breeam認証、日本での取得手順とメリット完全ガイド

breeam認証を日本で取得する方法とメリット・デメリット

BREEAM認証を持たないビルは、近い将来テナントに選ばれなくなります。

📋 この記事の3ポイント要約
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BREEAM認証とは何か?

英国BREが1990年に開発した世界最古の建物環境認証。日本での認証物件は2023年時点でわずか7件(物流施設のみ)と極めて希少。

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取得するとどうなる?

ロンドン調査でOutstanding評価物件は賃料が市場比4〜11%高く、竣工前予約契約率100%を達成。日本でもESG投資家から高評価を受ける。

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日本での普及状況と注意点

全グリーンビルディング認証の90%超はCASBEEとDBJが占め、BREEAMは少数派。しかしGRESBや外資系テナント獲得では国際認証の優位性が高い。


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BREEAM認証とは?日本語でわかる基本概念と評価基準

設立から30年以上が経過した現在、BREEAMは世界93か国で有効な認証件数が34,245件(2023年6月時点)に達しており、グローバルな建物評価の標準として機能しています。これはアメリカ発のLEED認証と並ぶ、国際的に最も影響力のある建物評価制度のひとつです。
つまり「英国の認証制度」という印象がありますが、実際には世界中で使えます。
評価は主に以下10のカテゴリーで構成され、それぞれにポイントと重み係数が設定されています。

評価カテゴリー 概要
🔋 エネルギー 省エネ設計、再生可能エネルギーの活用
💧 水 節水設計、雨水・再利用水の活用
🏗 材料 持続可能な建材の選定、廃棄物管理
🌱 土地利用と生態系 開発が生態系に与える影響、緑地保護
😊 健康と快適性 室内空気質、自然光、音環境
🚌 交通 公共交通アクセス、自転車設備
♻️ 廃棄物 建設廃棄物の削減・管理
⚙️ 管理 運用管理計画、コミッショニング
🌊 環境(汚染) 大気・水質・土壌汚染の防止
💡 イノベーション 先進的な技術・取り組みの加点

これらのポイントを集計し、認証ランクはPass・Good・Very Good・Excellent・Outstandingの5段階で決まります。認証レベルによっては、クリアすべき「最低基準」が個別に設けられている評価項目もある点が特徴です。
評価対象は新築・既存・改修と幅広く、住宅から大型物流施設、インフラ開発プロジェクトまでほぼあらゆる建物に適用できます。有効期限はIn-Use(既存建物向け)が3年間、New Construction(新築)では特に定められていません。
これが基本です。
BREEAM認証の評価項目・取得プロセス詳細(ヴォンエルフ社)

日本でのBREEAM認証の取得状況と物流施設への集中という実態

日本でBREEAM認証がどれほど普及しているか、正確な数字を知ると少し驚くかもしれません。
2023年6月時点で、日本国内で有効なBREEAM認証物件はわずか7件、しかもそのすべてが物流施設です。世界全体では93か国・34,245件に及ぶ普及状況と比較すると、日本のシェアは約0.02%という極めて限定的な状況にあります。
これは意外ですね。
なぜ日本でBREEAMがこれほど少ないかには、明確な理由があります。日本には独自の環境認証制度が複数存在するためです。JLL日本の調査(2021年データ)によれば、日本の不動産ファンドによる保有物件に対して海外投資家向けの報告義務が求められるケースが多かったことがあります。プロロジスなどのグローバル物流不動産企業が主体となり、国際的な基準であるBREEAMを採用してきた歴史があるのです。
この傾向は注目すべき点です。
日本でのBREEAM認証件数と世界の普及状況(日建設計総合研究所)

BREEAM認証の取得手順と日本で取得する際のポイント

BREEAMの取得プロセスは、国内のCASBEEやDBJ Green Buildingとは構造が異なります。最大の特徴は「BREEAMアセッサー(Assessor)」と呼ばれる資格を持つ第三者評価者が評価を担い、英国BRE Global による品質監査(QA)を経て認証が付与される点です。
取得の大まかな流れは以下の通りです。

  1. 🔍 プロジェクト登録:BREEAMアセッサーを通じて案件をBREグループに登録する。アセッサーの確保が最初のステップです。
  2. 📝 設計・計画段階の評価(Design Stage):新築の場合、設計段階でアセッサーが各評価項目をレビューし、仮評価を行います。
  3. 🏗 竣工後の最終評価(Post Construction Review):竣工後に実際の建物仕様と施工を確認し、最終スコアを確定します。
  4. BRE GlobalによるQA(品質監査):アセッサーの評価結果をBRE Globalが審査し、認証マークを付与します。

既存建物向けのBREEAM In-Useの場合は、建物資産(Part 1)と管理運営(Part 2)の2パートに分けて評価が行われ、認証有効期間は3年間となっています。
費用については、コンサルティングフィー・プロジェクト登録費用・審査費用の3つが必要になります。国内のCASBEE認証の申請費が60万円程度であるのに対し、BREEAMは規模や対象によって費用が変動します。延床面積や用途によって審査費が異なり、コンサルティングフィーを含めると数百万円規模になるケースも珍しくありません。
費用面は事前確認が必須です。
日本でBREEAM取得を検討する際の最も大きな課題のひとつが「アセッサーの確保」です。現時点で国内にBREEAMアセッサーの有資格者を抱えるコンサルティング会社は非常に限られており、英語でのドキュメント対応が求められる場面も多くなります。この点が、国内認証と比べて難易度が上がる要因のひとつとなっています。
国内グリーンビルディング認証の取得費用・期間を比較した解説記事

BREEAM認証とCASBEE・LEEDの違い:日本の不動産オーナーが知るべき選択基準

グリーンビルディング認証を検討する際に多くの方が迷うのが「BREEAMとCASBEE、どちらを選ぶべきか」という問いです。それぞれの認証には目的や設計思想の違いがあり、どちらが優れているという話ではありません。
CASBEEは2001年に国土交通省の支援を受けて開発された日本独自の認証制度で、2023年6月末時点で累計2,324件の認証実績を持ちます。省エネルギー性能、室内快適性、景観配慮など多岐にわたる観点から建物を評価し、申請費は約60万円、期間は約2か月が目安です。日本語で完結する申請フローと国内への適合性の高さが強みです。
LEEDはアメリカのUSGBC(米国グリーンビルディング協会)が運営する国際的な認証で、プラチナ・ゴールド・シルバー・認証の4ランク制です。日本でもオフィスビルやデータセンターを中心に取得事例が増えており、外資系企業のテナント誘致で有効です。
BREEAMとの比較を整理すると以下の通りです。

比較項目 BREEAM CASBEE LEED
発祥 🇬🇧 英国(1990年) 🇯🇵 日本(2001年) 🇺🇸 米国(1998年)
評価ランク 5段階(Pass〜Outstanding) 5段階(C〜S) 4段階(認証〜プラチナ)
日本語対応 △(英語主体) ◎(日本語完結) △(英語主体)
国際的認知 ◎ 欧州特に強い 〇 アジア圏 ◎ 米国・グローバル
対象建物 新築・既存・改修・インフラ 新築・既存・街区等 新築・既存・インテリア等
有効期限 In-Use:3年、新築:なし 3年 5年(LEED-EBOM)

どの認証を選ぶべきかは、建物の用途・テナント層・投資家の出身国によって異なります。欧州系の投資ファンドがオーナーである場合や、欧州系の企業をテナントとして誘致したい場合は、BREEAMの優位性が高くなります。一方、国内のJ-REITやGRESBへの対応が中心であれば、CASBEEやDBJ Green Buildingで十分なケースも多くあります。
結論は「テナント・投資家・マーケット次第」です。

BREEAM認証がESG投資とグリーンボンドに与える影響:日本市場での経済的価値

BREEAM認証を取得することの経済的な意義は、単なる「環境への配慮」にとどまりません。不動産の収益性・資産価値・資金調達コストに直接影響を与える、財務的なツールとしての側面が強まっています。
JLLが2020年にロンドン中心部で実施した調査では、BREEAM最上位の「Outstanding」評価を取得したオフィスビルは市場全体と比較して4〜11%の賃料プレミアムを記録しました。さらに標準的な物件の竣工前予約契約率が50%だったのに対し、Outstanding物件は100%の竣工前予約契約を達成しています。これはつまり、建物が完成する前に全テナントが埋まってしまうという状況です。
これは使えそうです。
ESG投資の観点でもBREEAMは重要な役割を担っています。GRESB(Global Real Estate Sustainability Benchmark)は不動産・インフラ分野のESGを測る世界的な評価ツールで、2021年時点でJ-REIT市場の98.6%がGRESBに参加しています。GRESBスコアを向上させるための要件のひとつとして、グリーンビルディング認証の取得が明確に位置づけられており、BREEAMはその有力な選択肢になります。
グリーンボンド(環境債)への活用も注目されています。JCR(日本格付研究所)は2026年1月付けの評価において、BREEAM認証(Very Good以上)を取得したグリーンビルディングの取得を「グリーンボンドの資金使途として適切」と評価しており、BREEAMが金融機関からの信用を得るための根拠として機能しています。
認証を持たない物件が抱えるリスクも見逃せません。ESGへの対応が当たり前になりつつある不動産市場では、グリーンビルディング認証を持たない物件が「ブラウンディスカウント(Brown Discount)」として評価を下げられ、売却時の価格や賃料収入に影響が出る「座礁資産化」のリスクが指摘されています。
不動産は資産価値を守ることが条件です。
国内でも三菱地所がBREEAM Outstanding(最高評価)を取得した物件を保有するなど、大手不動産会社が国際認証の取得を進めています。産業ファンド投資法人(IIF)は「物流施設の認証取得割合70%以上(2025年目標)」をKPIに掲げ、BREEAM In-Use認証をその達成手段のひとつに位置づけています。
JLL調査:日本のグリーンビルディング認証取得件数とBREEAMの位置づけ
JCR(日本格付研究所):BREEAMとグリーンボンドの資金使途適合評価(2026年1月)

日本でBREEAM認証を取得するために知っておくべき独自の課題と対策

日本での普及が限定的であることには、いくつかの構造的な理由があります。この課題を理解することが、取得計画の失敗を防ぐ第一歩です。
まず、アセッサーの絶対数が少ない点が最大のボトルネックです。BREEAMの評価は必ずBREEAMアセッサー資格を持つ専門家が担当します。国内でBREEAMアセッサーを有するコンサルティング会社はまだ非常に少数で、プロジェクトのパートナー選定に時間がかかるケースがあります。まず国内のBREEAMアセッサー保有会社(例:ヴォンエルフ等)に事前相談することを起点とするのが現実的です。
次に、評価ドキュメントの英語対応という課題があります。BREEAMは英国BRE Globalが管理する国際的な制度のため、評価書類の多くは英語で作成・提出する必要があります。国内の建設会社や設計事務所がBREEAMに不慣れなケースも多く、設計段階から「BREEAMを取る」という前提でチームを組む必要があります。
チームの選定が肝心です。
また、日本の建築基準との整合性も考慮が必要です。BREEAMの評価項目の一部、特に交通アクセスや緑地評価などは、都市構造が英国とは大きく異なる日本では要件の解釈に注意が必要な場合があります。経験豊富なBREEAMアセッサーは日本特有の状況への対応ノウハウを持っているため、事前のフィージビリティ(実現可能性)評価を依頼することが重要です。
コスト面では、国内認証と比べて費用感が異なります。CASBEEやDBJ Green Buildingが申請費60万円程度で取得できるのに対し、BREEAMはコンサルティングフィーを含めると数百万円規模になる可能性があります。一方で、外資系テナントや欧州系投資家向けの物件では、認証取得にかかるコストを賃料プレミアムや資産価値の上昇で回収できるケースもあります。
コストと効果の試算が条件です。
取得を検討している方にとって最も有効なアクションは、まず国内コンサルティング会社による「フィージビリティスタディ(実現可能性調査)」を依頼することです。現在の建物の性能でどのランクが狙えるか、どの評価項目に追加投資が必要かを数値で把握することで、費用対効果の判断が明確になります。
産業ファンド投資法人(IIF)サステナビリティレポート2025:J-REIT初のBREEAM In-Use取得事例