譲渡所得確定申告の必要書類と手続きの完全ガイド

譲渡所得の確定申告に必要な書類と手続き

売却益がゼロでも特例利用なら申告は必須です。

📋 この記事の3ポイント
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基本書類は7種類

確定申告書、譲渡所得の内訳書、売買契約書など譲渡所得の申告に必要な基本書類を完全網羅。e-Tax利用で一部省略も可能

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特例適用で追加書類が必要

3000万円控除などの特例を受けるには戸籍の附票や登記事項証明書が追加で必要。取得費不明時は概算取得費5%で計算

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期限後申告のペナルティ

期限後申告には最大15%の無申告加算税と年14.6%の延滞税が発生。損失でも特例利用時は申告が必要

譲渡所得の確定申告に必要な基本書類一覧

 

不動産売却に伴う譲渡所得の確定申告では、基本的に7種類の書類が必要になります。まず、確定申告書第一表・第二表と、分離課税用の第三表が必須です。譲渡所得は給与所得などとは別に計算する分離課税方式のため、第三表が欠かせません。

次に、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書【土地・建物用】)を作成します。この書類には売却した不動産の情報、売却価格、取得費譲渡費用などを詳細に記載することになります。国税庁のホームページから様式をダウンロードできるので、売却前に確認しておくとスムーズです。

売買契約書のコピーも必要です。購入時と売却時の両方が必要になるため、購入時の契約書は長期間保管しておく必要があります。仲介手数料や測量費など譲渡費用の領収書のコピーも添付書類として求められます。これらの費用は譲渡所得の計算で差し引けるため、すべての領収書を整理して保管することが重要です。

国税庁「譲渡所得関係 申告書添付書類」では、最新の添付書類一覧と提出方法が確認できます

登記事項証明書は売却した不動産の情報を証明する書類で、法務局で取得します。1通あたり600円の手数料がかかりますが、後述する明細書を提出すれば添付を省略できるケースもあります。本人確認書類としてマイナンバーカードまたは通知カードと身分証明書の組み合わせが必要です。給与所得者の場合は源泉徴収票も用意しますが、添付は不要で内容を記載するだけで構いません。

譲渡所得の取得費と譲渡費用の証明書類

取得費の証明は譲渡所得の計算で最も重要な部分です。取得費には購入代金だけでなく、購入時の仲介手数料、登記費用、不動産取得税、印紙税、測量費、改良費なども含まれます。これらの費用を証明するため、購入時の売買契約書、領収書、通帳の振込記録などが必要になります。

購入時の契約書や領収書を紛失した場合、原則として概算取得費(売却価格の5%)で計算することになります。例えば3000万円で売却した物件なら、150万円が取得費として認められる計算です。ただしこの方法では実際の取得費より大幅に少なくなり、税金が高額になる可能性があります。

契約書がない場合でも、振込明細書、通帳の記録、住宅ローンの金銭消費貸借契約書、抵当権設定契約書、住宅ローン返済予定表などで購入価格を証明できることがあります。また、市街地価格指数や建築統計年報などの公的資料を使って実額取得費を推定する方法もあるため、税理士に相談することをお勧めします。

譲渡費用として認められるのは、仲介手数料、測量費、建物の取り壊し費用、売買契約書の印紙代、立退料などです。確定申告時に領収書の提出は不要ですが、税務署から求められた場合に備えて確定申告期限から5年間は保管義務があります。領収書がない場合は出金伝票で代用できることもありますが、税務調査で否認されるリスクがあるため注意が必要です。

建物の取得費を計算する際は、購入価格から減価償却費相当額を差し引きます。事業用でない居住用財産でも減価償却の計算が必要になるため、建物の構造(木造、鉄筋コンクリート造など)と築年数を確認して正確に計算しましょう。

譲渡所得の特例適用時に追加で必要な書類

居住用財産の3000万円特別控除を適用する場合、追加の書類が必要になります。売却した不動産の登記事項証明書は基本書類ですが、譲渡契約締結日の前日時点で住民票の住所と売却物件の所在地が異なる場合、戸籍の附票の写しが必要です。戸籍の附票には過去の住所履歴が記載されており、その物件に実際に居住していたことを証明します。

戸籍の附票は本籍地のある市区町村役場で取得します。現在はマイナンバーカードがあればコンビニで取得できるため便利です。費用は自治体によって異なりますが、1通300円程度が一般的です。住民票の除票でも代用できる場合があるため、役場で確認するとよいでしょう。

マネーフォワード「譲渡所得とは?不動産売却時の確定申告の方法、必要書類を解説」では、特例ごとの必要書類が詳しく解説されています

3000万円控除を受けるには、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。例えば2023年5月に転居した場合、2026年12月31日までに売却しないとこの特例は使えなくなります。空き家期間が長くなると適用できなくなるため、売却のタイミングには十分注意が必要です。

買換え特例や譲渡損失の繰越控除を利用する場合も、それぞれ追加書類が必要になります。買換え先の登記事項証明書住宅ローンの残高証明書、買換え資産の売買契約書などです。特例の種類によって必要書類が異なるため、税務署や税理士に事前確認することが重要です。

特例を適用する場合、譲渡所得がゼロまたはマイナスになっても確定申告は必須です。申告しないと特例の適用が認められず、後から修正申告が必要になります。つまり、売却益が出なくても特例を使う予定なら必ず期限内に申告するということですね。

譲渡所得の確定申告でe-Taxを活用するメリット

e-Taxを利用すると、一部の添付書類の提出を省略できます。具体的には、登記事項証明書の添付を「譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書」を提出することで省略できます。この明細書には不動産番号(登記事項証明書に記載されている13桁の番号)を記載するだけで済むため、証明書取得の手間と費用を削減できます。

e-Taxの確定申告では、医療費控除証明書、生命保険料控除証明書などの添付も記載内容を入力すれば提出不要になります。ただし、法定申告期限から5年間は税務署から提示を求められる可能性があるため、原本は必ず保管しておく必要があります。

国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の指示に従って入力するだけで申告書と譲渡所得の内訳書を自動作成できます。譲渡所得の計算も自動で行われるため、計算ミスのリスクが減ります。作成した申告書はそのままe-Taxで送信できるため、税務署に行く必要がありません。

e-Taxの利用には、マイナンバーカードとICカードリーダーまたはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンが必要です。マイナンバーカードがない場合はID・パスワード方式も利用できますが、事前に税務署で発行手続きが必要になります。24時間いつでも申告できるのもe-Taxの大きなメリットです。

書面で提出する場合でも、確定申告書等作成コーナーで申告書を作成してプリントアウトし、郵送または税務署に直接提出することができます。郵送する場合は、提出日が申告日になるため、期限に余裕を持って発送しましょう。

譲渡所得の確定申告期限と延滞ペナルティ

譲渡所得の確定申告期限は、不動産を売却した年の翌年2月16日から3月15日までです。例えば2025年中に売却した場合、2026年2月16日から3月15日が申告期間になります。期限が土日祝日の場合は、翌平日が期限日です。この期限を過ぎると期限後申告となり、各種ペナルティが発生します。

期限後申告のペナルティで最も重いのは無申告加算税です。税務署からの調査通知前に自主的に申告した場合は納税額の5%、調査通知後は50万円以下の部分に10%、50万円超の部分に15%が加算されます。例えば納税額が100万円の場合、調査後の申告だと12万5000円(50万円×10%+50万円×15%)の無申告加算税が発生します。

さらに延滞税も発生します。延滞税の税率は納期限から2カ月以内が年7.3%(または延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い方)、2カ月超が年14.6%(または延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い方)です。売却益が大きい場合、延滞税だけで数十万円になることもあるため注意が必要です。

仲介手数料無料のナカジツ「不動産売却後の確定申告ガイド!やり方や必要書類をくわしく解説」では、申告の流れが分かりやすく説明されています

故意に申告を怠った場合、重加算税が課されることもあります。重加算税は納税額の40%という重いペナルティで、さらに延滞税も加算されます。最悪の場合、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金という刑事罰の対象になる可能性もあります。

申告期限に間に合わない場合でも、できるだけ早く期限後申告をすることが重要です。自主的な期限後申告なら無申告加算税が5%で済みますし、一定の条件を満たせば無申告加算税が免除されることもあります。申告が遅れそうな場合は、税理士に早めに相談することをお勧めします。

譲渡所得が損失の場合の確定申告の要否

不動産売却で譲渡損失(売却価格より取得費と譲渡費用の合計が大きい)が発生した場合、原則として確定申告は不要です。譲渡所得税は利益に対して課税されるため、損失が出ている場合は税金が発生しません。しかし、例外的に申告が必要または有利になるケースがあります。

マイホームを売却して譲渡損失が出た場合、一定の要件を満たせば他の所得と損益通算できる特例があります。給与所得や事業所得など他の所得がある場合、譲渡損失を差し引くことで所得税を還付してもらえる可能性があります。

この特例を使うには確定申告が必須です。

具体的には「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の2種類があります。どちらも住宅ローンが残っている場合などに適用できる可能性があり、損失額を3年間繰り越して控除できます。

つまり損失を無駄にしないということですね。

譲渡損失の損益通算を行う場合、譲渡所得の内訳書、売買契約書、登記事項証明書などの基本書類に加え、住宅ローンの残高証明書などが必要になります。特例ごとに要件が細かく定められているため、税務署または税理士に相談して適用可能かどうか確認することが重要です。

給与所得者で年末調整を受けた場合でも、譲渡所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。逆に譲渡所得が20万円以下なら申告不要ですが、医療費控除など他の理由で確定申告する場合は譲渡所得も含めて申告しなければなりません。

損失が出た場合でも、売買契約書や領収書などの書類は最低5年間保管しておくことをお勧めします。税務署から問い合わせがあった際に証明できるようにしておくことが大切です。特例を使わない場合でも、将来の税務調査に備えて記録を残しておきましょう。


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