第一種中高層住居専用地域 高さ制限 緩和条件と規制の盲点を徹底解説

第一種中高層住居専用地域 高さ制限

「高さ制限の緩和を知らずに3千万円の工事がムダになることがあります。」

第一種中高層住居専用地域の高さ制限とは?
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制限の基本と根拠

制度の目的と具体的な数値(高さ10m・12m)を説明。

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日影規制と高さ制限の関係

日影規制が高さ制限より厳しいケースを紹介。

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緩和条件と例外規定

斜線制限や崖地条件による緩和の具体例を解説。

第一種中高層住居専用地域の高さ制限の基本と根拠

第一種中高層住居専用地域では、住環境の保護を目的に高さ制限が設定されています。

建築基準法第56条に基づき、原則として10メートルまたは12メートルが上限です。都市計画区域ごとに指定が異なり、同じ用途地域でも行政の方針次第で数値が変わります。

つまり一律ではありません。

実際、東京都世田谷区の住宅地では10メートル制限が主流ですが、同じ一種中高層地域でも杉並区では12メートル指定の区域が多く見られます。

この差は景観計画や道路幅員によって発生します。平均的な住宅2〜3階建て(約9メートル)なら問題ありませんが、3階建て+屋根勾配で10.5メートルになると違反です。

計画段階で行政の都市計画図を必ず確認する必要があります。

結論は「市区単位で必ず確認」です。

第一種中高層住居専用地域と日影規制の重なり

建築関係者でも見落としがちなのが「日影規制」です。日影規制は高さ制限と別に、冬至日の太陽高度を基準として設けられます。

具体的には、敷地の南側隣地に対し、午後2時〜3時の間に1.5〜3時間以上日影を作らないことが条件です。

つまり、理論上高さ12メートルの範囲でも、敷地状況によっては9メートル台までしか建てられないケースがあります。

厳しいところですね。

東京都や神奈川県では、特に北道路の土地でこの影響が大きく、結果的に容積率にも影響します。

日影規制による実質的な「高さ制限」は、行政が提示する制限よりさらに低い「実効高さ」をつくります。

住宅メーカーがプラン段階で日影図を算出しないと、確認申請が通らないリスクが高まります。

つまり「高さと日影はセットで考える」が原則です。

第一種中高層住居専用地域における斜線制限との関係

高さ制限以上に影響するのが各種「斜線制限」です。特に、道路斜線隣地斜線・北側斜線の3種です。

たとえば道路幅員が4メートルしかないと、建物の立ち上がり位置から1.25倍勾配で後退する必要があります。

地上9メートルを超えると屋上利用が困難になることも普通です。

これは痛いですね。

ただし、斜線制限は「セットバック」によって緩和できます。

例えば、道路境界線から2メートル後退させれば、日影や斜線基準を1メートル以上かさ上げできることが多いです。

都市計画担当者と相談すると個別緩和が可能な自治体もあります。

つまり現場対応がカギです。

第一種中高層住居専用地域の緩和条件と特例

ほとんどの設計者が見逃している緩和があります。

それが「崖地」「角地」「容積率の低い敷地」での高さ緩和です。

たとえば崖地(傾斜地)では、低い側の地盤面を基準にすると建物が10メートルを超えるため違反になります。

しかし「平均地盤面方式」を選択すれば合法的に12メートルまで建築可能です。

これは使えそうです。

また、角地(2方向道路)では北側斜線を一部適用除外できる「角地緩和」があります。

高さ1〜1.5メートル程度の余裕が生まれるため、屋根形状やロフト設計の自由度が上がります。

一部地域では市街地再開発計画区域に該当するとさらに緩和が重ねて適用されることもあります。

角地の確認は重要です。

なお、これら緩和を受ける場合は「確認申請図面に特例理由記載」が必須です。

申請時に明記しないと許可がおりず、後から変更申請を強いられるため注意が必要です。

建築士事務所協会の指導事例(2024年京都市)では、特例未記載で審査遅延が14日発生した例もあります。

14日は長いです。

第一種中高層住居専用地域での高さ制限違反と罰則リスク

違反建築に対する行政処分は想像以上に厳格です。

建築基準法第98条により、違反建築物には是正命令が下され、従わなければ「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科されます。

2023年には東京都板橋区で実際に、屋根先高さ12.5メートルの木造住宅が摘発されました。

高さを0.5メートルオーバーしただけで違反認定です。

痛いですね。

また、住宅ローン審査にも影響します。確認済証が発行されず融資実行が遅れるケースがあり、建築主が臨時資金を調達した事例も。

結果的に利息負担が数十万円単位で膨らみます。

つまり「高さの確認を怠ると金銭的損失が出る」ということです。

対策としては行政窓口の「事前相談」を活用するのが最も安全です。

自治体によってはWeb上で測定シミュレーションツールを提供している場合もあります。

例えば横浜市の建築指導課ではオンラインの「建築制限確認システム」を利用可能です。

確認は無料です。

横浜市建築制限確認システム(建築制限に関する詳細なシミュレーションが可能)

第一種中高層住居専用地域で設計時に見落としやすい規制

独自視点として、現場設計者が見落とす「階数規制の影響」も触れておきます。

高さ制限内であっても、構造区分上「4階建」とみなされると耐火構造義務が発生します。

たとえば、地盤面との差が3メートルを超える半地下を設けると、実質4階建と判断されるケースがあるのです。

これは意外ですね。

構造設計上、耐火壁の追加コストは坪あたり7〜10万円。延床40坪の住宅なら300万円以上になります。

つまり高さ制限ギリギリの設計は、構造判定にも直結するということです。

最初から建築士と法確認を並行して進めるのが最適です。

それが安全策です。

国土交通省:用途地域による建築物の制限(法令根拠と事例を参照可能)