空家特措法の改正内容と措置
放置された空家でも、勧告を受けるまで固定資産税は上がりません。
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空家特措法とは何か基本を解説
空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)は、2015年5月に全面施行された法律です。適切な管理が行われていない空家が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから制定されました。全6章27条から構成され、市区町村に空家対策の権限を付与しています。
参考)e-Gov 法令検索
この法律が制定された背景には、増え続ける空き家問題があります。総務省の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は年々増加しており、社会問題化していました。空家特措法は、こうした状況に対応するための包括的な法的枠組みを提供するものです。
市区町村は、この法律に基づいて空家等対策計画を策定し、空家の実態調査を行うことができます。さらに、危険な状態にある空家を「特定空家等」として指定し、段階的な措置を講じる権限が与えられています。つまり、地域の実情に応じた空家対策が可能になったということですね。
参考)住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交…
空家特措法の2023年改正内容
2023年6月に公布され、12月に施行された改正空家特措法は、空き家問題への対応を大幅に強化しました。改正法の主なポイントは、「空き家の活用拡大」「管理不全空き家の新設」「特定空き家への対応強化」の3点です。
最も重要な変更点は、管理不全空家という新しいカテゴリーの新設です。これは、特定空家になる前の段階で自治体が指導できる制度で、全国で約50万戸が該当すると予想されています。管理不全空家として指導・勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなります。
参考)空き家を放置したら税金6倍!?「空き家対策特別措置法」の概要…
空き家等活用促進区域制度も新たに導入されました。市区町村が指定した区域内では、空き家の利活用を促進するための特別な取り組みが可能になります。また、特定空家への措置も円滑化され、緊急時には迅速に代執行できるようになりました。空家所有者には、国や自治体の施策に協力する努力義務が追加されています。
国土交通省の公式サイトでは、改正空家特措法の詳細な概要と施行状況が確認できます
空家特措法における特定空家と管理不全空家の違い
特定空家と管理不全空家は、空家の危険度と対応の段階が異なります。特定空家は、倒壊の危険がある、衛生上有害である、景観を著しく損なう、周辺の生活環境に悪影響を与えている空家を指します。一方、管理不全空家は、特定空家になる恐れがある状態の空家です。
参考)特定空き家と管理不全空き家の違いとは?近年の空き家の現状も確…
両者の措置の流れにも違いがあります。特定空家の場合、自治体は「助言・指導」→「勧告」→「命令」という三段階の手法で対応します。命令に違反すると50万円以下の過料が科され、最終的には行政代執行による強制解体が可能です。管理不全空家は「指導」→「勧告」という流れで、適切な管理を促進することが主な目的です。
参考)空き家問題に対する行政の法的手法─空き家条例と空家法─
最大の違いは行政代執行の可否です。特定空家は強制解体の対象となりますが、管理不全空家は対象外です。ただし、両者とも勧告を受けると住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税が最大6倍、都市計画税が最大3倍になる点は共通しています。
管理不全空家は予防的措置ということですね。
参考)特定空家と管理不全空き家の違いについて|岡山市の不動産売却|…
| 項目 | 管理不全空家 | 特定空家 |
|---|---|---|
| 定義 | 特定空家になる恐れがある状態 | 倒壊危険・衛生上有害等 |
| 措置の流れ | 指導→勧告 | 助言・指導→勧告→命令 |
| 過料 | なし | 50万円以下 |
| 行政代執行 | 不可 | 可能 |
| 税制優遇解除 | 勧告後 | 勧告後 |
空家特措法による固定資産税への影響
空家所有者にとって、最も大きな経済的影響は固定資産税の増額です。通常、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3に軽減されています。一般的な戸建の固定資産税は年間10万円~15万円ほどですが、この特例が解除されると60万円~90万円になります。
参考)空き家の固定資産税・都市計画税−NPO法人 空家・空地管理セ…
特定空家や管理不全空家の勧告を受けた時点で、住宅用地特例が適用されなくなります。厳密には固定資産税が「6倍」になるのではなく、1/6の軽減がなくなることで相対的に6倍になるという仕組みです。土地の面積や立地によって軽減内容が異なるため、実質3~4倍に留まる場合もあります。
参考)空き家の固定資産税が6倍に増税される?流れと対策について解説…
重要なのは、勧告を受けてから年内(1月1日まで)に状況を改善すれば、翌年度の固定資産税には住宅用地特例が引き続き適用される点です。対処が1月2日以降にずれ込むと、その年の税金には特例が適用されません。
痛い出費です。
勧告を受けた時点で、迅速に対応する必要があります。
空家特措法における自治体の助言指導勧告命令の流れ
空家特措法に基づく自治体の対応は、段階的に強制力を強めていく仕組みになっています。まず助言・指導の段階では、講学上の行政指導にあたり、相手方に法的義務は発生しません。自治体が空家の状態を確認し、所有者に適切な管理を促す段階です。
次の勧告も行政指導の一種ですが、これを受けると住宅用地特例が解除されます。勧告に従わない場合、自治体は次の段階として命令を出すことができます。命令は行政処分にあたり、権力的に相手方に義務を発生させます。
命令に違反すると、50万円以下の過料が科されます。それでも改善されない場合、自治体は行政代執行により強制的に空家を解体できます。解体費用は所有者に請求されますが、費用の回収には時間がかかることが課題です。改正法では、緊急時の代執行手続きが簡略化され、より迅速な対応が可能になりました。
つまり自治体の権限が強化されたということですね。
参考)空き家対策特別措置法が2023年に改正!重要なポイントや対策…
空家特措法と不動産業者の調査義務の関係
2025年4月から、空き家を取り扱う宅建業者の事前調査が実質義務化されます。これまでの「努力義務」から大きく変わり、物件調査項目やヒアリング項目の拡充が必要です。空家売買を多く扱う事業者ほど、説明責任を果たす仕組み作りが今すぐ必要になります。
参考)空き家売買の重説が変わる!2025年法改正のポイントと実務対…
調査すべき項目には、空家特措法に基づく特定空家や管理不全空家の指定の有無が含まれます。自治体からの助言・指導・勧告の履歴を確認することが重要です。固定資産税の住宅用地特例が適用されているかどうかも、買主にとって大きな判断材料になります。
重要事項説明書のテンプレート改定も急務です。空家の状態、自治体とのやり取りの履歴、今後の税負担の見込みなど、詳細な情報を説明する必要があります。不動産業者には、空家特措法の改正内容を正確に理解し、売主・買主双方に適切なアドバイスを提供することが求められます。説明義務違反は訴訟リスクにつながるため注意が必要です。
国土交通省の資料では、不動産業における空き家対策の推進に向けた具体的な取組内容が掲載されています
空家特措法に基づく空家の活用と対策方法
改正空家特措法では、空家の活用促進が重要な柱として位置づけられました。市区町村が「空き家等活用促進区域」を設定し、その区域内で利活用を後押しする制度が運用できます。例えば、用途変更の規制緩和や改修費用の補助などが実施されます。
参考)空き家法の改正(2023年)と相続登記義務化|3つの対策を解…
所有者が取るべき対策として、まず定期的な管理が基本です。月に1回程度の見回り、清掃、通風を行うことで、建物の劣化を防ぎ、管理不全空家の指定を回避できます。自分で管理が難しい場合、空き家管理サービスの利用も選択肢です。月額5,000円~15,000円程度で、定期巡回や簡易清掃を代行してくれます。
売却や賃貸による活用も有効です。空き家バンクへの登録、不動産業者への相談により、買い手や借り手が見つかる可能性があります。改修して賃貸物件にする場合、自治体の補助金制度が利用できることもあります。どうしても活用が難しい場合、解体して更地にする選択肢もありますが、固定資産税が上がる点には注意が必要です。
空き家等管理活用支援法人の指定制度も新設されました。NPO法人や民間企業が自治体から指定を受け、空家の管理や活用を専門的にサポートします。こうした専門家のサポートを受けることで、所有者の負担を軽減できますね。
📝 空家対策の選択肢
全国空き家・空地活用協会のサイトでは、空き家の固定資産税と対策について詳しい情報が掲載されています

改訂版 空家等対策特別措置法の解説
