管理委託契約重要事項説明書の雛形と記載例を徹底解説

管理委託契約・重要事項説明書の雛形と実務対応を徹底解説

オーナーチェンジ後に重説を怠ると、100万円以下の罰金リスクがあなたを直撃します。

📋 この記事の3つのポイント
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雛形は国土交通省が無料公開

管理受託契約重要事項説明書の公式ひな形(PDF・Word版)は国土交通省ポータルサイトで無料ダウンロードできます。自社書式作成の基準として必ず活用しましょう。

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11項目の必須記載事項を網羅する義務がある

賃貸住宅管理業法第13条に基づき、管理業務の内容・報酬・契約期間など計11項目の記載が義務付けられています。1項目でも欠けると法令違反となります。

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オーナーチェンジ・相続でも再交付が必要

物件売却や相続によってオーナーが変わった場合、契約内容が同一でも新オーナーへの重要事項説明書の再交付・再説明が義務として発生します。


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管理委託契約における重要事項説明書の法的根拠と義務の全体像

 

管理受託契約における重要事項説明書の根拠となる法律は、2021年6月15日に施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)」の第13条です。この条文は、賃貸住宅管理業者が管理受託契約を締結しようとするときに、管理業務を委託しようとする賃貸住宅の賃貸人に対して、契約締結前に書面を交付して説明することを義務付けています。

重要なのは「締結前」という点です。つまり、重要事項説明書は契約書と同時に、あるいは契約書より後に渡すことはできません。これが宅地建物取引業法の重要事項説明と少し性格の異なるところです。

法律上、説明から契約締結まで1週間程度の期間を置くことが推奨されています。多忙な業務の中で「サインの当日にまとめて渡してしまった」というケースは、実務上でも珍しくありませんが、これは法令上のリスクを抱えた対応です。タイミングには原則があります。

義務を怠ると、業務改善命令(法第22条)の対象となるほか、重大な違反の場合には登録取り消しや1年以下の懲役または100万円以下の罰金という刑事罰が科される可能性があります。この規模の制裁は、管理会社の信用失墜にも直結します。つまり罰則は軽くありません。

なお、この重要事項説明義務は、「管理戸数200戸以上で登録が必要な業者」だけに適用されるわけではありません。登録が不要な規模の管理会社であっても、2021年6月15日以降に締結した管理受託契約には説明義務が生じます。「うちは登録しなくていい規模だから」という思い込みが、見落とし違反につながるケースが報告されています。

国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト「管理業者の業務」:重要事項説明義務の概要と各書式の公開ページ

管理委託契約・重要事項説明書の雛形(ひな形)の入手方法と活用法

管理受託契約の重要事項説明書のひな形は、国土交通省が公式に公開しており、誰でも無料でダウンロードできます。PDF版とWord版の両方が提供されているため、自社の書式として加工・活用することが可能です。Word版を利用すれば、社名や物件情報の入力欄を追加するなど、自社フォーマットに仕上げることも難しくありません。

また、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)も独自の書式を公開しており、実務上の使い勝手を意識した構成になっています。「解釈・運用の考え方」に準拠した日管協版は、実際の営業現場で使われることも多く、参考にしてみる価値があります。これは使えそうです。

ひな形を利用する際、注意すべき点が一つあります。国土交通省の雛形はあくまで「記載例」であり、自社の管理業務内容や報酬体系に合わせた修正が必要です。たとえば、管理業務の具体的な内容(巡回頻度・清掃の回数など)や、報酬に含まれない費用の種類(空室時の水道光熱費など)は、自社の契約実態を反映して書き換えましょう。

ひな形をそのままコピーして使うだけでは、自社サービスとの齟齬が生じる場合があります。記載例はあくまで参考です。管理業務の一部を再委託する場合は、再委託先の名称まで明記することが求められているため、下請けを使う会社は特に注意が必要です。

提供元 書式の種類 特徴
国土交通省 PDF・Word版(記載例) 法令準拠の公式書式、無料DL可能
日本賃貸住宅管理協会(日管協) 独自様式(重要事項説明書・契約書) 実務対応しやすい構成、留意点付き
全国宅地建物取引業協会(ハトサポ) 会員専用書式多数 特約事項の記載方法まで対応

国土交通省「管理受託契約 重要事項説明書 <記載例>」(PDF版):実務で即使えるひな形の公式記載例
日本賃貸住宅管理協会(日管協)「管理受託契約重要事項説明書・契約書」公開ページ:解釈・運用の考え方に準拠した実務向け書式

管理委託契約・重要事項説明書の11項目の必須記載事項を具体的に確認する

国土交通省令によって定められた重要事項説明書の必須記載事項は、合計11項目あります。どの項目も省略できません。それぞれの記載内容を理解しておくことで、説明漏れを防ぎ、オーナーとのトラブルを減らすことができます。

以下が11項目の一覧です。

  • ①管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の商号・登録番号・登録年月日
  • ②管理業務の対象となる賃貸住宅(所在地・構造・面積・設備など)
  • ③管理業務の内容と実施方法(頻度・範囲を具体的に)
  • ④報酬の額・支払時期・支払方法
  • ⑤報酬に含まれない管理業務に関する費用(例:空室時の水道光熱費)
  • ⑥管理業務の一部を再委託する場合の内容と再委託先
  • ⑦責任および免責に関する事項(天災等の場合など)
  • ⑧定期報告(報告内容・頻度)に関する事項
  • 契約期間に関する事項
  • ⑩入居者への管理業務内容の周知方法
  • ⑪契約の新および解除に関する事項

このうち現場でミスが起きやすいのが⑤「報酬に含まれない費用」の記載です。空室管理時にかかる水道光熱費や、大規模修繕時の追加費用については、報酬に含まれない旨を明示していないと、後からオーナーとのトラブルに発展するリスクがあります。記載もれに注意が必要です。

⑥の再委託については「誰に委託するか」まで記載することが求められています。「下請けがどこになるか未定」という状態で重要事項説明書を作成すると、あとで書き直しが生じる場合があります。事前に再委託先を確定させてから書類を作る流れが基本です。

なお、記載内容に変更が生じた場合は、変更のある項目について再度、重要事項説明書を交付・説明する義務が発生します。「変更内容を口頭で伝えるだけ」では対応として不十分です。書面が条件です。

管理委託契約の重要事項説明書と宅建業法の重説の違いと混同しやすいポイント

不動産従事者の中には、宅地建物取引業法(宅建業法)に基づく重要事項説明と、賃貸住宅管理業法に基づく管理受託契約の重要事項説明を同一のものと混同してしまうケースがあります。しかし、両者にはいくつかの重要な違いがあります。これは意外ですね。

最もわかりやすい違いは「説明を行う者の資格要件」です。宅建業法では宅地建物取引士が宅建士証を提示して説明することが義務付けられています。しかし管理受託契約の重要事項説明では、業務管理者が自ら説明を行う必要はなく、業務管理者以外の従業員が担当することも認められています。もちろん、宅建士証の提示義務もありません。

比較項目 宅建業法の重説 管理受託契約の重説
説明者の資格 宅地建物取引士(必須) 業務管理者以外でも可(資格不問)
宅建士証の提示 必須 不要
説明タイミング 契約前 契約前(1週間程度前が推奨)
対象となる取引 売買・賃貸の仲介 賃貸住宅の管理委託

次に異なるのは「対象となる取引」です。宅建業法の重要事項説明は、物件の売買や賃貸借契約の場面で行われるものです。一方、管理受託契約の重要事項説明は、オーナーが管理会社に管理業務を委託する契約の場面で行われます。賃借人が関係する契約と、管理業務の委託契約は別ものです。

また、宅建業法の重説では説明時間の目安として1件あたり1時間程度とされていますが、管理受託契約の重説は比較的シンプルな内容のため所要時間は短い傾向にあります。ただし、説明の丁寧さを怠ると後のトラブルにつながります。簡潔でも正確であることが条件です。

弁護士法人一新総合法律事務所「管理受託契約の重要事項説明の注意点」:宅建業法との相違点と実務上の見落としポイントを弁護士が解説

管理委託契約・重要事項説明書が必要になる「見落とし」パターンと対策

実務で特に注意が必要なのは、「重要事項説明書の交付が必要なタイミングを見落とす」ケースです。これは既存の管理契約を持つ会社ほど陥りやすいワナとも言えます。

最も見落とされやすい場面の一つが「オーナーチェンジ(物件売却・相続など)」です。物件の売却や相続によって賃貸人の地位が新たな所有者に移転した場合、管理受託契約の内容がそのまま引き継がれる場合であっても、新しいオーナーに対して改めて重要事項説明書を交付し、説明を行う義務が発生します。「内容は変わっていないから説明不要」という判断は誤りです。これが落とし穴です。

国土交通省の「解釈・運用の考え方」では次のように明記されています。「賃貸住宅管理業者は、賃貸人たる地位が移転することを認識した後、遅滞なく、新たな賃貸人に管理受託契約重要事項説明書の交付及び説明をするものとする。」つまり、売却や相続の情報をキャッチした時点で、速やかに対応する必要があります。

また、賃貸住宅管理業法の施行(2021年6月15日)前に締結された既存の管理受託契約であっても、施行後に契約内容が変更された場合は、改めて重要事項説明書の交付・説明が必要になります。「昔からの取引先だから今さら書類は不要」という判断が通用しません。変更があれば義務が生じます。

重要事項説明書と契約書(締結時書面)を同時に渡すことも禁止されています。重要事項説明書は契約前に独立して交付する書類であり、「まとめて一度に渡せばいい」というわけにはいきません。この点は宅建業法の慣行に慣れた担当者が誤りやすいポイントです。

  • ⚠️ オーナーチェンジ・相続 → 同内容でも新オーナーへの再説明が必要
  • ⚠️ 法施行前の契約を法施行後に変更 → 変更箇所について説明義務が発生
  • ⚠️ 重要事項説明書と締結時契約書の同時交付 → 禁止(先に重説書を渡す)
  • ⚠️ 登録不要な管理戸数200戸未満の会社 → 説明義務は適用される
  • ⚠️ 契約更新時に内容が変わる場合 → 変更項目について再説明が必要

こうした見落としリスクを防ぐために、管理物件ごとにチェックリストを作成しておく方法が有効です。特にオーナー情報の変動(売買・相続・贈与)をシステムで追跡できる管理ツールを使っていれば、変更検知から対応漏れを防ぐ仕組みが作れます。管理システムの活用が対策の第一歩になります。

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