開札期日と売却決定期日の流れと注意点を徹底解説

開札期日と売却決定期日の流れと実務上の注意点

開札後に「売却許可決定が確定した」と思っても、執行抗告が入ると所有権移転まで1か月以上ずれ込む場合があります。

📋 開札期日・売却決定期日の3つのポイント
⚖️

売却決定期日は開札から原則1週間以内

民事執行規則46条により、開札期日から1週間以内に売却決定期日が指定されます。ただし農地や特殊物件では延長されるケースがあります。

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代金不納付で売却許可決定は自動失効

代金納付期限を過ぎると、裁判所の判断を待たず売却許可決定は自動的に効力を失います。保証金も返金されません。

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執行抗告で確定日は延びる

利害関係人は売却許可決定の翌日から1週間以内に執行抗告が可能。これが入ると確定が遅れ、代金納付期限も後ろ倒しになります。

開札期日とは何か:競売手続における位置づけ

開札期日とは、入札期間終了後に裁判所で執行官が封筒を開封し、最高価買受申出人を決定する日のことです。 入札期間(最低1週間・最長1か月)が満了した後、1週間以内の日が開札期日として指定されます。life-soleil+1

開札は裁判所の執行官が主導します。封筒の開封後に入札額を確認し、最高価買受申出人と次順位買受申出資格者を決定します。 次順位買受申出は開札期日当日に執行官へその場で申し出ることが条件で、現場にいなければ意思表示ができません。 実務上、次順位買受の権利を持つ可能性がある場合は、開札期日への出席が必須です。courts+1

開札期日の結果は、裁判所の掲示板や不動産競売物件情報サイト(BIT)で公表されます。 誰でも確認できます。

売却決定期日の仕組み:開札から1週間以内が原則

売却決定期日とは、執行裁判所が最高価買受申出人に対し不動産売却を許可するか否かを審査・決定する期日です。 原則として、民事執行規則46条により開札期日から1週間以内の日に指定されます。mc-law+1

ただし、すべての案件が1週間以内に設定されるわけではありません。次のような「やむを得ない事由」がある場合は期間制限が適用されず、売却決定期日が延長されます。

参考)【競売;売却手続におけるイレギュラーなフロー;売却不許可,代…

  • 売却対象が農地であり、知事または農業委員会の審査手続が必要な場合
  • 売却不許可事由に該当する可能性が高いと判明している場合
  • 買受申出人が暴力団員等に該当するか否かを警察へ照会した場合(約2週間程度かかる)

警察照会が入ると売却決定期日は2週間程度になるケースがあります。 実務担当者はスケジュール管理において「1週間で確定」と決め込まない姿勢が重要です。

参考)https://www.courts.go.jp/sapporo/vc-files/sapporo/file/r3_keibai_p06.pdf

また、裁判所によって標準的な期間の運用は異なります。大阪地裁では「開札期日から約13日後に売却決定期日」を案内しており 、東京以外の地域では事前に各裁判所の公示内容を確認することが実務の基本です。

参考)https://www.courts.go.jp/osaka/saiban/tetuzuki_minji14/daikin_nofu/index.html

売却不許可事由と民事執行法71条の実務上のリスク

売却決定期日において「問題なければ許可される」と思い込みがちです。ただ、民事執行法71条は売却不許可事由を限定列挙しています。 これに該当すると裁判所は売却不許可決定をしなければならない義務を負います。

参考)民事執行法 不動産に対する強制執行・強制競売(3) – 炭竈…

主な売却不許可事由は以下の通りです。sumigama-law+1

事由の種類 具体的な内容
手続上の問題 競売手続の開始または続行を妨げる事由
買受人の欠格 資格・能力を有しない、無資格者の代理
暴力団関与 買受申出人または関係者が暴力団員等
物件損傷 目的不動産の損傷による不許可申出
手続の重大な誤り 売却基準価額物件明細書・手続に重大な誤り
代金不納付歴 過去の手続で代金を納付しなかった者

不許可決定の後のフローは原因によって大きく異なります。 一時的な事由(執行停止文書の提出など)は解消後に続行、競売手続続行の余地がない事由(執行要件の欠缺など)は取消、一回的な瑕疵(無資格者による買受け)は是正に必要な時点まで巻き戻して再実施、という3パターンです。

結論は状況次第です。

代金不納付が起きると保証金は没収・競売手続はやり直し

売却許可決定が確定した後、買受人は裁判所の指定する納付期限(通常、確定から1か月程度先)までに残代金を納付しなければなりません。 これを怠ると、売却許可決定は裁判所や書記官の特別な手続不要で自動的に失効します(民事執行法80条1項)。fudousanjournal+1

痛いですね。

加えて、代金不納付の場合は買受申出保証の返還を請求できません。 保証額は売却基準価額の2割相当が一般的で、数百万円規模の物件では数十万円から100万円超の保証が没収対象となります。さらに、代金を納付しなかった者は同じ競売手続において再度の入札に参加できなくなります(民事執行法71条4号ロ)。これは実務上、非常に大きなペナルティです。

最高価買受人が代金を納付しなかった場合、次順位買受申出人にチャンスが回ります。 ただし次順位買受申出は「最高価買受人の代金不納付」が条件で、売却不許可決定のケースとは異なります。これは混同しやすいポイントです。

次順位買受申出における入札額には条件があります。

  • 買受可能価額(売却基準価額の8割)以上
  • 最高価買受申出人の申出額から保証額を控除した額以上

つまり「最高価格で買ったはずの金額」より安くなってはいけないということです。これは落札者と次順位者が結託して意図的に代金未納→後出しで安く取得するという不正を防ぐための規定です。

参考情報:代金納付手続の詳細(大阪地裁)

大阪地方裁判所 競落不動産の残代金納付手続について(公式)

執行抗告と売却許可決定の確定:1週間の抗告期間を見落とすな

売却許可決定が出ても、それがただちに「確定」するわけではありません。これは独自視点から見落とされやすい実務リスクです。

売却許可決定に不服がある利害関係人(債権者・債務者・所有者・賃借人など)は、決定の翌日から起算して1週間以内に執行抗告を申し立てることができます。 特別な理由がない限り認容されることはほとんどないとされていますが 、執行抗告が申し立てられれば確定日はその分延期されます。courts+1

売却許可決定確定まで通常2週間かかることになります。

参考)5分で解る!不動産競売

実務上、開札後から逆算した大まかなスケジュールは以下の通りです。

  • 🗓 開札期日(入札期間終了後1週間以内)
  • 🗓 売却決定期日(開札から原則1週間以内・農地・暴力団照会等で延長あり)
  • 🗓 執行抗告期間(売却許可決定翌日から1週間)→ 終了後に確定
  • 🗓 代金納付期限(確定から通常1か月程度)
  • 🗓 所有権移転・登記(代金納付後に裁判所が手続き)

執行抗告期間中は代金納付期限が到来しません。 そのため、開札から所有権移転まで順調でも最短で2か月程度かかるのが一般的です。不動産実務で引き渡しスケジュールを組む際には、この期間を見込んでおかなければ、関係者へのスケジュール説明で信頼を損なうリスクがあります。

参考)競売の売却決定期日とは何? ~期限を守らないとどうなるのか?…

参考情報:東京地方裁判所 執行抗告・執行異議の申立てについて(公式)

東京地方裁判所 執行抗告・執行異議の申立てについて(公式)

参考情報:BIT 不動産競売物件情報サイト 売却決定期日の説明

BIT 不動産競売物件情報サイト「売却決定期日」用語解説(裁判所公式)

参考情報:MC法律事務所 売却不許可・代金不納付・次順位買受申出の詳細解説

売却不許可・代金不納付・次順位買受申出・手続停止の詳細解説(MC法律事務所)