固定資産税の評価替えはいつ?時期と仕組みを徹底解説

固定資産税の評価替えはいつ?時期・仕組み・対応策

評価替えの年に何もしなければ、本来より高い税額を3年間払い続ける可能性があります。

📋 この記事の3つのポイント
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評価替えは3年ごと・次回は2027年

固定資産税の評価替えは3年に一度、基準年度に実施されます。直近は2024年(令和6年)で、次回は2027年(令和9年)です。

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評価額に不服があれば審査申出が必要

評価額に納得できない場合、納税通知書を受け取った翌日から3ヶ月以内に固定資産評価審査委員会へ審査申出を行う必要があります。期限を過ぎると異議申立ができなくなります。

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評価替え年以外でも変動することがある

新築・増改築・地目変更などが発生した場合は、基準年度以外でも評価額が見直されます。評価替え=3年固定とは限らない点に注意が必要です。

固定資産税の評価替えとは?基準年度・評価額の基本的な仕組み

 

固定資産税の評価替えとは、土地・家屋の価格(評価額)を見直す作業のことです。評価額は毎年変わるわけではなく、原則として3年に一度、「基準年度」と呼ばれる年に一斉に改定されます。

この仕組みは地方税法第409条に定められており、全国すべての市区町村が同じサイクルで評価替えを実施します。つまり、3年固定が原則です。

直近の基準年度は2024年(令和6年)で、その前は2021年(令和3年)、さらに前は2018年(平成30年)でした。次の基準年度は2027年(令和9年)になります。不動産従事者であれば、このサイクルを手帳やカレンダーに書き込んでおくだけで、顧客への説明がスムーズになります。

評価額は「適正な時価」を基準として算出されます。土地であれば地価公示価格の約70%水準が目安とされており、「7割評価」と呼ばれることもあります。家屋については、同じ建物を評価時点で新たに建築した場合の費用(再建築価格)をベースに、経年劣化による減点補正を加えた金額が評価額になります。

たとえば、再建築価格が3,000万円の家屋で経年減点補正率が0.7だった場合、評価額は約2,100万円になります。税率はこの評価額に1.4%を掛けた額が課税標準額(軽減措置適用前)となるため、評価額が上がれば税額も上がる関係にあります。

評価額が基本です。まずこの金額を正確に把握することが、税額管理の出発点になります。

総務省|固定資産税(土地・家屋)の評価・課税のしくみ(公式)

固定資産税の評価替えはいつ行われる?2024年・2027年と評価額通知の時期

評価替えが「いつ」行われるかは、2段階に分けて理解するとわかりやすいです。

まず「評価額の算定作業」は、基準年度の前年(2026年なら2025年)から市区町村が地価調査などを行い、翌年の評価額を積み上げていきます。一般の納税者がこの作業を直接目にする機会はほとんどありません。

次に「評価額の通知」は、毎年4月〜5月頃に市区町村から送付される「固定資産税納税通知書」の中に同封される「課税明細書」で確認できます。基準年度(2024年・2027年など)はこの課税明細書に新しい評価額が記載されます。

注意したいのは、4月の納税通知書が届く前に評価額を確認できる「縦覧制度」が存在する点です。毎年4月1日から最初の納期限(通常4月末〜5月末)までの間、縦覧帳簿を市区町村の窓口で閲覧できます。これを利用すれば、税額を確認する前に評価額の妥当性をチェックできます。

縦覧は無料です。基準年度には特に活用する価値があります。

さらに一歩進めて確認したい場合、「固定資産課税台帳の閲覧制度」も利用できます。こちらは自分の所有物件だけでなく、借地・借家権者も閲覧可能です。閲覧できる期間は市区町村によって異なりますが、概ね4月〜7月頃が多い傾向にあります。閲覧料は数百円程度(1件あたり200〜300円程度が相場)かかることが多いため、事前に各自治体へ確認するのが確実です。

東京都主税局|固定資産税の縦覧制度・閲覧制度(概要と手続き)

評価替えの年以外でも評価額が変わる?土地・家屋の例外的な見直しケース

「3年ごとにしか変わらない」と思い込んでいると、思わぬ場面で顧客に誤情報を伝えてしまうことがあります。これは要注意です。

基準年度以外でも評価額が見直されるケースは、主に以下の場合に発生します。

  • 🏗️ 新築・増改築が完了した場合:新たに建物が完成または大規模改修が行われると、翌年度から新しい評価額で課税が始まります。
  • 🌾 地目変があった場合:農地から宅地への転用など、地目が変わると評価額の算定方法が変わります。
  • 🔨 家屋の一部取り壊しがあった場合床面積が減少すれば評価額も変動します。
  • 🏚️ 著しく価値が低下した場合:地価が急落したエリアや、災害等で損傷した建物は、基準年度以外でも評価の見直しが認められることがあります(地方税法第349条の2)。

特に新築住宅の場合、完成から最初に課税される年度が基準年度でない場合も多く、「新築なのになぜ評価替えの恩恵を受けないのか?」という顧客からの疑問に答えられるようにしておく必要があります。

つまり、評価替えと評価見直しは別物です。この違いを整理しておくだけで、顧客説明の質が大きく変わります。

また土地については、「地価下落修正」という制度があり、基準年度の翌年・翌々年に地価が下落した場合、評価額を修正(据え置きではなく引き下げ)することが認められています。これは地方税法第349条で規定されており、市区町村の判断によりますが、地価が急落した地域では実際に適用された事例があります。

総務省|固定資産の評価替えに関する参考資料(令和6年度版・PDF)

固定資産税の評価額に不服がある場合の審査申出・不服申立の手順と期限

評価額が高すぎると感じたとき、ただ払い続けるしか選択肢はありません——そんなことはありません。正式な不服申立の手続きがあります。

固定資産評価に不服がある場合は、「固定資産評価審査委員会」への審査申出が最初のステップです。この委員会は各市区町村(東京都は都)に設置されており、第三者的な立場で評価の妥当性を審査します。

審査申出ができるのは、原則として「基準年度」のみです。基準年度以外の年度に評価が変わった場合(前のセクションで説明した例外ケース)は、その変更があった年度にも申出が可能です。

期限は厳守です。納税通知書の交付を受けた日の翌日から起算して3ヶ月以内が申出期限になります(地方税法第432条)。この期間を1日でも過ぎると、原則として受け付けてもらえません。

審査申出の流れをまとめると、以下のようになります。

  1. 📄 納税通知書(課税明細書)を受け取り、評価額を確認する
  2. 🔍 縦覧や閲覧制度を使って、近隣の評価額と比較・検討する
  3. 📝 固定資産評価審査委員会に審査申出書を提出する(期限:3ヶ月以内)
  4. 🏛️ 委員会の審査・決定を受ける(口頭審理の申請も可能)
  5. ⚖️ 委員会の決定に不服がある場合は、行政不服申立または取消訴訟へ

審査申出が認められると、評価額が引き下げられ、過去の税額との差額が還付されることがあります。市区町村によっては還付加算金(年利1.6%程度、令和6年度時点)も加算されます。

申出書の書式は各市区町村の窓口またはウェブサイトで入手できます。証拠資料として、不動産鑑定評価書や近隣取引事例などを添付すると審査の精度が上がります。不動産従事者として依頼者を支援する立場であれば、この手続きの概要を把握しておくことが顧客満足につながります。

東京都主税局|固定資産評価審査委員会への審査申出について

固定資産税の評価替えが不動産取引・価格査定に与える影響と実務的な活用法

評価替えの年は、不動産市場全体に緊張感が走ります。これは実務を知る人だけが感じる感覚です。

売買取引への影響という観点では、評価額が上がれば登録免許税不動産取得税の課税標準額も上昇するため、買主の諸費用負担が増えます。たとえば、評価額が1,000万円から1,200万円に改定された場合、登録免許税(住宅用建物の所有権移転:税率2%)だけで4万円の差が出ます。

これは見過ごせない金額ですね。

査定業務への応用としては、路線価・地価公示価格・固定資産税評価額の三者を比較することで、その物件の「価格水準の位置づけ」が立体的に把握できます。評価替えの年には路線価も同時に改定されることが多く(路線価は毎年7月公示)、評価替え直後の路線価と評価額の乖離幅を確認することは、価格査定の根拠として有効です。

一般的に土地の固定資産税評価額は地価公示価格の約70%水準に設定されています。この関係式を使えば、固定資産税評価額から公示価格相当額を逆算でき、簡易的な時価推計ツールとして機能します。

$$\text{公示価格相当額} \approx \frac{\text{固定資産税評価額}}{0.7}$$

たとえば固定資産税評価額が2,100万円の土地なら、公示価格相当額は約3,000万円と推計できます。あくまで目安ですが、顧客への概算説明には使えます。

また、評価替えの時期は固定資産税を物件比較の材料として使う好機でもあります。同じエリアの類似物件と評価額を比較し、著しく高い物件があれば前述の審査申出を勧めるという流れも、付加価値の高いサービスとして提供できます。

評価替えを「ただのコスト増」と見るか、「顧客へのサービス機会」と見るかで、不動産従事者としての差別化につながります。評価替えの年を事前にカレンダーに入れ、4月の縦覧期間に自社管理物件の評価額チェックを習慣化するだけで、見落としを防ぐ体制が整います。

国税庁|路線価図・評価倍率表(路線価と固定資産税評価額の比較に活用できる公式情報)

「固定資産の税務・会計」完全解説(第8版)