改葬許可証不要のケースと不動産売却時の注意点

改葬許可証が不要なケースと不動産取引への影響

お墓から遺骨を取り出さずに売却できると思っていると、取引が止まります。

この記事のポイント3つ
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改葬許可証が「不要」な4つの例外ケース

分骨・散骨・自宅供養・遺骨が土に還っている場合は改葬許可証なしで手続きを進められます。ただし自治体によって解釈が異なる点に注意が必要です。

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無許可改葬は罰金+懲役のリスクあり

墓地埋葬法違反では罰金・拘留・科料の対象となり、刑法上の墳墓発掘罪(懲役2年以下)にも問われかねません。知らなかったでは済まされません。

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不動産売却と墓じまいを同時進行するリスク

改葬許可証の取得には最短でも1〜2週間かかります。売却スケジュールを組む前に、墓じまいの手続き状況を必ず確認しておくことが重要です。

改葬許可証とは何か:墓じまいの基本ルールを確認する

改葬許可証とは、すでに埋葬・納骨されている遺骨を別のお墓や納骨堂に移す「改葬」をおこなう際に、市区町村長が発行する公的な許可証のことです。 法的根拠は昭和23年制定の「墓地、埋葬等に関する法律」(以下、墓埋法)にあり、第5条で「改葬をしようとする者は市町村長の許可を受けなければならない」と定められています。 つまり、この許可なしで遺骨を動かすことは、原則として法律違反です。elternal.co+1

不動産業に従事していると、相続に伴う土地売却や、実家の売却に際してお墓の処理問題に直面することがあります。 そのとき、「改葬許可証がなければ遺骨を動かせない」という点を顧客に正確に案内できているかどうかが、トラブル防止の分岐点になります。

参考)不動産売却と墓じまいを同時に進める「実家じまい」のすべて -…

結論はシンプルです。

改葬(お墓から別のお墓・納骨堂への遺骨移動)をおこなうには、原則として改葬許可証が必要です。 申請に必要な書類は「改葬許可申請書」「埋蔵証明書(埋葬証明書)」「受入証明書」の3点が基本セットとなります。lifedot+1

墓地の管理者(お寺・霊園など)は、改葬許可証を受理した後でなければ、遺骨の取り出しを許可することができません。 石材店や墓じまい業者も同様に、改葬許可証が発行されていない状態では墓石の撤去工事に着手しません。inori.or+1

参考情報:厚生労働省の「墓地、埋葬等に関する法律の概要」では、許可証のない埋葬・火葬等の禁止が明記されています。

厚生労働省:墓地、埋葬等に関する法律の概要

改葬許可証が不要になる4つのケース:具体的条件を整理する

改葬許可証が不要なケースは、法律上「改葬」に該当しない行為に限られます。 以下の4つが代表的なパターンです。

参考)改葬許可証が不要なケースはある?改葬時の注意点や必要書類を解…

  • 💀 遺骨が土に還っている場合:遺骨が土に完全に還っていて取り出すものがない状態では、改葬そのものが発生しないため許可証は不要です
  • 🏠 自宅供養(手元供養)に移す場合:お墓から遺骨を取り出して自宅の仏壇などで保管する場合、法律上の「改葬」(他の墓所への移動)に当たらないため、原則として改葬許可証は不要です
  • 散骨をする場合:海や山などに遺骨を撒く散骨は、法律上「墓地への埋葬」ではないため、改葬には該当しません
  • 🪬 分骨をする場合:遺骨の一部のみを取り出す分骨は、墓地管理者の了解を得れば改葬許可証は不要です

ただし、これらのケースでも例外があります。

自治体によっては、散骨であっても改葬許可証の提出を求める場合があります。 必ずしも「散骨=改葬許可証不要」とは言い切れないのが現状です。 また、自宅保管でも「改葬の手続きが必要」と解釈する自治体が少数ながら存在します。akiyama-gyouseishoshi+1

自治体ごとに解釈が異なる点がポイントです。

不動産取引で顧客に案内する際は、「お墓のある自治体の窓口に事前確認する」ことを必ずアドバイスしてください。 案内内容が誤っていた場合、後々のトラブルに発展するリスクがあります。

参考)自宅で遺骨を保管するときに必要な手続きは?

参考情報:散骨の手続きに関して、自治体対応の違いも含めた実務的な解説が掲載されています。

あきやま行政書士事務所:散骨の場合も「改葬許可証」が必要?

無許可改葬の法的リスク:不動産業者が見落としがちな罰則の実態

「身内のお墓だから自分で動かしても問題ない」という認識は危険です。

無許可で改葬をおこなった場合、墓埋法違反として罰金・拘留・科料の対象となります。 さらに刑法第189条(墳墓発掘罪)では懲役2年以下、刑法第191条(遺骨遺棄・損壊)では3ヶ月以上5年以下の懲役と規定されています。

参考)改葬許可証ってなに?遺骨の移動許可を得るために必要な手続きと…

これは相続人や不動産オーナーが自ら動いた場合も例外ではありません。

不動産業者として顧客の土地売却をサポートするとき、敷地内または隣接地にお墓がある場合は特に注意が必要です。 「取り急ぎ遺骨をどかして売却を進めよう」という行動が、法的トラブルを引き起こすことがあります。

法的リスクは3種類あると覚えておけばOKです。

リスク区分 根拠法 罰則内容
無許可改葬 墓埋法 罰金・拘留・科料
墳墓発掘罪 刑法第189条 懲役2年以下

参考)お寺・墓地に関する法律問題

遺骨遺棄・損壊 刑法第191条 懲役3ヶ月以上5年以下

顧客が「早く売りたい」という理由で遺骨を無許可で移動させようとする場面では、業者として明確に止める必要があります。 トラブルを防ぐためには、最初の段階で法的リスクを正確に伝えることが重要です。

参考)改装許可証はなぜ必要?手続きの流れや必要書類をチェックしよう…

参考情報:無許可改葬の罰則について弁護士・行政書士向けの詳しい解説があります。

お寺・墓地に関する法律問題(行政書士・弁護士解説)

改葬許可証の取得手順と期間:不動産売却スケジュールへの影響

改葬許可証の取得には、書類収集から発行まで最短でも1〜2週間かかります。 書類が揃っていても、墓地管理者(お寺)の署名・押印が必要な埋蔵証明書の取得に時間がかかるケースも多く、1ヶ月程度かかることも珍しくありません。

スケジュールに注意が必要ですね。

取得に必要な主な書類は以下のとおりです。

参考)墓じまいで必要な改葬許可証とは?取得に必要な書類と手順を紹介…

  • 📄 改葬許可申請書:現在の墓地がある市区町村役場で入手(手数料は自治体により0〜300円)
  • 📄 埋蔵証明書(埋葬証明書:現在の墓地管理者(お寺・霊園)が作成・押印するもの
  • 📄 受入証明書:新しい納骨先(霊園・納骨堂など)が発行するもの

これら3書類を揃えて役所に提出することで、改葬許可証が交付されます。 費用は基本的に無料〜数百円程度ですが、石材店への依頼費用や閉眼供養費用は別途かかります。takuda-g+1

不動産売却の引き渡しスケジュールを設定する際は、墓じまいの手続き完了時期を必ず確認してください。 改葬先が未定の場合でも、先に埋蔵証明書の署名だけ墓地管理者から取得しておき、申請書を保管しておく方法もあります。orient-wave+1

参考情報:実家の不動産売却と墓じまいを同時進行するための実務的なステップが詳しく解説されています。

不動産売却と墓じまいを同時に進める「実家じまい」のすべて

改葬先が未定でも進められる実務対応:不動産業者の独自視点

「改葬先が決まっていないと改葬許可証は取れない」と思い込んでいると、売却が長期化します。

実は、改葬先が未定の場合でも手続きを部分的に先行させることが可能です。 墓地管理者(お寺・霊園)から埋蔵証明書の署名をもらっておき、改葬許可申請書を保管しておくことで、改葬先が決定した際にすぐに申請できる体制を整えられます。ohaka-gyousei+1

これは使えそうです。

また、遺骨を一時的に自宅保管することで、改葬許可証を必要としない状態を作り出すことも実務上の選択肢のひとつです。 この場合、自宅に遺骨を移す行為自体は「改葬」に該当しないため、許可証なしで進められます。 ただし、後日永代供養墓や別の霊園に移す際には改葬許可証が必要になるため、最終的な供養先を意識した段取りが重要です。preciouslife.class-plus+2

具体的な流れとしては以下のように整理できます。

  1. 墓地管理者から埋蔵証明書の署名・押印を取得する(廃墓前に済ませること)
  2. 改葬許可申請書を市区町村窓口から入手して記入、書類一式を保管する
  3. 改葬先が決まり次第、受入証明書を取得して役所へ提出・許可証を受領する
  4. 改葬許可証を新しい墓地管理者に提出して納骨を完了する

不動産売却を急いでいる顧客には、この「分離進行」の考え方を提案できると、交渉を止めずに手続きを並行して進められます。 廃墓後に墓地管理者へ署名を求めると難色を示されるケースもあるため、タイミングの見極めが実務上のポイントです。orient-wave+1

参考情報:改葬先が未定の状態での墓じまい手続きの進め方について、行政書士が詳しく解説しています。

【墓じまい後】改葬先をゆっくり決める方法|埋葬証明書の取得(行政書士解説)