違反行為と監督処分と宅建業法と基準と業務停止

違反行為と監督処分と宅建業法

違反行為・監督処分の要点(現場向け)
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監督処分は「基準」で読める

国交省が公表する「監督処分の基準」で、違反類型ごとの標準的な業務停止日数や、加重・軽減の判断枠が示されています。

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処分は一発アウトだけではない

同じ違反でも損害の有無・是正の速さ・補填の誠実さで、業務停止が指示処分に「軽減」されることがあります。

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公表と営業影響まで設計する

監督処分はホームページ等で公表される運用があり、広告・来客対応・媒介契約など「止まる業務」が広いので、BCP型の手当が必要です。

違反行為の類型と監督処分の基準

 

宅建業法の違反行為が起きたとき、監督処分(指示処分・業務停止処分・免許取消処分)は、原則として国土交通大臣等が定めた「宅地建物取引業者の違反行為に対する監督処分の基準」に沿って判断されます。

この基準は、どの条文違反が「標準で何日」の業務停止に相当するかを別表で示しており、現場のコンプライアンス教育や内部監査の“優先順位表”として使えるのが強みです。

例えば、重要事項説明義務違反(書面の記載欠落・虚偽、説明しない、取引主任者以外が説明など)は、標準7日、損害が出れば15日、損害が大きいと30日と段階化されています。

一方で「日数が決まっているから安心」ではなく、基準自体が“加重・軽減”の入口を明示しています。

参考)https://www.revistasmarcialpons.es/revistaderechopublico/article/download/1637/2030

加重の例として、損害が特に大きい、態様が詐欺的、違反状態が長期、社会的影響が大きい場合などは、標準日数に「2/3を乗じた日数を加重」できる枠組みです。

軽減の例として、損害が発生していない・今後も見込まれない、指摘前(または指摘に応じ直ちに)損害補填を合理的かつ誠実に開始、直ちに是正した等では、業務停止が指示処分へ軽減され得ます。

違反行為が複数のときの監督処分の決まり方

実務で見落とされがちなのが「違反が複数」あるケースの調整ルールで、基準では複数違反を一つの監督処分にまとめる場合の“計算”まで定めています。

業務停止対象の違反が複数含まれる場合、(A)最長日数×2/3(一定条件では「2」へ置換)と、(B)各日数の合計のうち「短い方」を業務停止期間とする仕組みで、単純合算にならない点がポイントです。

さらに、過去5年に指示処分や業務停止処分を受けていると、業務停止期間に「2/3を乗じた日数を加重」する扱いもあり、再発が数字で重くなる設計になっています。

また、基準は「原則として、処分日から過去5年間の違反行為」を対象とする運用も示しています。

この“5年”は、社内の監査ログ・教育履歴・是正記録をいつまで保持するか(文書管理)と直結するため、法務や総務任せにせず現場も意識しておく価値があります。

違反が単発に見えても、複数取引・複数店舗・複数担当で同種違反が連鎖していると、処分判断では「組織としての違反状態が長期」になり得るため、早期の横串点検が有効です。

業務停止処分の範囲と業務の禁止

業務停止処分の怖さは「契約を取れない」だけでなく、禁止される行為が広く、営業活動の多くが止まる点にあります。

基準では、広告(媒体を問わず物件特定可能な表示)、電話照会・来客対応、モデルルーム運営、媒介契約の締結・更新や業務処理、申込証拠金の受領、申込みに対する承諾/拒否の意思表示、売買・交換・賃借契約の締結などが禁止行為として例示されています。

一方、業務停止開始日前に締結した契約(媒介契約を除く)を「結了」する目的の範囲内行為(登記・引渡し等)や、自ら賃貸する行為、造成・建築工事、建築確認/開発許可申請、資金借入れなどは許容される例として整理されています。

この線引きは、現場の運用だと「どこまでが既存契約の結了に必要か」で判断が揺れます。

停止期間に入る前に、案件台帳を「結了に必要なタスク」と「新規営業タスク」に分解し、作業指示書・連絡テンプレ・顧客説明文まで用意しておくと、混乱による二次違反を防げます。

特に媒介契約の扱いは誤解が起きやすく、業務停止中の媒介関連の動きが“新規営業”と評価されないよう、社内ルールを具体化する必要があります。

監督処分の公表とレピュテーション対策

監督処分は、処分日、商号・名称、主たる事務所所在地、代表者氏名、免許番号、処分内容、処分理由などがホームページ掲載で公表される運用が基準に明記されています。

つまり、行政対応が終わっても「検索結果に残る」局面が続くため、広報・採用・提携先対応まで含めた“二段階の危機管理”が必要になります。

現場で実装できる対策としては、(1)問い合わせ導線の一本化、(2)顧客への説明文の統一、(3)再発防止策(研修・チェックリスト・監査頻度)の公開可能な形への整理、が最低ラインになります。

意外に効くのが、処分基準を「読んだことがある」だけではなく、社内規程に“基準の別表を参照する”条項を入れておくことです。

そうすると、教育・監査が“根拠ある運用”に見えやすくなり、社外説明でも「行政が公表する統一基準に沿って社内統制を作っている」と言える材料になります。

さらに、基準には「指示処分後の実施状況調査等を講ずる」といった運用も書かれているため、指示書を受けたら“提出して終わり”ではなく、証跡管理(研修記録、是正結果、再点検結果)が重要です。

違反行為を減らす現場のチェック設計(独自視点)

検索上位の解説は「どの違反が何日か」に寄りがちですが、実務では“違反の発生条件”を分解して、工程に埋め込む方が再発防止に効きます。

例えば重要事項説明義務違反は、知識不足よりも「書面差し替え漏れ」「説明者と記名押印者の不一致」「説明の実施証跡が弱い」など、オペレーション断絶で起きることが多いので、1案件1回のチェックでは足りません。

そこで、以下のように“タイミング別チェック”へ落とすと、人的ミスに強くなります。

  • 物件仕入れ時:重要事項説明書の雛形に「物件固有の追加項目」が発生していないかを一次判定(法定項目+自治体運用の差分)。
  • 媒介受託時:取引態様の明示・報酬上限・広告表現の可否を、広告出稿より前に確認する(誇大広告の芽を先に潰す)。
  • 契約前日:重要事項説明書・37条書面の版番号を固定し、配布PDFと紙の同一性を取る(差し替え事故を防ぐ)。
  • 説明当日:説明担当者の資格/従業者証明書携帯、説明実施ログ(録音/署名/チェックリスト)を残す(「説明した/してない」紛争を減らす)。
  • 契約後:顧客の質問・苦情を「違反リスクの早期警戒」として分類し、同種の問い合わせが続いたら雛形/手順を改訂する。

“意外な情報”として押さえたいのは、基準が「業務停止開始日」を原則「命令書交付日から2週間経過後」に設定する運用を示している点です。

この2週間は、広告撤収や関係者連絡などの準備期間として設計されているため、逆に言えば、準備の質が低いと停止期間中の混乱が増え、現場が独自判断で動いて二次違反を招きやすくなります。

“処分を受けた後の運用”まで含めて、業務停止中にやってよい行為・だめな行為を一覧化し、フロント(営業)とバック(契約管理)の判断基準を一致させることが、現場マネジメントの核心になります。

監督処分基準(標準日数・加重軽減・公表事項・禁止/許容行為がまとまっている)

https://www.mlit.go.jp/common/000170679.pdf

重要事項説明義務違反が「業務停止7日/15日/30日」になり得ること、軽減で指示処分になる条件の考え方(現場イメージに落ちる)

https://www.zennichi.or.jp/law_faq/%E8%A1%8C%E6%94%BF%E5%87%A6%E5%88%86%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%BA%96/

独占禁止法違反行為と民事的救済制度: 「独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度研究会」報告 (別冊NBL no. 55)