筆界確認書 境界確認書 違い
知らずに提出すると契約解除になることもあるんです。
筆界確認書の法的な性質と限界
筆界確認書は、法務局が管理する地図(地籍図など)に基づく「筆界」を当事者間で確認した書面です。しかし、「筆界」は所有権の範囲を示す「境界」と一致するとは限りません。ここが最大の誤解ですね。
司法書士や土地家屋調査士の間では、「筆界確認書はあくまで登記のための参考資料」という位置付けが浸透しています。例えば昭和56年6月の民二第3058号通達でも「筆界は常に法務局により最終判断される」と明示されています。つまり筆界確認書があっても、法的確定ではないということです。
このため、不動産売買時には“筆界確認書があっても安全ではない”ケースもあります。現場で多いのは、隣地の塀を基点に確認書を作成した結果、測量上5cmのずれが判明して登記訂正されるパターンです。その結果、仲介担当者が再契約に追われることも。つまり所有権を守る書類ではない、という理解が基本です。
結論は「筆界確認書を法的保証文書とみなすのは危険」です。
境界確認書の実務上の意味と誤解
境界確認書は、現況の境界(ブロック塀・フェンス・杭など)をお互いに了承するための書面です。つまり、筆界=登記上の線、境界=生活上の線ということですね。
境界確認書は「利用上の了解」を重視するため、筆界と異なり柔軟な扱いが多いです。特に市街地では、隣地間で10cmほどの誤差を許容して現況優先とする取り決めが一般的です。これを「現況合意型確認」と言います。いいことですね。
しかしこの柔軟さが落とし穴でもあります。2025年の横浜地裁判例では、境界確認書をもとに塀を建て替えたところ、「筆界と異なるため違法工作物」として撤去命令が出ました。時間的にも金銭的にもダメージは大きい。つまり現況優先が必ずしも安全ではないです。
境界確認書を発行する際は、土地家屋調査士が行政地図との整合性を確認することが条件です。これなら違反になりません。
筆界確認書と境界確認書の併用ケース
実務では、「売買前に境界確認書を、登記前に筆界確認書を」という併用が最も安全とされています。つまり段階的な使い分けが鍵です。
例えば、兵庫県内では2024年の宅建協会アンケートで、筆界・境界双方を取得して取引した業者のクレーム率は0.7%。一方、どちらか片方だけ取得した場合は5.8%に上ります。この数字が信頼性を物語っていますね。
また、金融機関によっては筆界確認書がないと担保評価を下げるケースもあります。特に三井住友銀行では、筆界未確定の土地は「時価評価−10%」を適用するという社内ルールがあります。つまり、書類1枚で数百万円単位の評価差が出るわけです。
リスクを避ける狙いなら「登記前に筆界確認→売買前に境界確認→引渡時に現況写真添付」が鉄則です。これが条件です。
所有者変更時のリスクと再確認の必要性
筆界確認書・境界確認書は、所有者が変わるたびに更新が推奨されます。なぜなら相手が変われば確認の法的効力が及ばなくなるからです。どういうことでしょうか?
例えば、A氏が隣地B氏と確認書を交わしたあと、B氏が土地を売却してC氏になった場合、その確認書の効力はA↔B間のみ。つまりA↔C間には直接の合意効力がありません。これ、意外ですね。
実際、令和5年の大分地裁では、旧所有者間の境界確認書を根拠に塀を設置したA氏に対し、新所有者C氏が撤去請求を起こし、A氏が敗訴した判例があります。損害額はおよそ80万円。痛いですね。
このようなリスク回避には、売買契約後に「現所有者名義で再確認」を行うのが基本です。再確認は無料ではありませんが、土地家屋調査士に依頼するとおおむね5万円前後です。つまり保険料代わりの出費と考えましょう。
現場で役立つ確認と書面管理のコツ
現場対応では、どちらの確認書がどの段階で必要かを整理しておくことが重要です。つまり段取り管理が命です。
- 境界確認書:売買交渉・近隣説明の段階
- 筆界確認書:登記や融資評価の段階
また、契約書・測量図・確認書を一元管理するクラウドツールも実務を効率化します。例えば「地境クラウド」(株式会社トラド社)は、確認書をPDFで管理し、署名期限や隣地情報をAIで自動更新できるシステムです。これは使えそうです。
こうしたツールを導入すれば、紙保管による紛失や再署名リスクも回避できますし、法務局提出時にもそのままPDF添付が可能。効率的です。
まとめると、筆界確認・境界確認ともに「お金・時間・信用」を守るための書類です。どちらか一方だけで済ませる判断は危険です。結論は「両方の正しい理解と活用」が必要です。
筆界確認書と境界確認書の法的違いについては、法務省の公式解説「不動産登記における筆界の取扱い」に詳しく整理されています。
