元利均等返済シミュレーションで返済予定表を正しく作る方法

元利均等返済のシミュレーションと返済予定表の完全ガイド

元利均等返済で繰り上げ返済しても、最初の数年はほぼ利息しか減っていません。

📋 この記事の3ポイント要約
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元利均等返済の仕組みを正確に理解する

毎月の返済額は一定でも、内訳は毎月変化します。元金と利息の比率を把握することが、シミュレーション精度の鍵です。

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返済予定表の読み方と活用法

返済予定表には元金残高・利息額・累計返済額が記載されており、繰り上げ返済や借り換えの判断に直結します。数字を正しく読む力が実務を変えます。

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シミュレーションを顧客提案に活かす

金利・返済期間・借入額の変動パターンをシミュレーションで示すことで、顧客の意思決定をサポートし、信頼獲得と成約率向上につながります。

元利均等返済とは何か:シミュレーションの前提知識

 

元利均等返済とは、毎月の返済額(元金+利息)を借入期間中ずっと一定に保つ返済方式です。住宅ローンの大半はこの方式を採用しており、不動産業に関わるなら必須の知識といえます。

返済額が一定であることは借り手にとって家計管理がしやすいメリットです。ただし、返済額の内訳は毎月変わります。返済初期は利息の割合が高く、元金の返済は少ない。これが元利均等返済の核心です。

つまり、毎月の支払いが同じでも「元金がどれだけ減っているか」は時期によって大きく異なります。

具体的な数字で見てみましょう。借入額3,000万円・金利1.5%・返済期間35年の場合、月々の返済額は約91,900円になります。返済開始1ヶ月目の内訳は、元金が約54,400円・利息が約37,500円です。しかし返済から5年後(60回目)には、元金が約58,000円・利息が約33,900円に変化しています。10年後にはさらにこの比率が変わります。

この内訳の変化を知らずに「毎月払っているのに元金が減らない」と感じる顧客も多いです。不動産業従事者がこのメカニズムを正確に説明できるかどうかが、顧客の信頼度を左右します。知識が武器です。

元利均等返済に対比されるのが「元金均等返済」です。元金均等返済は毎月の元金返済額が一定で、返済が進むにつれて利息が減り、月々の支払いも減っていきます。総返済額は元金均等返済の方が少なくなるのが一般的ですが、返済初期の負担が重いため、住宅ローンでは元利均等返済が選ばれることがほとんどです。

元利均等返済の計算式とシミュレーションの仕組み

元利均等返済の月々の返済額は、以下の計算式で求められます。

変数 意味
A 毎月の返済額
P 借入元金
r 月利(年利 ÷ 12)
n 返済回数(年数 × 12)

計算式:A = P × r × (1+r)^n ÷ ((1+r)^n − 1)

年利1.5%なら月利は0.125%(=0.00125)になります。35年なら返済回数は420回です。

この式をExcelやスプレッドシートで組めば、自前のシミュレーターを作ることができます。Excelには「PMT関数」があり、=PMT(月利, 返済回数, 借入額) を入力するだけで毎月の返済額が計算できます。これは実務で使えます。

各月の元金返済額と利息の計算は次の通りです。

  • 当月の利息 = 前月末残高 × 月利
  • 当月の元金返済額 = 毎月の返済額 − 当月の利息
  • 当月末残高 = 前月末残高 − 当月の元金返済額

この計算を420行繰り返せば、完全な返済予定表が完成します。作り方は単純ですが、金利変動型ローンの場合は途中で月利を変更する必要があるため、固定金利とは別にシートを作成するのが現実的です。

シミュレーションで特に注意すべきなのが「端数処理」です。金融機関によって1円単位の丸め方が異なるため、自作シミュレーターと銀行の提示する返済予定表で数円〜数十円のずれが生じることがあります。顧客に提示する際は「あくまで参考値」であることを明記しましょう。端数処理が条件です。

返済予定表の見方と不動産営業への活用法

返済予定表には、各返済月ごとに「返済額・元金分・利息分・残高」が一覧で記載されています。一見して数字の羅列に見えますが、読み解けると提案力が大きく上がります。これは使えそうです。

まず「利息の総額」を確認しましょう。借入3,000万円・金利1.5%・35年の場合、支払利息の総額は約850万円に上ります。月々の返済額91,900円に注目しがちですが、35年間で借りた額の約28%以上を利息として支払うことになります。東京都内の中古ワンルームが買えてしまうほどの金額です。

この数字を顧客と共有することで、繰り上げ返済や借り換えへの関心を高める切り口になります。

次に「元金残高の推移」を見ます。借入から10年後(120回目)の残高は約2,350万円程度です。借入額3,000万円のうち、10年で減った元金は650万円ほど。ところがこの期間に支払った利息は約420万円に達します。元金650万円を返すのに、利息420万円を払っているということですね。

この事実を知ると、返済初期の繰り上げ返済がいかに効果的かが理解できます。

繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。100万円を繰り上げ返済した場合、期間短縮型では返済期間を約1年9ヶ月短縮し、利息軽減効果が約40〜50万円になるケースが多いです。一方、返済額軽減型は毎月の返済額を数百円〜数千円減らす効果があります。どちらが有利かはその顧客のライフプランによって異なります。

参考として、住宅金融支援機構が公開している返済額の試算ツールは信頼性が高く、顧客への説明資料として活用できます。

住宅金融支援機構:フラット35返済シミュレーション

金利タイプ別シミュレーションの比較と顧客説明のポイント

不動産営業の現場では、「変動金利」「固定期間選択型」「全期間固定金利」の3タイプを比較して顧客に説明する場面が頻繁にあります。返済シミュレーションはこの比較を数字で示す最強の武器です。

2025年以降、日銀の利上げ局面を受け、変動金利型ローンの基準金利が動き始めています。変動金利の多くは「短期プライムレート連動型」で、6ヶ月ごとに金利が見直されます。ただし月々の返済額が変わるのは5年ごとという「5年ルール」があり、急激な返済増加を抑える仕組みになっています。

5年ルールには「125%ルール」も連動しています。金利上昇後の返済額は、直前の返済額の125%が上限です。つまり、急激な金利上昇が起きても月々の返済額は1.25倍が限度です。安心なように見えますが、上限を超えた利息分は元金に上乗せされる(ネガティブアモータイゼーション)リスクがある点は重要です。厳しいところですね。

金利タイプ メリット デメリット 向いている顧客
変動金利 当初の返済額が低い 金利上昇リスクあり 繰り上げ返済を積極的に行う人
固定期間選択型 一定期間は返済額が確定 固定期間終了後に見直しリスク 子どもの教育費が重なる10年間など特定期間を安定させたい人
全期間固定(フラット35 金利変動リスクゼロ 当初金利が高め 収入が安定しており長期計画を立てたい人

シミュレーションで顧客に示す際は、「現状の金利」だけでなく「金利が1%上昇したケース」「2%上昇したケース」の返済額変化を並べて見せることが有効です。たとえば、現在の変動金利0.4%のローンが2%になると、月々の返済額は3,000万円・35年のケースで約1万5千円程度増加します。年間18万円の負担増です。

この比較表を顧客に提示することで、金利リスクの実感が生まれます。数字が伴うと説得力が違います。

繰り上げ返済シミュレーションで差別化する不動産業者の提案術

返済予定表を使いこなす不動産業者の中でも、繰り上げ返済シミュレーションまで提示できる担当者はごく少数です。ここを武器にできると、顧客の信頼が格段に高まります。

繰り上げ返済の効果は「早いほど大きい」のが原則です。たとえば借入3,000万円・金利1.5%・35年のローンに対して、借入5年後に100万円を期間短縮型で繰り上げ返済した場合と、15年後に同じ100万円を繰り上げ返済した場合を比較します。

  • 🕐 5年後に100万円繰り上げ返済 → 利息軽減効果:約43万円・期間短縮:約1年10ヶ月
  • 🕐 15年後に100万円繰り上げ返済 → 利息軽減効果:約22万円・期間短縮:約1年

同じ100万円でも、繰り上げ返済のタイミングで効果が約2倍変わります。これは意外ですね。

なぜこうなるかというと、残高が多い早い時期ほど利息が大きく、繰り上げ返済で圧縮できる利息も多いからです。繰り上げ返済は残高に対してかかる利息を前倒しでカットするイメージです。

ただし、繰り上げ返済に手数料がかかる金融機関もあります。一般的にネット銀行は無料、都市銀行・地方銀行は数千円〜33,000円程度の手数料が発生するケースもあります。手数料が繰り上げ返済の利息軽減額を上回ってしまう場合、少額の繰り上げ返済は逆効果になります。これだけ覚えておけばOKです。

顧客に繰り上げ返済を勧める場面では、「手数料の確認を先にする」という手順を踏むことで、トラブル防止と信頼構築が同時にできます。顧客の契約している金融機関の手数料を一緒に調べてあげる姿勢が、担当者への信頼につながります。

不動産業従事者が見落としやすい返済予定表の3つの盲点

返済予定表は「もらって終わり」になりがちな書類ですが、実は重要な情報が詰まっています。見落としやすい盲点を3つ紹介します。

盲点①:団信保険料はローン金利に含まれている場合がある

住宅ローンには団体信用生命保険(団信)が付帯することが一般的です。民間銀行では金利に団信保険料が含まれていることが多いですが、フラット35では別途保険料を支払う選択肢があります。返済予定表の「金利」が団信込みかどうかを確認しないまま比較すると、実質的な負担額を誤って顧客に伝えるリスクがあります。

盲点②:固定期間終了後の金利が返済予定表に反映されていない

固定期間選択型ローンの返済予定表は、多くの場合「固定期間終了後は当初金利と同じ」か「現時点の変動金利」で計算されています。実際には固定期間終了後に金利が大きく変わる可能性があります。顧客に見せる際はこの前提条件を必ず説明しましょう。条件の確認が基本です。

盲点③:ボーナス払い併用の場合は2本立てで計算する必要がある

ボーナス返済を設定した場合、毎月返済分とボーナス返済分はそれぞれ別の元金残高をベースに計算されます。つまり返済予定表が事実上2本存在する形になります。この構造を理解していないと、繰り上げ返済の効果を正確に計算できません。ボーナス払い分の元金残高に対して繰り上げ返済するのか、毎月払い分に充てるのかで効果が変わるからです。

不動産業者がこの3点を顧客に説明できると、他社との圧倒的な差別化になります。知識が信頼を作ります。

国土交通省の住宅ローン減税に関する情報ページも、顧客への総合的な説明資料として活用できます。

国土交通省:住宅ローン減税制度の詳細(住宅・建築物の税制・融資ページ)

また、日本銀行が公表している金融システムレポートには、変動金利型ローンの金利上昇リスクに関する分析が含まれており、マクロな視点での金利動向を把握するのに役立ちます。

日本銀行:金融システムレポート(金利リスクの分析含む)

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