仮差押え手続き流れと要件費用

仮差押え手続き流れと要件

仮差押え後も売買契約は有効だが、競売されれば所有権を失う。

この記事の3つのポイント
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仮差押えの基本要件と手続き

裁判所への申立てから登記完了まで約1週間。担保金は債権額の10~30%が必要で、不動産では15~20%が相場。

被保全権利と保全の必要性の疎明が必須。

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仮差押え登記の効力と売買リスク

登記後の売買契約も法的には可能だが、競売で競落されると買主は所有権を失う。抹消前の取引は所有権移転仮登記で保全する必要がある。

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登記抹消と本訴提起の関係

債権者の取下げ、事情変更による取消し、起訴命令による取消しの3つの抹消方法がある。本案訴訟で敗訴すると債権者は損害賠償責任を負う。

仮差押えの手続きと申立要件

 

不動産業に携わる方なら、取引先の登記簿に突然「仮差押」の記載を見つけて焦った経験があるかもしれません。仮差押えとは、債権者が将来の債権回収を確実にするため、判決が出る前に債務者の財産を暫定的に凍結する法的手続きです。民事訴訟には通常1年から2年かかるため、その間に債務者が不動産を売却したり、預金を移動させたりするリスクがあります。

どういうことでしょうか?

債権者が仮差押えを申し立てるには、2つの要件を満たす必要があります。

1つ目は「被保全権利」の存在です。

これは仮差押えによって保全される債権のことで、契約書や請求書、取引記録などで疎明します。2つ目は「保全の必要性」で、債務者が財産を隠匿・処分する具体的な危険があることを示さなければなりません。債務者の経営状態の悪化、他の債権者からの差押え、不動産の売却活動など、客観的な事実が求められます。

申立ての手続きは、管轄裁判所に仮差押命令申立書を提出することから始まります。必要書類には、被保全権利を証明する契約書や請求書の写し、保全の必要性を示す資料、不動産登記事項証明書(不動産の場合)、債権目録などが含まれます。申立てから通常2~3日以内に裁判官との面接が行われ、ここで申立ての理由や証拠について質問を受けます。

裁判官面接で問題がなければ、その場で担保金額が決定されます。担保金は、仮差押えが不当だった場合に債務者が被る損害に対する賠償金として、債権者が法務局に供託するものです。不動産の仮差押えでは目的物価格の15~20%、債権の仮差押えでは20~30%が一般的な相場とされています。例えば1億円の不動産を仮差押えする場合、1500万円から2000万円の担保金が必要になるということです。

担保金を法務局に供託し、立担保証明書を裁判所に提出すると、裁判所から仮差押命令が発令されます。この命令を受けて、裁判所が法務局に登記を嘱託し、不動産の登記簿に仮差押えの登記が記録されます。申立てから登記完了までは、スムーズに進めば約1週間程度です。迅速性が仮差押え手続きの大きな特徴といえます。

裁判所の民事保全手続きの公式ページでは、手続きの詳細や必要な費用(収入印紙2,000円、予納郵券切手代など)が確認できます

仮差押え登記の法的効力とは

仮差押えの登記がなされると、債務者は法的にその不動産を自由に処分できなくなります。ただし、ここで重要なのは「処分できなくなる」の意味です。実は、仮差押え後でも売買契約を締結すること自体は可能なのです。しかし、その売買は債権者との関係では効力を持ちません。

つまり〇〇です。

仮差押え後に債務者Aが買主Bに不動産を売却したとします。所有権移転登記も完了し、Bは正式な所有者になったように見えます。ところが、債権者Xが本案訴訟で勝訴し、強制競売を申し立てた場合、競落人Cは仮差押え前の権利状態を基準に所有権を取得します。結果として、Bは高額な代金を支払ったにもかかわらず、所有権を失ってしまうのです。これは「仮差押えの順位保全効」と呼ばれる効力によるものです。

このリスクは不動産業者にとって致命的です。仮に5000万円で購入した物件が競売で他人の手に渡れば、5000万円の損失に加えて、転売先への違約金や損害賠償責任まで発生する可能性があります。さらに、金融機関は仮差押え登記がある不動産への融資を一切認めないため、買主が住宅ローンを利用することもできません。

厳しいところですね。

そのため、実務では仮差押え登記がある不動産を取引する際には、必ず登記抹消を前提条件とします。売買契約書には「本契約の効力は、仮差押え登記が抹消されることを停止条件とする」などの特約条項を設けるのが一般的です。決済日までに抹消が完了しない場合は、契約を白紙撤回できる条項も併せて定めておきます。

もし抹消前に契約を締結する必要がある場合は、所有権移転仮登記を先行させる方法があります。仮登記は本登記に優先する効力を持つため、後に仮差押えが本差押えになっても、仮登記に基づいて本登記を完了すれば、買主は所有権を確保できます。ただし、この方法も債権者との交渉や法的リスクが伴うため、不動産取引に精通した弁護士への相談が不可欠です。

また、仮差押えは債務者に事前通知されずに行われる「無断面接主義」を採用しているため、債務者が登記を知るのは登記完了後になります。不動産業者が物件調査の段階で登記簿を確認した時には問題がなくても、契約直前に仮差押えがなされている可能性もあるのです。決済当日の登記簿確認は必須の手続きといえます。

仮差押えの担保金と費用負担

仮差押えを申し立てる債権者にとって、最も大きな費用負担となるのが担保金です。前述のとおり、不動産の場合は目的物価格の15~20%、債権の場合は20~30%が相場ですが、この金額は事案によって大きく変動します。

担保金の額を決定する際、裁判所は複数の要素を考慮します。被保全権利の疎明の程度が高ければ担保金は低く設定され、疎明が不十分であれば高く設定される傾向があります。例えば、公正証書や確定判決に準じる証拠がある場合は債権額の10%程度で済むこともありますが、証拠が乏しい場合は30%を超えることもあります。

5000万円の債権を保全するために1500万円の担保金を用意するというのは、中小企業にとって大きな負担です。しかし、この担保金は将来的に取り戻すことができます。本案訴訟で勝訴判決が確定し、債務者から損害賠償請求がなければ、裁判所に担保取消の申立てをすることで返還されます。

つまり〇〇ということですね。

ただし、本案訴訟で敗訴した場合、担保金は債務者への損害賠償に充てられます。仮差押えによって債務者が融資を受けられなくなった、取引先との契約が解除された、不動産を売却できなかったなどの損害が認められれば、担保金だけでは足りず、追加の賠償責任が発生することもあります。最高裁判例では、不当な仮差押えによる損害賠償で数千万円の支払いを命じた事例もあります。

担保金以外の費用としては、裁判所への収入印紙代2,000円、予納郵券切手代2,000~3,000円程度が必要です。また、弁護士に依頼する場合の報酬は、事務所によって異なりますが、着手金として債権額の5~10%程度、成功報酬として10~15%程度が一般的です。5000万円の債権回収案件であれば、弁護士費用だけで数百万円かかることになります。

供託手続きには、現金または国債などの有価証券を用いますが、実務では現金供託がほとんどです。供託所(法務局)で供託書を提出し、供託金を納付すると、供託書正本が交付されます。これを裁判所に提出して初めて、仮差押命令が発令される流れです。

仮差押え登記の抹消方法と実務対応

不動産業者が仮差押え登記のある物件に関わる場合、最も重要なのは登記をいかに抹消するかです。

抹消方法は大きく分けて3つあります。

1つ目は債権者による取下げです。債務者が債権者と交渉し、債務の全額または一部を支払うことで、債権者が裁判所に保全命令の申立てを取り下げる方法です。裁判所に取下書が提出されると、裁判所から法務局に抹消登記の嘱託がなされます。

最も確実で迅速な方法といえます。

2つ目は事情変更による保全取消しです。仮差押え後に保全の必要性がなくなった場合、債務者が裁判所に取消しを申し立てる方法です。例えば、債務者が十分な資力を回復した、他の確実な担保を提供したなどのケースが該当します。ただし、事情変更を立証する責任は債務者側にあり、ハードルは高いといえます。

3つ目は起訴命令による保全取消しです。仮差押えから一定期間が経過しても債権者が本案訴訟を提起しない場合、債務者は裁判所に起訴命令の申立てをすることができます。裁判所が債権者に対して一定期間内(通常2週間から1ヶ月)に訴訟を提起するよう命じ、期間内に提起されなければ仮差押命令が取り消されます。

〇〇が基本です。

古い仮差押え登記の抹消で問題になるのが、債権者が所在不明の場合です。相続が発生していたり、法人が解散していたりすると、交渉相手すら特定できません。このような場合、事情変更や起訴命令の手続きを活用することになりますが、専門的な法律知識が必要なため、弁護士への依頼が不可欠です。

実際の不動産取引では、売主に対して「仮差押え登記の抹消を契約の前提条件とする」旨を明記した覚書を取り交わします。抹消に要する期間は、債権者との交渉状況によりますが、合意が成立していれば裁判所への取下書提出から登記抹消まで1~2週間程度です。ただし、交渉が難航すれば数ヶ月から1年以上かかることもあります。

決済日を設定する際には、十分な余裕を持たせることが重要です。「仮差押え登記抹消後3営業日以内に決済」などと定め、抹消が完了しない場合の契約解除条件も明確にしておきます。買主が支払った手付金や中間金の取扱いについても、契約書で詳細に規定しておく必要があります。

三井住友トラスト不動産の法律アドバイスでは、仮差押え登記のある不動産の売買について、実務上の注意点が詳しく解説されています

仮差押えと本案訴訟の関係

仮差押えはあくまで「仮」の措置であり、債権回収を完了させるには本案訴訟での勝訴判決が必要です。仮差押え後、債権者は原則として本案訴訟を提起しなければなりません。もし債務者から起訴命令の申立てがあった場合、裁判所が指定する期間内(通常2週間から1ヶ月)に訴訟を提起しないと、仮差押命令が取り消されてしまいます。

本案訴訟では、被保全権利の存否が本格的に審理されます。仮差押えの段階では疎明で足りたものが、本案では厳格な証明が求められます。契約書の成立過程、契約内容の解釈、債務不履行の有無などが詳細に争われ、最終的に判決が下されます。

〇〇なら問題ありません。

債権者が勝訴すれば、判決に基づいて強制執行に移行できます。仮差押え登記がある不動産は、そのまま本差押えに移行し、競売手続きが開始されます。競売で売却された代金から、債権額に応じて配当を受けることができます。仮差押えをしておいたことで、他の債権者に先んじて回収できる可能性が高まるわけです。

一方、債権者が敗訴した場合、仮差押えは不当だったことになります。この場合、債権者は債務者に対して損害賠償責任を負います。民法では、不法行為による損害賠償は過失があって初めて成立しますが、仮差押えについては「申立人の過失が推定される」という判例法理があり、債権者側で過失がなかったことを立証しなければなりません。

損害賠償の範囲は広く、仮差押えによって債務者が被った直接的・間接的な損害すべてが対象になります。不動産を売却できなかった損害、融資を受けられなかった損害、取引先との契約が解除された損害、信用毀損による営業損害など、数千万円から億単位の賠償を命じられることもあります。保全異議や本案訴訟の弁護士費用も損害に含まれるとした裁判例もあります。

これは使えそうです。

不動産業者の視点では、仮差押え登記のある物件の売主が「訴訟で勝つ見込みがある」と主張していても、それを鵜呑みにしてはいけません。本案訴訟の進行状況、訴訟代理人弁護士の見解、提出されている証拠の内容などを確認し、客観的にリスクを評価する必要があります。場合によっては、訴訟記録を閲覧して判断材料にすることも検討すべきです。

また、本案訴訟が和解で終了することも多くあります。債権者と債務者が分割払いなどの条件で合意すれば、仮差押えも取り下げられます。和解の場合、仮差押え登記の抹消時期を和解条項に明記することで、スムーズな取引が可能になります。不動産業者としては、売主に対して早期の和解を促すことも、取引を成立させるための有効な手段です。

仮差押えを巡る不動産業者の実務リスク

不動産業者が仮差押え関連で最も注意すべきなのは、媒介契約を締結した後に仮差押えが実行されるケースです。売主から媒介依頼を受けて広告活動を開始し、購入希望者が現れて契約直前になって、突然仮差押え登記がなされることがあります。この場合、契約は事実上不可能になり、それまでの営業活動が無駄になるだけでなく、購入希望者からのクレームリスクも発生します。

意外ですね。

このリスクを回避するためには、媒介契約締結時に売主の債務状況を可能な限り確認することが重要です。未払いの債務がないか、訴訟を提起されていないか、他の債権者から督促を受けていないかなどをヒアリングします。もちろん、売主がすべてを正直に話すとは限りませんが、少なくとも「仮差押えがなされた場合は媒介契約を解除できる」旨の特約条項を設けておくべきです。

買主側の仲介業者としては、重要事項説明の段階で登記簿を再度確認することが必須です。媒介契約時や物件調査時には問題がなくても、契約直前に仮差押えがなされている可能性があるからです。登記簿の取得日付を重要事項説明書に明記し、決済日当日にも最終確認を行うという二重三重のチェック体制が必要になります。

また、仮差押え登記の抹消を条件とする売買契約では、抹消に要する期間を正確に見積もることが重要です。売主と債権者の間で既に和解が成立している場合は比較的スムーズですが、交渉がこれからの場合は数ヶ月かかることもあります。買主に対しては、抹消の見込み時期とリスクを誠実に説明し、場合によっては契約時期を後ろ倒しにする提案も必要です。

万が一、仮差押え登記の存在を見落として売買契約を締結してしまった場合、宅建業法上の調査義務違反として、業者の責任が問われる可能性があります。買主が所有権を失った場合、売買代金全額に加えて、転売利益の喪失や引越費用などの損害賠償を請求されるリスクもあります。業者賠償責任保険でカバーできる範囲を超える損害になることもあり、慎重な対応が求められます。

痛いですね。

さらに、古い仮差押え登記がそのまま放置されているケースも実務ではよく見られます。数十年前の仮差押えで、債権者も債務者も既に死亡しているような場合、相続人の調査から始めなければならず、抹消手続きは極めて困難です。このような物件は、価格が相場より大幅に安くても、手を出さないのが賢明な判断といえます。

仮差押えに関する法律知識は、不動産業者にとって必須のスキルです。登記簿の見方、抹消手続きの流れ、リスクの評価方法などを正確に理解し、必要に応じて弁護士や司法書士と連携する体制を整えておくことが、安全な不動産取引の実現につながります。日々の業務の中で疑問が生じたら、専門家に相談する習慣をつけることをお勧めします。


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