フラット35とは何か、金利の仕組みと特徴を徹底解説

フラット35とは何か、金利の仕組みを正しく理解する

フラット35の金利は「どこで借りても同じ」と思っていると、顧客への説明で損をします。

📋 この記事の3つのポイント
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金利は金融機関によって異なる

フラット35は同じ制度でも、取扱金融機関によって金利や手数料が大きく異なります。「どこも同じ」という思い込みが顧客の損失につながります。

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融資率90%超で金利が跳ね上がる

頭金が物件価格の1割未満になると適用金利が上乗せされ、2026年3月時点では9割以下の2.250%に対し9割超は2.360%と0.11ポイントの差が生じます。

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子育てプラスで金利を最大1%引き下げ可能

子育て世帯や若年夫婦世帯なら「フラット35子育てプラス」で金利を一定期間最大年1.0%引き下げられます。2026年3月以降は借り換えでも利用可能になりました。

フラット35とは何か、基本的な仕組みと定義

フラット35は、独立行政法人「住宅金融支援機構」が民間の金融機関と提携して提供する、全期間固定金利型住宅ローンです。「フラット」という名称は金利が平ら(変わらない)であることを意味し、「35」は最長の返済期間を指しています。

借入時に確定した金利が完済まで一切変わらない点が最大の特徴です。つまり、35年間の返済総額が契約初日に確定するということですね。変動金利型では半年ごとに金利が見直されますが、フラット35にはそのリスクがありません。

制度の仕組みを理解するうえで重要なのが「買取型」と「保証型」の違いです。ほとんどの利用者が使う「買取型」では、金融機関がいったん融資を実行したあと、住宅金融支援機構がその住宅ローンを買い取り、債券(機構債)として機関投資家に販売します。この仕組みにより、金融機関は融資回収のリスクを負わないため、民間ローンより審査基準が異なる面があります。

フラット35を利用するための申込条件はシンプルです。

  • 申込時の年齢が満70歳未満(子リレー返済を使う場合は70歳以上でも可)
  • 日本国籍の方、または永住許可・特別永住者の方
  • 借入額が100万円以上8,000万円以下(※2026年4月以降は1億2,000万円に引き上げ予定)
  • 返済期間が15年以上35年以下

返済負担率(年収に占めるすべてのローンの年間返済額)にも基準があります。年収400万円未満の場合は返済負担率30%以下、400万円以上の場合は35%以下が条件です。住宅の技術基準床面積など)も満たす必要があり、戸建ては70㎡以上、マンションは30㎡以上が対象です(※2026年4月以降、戸建ては50㎡以上に緩和予定)。

住宅金融支援機構が定める技術基準の詳細はこちらで確認できます。

フラット35の対象となる住宅・技術基準について(住宅金融支援機構公式)
https://www.flat35.com/loan/tech.html

フラット35の金利はどう決まるのか、10年国債との関係

フラット35の金利が決まる仕組みを、不動産従事者として正確に理解しておくことが重要です。フラット35は全期間固定金利型であるため、変動金利のように短期プライムレートではなく、長期金利の指標となる「10年国債金利」に連動して決まります。

具体的には、住宅金融支援機構が発行する「機構債(住宅金融支援機構債券)」の表面利率をベースに、取扱金融機関のコスト(手数料相当分)が上乗せされる形で最終的な適用金利が決まります。機構債の利率が上がれば、フラット35の金利も上がる仕組みです。

2026年3月時点での金利水準を見てみましょう。

返済期間 融資率9割以下 融資率9割超
21年以上35年以下 年2.250%(最も多い金利) 年2.360%(最も多い金利)
20年以下 年1.920%(最も多い金利)

2022年初頭には1.3%台だったフラット35の金利は、2026年3月には2.25%まで上昇しています。2025年12月に日銀が政策金利を0.75%に引き上げたことで長期金利も上昇し、約26年ぶりに2%台を超えた水準が続いています。

意外なのは、この「最も多い金利」という数字の意味です。フラット35を取り扱う金融機関は全国に1,000社以上あり、それぞれが独自に手数料率を設定しています。そのため最低金利と最高金利の幅が非常に大きく、2026年3月時点では最も高い金利が4.98%にも達しています。金利が一律ではないということが原則です。

2026年3月時点の最新金利情報は住宅金融支援機構の公式ページで確認できます。

フラット35の最新金利情報(住宅金融支援機構公式)
https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top

フラット35の金利と手数料の関係、金融機関選びで損しないために

「フラット35はどこで申し込んでも同じ」というのは大きな誤解です。フラット35は制度の枠組みや審査基準は住宅金融支援機構が統一していますが、取扱金融機関ごとに金利と融資手数料が異なります。

融資手数料には「定率型」と「定額型」の2種類があります。定率型は借入金額の一定割合(例:融資額×2.2%)を手数料として支払うタイプで、借入額が多いほど手数料も大きくなります。定額型は借入額に関わらず一律の手数料(例:5万5,000円など)が設定されています。

この手数料の差が重大なのは、金利と手数料がトレードオフの関係になっている点です。一般的に、金利が低い金融機関ほど手数料が高く設定されており、金利が高めの金融機関は手数料を低く抑えていることがあります。金利だけで選ぶのはダメということですね。

例えば、3,000万円を35年間借りたケースで試算すると、融資手数料が定率2.2%(66万円)と定額5.5万円(税込)では手数料だけで約60万円以上の差が出ます。一方で、金利が0.1%違うと総返済額は35年間で約65万円の差になります。どちらが得かはシミュレーションしないと判断できません。

不動産従事者として顧客に案内する場面では、「金利の低さだけで選ばず、手数料も含めた総コストで比較する」ことをすすめるのが実質的なアドバイスになります。住宅金融支援機構の公式サイトには金融機関別の金利一覧が掲載されているため、複数機関の比較ページを確認するよう伝えるのが一つの行動として完結します。

なお、フラット35では一般的な銀行ローンと異なり、保証人も保証料も不要です。保証料不要という点は、民間の住宅ローンと比べると実質的なコスト削減になることもあります。これは使えそうです。通常の銀行ローンの保証料は借入額の1〜2%程度、3,000万円であれば30〜60万円程度になるため、フラット35の費用体系との比較は顧客への説明材料になります。

フラット35の金利が上がる条件、融資率と団体信用生命保険の関係

フラット35では、同じ金融機関で借りても適用される金利が変わるケースが2つあります。不動産従事者として顧客に事前に説明しておくべき重要なポイントです。

まず1つ目は「融資率」による金利差です。融資率とは、物件価格に対する借入額の割合のことを指します。融資率が90%を超える場合、つまり頭金が物件価格の10%未満になる場合は、金利が上乗せされます。

2026年3月時点の具体的な数字で確認しましょう。

  • 融資率9割以下:年2.250%(最も多い金利)
  • 融資率9割超:年2.360%(最も多い金利)
  • 差額:0.11ポイント

0.11ポイントの差は小さく見えますが、3,000万円を35年間借りた場合の総返済額への影響は約70万円以上になります。東京から大阪へ新幹線で往復する費用(約3万円)の20回以上分にあたる金額が、頭金の有無だけで変わるわけです。厳しいところですね。

2つ目は「団体信用生命保険(団信)」の加入有無による金利差です。フラット35では、他の民間銀行ローンと異なり団信への加入が「任意」です。健康上の理由などで団信に加入できない人でもフラット35を利用できる点が特徴になっています。

団信に加入しない場合、金利が年0.2%引き下げられます。ただし、債務者が死亡した場合に残債が残るリスクを家族が負うことになるため、別途生命保険で対策が必要な点も顧客に伝えることが大切です。

なお、フラット35の「新機構団信」は死亡・高度障害時の保障が基本ですが、三大疾病特約や収入保障特約などを上乗せできるプランも存在します。健康不安を持つ顧客や、他の保険と組み合わせて保障を最適化したい顧客には、団信の加入要否を含めた資金計画の相談を住宅金融支援機構の公式情報をもとに行うことをすすめてみてください。

フラット35の融資率と金利の関係(住宅金融支援機構公式)
https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35/conditions/rate.html

フラット35子育てプラスで金利を最大1.0%引き下げる方法と不動産業務への活用

2026年現在、不動産従事者が顧客へのフラット35の案内で最も押さえておくべき制度が「フラット35子育てプラス」です。多くの顧客が知らずに活用の機会を逃しているため、提案の差別化につながります。

子育てプラスとは、子育て世帯または若年夫婦世帯がフラット35を利用する際に、子どもの人数などに応じて借入金利を一定期間引き下げる制度です。対象となるのは以下の世帯です。

  • 子育て世帯:申込年度の4月1日時点で18歳未満の子どもがいる世帯
  • 若年婦世帯:申込年度の4月1日時点で夫婦のどちらかが40歳未満の世帯

金利引き下げはポイント制で、子どもの人数(1人あたり1ポイント)や住宅の省エネ性能(フラット35S・ZEH基準で最大3ポイント)など複数の条件でポイントが加算されます。引き下げ幅は「1ポイント=当初5年間0.25%引き下げ」が基本で、最大4ポイント(当初5年間1.0%引き下げ、次の5年間0.25%引き下げ)の優遇が受けられます。

具体的に計算してみましょう。子ども2人の4人家族が3,000万円を35年で借りた場合、通常の金利2.25%では月の返済額は約10万2,000円です。子育てプラスで当初5年間1.0%引き下げると金利1.25%となり、月の返済額は約8万7,000円まで下がります。5年間で差額は約9万円です。痛いですね(逆に利用しないことが損)。

さらに、2026年3月以降の資金実行分からは「借り換えでも子育てプラスが利用可能」に拡充されました。これまでは新規借り入れのみ対象でしたが、今後は既存ローンをフラット35に借り換える際にも活用できます。子育て世帯の顧客を持つ不動産業者にとって、この変更は既存顧客への再提案ができる大きなチャンスです。

また、子どもの定義は広く、実子・養子・継子のほか胎児も対象になります。ローン申込時に妊娠中の場合も対象になる点を知っておけば、顧客への提案の幅が広がります。これは使えそうです。

子育てプラスの詳細条件と最新情報は住宅金融支援機構の公式ページで確認を推奨します。

フラット35子育てプラスの利用要件(住宅金融支援機構公式)
https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35kosodate-plus/conditions.html

フラット35の金利推移と今後の動向、不動産従事者が持つべき視点

フラット35の金利がどのように変化してきたかを知ることは、顧客への説明力を高めるために欠かせません。過去の数字を押さえておけば、「今の金利が高いのか低いのか」という顧客の疑問に的確に答えられます。

フラット35(借入期間21〜35年、融資率9割以下、新機構団信あり)の金利推移を見てみます。

年月 金利(年)
2022年1月 1.30%
2022年12月 1.65%
2023年1月 1.68%
2023年12月 1.91%
2024年1月 1.87%
2024年12月 1.86%
2025年7月 1.84%
2025年12月 1.97%
2026年1月 2.08%
2026年3月 2.25%

2019年9月に記録した1.05%が過去最低水準です。その後は上昇傾向が続き、2026年1月には約26年ぶりに2%台を超えました。この状況が背景となり、フラット35の申込件数が急増しています。住宅金融支援機構の発表によると、2025年10〜12月の申込件数は1万4,955戸で、前年同期(1万55戸)比で約1.5倍になりました。変動金利が上昇するなか、返済額が変わらないフラット35に安心感を求める動きが顕著です。いいことですね。

今後の動向については、日銀の金融政策が大きく影響します。2025年12月に日銀は政策金利を0.75%に引き上げ(約30年ぶりの水準)、長期金利の上昇につながっています。フラット35は10年国債金利と連動するため、今後も日銀の利上げ動向から目が離せません。

不動産業者として顧客へ伝えるべきポイントは「フラット35は固定なので今後の金利上昇リスクを回避できる」という説明だけでなく、「現時点の金利水準が過去と比べて高い水準にある」という客観的な情報もセットで伝えることです。金利情報が条件が原則です。変動金利との差(2026年3月時点で約1.4ポイント程度)を踏まえて、顧客自身が判断できる情報を提供することが信頼関係の構築につながります。

フラット35の最新金利動向と専門家解説はこちらのページが参考になります。

フラット35金利推移と最新動向(リクルート)