住宅ローン控除確定申告必要書類と手続
登記事項証明書は不動産番号入力で提出不要になります
住宅ローン控除初年度の確定申告に必要な書類
住宅ローン控除を受けるためには、購入した年の翌年に必ず確定申告が必要です。会社員の方でも、初年度だけは自分で手続きをしなければなりません。
必要書類は大きく分けて7種類あります。まず確定申告書そのものが必要ですが、これは国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成できます。次に(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書も税務署や国税庁サイトから入手可能です。
金融機関から送られてくる住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書は、10月から11月頃に届くのが一般的です。この書類がないと控除額が計算できないため、顧客には必ず保管するよう伝えておきましょう。もし紛失した場合は、金融機関に再発行を依頼する必要がありますが、再発行には通常1週間程度かかります。年末調整や確定申告の時期が近づいてからの再発行依頼では間に合わないこともあるため、早めの確認が大切です。
登記事項証明書は法務局で取得しますが、1通600円の手数料がかかります。ただし、確定申告書に不動産番号を入力すれば、登記事項証明書の提出を省略できるようになりました。不動産番号は登記事項証明書の右上に記載されている13桁の番号です。
国税庁の「土地・家屋に係る登記事項証明書の添付省略制度」に関するページでは、不動産番号入力による省略手続きの詳細が確認できます。
建物・土地の不動産売買契約書または工事請負契約書の写しも必要です。これは住宅の取得対価の額を証明するための書類となります。源泉徴収票は会社員の方のみ必要で、勤務先から入手します。本人確認書類としてマイナンバーカードの写し、または通知カードと運転免許証などの組み合わせが必要です。
住宅ローン控除の確定申告期限と還付申告の仕組み
確定申告の期間は原則として毎年2月16日から3月15日までです。この期間内に住所地を管轄する税務署に書類を提出する必要があります。提出方法は税務署の窓口への持参、郵送、e-Taxによる電子申告の3つがあります。
e-Taxを利用すれば、自宅から24時間いつでも申告できる上に、添付書類の一部をイメージデータ(PDF)で提出できるため便利です。マイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、パソコンやスマートフォンから申告が可能になります。
ここで知っておきたいのが還付申告の仕組みです。住宅ローン控除は税金が戻ってくる還付申告に該当するため、通常の確定申告期限を過ぎても、対象年の翌年1月1日から5年間は申告できます。つまり確定申告を忘れていても、5年以内なら遡って控除を受けられるということです。
たとえば2024年に住宅を購入した場合、本来は2025年2月16日から3月15日に確定申告すべきですが、仮に忘れていても2030年12月31日までなら還付申告が可能です。ただし、住民税の軽減や各種助成金の所得証明などは、その年の申告内容をもとに判定されるため、早めに申告した方が有利になります。
国税庁の「No.2030 還付申告」のページでは、還付申告の詳しい手続きと期限について確認できます。
顧客への説明では、「5年以内なら大丈夫」という情報だけでなく、早めの申告が実質的なメリットにつながることも伝えるべきです。所得税だけでなく、住民税や国民健康保険料などにも影響するからです。
住宅ローン控除2年目以降の年末調整手続
初年度に確定申告をすると、翌年10月頃に税務署から「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」が郵送されます。この証明書は残りの控除期間分がまとめて送られてくるため、大切に保管する必要があります。
会社員の方は2年目以降、年末調整で住宅ローン控除を受けられます。手続きは勤務先に2つの書類を提出するだけです。1つ目は税務署から送られてきた控除証明書で、2つ目は金融機関から毎年届く年末残高証明書です。
年末調整の書類提出期限は通常12月上旬から中旬ですが、会社によって異なります。この時期に年末残高証明書を紛失していると、再発行が間に合わず年末調整で控除を受けられないケースがあります。
万が一年末調整で手続きを忘れた場合でも、翌年3月15日までに確定申告をすれば控除を受けられます。年末調整の期限を過ぎても対応方法があるということですね。
控除証明書を紛失した場合は、所轄の税務署に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を提出すれば再交付してもらえます。申請から発行までは通常1週間程度かかるため、早めの対応が必要です。
自営業の方や個人事業主の方は、毎年確定申告が必要です。2年目以降も初年度と同様に、計算明細書と年末残高証明書を添付して申告します。登記事項証明書や売買契約書は2年目以降は不要になります。
住宅ローン控除における中古住宅の必要書類
中古住宅を購入した場合、新築住宅とは異なる書類が必要になるケースがあります。特に築年数が古い物件では、耐震基準を満たしていることを証明する書類が求められます。
2022年の税制改正により、1982年1月1日以降に建築された物件であれば、耐震基準適合証明書がなくても住宅ローン控除を受けられるようになりました。これは新耐震基準が導入された時期を基準にした判断です。
1981年12月31日以前に建築された旧耐震基準の物件では、以下のいずれかの書類が必要です。耐震基準適合証明書は建築士や指定確認検査機関が発行します。取得の日前2年以内に調査が終了したものに限られるため、タイミングが重要です。住宅性能評価書の写しや既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書でも代用できます。
耐震基準適合証明書の取得には、耐震診断費用として5万円から15万円程度かかることが一般的です。診断の結果、基準を満たしていない場合は耐震改修工事が必要になり、さらに数十万円から数百万円の費用が発生します。
中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合でも、一定の手続きを行えば住宅ローン控除を受けられます。ただし、取得前に建築士等から「耐震基準に適合しない旨の証明」を受け、取得から6か月以内に改修工事を完了させて入居する必要があります。
国土交通省の「中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合について」のページでは、改修後の控除適用に関する詳細な手続きが説明されています。
不動産業従事者として顧客に説明する際は、物件の築年数と建築時期を必ず確認し、追加書類の必要性を事前に伝えることが重要です。耐震基準適合証明書の取得には時間がかかるため、売買契約前に準備を始める必要があります。
住宅ローン控除で見落としやすい床面積の判定基準
住宅ローン控除を受けるための重要な要件の1つが床面積です。原則として床面積が50平方メートル以上である必要があります。ただし、合計所得金額が1000万円以下の場合は、40平方メートル以上50平方メートル未満でも控除を受けられます。
ここで不動産業従事者が必ず知っておくべきなのが、床面積の測り方の違いです。マンションの販売図面に記載されている専有面積と、登記簿に記載されている床面積は異なることがあります。
販売図面の専有面積は壁芯(壁の中心線)で測った面積です。一方、登記簿面積は内法(壁の内側)で測った面積になります。壁の厚み分だけ登記簿面積の方が小さくなるため、専有面積が50平方メートルでも登記簿面積が50平方メートル未満になるケースがあります。
住宅ローン控除の判定に使われるのは登記簿面積です。つまり、パンフレットに「専有面積52平方メートル」と書いてあっても、登記簿面積が49平方メートルなら原則として控除を受けられません。
実際のトラブル事例として、専有面積50平方メートルのマンションを購入したお客様が、確定申告の段階で登記簿面積が48平方メートルだと判明し、住宅ローン控除を受けられなかったケースがあります。このような場合、仲介業者の説明不足が問題になる可能性があります。
顧客に物件を紹介する際は、登記簿謄本で実際の床面積を確認し、50平方メートルギリギリの物件では特に注意喚起が必要です。マンションの場合、専有面積と登記簿面積の差は通常2平方メートルから4平方メートル程度と言われています。
二世帯住宅など共有名義の場合は、床面積全体が50平方メートル以上であることに加えて、自己の居住部分が床面積の2分の1以上である必要があります。区分登記をする場合は、各区分の床面積もそれぞれ要件を満たす必要があるため、設計段階での確認が欠かせません。
床面積要件を満たさない場合、数十万円の控除を受けられなくなるため、顧客にとって大きな経済的損失になります。不動産番号で登記簿面積を確認することで、契約前にトラブルを防げます。