登録免許税の軽減措置の要件と適用期限を徹底解説

登録免許税の軽減措置の要件を正しく理解できていますか?

登記申請が終わった後に住宅用家屋証明書を提出しても、軽減措置は一切受けられません。

この記事の3つのポイント
📋

軽減措置の4つの適用要件

床面積50㎡以上・自己居住用・取得後1年以内の登記・昭和57年1月1日以降築(または耐震基準適合)の4要件をすべて満たす必要があります。

📅

2026年3月末に迫る期限と延長情報

土地の所有権移転登記の軽減措置は令和8年度税制改正により令和11年(2029年)3月31日まで3年延長。住宅用家屋の軽減措置は令和9年(2027年)3月31日まで。

💡

買取再販なら税率が0.1%まで下がる

宅建業者が一定の増改築等を行った中古住宅を個人が取得した場合、所有権移転登記の税率が一般住宅の0.3%からさらに0.1%まで軽減される特例措置があります。

登録免許税の軽減措置とは:基本的な仕組みと税率の全体像

 

登録免許税は、不動産を取得して登記を行う際に国に納める国税です。売買・相続・新築など、登記が発生するあらゆる場面で課税されます。税額の計算式は「課税標準(固定資産税評価額や債権額)×税率」で、評価額が高い物件ほど負担は大きくなります。

登記の種類ごとに税率は異なり、本則(通常の税率)は以下のとおりです。

登記の種類 課税標準 本則税率
土地の所有権移転(売買) 固定資産税評価額 2.0%
建物の所有権移転(中古・売買) 固定資産税評価額 2.0%
建物の所有権保存(新築) 法務局認定価格 0.4%
抵当権設定(住宅ローン 債権金額 0.4%

これらの税率に対して、一定の要件を満たす住宅や土地には軽減措置が設けられています。軽減措置が適用されると税率が大幅に下がり、例えば中古住宅の建物所有権移転登記なら2.0%から0.3%まで下がります。これは約85%の削減です。

評価額500万円の建物を例にとると、軽減措置なしでは登録免許税が10万円になるのに対し、住宅用家屋証明書を取得して軽減措置を適用すると1万5,000円まで下がります。つまり差額は8万5,000円です。これは使えそうです。

不動産従事者にとって、軽減措置の要件を正確に把握していることは、購入者への適切な説明や、手続きのサポートにおいて欠かせない知識となります。認識が甘いまま進めると、購入者が数万〜数十万円の余分な税負担を負うことになりかねません。

登録免許税の軽減措置の要件:住宅用家屋に適用される4つの条件

住宅用家屋の登録免許税軽減措置(いわゆる「マイホームの特例」)を受けるためには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると適用外になります。

🏠 適用要件の4つの条件

  • 床面積50㎡以上:登記簿上の床面積が50㎡以上であること。50㎡はおよそ15坪・約30畳分の広さを目安にイメージできます。
  • 自己居住用であること:購入者本人が居住の用に供する家屋であること。併用住宅(事務所兼住宅など)の場合、居住部分の床面積が全体の90%を超えている必要があります。
  • 取得後1年以内の登記:新築または住宅取得後1年以内に登記申請を行うこと。1年を1日でも超えると要件を満たさなくなります。
  • 建築年・耐震基準の条件:昭和57年(1982年)1月1日以降に建築されたもの、または一定の耐震基準に適合していることが証明されたもの。

4つが条件です。特に「取得後1年以内」というタイムリミットは、手続きが遅れがちな物件でうっかり見逃すケースがあるため、担当者として必ず確認しておきましょう。

「個人が自己の居住用に供する」という条件から、法人が取得する場合やセカンドハウス・投資用として取得する場合は、原則として軽減措置の対象外となります。また、贈与による所有権移転登記も対象外であることを押さえておく必要があります。

なお、耐震基準の適合については、建築士や登録住宅性能評価機関が発行する「耐震基準適合証明書」、住宅性能評価書の写し(耐震等級1〜3)、または既存住宅売買瑕疵保険に加入していることを示す書類のいずれかで証明できます。中古物件を扱う場合、この証明書の有無を事前に確認しておくことが重要です。

参考情報(国税庁 登録免許税の軽減措置に関するお知らせ)。

国税庁「土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」

登録免許税の軽減措置の要件:適用期限の最新情報と2029年までの延長

登録免許税の軽減措置には適用期限が設けられており、定期的に延長の判断が行われています。令和8年度(2026年度)の税制改正を経て、現時点での適用期限は以下のようになっています。

登記の種類 軽減後税率 適用期限
土地の売買による所有権移転登記 1.5%(本則2.0%) 令和11年(2029年)3月31日
住宅用家屋の所有権保存登記(一般住宅) 0.15%(本則0.4%) 令和9年(2027年)3月31日
住宅用家屋の所有権移転登記(一般住宅) 0.3%(本則2.0%) 令和9年(2027年)3月31日
認定長期優良住宅認定低炭素住宅の保存登記 0.1%(本則0.4%) 令和9年(2027年)3月31日
認定長期優良住宅(マンション)・認定低炭素住宅の移転登記 0.1%(本則2.0%) 令和9年(2027年)3月31日
買取再販住宅の所有権移転登記 0.1%(本則2.0%) 令和9年(2027年)3月31日
抵当権設定登記(住宅ローン) 0.1%(本則0.4%) 令和9年(2027年)3月31日

土地の所有権移転登記の軽減措置は、令和8年度税制改正によって令和11年(2029年)3月31日まで3年延長されました。もともと令和8年(2026年)3月31日が期限でしたが、延長によって余裕が生まれた形です。これは使えそうです。

一方、住宅用家屋の各種軽減措置については、令和9年(2027年)3月31日までが現在の適用期限です。いずれも期限が切れる前に税制改正で延長されるケースが多いものの、確定情報ではないため、期限が近い物件の取引では最新情報を都度確認する必要があります。

認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の場合、一般住宅よりさらに税率が低く設定されています。所有権保存登記なら一般住宅の0.15%に対して0.1%、マンションの所有権移転登記も0.3%から0.1%まで下がります。新築を扱う場合、顧客がこれらの認定を受ける住宅かどうかを確認することが、節税提案として有効です。

参考情報(令和8年度税制改正・不動産関連のポイント)。

全日本不動産協会「令和8年度 税制改正大綱 住宅・不動産関連の主な改正項目」

登録免許税の軽減措置の要件:住宅用家屋証明書の取得手順と絶対に知るべき注意点

軽減措置を実際に受けるためには、登記申請書に「住宅用家屋証明書」を添付しなければなりません。この証明書は、住宅の所在地の市区町村役場(資産税課等)で取得します。

住宅用家屋証明書の取得に必要な主な書類は以下のとおりです。

住民票をまだ移していない段階でも、入居予定年月日や現在の住居の処分方法等を記載した申立書を提出することで証明書を取得できます。購入直後に引越し前でも手続き可能です。

ここで必ず知っておきたい重要事項があります。登記申請が完了した後に住宅用家屋証明書を提出しても、軽減措置は適用されません。後から提出して遡及適用することは制度上できないのです。

「登記が終わってから証明書を取ればいい」という認識は誤りです。必ず登記申請の前に証明書を取得し、登記申請書に添付した状態で提出しなければなりません。これを見逃すと、本来0.3%で済むはずの建物移転登記が2.0%で課税され、評価額1,000万円の物件なら17万円の余分な支出が発生します。

手続きの流れとして、①物件の要件確認→②市区町村で住宅用家屋証明書を取得→③証明書を添付して登記申請の順番を、チェックリストとして確認する運用が実務では有効です。

手続きの流れについては下記の法務局ページも参考になります。

法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」(相続関連の免税手続き詳細)

登録免許税の軽減措置の要件:買取再販住宅に適用される特例と不動産業者が押さえるポイント

不動産業者が特に注目すべき特例が、「買取再販住宅に係る登録免許税の特例措置」です。一般住宅特例の税率0.3%よりさらに低い0.1%まで軽減されるもので、令和9年(2027年)3月31日まで適用されます。

この特例の対象となるのは、宅地建物取引業者が一定の質向上のための増改築等(リフォーム)を行った中古住宅を個人が取得した場合の所有権移転登記です。適用を受けるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

🔑 買取再販特例の主な要件

  • 個人が自己居住用として取得した、床面積50㎡以上の家屋であること
  • 宅地建物取引業者から取得した家屋であること
  • 宅建業者が家屋を取得してから2年以内にリフォームを行って再販したこと
  • 新築から10年以上経過した家屋であること(=新築10年未満は対象外
  • 建物価格(税込)に対するリフォーム工事費の割合が20%以上、またはリフォーム工事総額が300万円以上(税込)であること
  • リフォーム工事の内容が、①100万円超の大規模修繕等、②50万円超の耐震改修・バリアフリー・省エネ改修のいずれかに該当すること

手続き上は、宅建業者が「増改築等工事証明書」を建築士等から取得し、それを買主に渡す流れになります。買主はこの証明書を住宅用家屋証明書の取得時に市区町村に提出し、登記申請書に住宅用家屋証明書を添付することで特例が適用されます。

不動産業者としての実務上のポイントは、リフォーム工事が完了する前の段階で増改築等工事証明書の申請準備を進めておくことです。証明書の発行には時間がかかる場合があり、売買契約から登記まで間がない場合に間に合わないリスクがあります。

一般住宅特例との差は0.2ポイント(0.3%→0.1%)ですが、評価額2,000万円の物件なら4万円の節税効果です。積み重ねれば顧客の満足度につながり、紹介や再取引につながりやすくなります。

参考情報(国土交通省 買取再販特例の詳細)。

国土交通省「買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置」

登録免許税の軽減措置の要件:相続・贈与と売買の違い、免税になるケースの全整理

登録免許税の軽減措置は「売買」を前提とした制度が多いため、相続や贈与の場合には異なる扱いになります。この違いを混同すると、顧客への説明が誤ったものになりかねません。

まず、贈与による所有権移転登記には、住宅用家屋の軽減措置は適用されません。贈与の場合は本則税率2.0%がそのまま適用されます。つまり、親から子への贈与でも、軽減措置の恩恵は受けられないのです。これは意外ですね。

一方、相続による土地の所有権移転登記(相続登記)については、税率が本則0.4%と低く設定されており、さらに以下の免税措置が設けられています。

💡 相続登記の登録免許税が免税になる2つのケース

  • 数次相続の場合:相続により土地を取得した人が相続登記をしないまま亡くなった場合、その死亡した人を登記名義人とする登記は登録免許税が免税になります。
  • 100万円以下の土地を相続した場合:固定資産税評価額が100万円以下の土地を相続によって取得した場合、所有権移転登記または所有権保存登記(表題部所有者の相続人)に係る登録免許税が免税になります。この免税対象は「土地」のみで、建物には適用されません。

100万円というと「小さな地方の土地」に限られると思われがちですが、例えば農村部の1筆が100㎡(約30坪)の畑で評価額50万円程度であれば対象になりえます。田舎の土地を複数筆相続するような案件では節税につながるケースがあります。

また、売買による土地の所有権移転登記の軽減措置(1.5%)はマイホームかどうかを問わず適用されます。これは住宅用家屋の軽減措置(自己居住用という要件あり)とは異なる点で、投資用物件や事業用地でも恩恵を受けられる部分です。

まとめると、登録免許税の軽減・免税措置の対象と対象外を以下のように整理できます。

取得原因 住宅用家屋の軽減措置 土地売買の軽減
売買(個人・自己居住用) ✅ 適用あり(要件充足時) ✅ 適用あり
売買(法人・投資用) ❌ 適用なし ✅ 適用あり
相続 ❌ 適用なし(税率0.4%) 免税措置あり(一定条件)
贈与 ❌ 適用なし(税率2.0%) ❌ 適用なし

相続登記の免税措置については、申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と明記する必要があります。記載がないと免税が適用されないため、司法書士への連携時に必ずこの点を確認してください。

参考情報(国税庁 相続・土地に関する免税措置)。

国税庁「相続による土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について」



【未使用】【中古】 不動産・商業等の登記に関する Q&A 登録免許税の実務