リースバックとは家を売っても住み続けられる仕組み完全解説

リースバックとは家を売った後も住み続けられる仕組み

売却価格が市場の6〜8割なのに、家賃は買取価格の年10%前後で設定されるため、あなたは毎月損し続けているかもしれません。

この記事の3ポイント要約
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リースバックの基本

自宅を不動産会社に売却し、そのまま家賃を払って住み続ける仕組み。正式名称は「セール・アンド・リースバック」で、住宅ローン完済後の活用手段として注目されている。

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知らないと損する数字

売却価格は市場相場の60〜80%、家賃は買取価格の年7〜13%が目安。「住み続けられる安心」の裏に潜む金銭的コストを正確に把握することが重要。

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不動産従事者が押さえる最新動向

国土交通省は2026年3月時点でリースバック取引の規制強化を検討中。事実不告知の禁止など業者向け指針が策定予定で、対応を誤ると宅建業法違反リスクがある。

リースバックとは何か:家を売って住み続ける仕組みの基礎

 

リースバックとは、自宅を不動産会社やリースバック専業業者に売却し、その後に賃貸借契約を結ぶことで、同じ家に住み続けることができる仕組みのことです。正式名称は「セール・アンド・リースバック(Sale and Leaseback)」で、企業が設備や不動産を売却後も使い続けるビジネス手法が住宅市場に転用されたものです。

不動産従事者にとって押さえておくべき基本の流れは、以下のとおりです。

  • 🏡 Step 1 売却査定・契約:リースバック業者が物件を査定し、売買契約を締結。所有権は業者に移転する。
  • 💴 Step 2 売却代金の受取:売主は売却代金を一括で受け取る。使途は原則として自由。
  • 📝 Step 3 賃貸借契約の締結:同時または直後に、買主(業者)と元の売主(入居者)の間で賃貸借契約を締結。
  • 🔑 Step 4 住み続ける:毎月家賃を支払いながら、元の自宅に引き続き居住する。

つまり「所有者」から「賃借人」へと立場が変わるということです。

住宅ローンが残っている物件でも利用できますが、売却代金でローン残債を完済できることが前提となります。残債が売却価格を上回るオーバーローン状態では、リースバックの利用は原則不可です。この点は、顧客への説明時に必ず確認すべき重要事項です。

よく混同されるリバースモーゲージとの違いも明確に理解しておく必要があります。リースバックは「契約時点で売却・所有権移転が完了する」のに対し、リバースモーゲージは「自宅を担保に融資を受け、死亡後に売却して返済する」仕組みです。つまり、リバースモーゲージでは住んでいる間は所有権を保持し続けます。一方、リースバックは利用開始時点で所有権を失う、という点が決定的な違いです。

国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」(国土交通省公式PDF)

リースバックで家を売る際の売却価格と家賃の相場:数字で知る実態

リースバックを顧客に提案する立場の不動産従事者が、もっとも確実に把握しておくべきなのが「価格の構造」です。ここを曖昧にしたまま案件を進めると、後々のトラブルの温床になります。

まず売却価格について見ていきましょう。リースバックにおける買取価格の相場は、一般的に仲介市場での売却価格(市場相場)の60〜80%とされています。通常の仲介売却と比べると20〜40%も低くなるわけです。わかりやすく言えば、市場相場で3,000万円の家なら、リースバックでの買取価格は1,800万〜2,400万円になるイメージです。東京23区の平均的な3LDKマンション1室に置き換えると、約600〜1,200万円の差が生まれる計算です。

売却価格が低く設定される理由は、買取業者が「利回りを確保した投資として物件を取得する」ためです。業者は売買価格に対して年間の賃料収入が何%になるかという「期待利回り」を重視して買取価格を決定します。

次に家賃の相場を確認します。リースバックの月額家賃は「買取価格 × 年間期待利回り ÷ 12ヶ月」で算出されるのが一般的です。期待利回りは年7〜13%程度で設定されることが多く、計算式で表すと次のようになります。

買取価格 利回り10%で計算した場合の月額家賃
1,000万円 約83,000円/月
2,000万円 約167,000円/月
3,000万円 約250,000円/月

重要なのは、周辺の賃貸相場より高くなるケースが多い点です。なぜなら、買取価格自体が市場より低く抑えられているにもかかわらず、利回りベースで家賃が計算されるため、結果として相場家賃を上回ることがあるからです。

家賃の水準が高いということですね。

不動産従事者として顧客に伝えるべきは「売却益で一時的に得られる資金」と「毎月の家賃として長期的に支払い続けるコスト」をセットで試算する必要があるということです。単に「まとまったお金が入る」という説明だけでは、顧客の判断を誤らせるリスクがあります。

リースバック買取価格・家賃相場の詳細解説(リリア不動産売却)

リースバックのメリットと向いている家・向いていない家の見分け方

顧客からリースバックの相談を受けたとき、「そのお客様にとって本当に適切な選択肢か」を判断できることが、不動産従事者としての価値を高めます。メリットと活用シーン、そして向いている物件・向いていない物件を整理しておきましょう。

リースバックの主なメリットは以下のとおりです。

  • 💰 まとまった現金を即座に調達できる:通常の売却と同様に売却代金を一括で受け取れる。老後資金の確保、住宅ローンの完済、子どもの学費や事業資金など使途は自由。
  • 🏠 引っ越し不要で住み続けられる:住み慣れた環境を維持できる。子どもの転校、高齢者の生活変化リスクを回避できる点は大きい。
  • 📉 固定資産税・修繕費の負担がなくなる:所有権が移転するため、固定資産税・都市計画税は買主負担となる。大規模修繕費も原則として業者側が負担する。
  • 🔒 周囲に売却を知られにくい:引っ越しがないため、近隣への公表なしに売却できる。プライバシーを守りながら資金調達できる点が高齢者に人気の理由の一つ。
  • ⏱️ 年齢制限がない:リバースモーゲージと違い、年齢の制限が設けられていないケースが多く、50〜60代からでも利用できる。

リースバックに向いている家・状況は次のとおりです。将来的に値下がりが見込まれる物件や、相続発生後に空き家になるリスクが高い物件は、早期に売却してリースバックを活用する合理性があります。また、住宅ローンの残債が少なく、すでに自己資本比率が高い不動産も活用しやすいです。

一方で、リースバックに向いていないケースもあります。住宅ローンの残債が売却見込み額に近い、またはオーバーローン状態の場合は利用自体が難しくなります。また、将来的に資産価値の上昇が見込まれる立地の物件を安く手放すことは、長期的な資産形成の観点からは不利になる場合があります。これが原則です。

顧客が「とにかく住み続けたい」という強い希望を持っている場合でも、通常売却+賃貸引越しという選択肢と、必ず比較提示することがプロとしての誠実な対応です。

リースバックで家を売った後に起きるトラブル事例と注意点

国民生活センターへのリースバックに関する相談件数は、2024年度に239件に達し、2019年度の約10倍に増加しました。この増加傾向は不動産業界全体の問題として認識されており、従事者として正確な知識を持つことが求められています。

最も多いトラブルは「定期借家契約による退去問題」です。リースバックでは2〜3年の定期借家契約が採用されるケースが多く、契約期間満了時に業者から更新を拒否されて退去を迫られるケースが増えています。貸主に正当事由がなくても契約終了が認められるのが定期借家の特性です。顧客が「ずっと住めると思っていた」と感じるのが、このトラブルです。厳しいところですね。

2つ目のトラブルが「家賃の値上がり」です。普通借家契約であれば借主側の保護が働きますが、定期借家の場合は再契約の条件として家賃値上げを提示されることがあります。また、契約書に「更新時に家賃を増額できる」旨の特約が含まれていることもあり、顧客が契約内容を十分理解していないまま署名するケースが問題となっています。

3つ目が「買い戻し価格が高すぎる」問題です。買い戻しを前提としてリースバックを利用した顧客が、いざ買い戻そうとした際に当初売却価格の1.1〜1.3倍の金額を提示され、資金が用意できないというケースがあります。例えば、2,000万円で売却した物件を買い戻す場合、2,200〜2,600万円が目安となります。

4つ目は「悪質業者による低価格買い取り」です。本来の市場価格の60〜80%が相場であるにもかかわらず、50%以下での買い取りを迫るケース、あるいはメリットしか説明せずリスクを告知しない業者も存在します。

国土交通省は2026年3月時点で、リースバック取引に特化した業者向け指針(禁止事項ガイドライン)の策定を進めています。賃料の増額に関する事項や賃貸借契約期間の不告知を禁止事項として明確化する方向で検討が進んでおり、不動産従事者はこの動向を把握しておく必要があります。

国土交通省によるリースバック規制強化の最新動向(2026年3月)

リースバックとリバースモーゲージの比較:不動産従事者が顧客に提案すべき選択肢

リースバックの提案場面では、必ずといっていいほどリバースモーゲージとの比較が求められます。どちらが適切かを判断できることが、顧客に真に役立つアドバイスにつながります。

以下に、主要な違いを整理します。

比較項目 リースバック リバースモーゲージ
資金調達の形 売却代金(一括) 融資(分割または一括)
所有権 契約時に移転(業者が取得) 死亡時まで本人が保有
年齢制限 原則なし 多くが60〜65歳以上
住み続け方 家賃を支払って賃借 担保設定のまま自己所有で居住
返済義務 なし(家賃支払いのみ) あり(死亡後に担保不動産で返済)
対象物件 戸建てマンション(条件次第) 主に戸建て(金融機関による)
相続への影響 相続財産から不動産が外れる 担保物件は死亡後に売却返済

顧客のニーズと状況に応じた使い分けが重要です。

「今すぐまとまった資金が必要」「年齢がまだ若い(50〜60代前半)」「住宅ローンを完済したい」といった顧客にはリースバックが選択肢として機能しやすいです。一方、「老後の生活資金を長期にわたって分割で受け取りたい」「死ぬまで家の所有権を手放したくない」「相続人に不動産を残すつもりがない」という高齢者にはリバースモーゲージが適する場合もあります。これが原則です。

さらに、「普通に売却して引越し先で賃貸生活を始める」という第3の選択肢も常に比較対象として提示することが、誠実な不動産従事者の姿勢です。市場相場で売却すれば、リースバックより20〜40%高い資金を得られる可能性があります。その分の資金で生活レベルを維持しながら別の賃貸物件に住む方が、長期的に見て顧客の利益になるケースも少なくありません。

独自の視点として、リースバックは「引越しの選択肢を持てない方に限って検討する手段」と位置付けることが、トラブル予防に最も効果的です。選択肢の比較提示を怠ることが、国土交通省の指針でも問題視されている「説明義務の不履行」につながります。これだけ覚えておけばOKです。

リースバック契約における説明義務不履行の問題(国土交通省調査結果をもとにした解説)

リースバックで家を売る際に不動産従事者が確認すべきチェックリスト

リースバックの相談案件を扱う際に、不動産従事者として顧客に対して適切な説明と確認を行うことは、トラブル防止と業者としての信頼確保の両面で欠かせません。以下のチェックリストを活用してください。

📋 契約前に必ず確認すべき事項

  • 売却価格と市場相場の差:複数社の査定結果を取得し、市場相場の何%での買取かを明確にする。60%を大きく下回る場合は要注意。
  • 賃貸借契約の種別:普通借家か定期借家かを確認。定期借家の場合は更新の可否・条件を契約書で明示させる。
  • 家賃の増額条項の有無:契約更新時や再契約時に家賃を増額できる旨の特約が含まれていないか確認する。
  • 買い戻し条件の明文化:買い戻し特約がある場合、価格・期間・条件を書面で明確にしてもらう。口頭での約束は無効と心得る。
  • 修繕費の負担区分:日常的な修繕費(小修理)は借主負担か貸主負担かを契約書で確認する。
  • 住宅ローン残債との関係:売却代金でローンを完済できるか事前に試算する。オーバーローンの場合は別途対策が必要。
  • 業者の実績・信頼性確認宅地建物取引業免許番号免許更新回数((数字)が大きいほど実績あり)を確認する。

📋 顧客への説明で必ず伝えるべきデメリット

売却価格が相場より安くなること、家賃の支払い義務が発生すること、定期借家では更新が保証されないこと、買い戻し価格が売却価格より高くなること、の4点は必ず書面を用いて説明することが求められます。

2026年3月現在、国土交通省が策定予定の業者向け指針では、これらの不利益事項を故意に伝えない「事実不告知」を禁止事項として明確化する方向で議論が進んでいます。対応を誤ると宅建業法上の不正行為に問われるリスクがあるため、現場での説明プロセスを今のうちに整備しておくことが重要です。

国土交通省の公式ガイドブックは顧客に渡す資料としても活用できます。説明の証跡として記録を残すことも合わせて実践してください。

国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」(消費者・業者向け公式情報)



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