マンション管理士試験の合格点と難易度を徹底解説
合格点を「毎年36点前後」と思い込んで42点を目標にしないと、努力が水の泡になります。
マンション管理士試験の合格点と過去10年の推移
マンション管理士試験の合格点(合格基準点)は、令和7年度(2025年度)に50問満点中42点という史上最高値を記録しました。これは試験関係者も大手資格予備校も予想外だったほどの高さで、事前予想の大半が「40〜41点」と見ていた中での異例の結果です。
過去10年間の合格点推移を見てみましょう。
| 年度 | 合格点(一般) | 合格点(5問免除) | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年(2025年) | 42点 | 37点 | 11.0% |
| 令和6年(2024年) | 37点 | 32点 | 12.7% |
| 令和5年(2023年) | 36点 | 31点 | 10.1% |
| 令和4年(2022年) | 40点 | 35点 | 11.5% |
| 令和3年(2021年) | 38点 | 33点 | 9.9% |
| 令和2年(2020年) | 36点 | 31点 | 8.6% |
| 令和元年(2019年) | 37点 | 32点 | 8.2% |
| 平成30年(2018年) | 38点 | 33点 | 7.9% |
| 平成29年(2017年) | 36点 | 31点 | 9.0% |
| 平成28年(2016年) | 35点 | 30点 | 8.0% |
| 平成27年(2015年) | 38点 | 33点 | 8.2% |
過去10年を振り返ると、一般受験者の合格点は35〜42点の範囲で動いています。最低と最高を比較すると実に7点もの差があります。テキストに1ページで例えると、7問分の知識の積み上げが合否を分けるわけです。つまり「昨年この点数で合格した」という情報だけを信じて準備すると、年度によっては大きくラインを外す危険があります。
合格率の推移も注目すべきです。平成30年頃までは合格率が7〜8%台でしたが、令和に入ってからは9〜12%台で推移し、やや上昇傾向が見られます。受験者数はピーク時の数万人から現在は約1万1千人前後まで絞られており、受験者の質が上がっていることが合格点を引き上げる要因のひとつと考えられています。令和7年度の受験者数は10,984人、合格者は1,210人でした。
不動産従事者として業務で即戦力になれる資格を求めるなら、この合格点の「変動性」を事前に理解しておくことが特に重要です。
参考:公益財団法人マンション管理センター(試験結果の公式発表)
公益財団法人マンション管理センター|マンション管理士試験公式情報
マンション管理士試験の合格点が変動する仕組みと対策
この試験が難しいのは、合格点が絶対評価ではなく相対評価で決まる点です。相対評価とは、「成績上位何パーセント」に入っているかで合否が決まる方式であり、宅建と同様のシステムです。つまり、自分がどれだけ得点しても、全体の受験者が高得点なら合格ラインが上がります。
これが何を意味するかを具体的に考えてみましょう。令和7年度の試験では、多くの予備校が難易度を「易化した」と判断しました。実際に受験者の自己採点も高く出た結果、合格ライン(上位約10%に入るライン)が42点という史上最高値まで引き上げられました。簡単だったのに合格ラインが上がった、ということです。
相対評価が原則です。
この構造の怖さは、「自分が8割取れた」と感じていても、他の受験者が同じく高得点を取っていれば不合格になる可能性があるという点です。安定した合格を狙うなら、目標点は「例年の合格点+3〜4点」に設定する戦略が有効です。令和6年度の合格点が37点であっても、次年度に向けては40点以上を目標に据えるのが理想です。
また、もう一点見落とされがちな事実として、試験には科目別の「足切り」は設定されていません。極端にいえば、苦手科目が多少あっても合計点で上位10%に入ればよいのです。これは科目別配点が明示されている一部の資格試験と異なり、全体の総合点で勝負できるという構造です。苦手をゼロにするより、得意科目で確実に点数を稼ぐ戦略が効率的といえます。
実務との接点でいえば、不動産会社で管理部門に関わる方や分譲マンションの担当者が受験することが多く、法律知識のベースがある分、ゼロからのスタートより有利な場合があります。これは使えそうです。
参考:アガルートアカデミー「マンション管理士の合格点は?合格率や合格ラインの推移」
アガルートアカデミー|マンション管理士合格点・合格率の推移(2026年3月更新)
マンション管理士試験の合格点突破に直結する5問免除の活用法
不動産業に従事している方、特に管理業務主任者を既に取得している方には、5問免除制度が大きな武器になります。これが原則です。
5問免除制度とは、管理業務主任者試験の合格者がマンション管理士試験を受験する際、「マンション管理適正化法」に関する5問(問46〜問50)が最初から正解扱いとなる制度です。つまり、答えなくても5問分の得点が確定します。
得点率の観点で比較すると、以下のようになります。
| 年度 | 一般受験者の合格基準得点率 | 5問免除者の合格基準得点率 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 42/50=84% | 37/45=82% |
| 令和6年度 | 37/50=74% | 32/45=71% |
| 令和5年度 | 36/50=72% | 31/45=69% |
| 令和4年度 | 40/50=80% | 35/45=78% |
毎年2〜3%ほど、5問免除者の方が低い得点率でも合格できています。わずかな差に見えますが、50問満点中の2〜3%は1〜2問分の差であり、一問の重みが大きい試験では無視できません。
注意点が一つあります。同じ年度にマンション管理士試験と管理業務主任者試験を両方受験する場合(ダブル受験)、5問免除は適用されません。マンション管理士試験は例年11月、管理業務主任者試験は12月に実施されるため、同年に管理業務主任者に合格しても、同年のマンション管理士試験には間に合わないのです。5問免除を活用したい場合は「先に管理業務主任者を取得し、翌年以降にマンション管理士を受験する」という計画が必要です。
また、5問免除を受けるには申込時の手続きが必要で、申込書に管理業務主任者試験の合格番号を記入しなければなりません。合格番号が手元にない場合は、マンション管理業協会への照会が必要で数日かかることもあります。余裕を持って確認しておくことが条件です。
参考:スタディング「マンション管理士試験5問免除の条件とメリット」
スタディング|マンション管理士試験5問免除の条件・メリット詳細解説
マンション管理士試験の合格点を稼ぐ科目別の出題傾向と重点対策
合格点を突破するには、「どの科目で何点取るか」という戦略設計が欠かせません。試験は全50問で構成されており、科目ごとの目安出題数は以下の通りです。
- 🏛️ 区分所有法:約10〜12問(全体の20〜24%)
- 📋 標準管理規約:約4〜5問(全体の8〜10%)
- ⚖️ マンション管理適正化法:約5問(5問免除対象)
- 📐 建物・設備の知識:約10問
- 📜 民法・その他関連法令:約6問
- 💰 マンションの管理・会計:約8問
区分所有法と標準管理規約の2科目だけで、全50問中およそ14〜17問前後を占めます。過去の合格者の多くがこの2科目を「試験のコア」と位置付けており、ここで高い正答率を出すことが合格点突破の最短ルートです。つまり「区分所有法と標準管理規約が基本」といえます。
区分所有法では、管理組合の運営、集会の決議要件(普通決議・特別決議)、専有部分と共用部分の区別などが頻出です。例えば「共用部分の変更(重大変更)は区分所有者および議決権の各4分の3以上の決議が必要」という条文は、毎年のように形を変えて出題されます。
標準管理規約は、マンション標準管理規約(単棟型)を中心に、区分所有法との違いを意識した出題が続きます。「規約でできること・できないこと」の境界線を把握することが重要です。2023年以降、区分所有法の改正議論が活発になっており、最新の法改正情報に追いつくことが令和8年度以降の試験対策でも重要になってくると考えられます。厳しいところですね。
建物・設備の知識は理工系の知識が問われる特殊な分野で、法律系知識が主流の不動産従事者が苦手とするケースが多い科目です。ただ、毎年10問前後の出題があるため丸ごと捨てることはできません。過去問を繰り返して「よく出る設備用語・数値」を覚えることが現実的な対策です。
勉強時間の目安は初学者で500〜600時間、宅建や管理業務主任者の有資格者であれば300〜400時間程度が目安です。管理業務主任者合格に必要な学習時間が約300時間であることと比べると、マンション管理士はその1.5倍以上の学習が必要になります。毎日2時間確保できる社会人で、およそ9〜12ヶ月のスパンが現実的です。
参考:TAC「マンション管理士試験の難易度・合格率や対策ポイント」
不動産従事者が見落としがちな合格点以外の合否を分ける3つの盲点
合格点の数値だけに注目しがちですが、実際の合否を分けるポイントは別のところにある場合があります。不動産業務の経験者が意外と見落とすポイントを整理します。
盲点①:合格者の平均年齢は48.4歳、合格には「年齢」よりも「学習設計」が先
令和7年度の合格者の平均年齢は48.4歳であり、最高年齢は80歳でした。「年齢を重ねているから合格できない」という思い込みは根拠のないものです。むしろ、不動産実務経験のある40〜50代の受験者が合格率13.9%(30代)〜12.0%(40代)と高い数値を出しています。社会経験が法律的な理解を補う部分は確かにあります。いいことですね。
盲点②:試験地によって合格率が異なる
令和7年度のデータを見ると、最も合格率が高かった試験地は札幌(12.8%)で、最も低かったのは那覇(6.3%)でした。全体平均11.0%と比べると、那覇の合格率の低さが際立っています。試験地によって受験者層の質や地域の学習環境が異なると考えられており、地域によっては独学・通信講座の活用がより重要になる可能性があります。
盲点③:「易化した年」こそ油断してはいけない
令和7年度は「試験内容が易しかった」という評価が試験後に飛び交いました。個数問題が激減し、受験者の自己採点も好感触のものが多かったです。しかし、蓋を開ければ合格率は11.0%と例年並みでした。試験が易しく感じられた年ほど合格ラインが上がります。つまり「ラクだった→受かった」という思い込みはリスクになります。
「易化した年こそ目標点を上げる」戦略が条件です。
では、こうした盲点を踏まえてどう対策するか。直前期(試験2〜3ヶ月前)に各予備校の合格点予想をチェックし、目標点を随時アップデートする習慣が有効です。大手予備校のアガルートアカデミーやTAC、スタディングなどが毎年試験後に速報と合格点予想を公開しており、受験生が多く集まる情報の場として活用できます。
不動産業界の中でも管理会社や分譲マンション担当者として働いていると、区分所有法や管理組合に関わる実務知識が試験と直結する場面があります。日常業務の中で「この規約の根拠は何か」を意識するだけでも、学習効率が自然と上がります。これは不動産従事者ならではの強みです。
参考:スタディング「マンション管理士の受験者データ・合格率・難易度」
スタディング|マンション管理士試験の合格率・難易度・受験者データ(最新)
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【中古】 U−CANののマンション管理士過去7年テーマ別問題(2016年版) ユーキャンの資格試験シリーズ/ユーキャンマンション管理士試験研究会(編者)