4号特例とは何か建築確認と法改正の全知識

4号特例とは建築確認の審査省略制度、2025年4月に大きく変わった

木造2階建ての確認申請、今もまだ「7日で終わる」と思っていたら数十万円の損失が出ます。

この記事の3つのポイント
📋

4号特例とは何か

建築基準法第6条の4に基づく審査省略制度。木造2階建て以下の小規模建築物で、確認申請時の構造審査などを省略できた制度です。2025年4月に大幅縮小されました。

🏗️

法改正で何が変わったか

従来の「4号建築物」が廃止され、「新2号建築物」と「新3号建築物」に再分類。木造2階建て住宅の多くは新2号となり、構造・省エネ図書の提出が必須になりました。

⚠️

不動産従事者への実務的影響

確認審査の法定期間が7日から35日に延長。確認申請費用も東京都では構造審査だけで約15万6千円が追加。顧客への説明責任と工期管理の見直しが急務です。

4号特例とは何か:建築基準法が定めた審査省略制度の基本

4号特例とは、建築基準法第6条の4に基づく審査省略制度のことです。建築士が設計を行う場合、小規模な木造建築物については建築確認申請時の構造耐力関係規定等の審査を省略できるという制度でした。正式名称は「審査省略制度」ですが、建築基準法第6条第1項第4号の建築物に適用されることから、業界では長年「4号特例」と呼ばれてきました。

この制度が対象としていた「4号建築物」の条件は次の通りです。

  • 木造の場合:2階建て以下、延べ面積500㎡以下、高さ13m以下かつ軒高9m以下のすべてを満たす建築物
  • 非木造の場合:平屋建てかつ延べ面積200㎡以下の建築物

延べ面積500㎡は、約150坪に相当します。一般的な戸建住宅の多くが余裕を持って該当する規模です。つまり日本中の木造2階建て住宅のほぼすべてが、この特例の対象として長年扱われてきたということです。これは意外ですね。

4号特例が適用されると、確認申請時に省略できる審査項目は幅広く、構造計算書の提出不要はもちろん、採光・換気・遮音・居室の基準など多岐にわたる項目が対象でした。もちろん省略されても法令への適合が不要になるわけではなく、あくまで建築士が責任を持って設計するという前提のもとで行政審査が省略される仕組みです。この点は原則として変わっていません。

4号特例が導入されたのは1983年(昭和58年)のことです。高度経済成長期以降の住宅着工急増を受け、審査人員の不足や確認審査の遅延が社会問題化した時代背景がありました。住宅建設の迅速化と事務負担の軽減を目的に設けられた制度で、日本の住宅供給体制の確立に大きく貢献してきました。

国土交通省による参考資料(4号特例の制度内容)は下記でご確認いただけます。

4号特例が変わります(リーフレット)|国土交通省

4号特例の建築物区分変更:新2号・新3号とは何が違うのか

2025年4月1日、建築基準法の改正が施行されました。この改正により「4号建築物」という分類は廃止されます。代わりに登場したのが「新2号建築物」と「新3号建築物」という区分です。

区分 対象建築物 確認申請 審査省略制度
新2号建築物 木造2階建て・木造平屋(延床200㎡超) 全地域で必要 対象外(省略不可)
新3号建築物 木造平屋(延床200㎡以下) 都市計画区域等内のみ必要 引き続き適用

新2号建築物が重要です。これに該当すると、これまで「7日以内」とされていた法定審査期間が「35日以内」に延長されます。5倍の期間延長ですから、工期計画への影響は極めて大きいと言えます。

一般的な延べ床面積130㎡の木造2階建て住宅を例に考えてみましょう。この規模は一戸建てとして標準的な大きさで、約39坪に相当します。こうした住宅がほぼすべて新2号建築物に分類されるため、不動産業界における実務への影響は計り知れません。

新3号建築物は、木造平屋かつ延べ面積200㎡以下の建築物が対象です。200㎡は約60坪に相当します。この区分については従来の4号特例に近い扱いが継続されるため、小規模な平屋住宅では審査面での大きな変化はありません。ただし、省エネ基準への適合は新3号でも求められる点に注意が必要です。

この区分変更は、不動産取引の場面でも重要な意味を持ちます。売買対象となる物件が新2号に分類される場合、増改築やリフォームの際には従来より厳しい確認申請手続きが求められることを、買主に対してあらかじめ説明しておく必要があります。つまり新2号物件か否かは、売買時の重要事項説明で意識すべきポイントになっています。

令和4年改正建築基準法の詳細(建築確認・審査の対象見直し)|国土交通省

4号特例縮小が確認申請費用と工期に与える具体的な数字

4号特例の縮小が実務に与える影響は、数字で見ると一目瞭然です。確認申請にかかる費用と期間の両方で、顕著な変化が生じています。

確認申請費用の変化(東京都の場合)

項目 金額
基本確認手数料(延床120㎡の場合) 約21,000円
構造審査手数料(新2号・1,000㎡以下) 156,000円
省エネ仕様審査加算(延床100〜200㎡) 7,800円
合計(公的手数料のみ) 約184,800円

これに建築士による代行費用や設計費が加わると、木造2階建て住宅1棟あたりの確認申請関連費用は従来の30万円水準から50万円水準へと上昇します。つまり、以前と比べて20万円以上のコスト増が標準となりつつあります。

工期への影響も見逃せません。改正前の4号建築物は確認申請受理から7日以内に審査が完了するとされていましたが、新2号建築物では35日以内に変更されました。これに図書作成の期間増加が加わると、着工までに少なくとも1〜2ヶ月の余裕を見ておく必要があります。

審査機関が混雑する年度末や繁忙期には、さらなる期間延長も想定されます。不動産業者として顧客に工期を案内する際には、こうした変化を踏まえた現実的なスケジュールを提示することが求められます。これは使えそうです。

さらに設計者側では、構造計算書・壁量判定・耐震金物算定書・省エネ計算書・断熱仕様書など、多数の図書を新たに作成・提出する義務が生じました。特に省エネ計算書は専門ソフトと知識が必要なため、外注コストが発生するケースも増えています。修正が1回発生するだけで5万〜10万円の追加費用になることもあるため、注意が必要です。

4号特例縮小と再建築不可物件:不動産取引で見落としがちなリスク

4号特例の縮小が最も大きな影響を与えるのは、再建築不可物件の取り扱いです。これは多くの不動産従事者がまだ十分に把握できていない盲点です。

再建築不可物件とは、建築基準法第43条の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接していること)を満たさない土地に建つ物件のことです。こうした物件では新築ができないため、リフォームによって価値を維持するのが基本的な活用方法でした。従来は4号特例の恩恵により、スケルトンリフォームやフルリノベーションが比較的自由に行える環境でした。

ところが2025年4月の改正後、再建築不可物件でも木造2階建てであれば「新2号建築物」に分類されます。新2号に該当すると、大規模なリフォームには建築確認申請が必要となり、審査の結果によっては計画通りに改修できないリスクが生まれます。厳格化が実務に直撃するということですね。

大規模リフォームで建築確認申請が必要となる主な条件

  • 屋根・壁・床・階段・柱・梁などの主要構造部を、それぞれ総量の50%を超えて改修する場合
  • 構造に影響を与える間取り変耐震補強を行う場合

逆に、確認申請が不要なリフォームとしては、キッチン・浴室・トイレの設備交換(配管変更を伴わないもの)、バリアフリーのための手すり設置、床面や壁面への仕上げ材の重ね貼りなどが挙げられます。主要構造部に影響しない範囲なら問題ありません。

不動産取引の現場では、再建築不可物件の売買時に「この物件はリフォームも難しくなっている」という現実を、買主に対して十分に説明する責任が生じています。購入後に大規模リフォームを考えていた買主が、法改正を知らずに後悔するケースは今後増加が予想されます。インスペクション(住宅診断)の推奨と、将来的なリフォームコスト増の可能性をあらかじめ案内することが、トラブル防止の観点から不可欠です。

再建築不可物件と法改正の影響・リフォーム可否の解説|LIFULL HOME’S Business

4号特例縮小後の不動産実務:独自視点で見る「知らないと損する」対応策

ここまで4号特例の制度と変更内容を解説してきましたが、不動産従事者として「今すぐ動けること」に絞った実務視点での話をします。法改正の内容は知っていても、日々の業務に落とし込めていない人が多いのが現実です。

まず確認すべきは、自社で扱っている物件や案件が「新2号建築物」に該当するかどうかの整理です。木造2階建てかつ延床面積200㎡超の住宅は、ほぼすべて新2号に該当します。200㎡以下であっても2階建てであれば同様です。手持ちの顧客リストや進行中の案件を確認するだけで、リスクの洗い出しができます。

次に重要なのは、工期の案内を刷新することです。これまで建売業者や仲介業者が「建築確認は2週間程度」と顧客に伝えていた場合、今後は「最大35日+図書作成期間」が加わります。竣工から引き渡しまでのスケジュール感が変わるため、顧客への説明内容をアップデートする必要があります。

また、省エネ基準への適合確認が取引の場面で新たに求められるようになっています。対象物件が省エネ基準に適合しているかどうかは、売買時の重要事項説明における新たな確認ポイントになりつつあります。売主が把握していないケースも多いため、設計図書の有無や建築確認済証・検査済証の確認とあわせて、省エネ関連書類の有無をチェックする習慣をつけておくことが有効です。これが条件です。

さらに、2025年4月以降に着工した建物と、それ以前に確認申請を出した建物では制度の適用が異なります。「経過措置の適用物件か否か」を確認することで、リフォーム時の手続きが大きく変わる可能性があります。特に中古住宅を購入してリノベーションする案件では、売買前に確認申請の時期を調べておくことが損失回避につながります。

国土交通省は改正内容の理解促進のため、設計者・施工者・監理者向けの講習会をオンライン含め全国で開催しています。不動産従事者向けの講習資料としても活用できるものが多いため、スタッフ教育のリソースとして参照する価値があります。

改正建築基準法・改正建築物省エネ法の講習会情報|国土交通省(設計者・施工者向け)