地盤保証とは地震時の補償範囲と不動産売買の注意点

地盤保証とは地震への備えの仕組みと落とし穴

地震で液状化しても、地盤保証から1円も出ないことがあります。

地盤保証と地震:3つのポイント
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地盤保証の基本

地盤保証は「不同沈下」による建物・地盤の修復費用を補償する制度。地震が原因の沈下は原則対象外。

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免責の落とし穴

傾斜角が3〜5/1000以上にならないと保証金は出ない。地震・液状化・擁壁起因はほぼ対象外。

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不動産従事者の対策

地盤保証+地震保険のセットが基本。ただし地震保険も液状化「全損」認定のハードルは高い。

地盤保証とは何か:不同沈下を補償する制度の基本

 

地盤保証とは、地盤調査地盤改良工事に基づき、建物の「不同沈下」が発生した場合に修復費用を補償する制度です。 不同沈下とは建物が不均一に沈み傾いてしまう現象で、基礎へのひび割れや窓・ドアの開閉不良、最悪の場合は建物全体の傾斜などを引き起こします。 不動産取引や新築住宅の引き渡し現場では「地盤保証10年」「20年」などの表記が増えており、施主にとっての安心材料として機能しています。zaijubiz+2

補償内容は主に以下の3つです。

参考)地盤保証は必要?制度の仕組みや保証期間の違いまで解説 – 在…

  • 🏗️ 傾いた建物の修復工事費用
  • 🔧 再補強・地盤改良工事費用
  • 🏨 工事期間中の仮住まい費用(保証内容による)

保証期間は会社によって異なりますが、引き渡し日から10年が標準です。 一部では最大35年保証・1事故あたり最大5,000万円まで補償するプランも存在します。 費用は地盤調査・改良を実施した施工会社が負担するケースが多く、施主に追加費用が発生しないことが一般的です。cleverlyhome+1

保証期間と上限額は商品によって差が大きいということですね。

地盤保証と地震の関係:保証対象外になる3つの主なケース

地盤保証が地震時に「使えない」ケースは、実は3種類あります。これが不動産従事者にとって最も重要な知識です。

① 地震・液状化が原因の不同沈下は原則対象外

地震や噴火・洪水・津波などの自然災害を起因とする地盤沈下・液状化現象は、ほぼすべての地盤保証で免責事項に明記されています。 つまり、2024年の能登半島地震のような大規模地震で液状化により家が傾いても、地盤保証からは補償が一切おりません。 この事実は見落とされがちです。taiyo-co+1

② 傾斜角が基準未満だと保証金が出ない

地盤保証書の裏面には、「3/1000」「5/1000」以上の傾斜角がなければ保証対象外と記載されているケースが一般的です。 例えば、水平距離10m(約6畳の長辺くらい)に対して3〜5cmの沈下がなければ、たとえ建物が傾いていても保証金は支払われません。これは知らないと痛いですね。

参考)地盤保証の注意点!免責事項で保証対象外? – 在住ビジネス株…

③ 擁壁・非住宅は対象外

擁壁の老朽化・施工不良が原因で不同沈下が発生した場合も免責です。 また、商業施設・店舗・アパートなど非住宅用途の建物は保証対象外となる商品が多く、無保証状態のリスクがあります。

免責ケース 内容 備考
地震・液状化 自然災害起因はほぼ全商品で対象外 地震保険で別途カバーが必要
傾斜角未満 3〜5/1000以下の沈下は不支給 保証書裏面を必ず確認
擁壁・非住宅 擁壁起因・店舗・アパートは対象外 商品により異なる
第三者行為 近隣工事・盛土など予期しない外部要因 個別判断になる場合あり

つまり「地盤保証があれば地震も安心」は大きな誤解です。

地盤保証と地震保険の違い:二重保証の考え方

地震による建物損害には「地震保険」が必要で、地盤保証とは役割が全く異なります。 地震保険は火災保険の特約として付帯する公的性格の強い保険で、地震・噴火・津波による建物・家財の損害を補償します。mof.go+1

ただし、地震保険にも大きな注意点があります。支払い保険金は損害の程度によって4段階に分かれており、「一部損」では保険金額のわずか5%しか受け取れません。

参考)補償内容 – 三井住友海上の地震保険

損害区分 保険金支払い割合 適用基準(建物)
全損 100% 主要構造部の損害額が時価の50%以上
大半損 60% 主要構造部の損害額が時価の40%以上50%未満
小半損 30% 主要構造部の損害額が時価の20%以上40%未満
一部損 5% 主要構造部の損害額が時価の3%以上20%未満

さらに重大な落とし穴があります。液状化で建物が傾いた場合、地震保険で「全損」と認定されるには傾斜角1.7/100(約1°)以上が必要です。 ところが地盤保証の保証基準は5/1000(0.5/100)から。この差は約3倍以上であり、地盤保証の基準は満たすのに地震保険では「一部損」扱いにしかならないというケースが発生します。 これは意外ですね。be-enough+1

不動産の売買や建築提案の場面では、地盤保証と地震保険の両方を説明することが、信頼性につながります。どちらか一方では、地震時の「保証の穴」が生じることを覚えておきましょう。

【液状化と地盤保証・地震保険の関係について詳しく解説】傾斜角の差と保険適用の実態|be-enough.jp

地盤保証とは:不動産売買で必ず確認すべき保証書の中身

不動産取引の現場では、「地盤保証付き」というアピールがそのまま通ってしまうことがあります。しかし、保証書の免責事項を読まずに売買を進めると、後々クレームや損害賠償に発展するリスクがあります。 免責事項を確認することが原則です。

保証書で確認すべき主なポイントは以下の通りです。

  • 📄 保証期間:10年・20年・35年など商品によって異なる
  • 📐 傾斜角の免責基準:「3/1000以上」「5/1000以上」など保証書裏面に明記
  • 🏢 対象建物の用途:住宅専用か、非住宅・アパートも対象かを確認
  • 🏔️ 擁壁・盛土の扱い:高低差のある土地では特に重要
  • 🌊 液状化特約の有無:追加特約で一部カバーできる商品もある

例えばジャパンホームシールドでは「液状化10年保証」「擁壁35年保証」「地震建替10年保証」など、通常の地盤保証では対象外のリスクをカバーする追加保証オプションを提供しています。 こうした特約の存在を知っておくと、顧客への提案に厚みが出ます。

参考)地盤保証とは?必要性や仕組み、ハウスメーカー選びのポイントを…

重要事項説明の場面では、地盤保証の有無だけでなく、「どのリスクが対象外か」まで伝えることが、後日トラブルを防ぐことにつながります。保証書の内容確認が基本です。

【地盤保証の免責事項・注意点まとめ】傾斜角・擁壁・非住宅の対象外条件を解説|zaijubiz.jp

地盤保証と地震リスクに強い土地選びの独自視点:地名・地歴データ活用術

地盤保証が「地震・液状化を補償しない」以上、そもそも液状化しにくい土地を選ぶことが最大のリスクヘッジです。 この視点は、保証制度の話だけでは終わらない、不動産従事者ならではの付加価値になります。

参考)【削除覚悟】地盤改良の業界の”闇”と工事費用を抑える調査会社…

土地の地盤リスクを事前に調べる主な方法は次の通りです。

  • 🗾 地名から判断する:「田」「沼」「池」「川」「低」などが含まれる地名は低湿地・埋立地の可能性が高い
  • 📊 地盤サポートマップ・J-SHISの活用:国土交通省や防災科学技術研究所が提供する無料の地震・液状化リスクマップで対象地の危険度をチェックできる
  • 📁 旧版地形図・空中写真の確認:国土地理院のウェブサイトで過去の土地利用履歴を調べると、かつて田んぼや川だった土地かどうかが分かる
  • 🔍 地盤調査データの開示要求:売主や施工会社にSS試験(スウェーデン式サウンディング試験)の結果を見せてもらう

能登半島地震では、津波被害と並んで広範囲で液状化が確認されました。 こうした事例を踏まえると、地盤調査報告書と液状化ハザードマップの2つを組み合わせて確認するのが現実的な対応です。

参考)【地盤改良工事・地盤保証とは?】地盤の強い土地の選び方や液状…

地盤保証の内容確認と、土地の地盤リスク事前調査。この2軸を押さえておけば、不動産従事者として顧客に対する説明責任を果たせます。液状化リスクの高い地域では、追加の地震保険・液状化特約の提案まで含めて、ワンセットで案内することを意識しましょう。

【能登半島地震と液状化現象・地盤保証の関係を詳しく解説】地名で調べる地盤リスク判定の方法も紹介|taiyo-co.com

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