売買代金手付金上限と宅建業法

売買代金と手付金と上限

売買代金 手付金 上限:実務の最短整理
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まずは「20%」の意味を固定

宅建業者が売主で、相手方が非業者のときは手付(解約手付)の受領上限が売買代金の20%。

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次に「保全措置」の5%・10%・1000万円

工事完了前は5%以下かつ1000万円以下なら保全措置なしで受領可。完成物件は10%以下かつ1000万円以下が目安。

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現場の事故は「20%と保全」を混同

20%は“手付の上限”、5%・10%は“保全措置の要否”の話。数字だけ暗記すると説明が破綻する。

売買代金 手付金 上限の宅建業法

 

不動産売買の「手付金の上限」を語るとき、最初に分岐させるべきは「売主が宅建業者として“自ら売主”なのか」です。宅地建物取引業者が自ら売主となり、買主が宅建業者ではないケースでは、宅建業法の規制により、手付(解約手付)は売買代金の20%(十分の二)を超えて受領できません。

この20%ルールは「高額手付で買主の解除権を事実上奪う」ことを防ぐ趣旨で、現場でも説明の起点になります。

なお、20%を超える額を受領してしまうと、保全措置を講じていたとしても“受領自体がアウト”になり得るため、資金授受の設計段階で必ず確認が必要です。

次に押さえるべきは、宅建業法上「手付」は性質を問わず“解約手付として扱う”という整理です。買主は手付放棄で、売主(宅建業者側)は倍返し(受領手付+同額の提供)で、相手方が履行に着手するまで解除できます。

参考)OSF

この「解約手付の扱い」があるため、手付金を高くしすぎると、買主が撤退しにくい(=説明責任・紛争リスクが上がる)という実務上の影響が出ます。

「上限は20%だから20%でよい」という短絡より、ローン特約・引渡し時期・履行着手のタイミングまで含めた設計が安全です。

参考:手付の額の制限(20%)と手付解除(解約手付)の条文・要点

宅建業法(第39条)手付の額の制限等をわかりやすく解説 | 宅建不動産コンパス
(手付の額の制限等) 第三十九条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。 2 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の …

売買代金 手付金 上限と手付解除

手付金の説明で現場がつまずきやすいのが、「上限」と「解除」の話が一体化して伝わってしまう点です。宅建業法の場面では、受領した手付がどんな名目でも解約手付として扱われ、解除できる期限は「相手方が契約の履行に着手するまで」と整理されます。

ここで重要なのは、“期日”ではなく“行為”で線が引かれることです。買主側がローン申込をした、売主側が引渡し準備をした、などの行為が履行着手に当たるかは個別判断になりやすく、条文の丸暗記だけでは危険です。

そのため、手付解除の説明は「いつまで」という日付だけでなく、「履行着手と評価され得る行為の例」をセットで示すとトラブルを減らせます。

また、現場の誤解として「手付解除できるなら、買主はいつでも手付放棄で逃げられる」がありますが、履行着手後は手付解除が使えない点が核心です。

買主への説明では、ローン特約や違約金条項(損害賠償予定)と混同しないよう、「手付解除は“履行着手までの片道切符”」と整理して伝えると理解が揃いやすいです。

手付金の額(%)を先に話すより、解除の可否の枠組みを先に置くほうが、結果として上限の話も通りやすくなります。

売買代金 手付金 上限と手付金等の保全

「手付金の上限20%」と並んで、もう一つ絶対に混同してはいけないのが「手付金等の保全措置」です。宅建業者が自ら売主となり、引渡し前に受領する金銭(手付金等)については、一定の場合、受領前に保全措置(保証委託や保証保険、完成物件では寄託+質権設定など)を講じる必要があります。

そして重要な例外として、工事完了前の取引では「受領しようとする手付金等の額が代金の5%以下かつ1000万円以下」なら、保全措置なしで受領できる枠が示されています。

完成物件(工事完了後)では「代金の10%以下かつ1000万円以下」が同様の例外枠として整理されます。

ここで現場事故が多いのが、「1000万円以下なら保全不要」とか「10%以下なら何でもOK」といった、条件の片方だけを抜いてしまう誤説明です。条文上は“%条件”と“1000万円条件”がセットで効いており、どちらか一方だけ満たしても例外になりません。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/95b7de6cc6b33027b59fda1ac890f3811d41cee1

さらに、保全措置は「していないなら受領できない(買主は支払わないことができる)」という効果も整理されているため、資金を受け取る側の段取り(書面交付・電磁的方法の扱い等)も含めて工程管理が必要です。

つまり、20%は「手付(解約手付)の受領上限」、5%・10%・1000万円は「手付金等の保全措置の要否」という別カテゴリの規制で、同じ“上限”という言葉でくくると必ず混線します。semanticscholar+1​

参考:手付金等の保全措置(工事完了前/後、5%・10%・1000万円、措置の類型)

宅建業法(第41条)手付金等の保全をわかりやすく解説 | 宅建不動産コンパス
第41条と、41条の2は、宅建業者が自ら売主となる場合の「手付金の保全措置」についての条文です。 41条は工事完了前物件、41条の2は工事完了後物件についてです。あわせて解説していきます。 (手付金等の保全) 第四十一条 …

売買代金 手付金 上限の実務チェック

実務で「売買代金 手付金 上限」を点検するときは、数字を並べるより、まず取引類型を三段で確定させるのが速いです。チェックの順番は、①売主は宅建業者として自ら売主か、②買主は宅建業者か(相手方が非業者か)、③物件は工事完了前か完了後か、の順が安全です。

この3点が確定すれば、「手付20%の制限がかかるか」および「保全措置が必要か(5%・10%・1000万円の例外に入るか)」が分離して判断できます。

媒介担当がやるべきは、金額だけの合意形成ではなく、条文が求める“受領の順序(措置→受領)”と“書面交付”を、契約・入金スケジュールに落とし込むことです。

特に、売買代金が高額な案件ほど「%は小さいのに金額は1000万円超」という逆転現象が起きます。たとえば代金2億円で手付金等が6%だと、%条件は完成物件の10%以下でも、金額が1000万円を超えた時点で例外から外れ、保全措置が必要になり得ます。

また、手付を20%ぎりぎりに設計した場合、買主側の資金手当てがタイトになり、ローン特約の運用や決済遅延リスクが上がるため、「法的上限」と「実務上の適正」のズレも説明できると評価されます。hosyo+1​

相場感として手付金が売買代金の5〜20%の範囲で定められることがある、という一般的説明は便利ですが、宅建業法の適用関係(自ら売主等)に触れずに使うと誤解を招くので、セットで語るのが無難です。funds+1​

売買代金 手付金 上限と誤解

検索上位の解説でも、現場で誤解が残りやすいポイントがいくつかありますが、独自視点としては「名目の工夫で上限を回避できる」と思われがちな点が要注意です。宅建業法の保全措置の条文は、手付金という名目に限らず「代金に充当され、契約締結後〜引渡し前に支払われる金銭」を広く手付金等として捉えています。

つまり「中間金」「申込金の一部充当予定」「預り金」など、ラベルを変えても、実質が代金の前払いなら保全や説明の射程に入るため、書類の名付けだけで安全にはなりません。

ここを踏み外すと、買主保護の観点だけでなく、社内のコンプライアンス監査でも指摘されやすい“地味だが痛い”論点になります。

また、手付20%の制限は「売主が宅建業者で、買主が宅建業者以外」という典型場面で効く一方、売主が個人の場合など、同じ感覚で「上限20%」と断言すると誤りになることがあります。実務では、誰が“宅建業者として自ら売主なのか”を確認してから説明する癖が、クレーム予防になります。funds+1​

さらに、買主側の心理として手付が高いほど「キャンセルできない」という圧力が強まり、手付解除のルール(履行着手まで)を知らない買主ほど不信感が増えます。だからこそ、金額の交渉より先に、解除・保全・上限を三点セットで説明するほうが成約後の揉め事が減ります。osf+1​

  • ✅ 20%:宅建業者が自ら売主の場合の「手付(解約手付)の受領上限」
  • ✅ 5%・10%+1000万円:宅建業者が自ら売主の場合の「手付金等の保全措置の例外枠」
  • ⚠️ 数字だけ暗記は危険:20%と保全(5%/10%/1000万円)を混同しやすい


f23030236〇明治布告布達 明治7年 地所売買致し候節 代金受取証文 度会県 三重県〇和本古書古文書