買取再販がきつい現実と乗り越え方
初年度は月2~3件が限界です。
買取再販営業の基本とビジネスモデル
買取再販営業は、物件を買い取り、リノベーションなどで価値を付加して再販売するビジネスです。不動産業界の中でも注目される職種の一つですが、一般的な仲介営業とは大きく異なる特性を持っています。
最大の特徴は「買う営業」である点です。通常の仲介営業が売主と買主をマッチングするのに対し、買取再販営業は自社が買主として物件を仕入れ、商品化後に販売します。このビジネスモデルでは、物件の購入価格、リノベーション費用、販売価格のすべてを自社でコントロールする必要があり、判断ミスが直接的な損失につながります。
仕入れから販売までの期間は物件によって異なりますが、通常3ヶ月から半年程度かかります。この間、資金は固定化され、他の投資機会を失うことになるため、資金効率の管理が極めて重要です。また、市場動向の変化により、仕入れ時に想定していた販売価格が実現できないリスクも常に存在します。
粗利の10%程度がインセンティブとして支給される企業が多く、年収400万円から800万円がボリュームゾーンとなっています。ただし、販売完了までインセンティブが発生しない給与体系も多く、初心者にとっては収入の不安定さが大きなストレスとなります。
買取再販営業の詳細な仕事内容と給与体系について、LIFULL HOME’Sの転職コラムで解説
買取再販が「きつい」理由:資金繰りの苦労
買取再販で最もきついのは資金繰りの問題です。物件を購入した時点で数百万円から数千万円の資金が固定化され、販売完了まで回収できません。特に初心者の場合、1件目の物件が売れるまで次の仕入れができず、機会損失が発生します。
在庫の長期化は致命的です。3ヶ月で売却できると想定していた物件が半年、1年と売れ残ると、その間の金利負担や保管コストが膨らみ続けます。倉庫の在庫と違い、不動産は劣化リスクも抱えており、空き家期間が長引くと設備の故障や建物の劣化が進行します。これらの修繕費用は当初の予算に含まれていないため、想定外の出費として利益を圧迫するのです。
銀行融資に依存する企業では、在庫回転率が審査に影響します。年間の買取件数が少ない、または在庫滞留期間が長いと判断されれば、次の融資条件が厳しくなり、事業拡大の足かせとなります。リーマンショック時には多くの買取再販業者が在庫の損切りを余儀なくされ、倒産に追い込まれました。
キャッシュフローが悪化すると次の物件を仕入れられず、収益機会を逃します。買取再販では「売れない=赤字を垂れ流しながら次のチャンスを失う」という二重の損失が発生し、事業継続が困難になるのです。
買取再販営業の契約までのハードル
契約までのプロセスは想像以上に険しい道のりです。まず物件情報を入手するための飛び込み営業が必要で、仲介会社や地主との信頼関係構築に多くの時間を費やします。新人の場合、初めの数ヶ月は物件情報すらもらえないことも珍しくありません。
物件情報を得た後も、査定の正確性が問われます。周辺相場、リノベーション費用、販売見込み価格を総合的に判断し、利益が出る買付額を算出する必要があります。経験不足により査定を誤ると、仕入れ後に赤字が確定するケースもあり、一件の失敗が数百万円の損失につながることもあるのです。
社内稟議が通らないことも大きなストレスです。売主と条件交渉を重ね、やっと合意に至っても、社内の承認が得られなければ振り出しに戻ります。上司や経営陣を説得できる資料作成能力とプレゼンテーションスキルが求められ、これも慣れるまでに時間がかかります。
競合との価格競争も避けられません。魅力的な物件には複数の買取業者が殺到し、価格を吊り上げられることがあります。高値掴みをすれば利益は圧縮され、最悪の場合は赤字販売を強いられます。撤退する判断力も重要ですが、諦めが早すぎると実績が積めず、キャリア形成に支障をきたします。
買取再販初心者が陥る失敗パターン
初心者が最も陥りやすいのは市況を見誤るミスです。物件を仕入れた時点では好調だった市場が、再販時には低迷していることがあります。特に2024年以降、不動産市場の先行き不透明感が増しており、買取再販からの撤退が急増している状況です。
リノベーション費用の見積もりが甘いケースも頻発します。表面的には問題なく見える物件でも、配管の老朽化、シロアリ被害、雨漏りなどの隠れた欠陥が発見されることがあります。これらの修繕に想定外の費用がかかり、当初計画していた利益が消失するのです。
エリア外の物件に手を出すのも失敗の典型例です。土地勘のない地域では、その地域特有の需要や価格帯を把握できず、販売に苦戦します。地元の不動産業者との人脈もないため、販売ルートの確保にも時間がかかり、在庫の長期化を招きます。
新人が研修期間中に買える件数は多くても月2~3件程度です。焦って実績を作ろうと無理な仕入れを行えば、後々まで尾を引く失敗となります。初年度は学習期間と割り切り、1件1件を確実に成功させる姿勢が重要です。
買取再販が「きつい」と感じられる具体的なポイントについて、実務経験に基づく詳細な解説
買取再販で成功するための戦略
成功の第一歩は物件の目利き力を磨くことです。これは一朝一夕には身につかず、多くの物件を実際に見て、査定を繰り返す中で養われます。成功している営業担当者は、物件を見た瞬間にリノベーション後の姿をイメージし、費用対効果を瞬時に判断できる能力を持っています。
信頼できる施工パートナーの確保も必須です。リノベーション費用を抑えつつ品質を担保するには、腕の良い工務店や大工との関係構築が不可欠です。大手企業は自社で施工チームを抱えていますが、中小企業や個人の場合は外部パートナーに依存するため、この人脈が事業の生命線となります。
市場動向の把握には、日々の情報収集が欠かせません。地域の開発計画、人口動態、競合物件の販売状況などを常にチェックし、需要が見込めるエリアに絞って仕入れを行います。また、販売戦略も重要で、ターゲット層を明確にし、その層に刺さる物件作りを心がける必要があります。
資金管理の徹底は言うまでもありません。複数の物件を同時に手がける場合は、それぞれの資金の流れを可視化し、全体のキャッシュフローを常に把握します。予期せぬ出費に備えた予備資金の確保も重要で、これがあるかないかで精神的な余裕が大きく変わります。
数をこなすことも成功のカギです。経営の安定には年間の損益分岐点を早めに超える必要があり、そのためには一定の取引量が求められます。ただし、質を犠牲にして量を追求すれば失敗のリスクが高まるため、バランス感覚が問われます。
人脈作りは地道な活動の積み重ねです。飛び込み営業は辛い作業ですが、仲介会社との信頼関係が構築できれば、優良な物件情報が優先的に回ってくるようになります。この段階に到達するまでには半年から1年程度かかることもありますが、一度確立した人脈は大きな財産となります。
週末休みを確保できる企業も多く、ワークライフバランスを取りやすい点は魅力です。土日に仕事が集中する一般的な不動産営業とは異なり、物件の仕入れやリノベーションは平日でも進められるため、プライベートの時間を大切にできます。
転職市場での評価も高く、買取再販で培った経験は他の不動産会社だけでなく、建築や金融、投資分野でも活かせます。将来的に独立を考えている場合も、買取再販の経験は大きなアドバンテージとなるでしょう。