビリティのある国産木材や健康配慮素材
– ♻️ 廃棄物の削減:4分類のごみ分別とリサイクル推進
– ☀️ 再生可能エネルギー:太陽光・水力・バイオマスなど地域特性に合わせた電力選択
– 🏙️ 立地基準:植栽によるヒートアイランド対策など
– 😊 ヘルス&ウェルビーイング:音環境・照明など快適空間の設計
これが基本です。
Greener Stores Frameworkを満たした店舗(グリーナーストア)は、2010年のLEED認証取得前の従来店舗と比較してCO2排出量を約30%、水の使用量を約20%削減できます。日本での1号店は2021年12月オープンの「皇居外苑 和田倉噴水公園店」で、2023年12月末時点で国内認証店舗は101店舗に達しました。2022年10月以降にオープンした国内新店舗のほとんどがこの基準を満たすように設計されています。
水の管理の好例が「小さな発電所」と呼ばれる手洗い水栓です。センサーに手をかざすと水が出て、その水が落ちる力で発電し、さらにその電力で水を出す仕組みになっています。利用者が意識しなくても自然と節水できるように設計されています。これは使えそうです。

スターバックスとWWFが共同策定したGreener Stores Frameworkの詳細はスターバックス公式ストーリーズに掲載されています。
Greener Stores Frameworkの概要・8つの基準の詳細(H3「独自戦略」の参考資料として)
スターバックスの持続可能な店舗設計 環境に優しいグリーナーストアとは | STARBUCKS STORIES JAPAN

leed認証取得がスターバックスにもたらした経済的メリット——光熱費5,000万ドル削減の仕組み

環境への取り組みというと「コストがかかる」というイメージを持つ人も少なくありません。しかしスターバックスの事例は、その常識を覆しています。
スターバックスは2018年のGreener Stores Framework発表時に、このフレームワークの導入によって向こう10年間で5,000万ドル(約75億円)の光熱費削減が見込まれると公表しました。それだけではなく、すでにそれ以前の10年間で年間約3,000万ドル(約45億円)相当の光熱費削減をLEED認証や省エネ取り組みを通じて実現していたことも明かしています。
環境への投資は長期的に見ると、むしろコスト削減に直結するということです。
日本でも具体的な成果が出ています。スターバックス コーヒー ジャパンは2025年度の省エネ大賞(一般財団法人 省エネルギーセンター主催)の省エネ事例部門で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。受賞のポイントとなったのは、独自のデータ解析によるエネルギー使用量削減です。全グリーナーストアに電力使用量計測器を設置し、10分間隔でデータを収集・本社に集約。そのデータをもとに空調容量の過剰設計を見直したり、空調室外機のショートサーキット(吹き出し空気が再び吸い込まれる非効率な現象)を改善したり、朝の開店準備時に機器を時間差で起動させることで電力ピーク負荷を下げるなど、緻密な最適化を行った点が評価されました。
| 取り組み内容 | 効果 |
|—|—|
| 空調容量の設計基準見直し | 設備コスト削減・省エネ効率向上 |
| 室外機ショートサーキット対策 | 空調効率改善 |
| 機器の時間差起動設定 | 電力ピーク負荷の低減 |
| CO2排出量削減(従来比) | 約30%削減 |
| 水の使用量削減(従来比) | 約20%削減 |
痛いですね、逆に言えば「何も対策しないとこれだけ無駄が出ている」ということでもあります。
こうした省エネ実績は単なる環境貢献にとどまらず、建設コスト削減・光熱費削減という経営上の直接利益につながっています。LEED認証取得で培ったデータ収集・分析のノウハウが、10年以上後の今も継続して経営効率向上に貢献しているといえます。

スターバックスの2025年度省エネ大賞受賞の詳細はプレスリリースで確認できます。
省エネ大賞受賞の詳細・具体的な省エネ施策の内容(H3「経済的メリット」の参考資料として)
「環境配慮型店の標準化と省エネ活動の実践」が「2025年度 省エネ大賞」を受賞 | PR TIMES

leed認証×スターバックスから学ぶ——環境配慮型店舗を「選ぶ」という新しい消費行動

スターバックスがLEED認証・Greener Stores Frameworkで実践してきたことは、単なる「企業のCSR活動」ではなく、お客様の消費行動そのものにも関係しています。今や環境配慮型店舗かどうかが、お店選びの新しい判断軸になりつつあります。
グリーナーストアを訪れるとき、どのような点に着目すれば取り組みの深さを実感できるでしょうか?
まず注目したいのが店舗の素材です。国産のFSC認証木材、コーヒー豆かすをリサイクルした壁材、使用済みグリーンエプロンを再利用したグリーンブックの装丁など、「廃棄ゼロ」に向けた工が至るところに埋め込まれています。次に、手洗い水栓や照明の仕組みにも目を向けてみましょう。発電機能を持つセンサー水栓や、客席の用途に合わせて調整された照明設計は、快適性と省エネを両立するためのアイデアがつまっています。
また、一部の店舗では屋根に太陽光パネルが設置されており、店舗の電力の一部を賄うだけでなく、災害時の非常用電源としても機能します。地域の特性に合った再生可能エネルギー(水力・バイオマス・地熱)を選択している店舗もあり、地域貢献の視点が組み込まれています。
スターバックスの取り組みの中で特にユニークなのが、「Greener Apron(グリーナー エプロン)プログラム」です。アリゾナ州立大学との連携で提供されるオンライン教育プログラムで、世界33万人のパートナー(従業員)が気候変動・環境保護について学ぶ機会が提供されています。スタッフ一人ひとりが環境の意義を理解して、お客様に自分の言葉で説明できる状態を目指している点が、表面的なエコキャンペーンとは一線を画しています。
現在、日本では2,105店舗(うちライセンス店舗200店舗)が展開されており、2022年10月以降の新店舗のほとんどがGreener Storesの基準を満たして設計・建設されています。つまり近年オープンした新しいスターバックスを訪れるたびに、LEED認証を出発点とした環境技術の積み重ねの恩恵を受けているということです。
「グリーナーストアってどこにあるの?」という疑問には、公式サイトや「スタバ巡りの旅」などのファンサイトにまとめられた店舗一覧が参考になります。実際に足を運んで店内の設計や素材を観察するのも、サステナビリティを学ぶ実践的な方法のひとつです。
スターバックスがLEED認証を起点にして積み重ねてきた取り組みは「CO2排出量30%削減」「水使用量20%削減」という数字だけでなく、消費者・従業員・地域をつなぐ環境への共感を生み出すものでもあります。環境配慮型店舗を「選ぶ」という行動が、持続可能な社会への貢献につながることを、スターバックスは実践を通じて示し続けています。

スターバックスのLEED認証取得からGreener Stores Frameworkへの取り組みの全体像は、公式プレスリリースで詳しく確認できます。
日本初のLEED認証取得発表の一次資料(H3「消費行動」の参考資料として)
優れた環境性能のデザインや建築を評価するLEED認証を取得 | スターバックス コーヒー ジャパン