現況有姿 現状有姿 違いと契約不適合責任の正しい理解

現況有姿と現状有姿の違い

現況有姿の契約書記載で契約不適合責任が自動的に免除されると思い込むと損害賠償請求される。

この記事の3ポイント要約
📝

用語の違いは慣習によるもの

現況有姿と現状有姿は法的に明確な定義がなく、地域の慣習や不動産会社の規定で使い分けられているだけで実務上は同じ意味として扱われる

⚖️

記載だけでは免責されない

契約書に現況有姿や現状有姿と書かれていても、それだけでは売主の契約不適合責任は免除されず、別途免責特約が必要になる

🔍

告知義務は消えない

現況有姿取引であっても売主は知っている欠陥を告知する義務があり、隠した場合は故意の不告知として免責特約も無効になりうる

現況有姿と現状有姿の法的定義と実務での扱いの違い

 

不動産売買の契約書でよく目にする「現況有姿」と「現状有姿」という用語について、法的な違いがあるのか気になる方は多いでしょう。結論からお伝えすると、法令上これらの用語に明確な定義は存在しません。厳密には、現況有姿は建物と土地の変が難しいためそのまま引き渡すことを指し、現状有姿は変更は可能だがそのまま引き渡すといった違いがあるとされることもあります。

しかし実務では、どちらも「現在のありのままの状態で引き渡す」という同じ意味として扱われるのが一般的です。

つまり、これは慣習の問題なのです。

地域の慣習や契約書類を作成する不動産会社の規定によって使い分けられているに過ぎません。東日本では「現況有姿」、西日本では「現状有姿」といった地域差があるという指摘もありますが、これも明確な統計データに基づくものではなく、あくまで業界の肌感覚に近いものです。どちらを使うかは不動産会社や仲介業者の好み、あるいは従来から使っている契約書のひな型によって決まることが多いのが実態です。

不動産業界では「現況有姿売買」「現状有姿売買」「現況渡し」「現状渡し」など、さまざまな表現が混在しています。これらはすべて同じ趣旨を表現しているものと考えて差し支えありません。売主が物件に対して修繕やリフォームを行わず、契約時点(または内覧時点)の状態のまま引き渡すという条件を示す言葉です。

実務で重要なのは、「現況有姿」と「現状有姿」のどちらの用語が使われているかよりも、契約書全体の条項内容です。

現況有姿と現状有姿の使い分けが生じる背景と地域差

なぜ現況有姿と現状有姿という二つの表現が併存しているのでしょうか。これは日本語の特性と不動産業界の歴史が関係しています。

「現況」も「現状」も、どちらも現在の状態を意味する言葉です。法律用語としても、不動産登記法では「現況」という表現が使われることがあります。一方、民法や商慣習の文脈では「現状」という言葉が好まれる傾向があります。こうした微妙なニュアンスの違いから、不動産会社や地域ごとに異なる表現が定着していったと考えられます。

ある調査によれば、東日本の不動産会社では「現況有姿」を使う傾向が強く、西日本では「現状有姿」が多く使われるという傾向があるとされています。しかしこれも絶対的なルールではなく、同じ地域内でも会社によって使い分けは異なります。大手不動産会社の中には、全国統一で「現況有姿」を使用するところもあれば、「現状有姿」で統一しているところもあります。

また、契約書のひな型を作成した時期によっても違いが生じます。古いひな型では「現状有姿」が使われることが多く、比較的新しいひな型では「現況有姿」が採用されるケースが増えているという指摘もあります。これは法改正や業界団体の推奨表現の変化が影響している可能性があります。

結局のところ、どちらの用語を使うかは形式的な問題に過ぎません。

重要なのは契約の内容そのものです。

契約書に「現況有姿」と書かれていようが「現状有姿」と書かれていようが、その法的効果に違いはありません。不動産従事者としては、どちらの表現にも対応できるよう、両方の用語に慣れておくことが実務上は重要です。

現況有姿売買における契約不適合責任との関係

現況有姿や現状有姿という条項が契約書に記載されていても、それだけで売主の契約不適合責任が自動的に免除されるわけではありません。これが不動産実務で最も誤解されやすい点です。

契約不適合責任とは、引き渡された物件が種類・品質・数量において契約内容に適合しない場合に、売主が負う責任のことです。買主は売主に対して、修補請求、代金減額請求損害賠償請求、契約解除といった権利を行使できます。この責任は民法で定められた法定責任であり、契約書に何も書かなければ当然に発生します。

現況有姿条項は「現在の状態のまま引き渡す」という引渡し条件を定めるものであり、責任を免除する条項ではないのです。裁判例でも、現況有姿条項があるからといって契約不適合責任が当然に免除されるとは解釈されていません。

東京地裁平成26年7月16日判決では、現状有姿取引において、買主が内覧時に知り得た不具合については契約不適合責任が生じないが、外観上明らかでない瑕疵については売主は責任を負うと判断されました。つまり、現況有姿条項があっても、隠れた欠陥については売主が責任を負う可能性があるということです。

契約不適合責任を真に免除したい場合は、別途「契約不適合責任を免除する」という明示的な免責特約を設ける必要があります。

しかし、この免責特約にも限界があります。

売主が宅建業者で買主が一般消費者の場合、宅建業法40条により免責特約は無効となります。また、売主が事業者で買主が個人である場合、消費者契約法8条により一方的に不利な条項は無効となる可能性があります。

現況有姿契約書における記載内容と付帯設備表の重要性

現況有姿売買を行う際は、契約書本文だけでなく、付帯設備表や物件状況報告書といった書類が極めて重要な役割を果たします。これらの書類によって、「現況」の具体的な範囲が明確になるからです。

付帯設備表には、エアコン、給湯器、キッチン設備、浴室設備、トイレ、照明器具など、物件に付属する設備の有無と状態を一つひとつ記載します。例えば「エアコン:2台あり、うち1台は故障」「給湯器:あり、動作確認済み」といった具合です。これにより、どの設備が引き渡しの対象で、どの設備に不具合があるかが明確になります。

物件状況報告書(告知書)には、雨漏りの有無、シロアリ被害の有無、過去の修繕履歴、境界の確定状況、近隣トラブルの有無、心理的瑕疵の有無などをチェックリスト形式で記載します。売主がこれに署名することで、記載内容について認識していたことの証拠となります。

実務では、これらの書類に具体的かつ正確に記載することで、後日のトラブルを大幅に減らすことができます。「現況有姿」という一言だけでは曖昧な部分を、具体的な書面で補完するわけです。写真を添付したり、修繕の領収書を保管しておいたりすることも有効です。

逆に、これらの書類が不十分だったり、記載が曖昧だったりすると、引渡し後に「聞いていない」「そんな不具合があるとは知らなかった」という紛争に発展するリスクが高まります。現況有姿条項があっても、書類の不備は売主にとって不利な材料となります。

現況有姿売買で実際に起きた裁判トラブル事例

現況有姿売買に関する裁判例を見ると、どのような場合に売主が責任を負い、どのような場合に免責されるのかが具体的に理解できます。

神戸地裁平成11年7月30日判決では、阪神淡路大震災の震災区域内にある物件を現状有姿で売買した事例で、引渡し後に屋根裏に多数のコウモリが棲息していることが判明しました。裁判所は、現状有姿条項があってもコウモリの棲息は契約不適合に該当すると判断し、売主の責任を認めました。コウモリの棲息は外観からは分からない隠れた欠陥であり、買主が通常予期できる範囲を超えていたためです。

東京地裁平成18年1月20日判決では、築21年の中古住宅を現状有姿で購入した後、重大なシロアリ被害が発見されました。建物の土台が侵食され構造耐力上の危険性があったため、裁判所は現状有姿売買であっても売主の瑕疵担保責任(当時の制度)を認めました。中古物件であることを考慮しても、構造上の安全性を損なう重大な欠陥は免責されないという判断です。

一方、東京地裁平成26年7月16日判決では、現状有姿で購入した建物の漏水などについて、買主が内覧時に知り得た不具合については契約不適合責任が生じないと判断されました。外観上明らかな不具合については、買主が現況を承知して購入したものと解釈されたのです。

これらの事例から分かるのは、現況有姿条項があっても、隠れた重大な欠陥については売主が責任を負う可能性が高いということです。特に、構造上の安全性に関わる問題や、買主が通常予期できない異常な状態については、現況有姿でも免責されません。売主にとっては、知っている欠陥を正直に告知することが最も安全な対応といえます。

不動産売買トラブルの判例について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります。

ダーウィン法律事務所|現状有姿特約の意味と売主の契約不適合責任

現況有姿売買において売主が負う説明義務の範囲

現況有姿売買であっても、売主は買主に対して物件の状態を説明する義務を負います。「現況有姿だから何も説明しなくていい」というのは大きな誤解です。

売主が告知すべき情報は、物件の価値や安全性に影響を与える重要事項です。

具体的には次のような事項が含まれます。

📌 物理的瑕疵:雨漏り、シロアリ被害、給排水の不具合、建物の傾き、基礎のひび割れ、過去の修繕履歴など

📌 法的瑕疵:建築基準法違反(違法建築)、境界未確定、越境物の存在、私道の通行掘削承諾、用途地域の制限など

📌 心理的瑕疵:過去の事件事故(自殺・他殺・孤独死など)、近隣の嫌悪施設、騒音・悪臭など

📌 環境的瑕疵:土壌汚染、地盤沈下、地中埋設物、周辺の暴力団事務所や反社会的勢力の存在など

これらの事項について売主が知っているにもかかわらず告知しなかった場合、現況有姿条項があっても免責されません。むしろ、故意に隠したとして悪質性が高いと判断され、損害賠償責任や契約解除のリスクが高まります。

裁判例でも、売主が重要な欠陥を知りながら告げなかった場合は、現状有姿特約では守れないと判断される傾向にあります。現況有姿の前提は「買主が現況を理解して納得した上で購入する」ことです。その前提を欺く行為は、特約の保護を受けられないのです。

実務では、売主が「どこまで調査すべきか」という問題も生じます。売主には知っている事実の告知義務はありますが、すべてを積極的に調査する義務までは負いません。ただし、明らかな兆候があるのに確認を怠った場合は「気づけたはず」として責任を問われる可能性があります。

迷ったときは「言うべきか悩む事ほど積極的に伝える」という方針を取るのが賢明です。告知漏れによる紛争リスクは、過剰な告知による売却価格の低下リスクよりも深刻だからです。

現況有姿取引で宅建業者が注意すべき実務上のポイント

不動産業従事者として現況有姿取引に関わる際は、次のような実務上の注意点を押さえておく必要があります。

まず、売主が宅建業者の場合は特別な規制があります。宅建業法40条により、宅建業者が売主となり買主が一般消費者である場合、契約不適合責任を完全に免除する特約は無効です。引渡しから2年以上の期間を設ける場合を除き、民法より買主に不利な特約は認められません。つまり、宅建業者が現況有姿で売却する場合でも、最低2年間は契約不適合責任を負うことになります。

仲介業者の立場では、売主・買主双方に対して適切な説明を行う義務があります。現況有姿条項があるからといって、それで契約不適合責任が免除されるわけではないことを、双方に明確に伝える必要があります。説明が不十分だと、後日「仲介業者から説明がなかった」として、仲介業者自身が損害賠償を請求されるリスクがあります。

重要事項説明書の作成では、物件の現況について詳細に記載し、特に不具合がある場合はその内容を具体的に説明する必要があります。「雨漏りの痕跡あり」だけでなく、「2階北側寝室の天井に雨染みあり、過去に修理したが完全には直っていない可能性がある」といった具体的な記載が求められます。

契約書の作成では、現況有姿条項だけでなく、契約不適合責任の範囲を明確にする条項も併せて設けることが重要です。例えば「引渡しから3ヶ月以内に通知があった場合に限り、売主は修補または損害賠償の責任を負う。ただし、物件状況報告書に記載された事項については責任を負わない」といった具体的な条項です。

また、買主に対しては、インスペクション(建物状況調査)の実施を勧めることも有効です。専門家による調査を実施すれば、隠れた欠陥を事前に発見できる可能性が高まります。買主がインスペクションを拒否した場合でも、勧めたという記録を残しておくことで、後日のトラブル時に仲介業者の善管注意義務を果たしたことの証明になります。

現況有姿取引では、通常の取引以上に慎重な対応が求められます。書面での記録を徹底し、曖昧な点は必ず明確化する姿勢が、トラブル防止の鍵です。

現況有姿売買における免責特約が無効になるケース

現況有姿条項に加えて契約不適合責任の免責特約を設けても、その特約が無効となるケースがあります。これを理解しておかないと、「免責特約があるから安心」と思っていたのに、実際には責任を追及されるという事態になりかねません。

まず、宅建業法による制限です。売主が宅建業者で買主が一般消費者(宅建業者以外)の場合、引渡しから2年未満の期間で契約不適合責任を制限する特約は無効になります。これは宅建業法40条の強行規定であり、当事者間の合意があっても覆せません。仮に「契約不適合責任を一切負わない」という特約を設けても、その部分は無効となり、民法の原則に戻ります。

次に、消費者契約法による制限です。売主が事業者で買主が個人消費者の場合、消費者契約法8条により、事業者の損害賠償責任を全部免除する条項は無効となります。また、故意または重過失による場合の免責条項も無効です。これは、事業者と消費者の間の情報格差や交渉力の差を考慮した規定です。

さらに、売主が欠陥を知っていたにもかかわらず告知しなかった場合、免責特約は認められません。これは信義則上当然のことで、自分が知っている欠陥を隠して免責を主張することは許されません。裁判例でも、売主の故意による不告知があった場合は、免責特約の効力を否定する傾向にあります。

また、免責特約の対象範囲が限定的な場合も注意が必要です。例えば「建物の瑕疵については免責」としても、土地の地中障害や境界問題は対象外となります。特約に明示されていない事項については、依然として契約不適合責任が残ることになります。

免責特約が有効に機能するのは、売主・買主が個人同士で、双方が対等な立場で、物件の状況を十分に理解した上で、具体的かつ明確な範囲で合意した場合に限られます。この条件を満たさない場合、免責特約は部分的または全面的に無効となる可能性があります。

現況有姿売買で発生しやすい典型的なトラブルパターン

現況有姿売買では、特定のパターンでトラブルが発生しやすいことが分かっています。これらを事前に把握しておくことで、予防策を講じることができます。

最も多いのが、設備の不具合に関するトラブルです。給湯器が引渡し直後に故障した、エアコンが動かなかった、水道の水圧が異常に低いなど、設備に関する問題が頻発します。これを防ぐには、付帯設備表に各設備の動作状況を詳細に記載し、可能であれば引渡し前に買主立会いのもとで動作確認を行うことが有効です。「給湯器:15年使用、動作するが経年劣化により近い将来故障の可能性あり」といった記載があれば、後日の紛争リスクは大幅に減ります。

次に多いのが、雨漏りやシロアリ被害などの建物の重大な欠陥です。これらは外観からは分かりにくく、居住を始めてから発覚することが多いため、紛争が深刻化しやすい傾向があります。売主が過去に雨漏りを経験していたにもかかわらず告知しなかった場合、故意の不告知として損害賠償の対象となります。逆に、売主が本当に知らなかった場合でも、明らかな兆候(天井の染み、カビの臭いなど)があれば「気づけたはず」として責任を問われる可能性があります。

境界や越境に関するトラブルも典型的です。境界が確定していない、隣地の塀が越境している、私道の通行権が不明確といった問題は、後々大きな紛争に発展します。特に、買主が建て替えや増築を計画している場合、これらの問題が顕在化してトラブルになるケースが多いです。

地中埋設物の問題もしばしば発生します。解体工事を始めたら地中から大量のコンクリート殻やゴミが出てきた、旧建物の基礎が残っていて撤去に予想外の費用がかかった、といった事例です。これらは売主も知らないことが多いですが、建て替え歴がある物件では可能性を告知しておくべきです。

残置物に関するトラブルも意外と多く発生します。売主が「現況有姿だから家具も残したまま」と考えていたのに、買主は「空にして引き渡されるもの」と思っていた、というすれ違いです。これは契約書で「残置物は〇〇を除き買主が処分する」と明記することで防げます。

これらのトラブルに共通するのは、「認識の齟齬」が原因だということです。現況有姿という言葉だけでは、具体的に何がどのような状態なのかが明確になりません。書面で具体的に記載し、写真を添付し、現地で確認するという三重のチェックが、トラブル予防には不可欠です。

現況有姿契約における買主側の確認ポイントと対策

買主の立場で現況有姿物件を購入する際は、通常の取引以上に慎重な確認が必要です。「安く買えるからラッキー」と安易に考えると、後で痛い目に遭います。

まず必ず行うべきは、徹底した現地確認です。

内覧時には次の点をチェックしましょう。

🔍 雨漏りの痕跡:天井や壁に染み、カビの臭い、クロスの剥がれがないか確認する

🔍 床の傾き:ビー玉を転がして傾斜をチェック。大きく傾いている場合は基礎に問題がある可能性

🔍 水回り:蛇口をひねって水圧や排水を確認。

水漏れや詰まりがないかチェック。

給湯器やトイレも動作を確かめる

🔍 建物の外周:基礎のひび割れ、外壁の劣化、屋根の状態、雨樋の破損などを確認

🔍 設備の動作:エアコン、換気扇、照明など、残置される設備は実際に動かして確認

🔍 境界と越境:境界標の有無、隣地との塀や樹木の越境状況を確認

これらを確認した上で、可能であればインスペクション(建物状況調査)を依頼するのが理想的です。専門家による調査費用は5万円から10万円程度かかりますが、数百万円の修繕費用が後から発生するリスクを考えれば安い投資です。

契約書類の確認も重要です。現況有姿条項だけでなく、契約不適合責任の範囲、通知期限、免責事項などを細かく確認しましょう。特に「引渡しから〇ヶ月以内に通知」という期限条項がある場合、その期限を過ぎると権利を失うため、引渡し後はできるだけ早く入居して問題がないか確認する必要があります。

予算の確保も忘れてはいけません。現況有姿物件は安く購入できる反面、修繕費用がかかる可能性が高いです。購入価格の10%から20%程度を修繕予備費として確保しておくことをおすすめします。例えば2000万円の物件なら、200万円から400万円の修繕予算を見込んでおくということです。

万一不具合が発覚した場合の対応手順も理解しておきましょう。まず写真やビデオで証拠を記録し、すぐに売主と仲介業者に連絡します。契約書で定められた期限内に、内容証明郵便などの記録が残る方法で通知することが重要です。口頭や電話だけでは「言った・言わない」の水掛け論になりかねません。

現況有姿物件は確かにリスクがありますが、適切に確認して納得した上で購入すれば、コストパフォーマンスの高い買い物になります。要は、リスクを理解して対策を講じるかどうかです。

現況有姿売買トラブル発生時の初動対応と解決手順

万一現況有姿売買でトラブルが発生した場合、初動対応が解決の鍵を握ります。感情的にならず、冷静に手順を踏むことが重要です。

トラブル発覚時の対応手順は次のとおりです。

📌 証拠の確保:不具合箇所を写真や動画で記録。

日付入りで複数の角度から撮影する。

第三者(専門業者など)の所見があれば文書で残してもらう

📌 契約書の確認:現況有姿条項、契約不適合責任条項、通知期限、免責事項などを再確認。自分に権利があるのか、期限は守られているかをチェック

📌 速やかな通知:契約書で定められた期限内に、売主と仲介業者に不具合を通知。内容証明郵便やメールなど、記録が残る方法で行う

📌 専門家への相談:修理の見積もりを取る。必要に応じて弁護士や建築士などの専門家に相談

📌 協議の申し入れ:売主に対して、修補、減額、損害賠償などの具体的な解決案を提示して協議を申し入れる

協議では、いきなり「全額賠償しろ」と主張するのではなく、まず現実的な解決策を探る姿勢が大切です。例えば、修理費用50万円かかるケースで、売主が全額負担は難しいと言う場合、「では30万円負担してもらえませんか」と折り合いをつけるような柔軟性も必要です。

協議が決裂した場合は、次の法的手段を検討します。

まず調停の申し立てが考えられます。

調停は裁判より時間と費用がかからず、第三者(調停委員)が間に入って話し合いを仲介してくれます。

多くのトラブルは調停で解決に至ります。

調停でも解決しない場合は、訴訟を起こすことになります。訴訟では、契約書、物件状況報告書、付帯設備表、内覧時の写真、専門家の鑑定書などの証拠が重要になります。日頃から記録を残す習慣がいかに大切かが分かります。

トラブル予防の観点では、初動の記録と通知が最も重要です。「後で言おう」と先延ばしにすると期限を過ぎてしまい、権利を失います。不具合を発見したら即座に記録し、速やかに通知することを徹底しましょう。

不動産業従事者としては、トラブル発生時に当事者双方の間に立って冷静な解決を促す役割が期待されます。感情的な対立を避け、事実関係を整理し、法的な権利義務を説明し、現実的な落としどころを提案する。こうした調整能力が、プロフェッショナルとしての価値を高めます。

現況有姿売買における今後の法改正動向と実務への影響

不動産取引を取り巻く法制度は常に変化しており、現況有姿売買に関する実務も今後変わっていく可能性があります。最新の動向を把握しておくことが、不動産業従事者には求められます。

2020年4月の民法改正で、瑕疵担保責任が契約不適合責任に改められました。この改正により、買主の権利が拡大し、売主の責任範囲も変化しています。特に、契約不適合があった場合の買主の通知期限が「不適合を知った時から1年以内」と明確化されたことで、実務にも影響が出ています。

今後注目されるのは、インスペクション(建物状況調査)の普及です。2018年の宅建業法改正により、中古住宅の売買時に宅建業者がインスペクションの説明を行うことが義務化されました。これにより、現況有姿売買でも事前に建物の状態を把握する流れが強まっています。

また、既存住宅売買瑕疵保険の利用も増加傾向にあります。この保険に加入すれば、引渡し後に隠れた欠陥が見つかった場合でも保険で修理費用がカバーされるため、買主の安心感が高まります。現況有姿物件でもこの保険を付けることで、売りやすくなるというメリットがあります。

デジタル化の進展も実務に影響を与えています。電子契約の普及により、契約書や重要事項説明書のデジタル化が進んでいます。これに伴い、物件の写真や動画、3Dスキャンデータなどを契約書類に添付することが容易になり、現況の記録がより詳細かつ正確になることが期待されます。

消費者保護の観点からは、今後も規制強化の方向性が続くと予想されます。特に、事業者と消費者の間の情報格差を是正する施策が強化される可能性があります。現況有姿売買でも、売主や仲介業者の説明義務がより厳格化される可能性があります。

不動産業従事者としては、これらの法改正や制度変更に常にアンテナを張り、実務に反映させていく姿勢が重要です。業界団体の研修や法律セミナーに参加し、最新知識をアップデートし続けることが、プロとしての信頼につながります。

現況有姿売買は、今後も中古不動産市場で重要な役割を果たし続けるでしょう。しかし、その運用方法は時代とともに進化していきます。古い知識にとらわれず、常に学び続ける姿勢が、成功する不動産業従事者の条件といえます。

I have gathered comprehensive research.


「Q&A 不動産の時効取得・瑕疵担保責任に関する法律と実務―占有・援用・登記・売買・契約不適合・現況有姿―」