自治体への寄付、ふるさと納税以外でも節税できる
ふるさと納税以外の寄付でも、最大で所得の40%分まで全額が所得控除の対象になります。
自治体への寄付でふるさと納税以外に使える「条例指定寄付」とは
自治体への寄付といえばふるさと納税を真っ先に思い浮かべる方がほとんどです。しかし実は、各都道府県・市区町村が独自に定める「条例指定寄付(地方税法第37条の2・第314条の7)」という制度が存在します。これは、都道府県や市区町村が条例で指定した特定の団体・事業に対して行う寄付のことで、ふるさと納税とは別の枠組みで税額控除を受けられる仕組みです。
つまり別の控除枠が使えます。
ふるさと納税は「自分が住んでいない自治体」への寄付が原則ですが、条例指定寄付は居住地の自治体が指定する団体への寄付も対象になることが大きな特徴です。不動産会社に勤める方や宅建業を営む方は、年収が比較的高いケースが多いため、所得控除・税額控除の恩恵をより大きく受けられます。
たとえば東京都では「東京都の指定する寄付金」として、NPO法人や社会福祉法人など約数百団体が対象として登録されています。これらへの寄付は、都民税の税額控除(寄付金額−2,000円の10%)と所得税の所得控除が同時に適用されます。
控除率は団体や自治体によって異なります。寄付先を選ぶ際は、各自治体のウェブサイトで「条例指定寄付金 一覧」を確認するのが最短ルートです。
参考:東京都主税局「寄附金税額控除について」
自治体への寄付ふるさと納税以外の「まちづくり基金・都市再生基金」と不動産との関係
不動産に従事する方に特に注目してほしいのが、自治体が設けている「まちづくり基金」や「都市再生基金」への寄付です。これはふるさと納税以外の寄付制度の中でも、不動産業界と直接的な接点を持つ制度として近年注目されています。
これは使えそうです。
具体的には、大阪府の「大阪府まちづくり基金」や、東京都の「東京都市街地再開発事業支援基金」のように、地域の都市開発・再開発・空き家対策を目的として設立された基金があります。これらへの寄付は、都道府県の条例指定寄付として扱われるため、寄付金控除の対象になるケースが多いです。
不動産業者として地域の再開発プロジェクトや空き家対策に関わっている場合、こうした基金への寄付は「社会的責任(CSR)の実践」としても対外的にアピールできます。顧客からの信頼獲得や地域との関係強化にもつながるため、単なる節税以上の意味を持ちます。
注意点として、基金への寄付が控除対象になるかどうかは自治体ごとに異なります。必ず「条例指定寄付金の対象かどうか」を寄付前に該当自治体の担当窓口またはウェブサイトで確認することが条件です。
寄付額の目安として、法人・個人事業主の場合は年間の寄付上限は所得の40%(所得税)と住民税所得割の30%の合計が控除対象の上限です。高所得な不動産会社の代表や仲介担当者ほど、上限まで活用できるメリットが大きくなります。
自治体への寄付ふるさと納税以外で急増中「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」の活用法
近年、ふるさと納税以外の自治体への寄付として急速に普及しているのが「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」です。これはふるさと納税の仕組みを活用しながらも、返礼品ではなく「特定の自治体事業への共感」を軸にした寄付型クラウドファンディングで、大手ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」などで多数の案件が公開されています。
ふるさと納税の枠内ですが目的が異なります。
GCFでは、空き家対策・古民家再生・地域の公営住宅整備・防災まちづくりなど、不動産と密接に関わるプロジェクトが数多く立ち上がっています。たとえば2023年には島根県江津市が空き家リノベーション事業のGCFで目標額500万円を達成した事例があります。不動産従事者がこうしたプロジェクトに寄付することで、ふるさと納税控除を受けながら業界知識を活かした支援ができるという点が特長です。
GCFはふるさと納税の控除制度をそのまま使うため、ワンストップ特例や確定申告での控除手続きも通常のふるさと納税と同じです。ただし「ふるさと納税以外の控除制度」として節税を最大化したい場合は、GCFとは別に前述の条例指定寄付を組み合わせることが有効です。
確認する手順は簡単で、ふるさとチョイスのGCFページで「空き家」「まちづくり」などのキーワードで検索するだけです。業界関係者として共感できる案件への寄付は、実務の視野を広げる副次効果もあります。
参考:ふるさとチョイス「ガバメントクラウドファンディング」

自治体への寄付ふるさと納税以外で見落とされがちな「文化財保護・歴史的建造物保全への寄付」
不動産従事者の中でも、古民家再生や歴史的建築物のリノベーションに関わる方が増えています。そうした方に意外と知られていないのが、文化財保護や歴史的建造物の保全を目的とした自治体への寄付です。
意外ですね。
文化庁や各都道府県の教育委員会が管轄する「文化財保護基金」や「ヘリテージマネージャー育成事業」などへの寄付は、条例指定寄付または国の指定寄付金として扱われることがあり、寄付金控除の対象になります。たとえば京都市の「京都文化財保護基金」では、個人からの寄付を受け付けており、2,000円を超える部分が所得控除または税額控除の対象です。
この制度が不動産従事者にとって特に有利な理由は2点あります。第一に、歴史的建造物の近くに不動産を所有・取り扱っている場合、その地域の文化的価値を守ることで物件の資産価値維持にもつながる点です。第二に、文化財保護への寄付実績は地方自治体や地元住民との信頼関係構築において強力なブランディングになる点です。
文化財保護基金への寄付が控除対象かどうかは自治体ごとに要確認です。「○○市 文化財 寄付 控除」で検索し、該当自治体の文化財担当課に問い合わせるのが確実です。
自治体への寄付ふるさと納税以外で手続きを間違えると控除ゼロになる「申告の落とし穴」
ふるさと納税以外の自治体への寄付で最も多いトラブルが、税制優遇を受けるための手続きミスです。正しい手順を踏まないと、寄付をしたにもかかわらず控除が一切受けられないという事態になります。
これが一番の落とし穴です。
まず確認すべきは「寄付先が控除対象かどうか」です。すべての自治体や団体への寄付が控除対象になるわけではありません。国税庁が定める「特定寄付金」に該当するか、都道府県・市区町村の条例で指定されているかを事前に確認することが原則です。寄付後に「実は対象外でした」となっても控除は遡及適用されません。
次に必要なのが「寄付金受領証明書」の取得です。確定申告でふるさと納税以外の寄付金控除を申請する場合、必ずこの証明書が必要です。ワンストップ特例はふるさと納税専用の制度であり、条例指定寄付などには適用されません。ふるさと納税以外の寄付は100%確定申告が必要です。
| 手続きのポイント | 内容 |
|---|---|
| 控除対象の確認 | 寄付前に自治体・国税庁サイトで確認 |
| 証明書の保管 | 「寄付金受領証明書」を紛失しない |
| 申告方法 | ワンストップ特例は使えない・確定申告必須 |
| 控除の種類 | 所得控除か税額控除かを確認 |
| 上限金額の計算 | 所得の40%が所得控除の上限(所得税) |
確定申告書への記入は「寄附金控除」の欄を使います。e-Taxを使う場合は「寄附金の明細書」に寄付先・金額・証明書番号を入力する形です。不動産業で高い所得がある場合、税理士に相談しながら控除を最大化するシミュレーションを行うことを強くおすすめします。
控除計算に迷ったら、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が無料で使えます。寄付金額を入力すると自動的に控除額を計算してくれるため、まずここで数字を確認するのが最短です。
参考:国税庁「寄附金控除(確定申告)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1150.htm