金銭消費貸借契約印紙金額と不要ケース一覧

金銭消費貸借契約印紙金額の基礎知識

貸主1通・借主1通の2通作成すると印紙代が2倍かかります

この記事の3ポイント要約
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契約金額で印紙税額が決まる

10万円以下なら200円、500万円超1千万円以下なら1万円など契約金額に応じて13段階に分かれています

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貼り忘れると過怠税3倍

本来の印紙税額の3倍の金額を納める必要があり、1万円の印紙なら3万円の負担になります

電子契約なら印紙税ゼロ

紙の契約書を電子契約に切り替えるだけで印紙税が完全に非課税となり大幅なコスト削減が可能です

金銭消費貸借契約における印紙税額の段階的区分

 

金銭消費貸借契約書は印紙税法上の第1号文書に該当する課税文書であり、契約書に記載された金額に応じて印紙税を納付する義務があります。不動産業務では住宅ローンや事業資金の融資契約でこの契約書を頻繁に扱うため、正確な印紙税額の把握が不可欠です。

国税庁が定める印紙税額は契約金額によって以下のように細かく区分されています。契約金額が10万円以下の場合は200円、10万円を超え50万円以下なら400円です。さらに50万円を超え100万円以下で1,000円、100万円を超え500万円以下で2,000円となります。

不動産取引で頻繁に登場する金額帯では、500万円を超え1千万円以下で1万円、1千万円を超え5千万円以下で2万円です。住宅ローンで多い3,000万円の契約なら印紙税は2万円となります。

さらに高額な融資では、5千万円を超え1億円以下で6万円、1億円を超え5億円以下で10万円、5億円を超え10億円以下で20万円となります。10億円を超え50億円以下なら40万円、50億円を超える場合は最高額の60万円です。

つまり60万円が基本です。

契約金額の記載がない場合は一律200円となりますが、実務では融資金額を明記するのが一般的なため、このケースはまれです。1万円未満の契約は非課税扱いとなり印紙の貼付は不要ですが、不動産業務では1万円未満の融資契約はほぼ存在しません。

国税庁の印紙税額一覧表(第1号文書)では、これらの税額区分が詳細に掲載されており、実務での参照に適しています。

金銭消費貸借契約で印紙が不要となる例外ケース

一般的に金銭消費貸借契約書には印紙が必要ですが、いくつかの例外ケースでは印紙税が非課税となります。不動産業従事者として押さえておくべき重要なポイントです。

最も実務的なのは電子契約による締結です。電子データで作成・交換される契約書は印紙税法の課税対象外となります。印紙税法第2条では課税文書を「紙に記載された文書」と定義しているため、電子契約は物理的な「紙」が存在せず課税対象から外れるのです。国税庁も公式見解として電子データによる契約は印紙税の課税対象外であると明示しています。

金額が1万円未満の契約も非課税です。不動産融資では現実的に少ないケースですが、小口の社内貸付などでは該当する可能性があります。記載された契約金額が1万円に満たない場合、収入印紙を貼る必要はありません。

契約書の写し(コピー)も原則として印紙不要です。ただし「原本と相違ない」といった原本証明の記載がある写しは課税文書とみなされるため注意が必要です。

単純なコピーであることが条件ですね。

不動産融資の実務では、貸主と借主が各1通ずつ原本を保管するため2通作成するのが通例ですが、原本を1通のみ作成し片方はコピーで対応すれば印紙代を半額に抑えられます。ただしコピー保管側は証拠力が弱まるリスクがあるため、貸主が原本を持つケースが一般的です。

電子契約への移行は、住宅ローン契約で年間数百件を扱う仲介会社なら、年間数十万円から数百万円のコスト削減につながります。電子契約システムの導入は、印紙代削減だけでなく契約手続きの迅速化や書類保管コストの削減にも貢献するでしょう。

金銭消費貸借契約の印紙貼付ミスによる過怠税リスク

収入印紙の貼付を怠った場合、または貼付しても消印を忘れた場合、過怠税というペナルティが課されます。不動産業では大量の契約書を扱うため、このリスクは決して軽視できません。

印紙の貼り忘れが税務調査で発覚すると、本来の印紙税額の3倍に相当する過怠税が徴収されます。計算式は「本来の印紙税額+その2倍相当額」となるため、例えば1万円の印紙を貼るべきだった契約書なら、合計3万円を納めることになります。2万円の印紙なら6万円、6万円なら18万円です。

痛いですね。

消印を忘れた場合のペナルティも厳しく、本来の印紙税額と同額の過怠税が課されます。1万円の印紙に消印がなければ、追加で1万円の納付義務が生じるということです。収入印紙を貼っても消印しなければ「使用済み」とみなされず、再使用を防ぐという印紙税法の目的が達成されないためです。

過怠税には故意・過失の区別がありません。うっかりミスでも容赦なく課税されるため、契約書作成時のチェック体制が重要になります。年間100件の融資契約を扱う事業者が10件で印紙を貼り忘れ、平均印紙税額が1万円だった場合、過怠税は30万円に達します。

ただし税務調査前に自主的に申告した場合は、過怠税が1.1倍に軽減される措置があります。貼り忘れに気づいたら速やかに税務署へ相談することで、ペナルティを大幅に抑えられるでしょう。実際に信用組合が2,900万円分の印紙税納付漏れで約3,100万円の過怠税を納めた事例も報告されています。

契約書作成時には、印紙貼付と消印の実施を必ず二重チェックする仕組みを導入すべきです。チェックリストを作成し、契約書作成者と別の担当者が確認する体制が効果的です。

金銭消費貸借契約書への印紙貼付と消印の正しい手順

収入印紙を正しく貼付し消印する手順を理解しておくことは、不動産業務の基本スキルです。間違った方法では過怠税のリスクを招くため、正確な知識が求められます。

収入印紙は契約書の余白部分に貼付します。貼付位置に法的な決まりはありませんが、慣例として契約書の左上部分に貼ることが多いです。複数の印紙を貼る場合は、重ならないよう横一列に並べて貼付します。金額が大きく収入印紙が複数枚必要な場合でも、合計金額が所定の印紙税額と一致していれば問題ありません。

消印は印紙の模様部分(彩紋)と契約書の紙面にまたがるように押印または署名します。印紙税法第8条第2項で義務付けられており、収入印紙の再使用を防止する目的があります。消印に使用する印鑑は、契約書に押した実印や認印と同じものである必要はなく、シャチハタや角印でも有効です。ボールペンによる手書きの署名も認められます。

消印は契約当事者のいずれか一方が行えば法的要件を満たします。双方が消印する慣習もありますが、法律上は片方だけで十分です。実務では、契約書作成時に貸主側の担当者が消印するケースが多いでしょう。

収入印紙の購入は郵便局やコンビニエンスストアで可能ですが、高額な印紙は郵便局での購入が確実です。コンビニでは200円の印紙が中心で、高額印紙の在庫は限られています。まとめ買いする場合は郵便局の利用が効率的です。

契約書を2通作成する場合、それぞれに収入印紙を貼付し消印する必要があります。貸主用と借主用で各1通ずつ作成すると印紙代も2倍かかるため、前述のとおり原本1通+コピー1通で対応する方法も検討できます。ただしコピーには原本証明を記載しないよう注意が必要です。

金銭消費貸借契約における印紙税の負担者と実務上の取り決め

印紙税の負担者は法律上どのように定められているのか、そして実務ではどのような取り決めが一般的なのかを理解することは、不動産融資の現場で避けて通れません。

印紙税法第3条では、課税文書の作成者が納税義務者とされています。金銭消費貸借契約書のように2人以上で共同作成した文書の場合、当事者である貸主と借主が連帯して印紙税を納める義務を負います。

連帯納税義務があるということですね。

法律上は連帯義務ですが、実際の負担者は当事者間の合意で決められます。不動産融資の実務では、契約書に「印紙税は借主が負担する」という条項が盛り込まれるのが一般的です。住宅ローンや事業資金融資では、金融機関が貸主、個人や法人が借主となりますが、多くの場合借主が印紙代を負担します。

これは融資を受ける側(借主)が契約における主たる受益者であるという考え方に基づいています。金融機関としては融資という商品提供の対価として利息を受け取るため、手続き費用は借主が負担するという商慣習が定着しているのです。

ただし個人間の金銭貸借や親族間の融資では、貸主と借主が折半するケースもあります。印紙代を折半する場合、例えば2万円の印紙なら各自1万円ずつ負担し、どちらか一方が購入して後で精算する形が実務的です。

契約書を2通作成する場合の印紙負担も明確にしておくべきです。各自が保管する契約書に各自が印紙を貼るパターンと、一方がまとめて購入し費用を折半するパターンがあります。金融機関との契約では前者が多く、借主が自分の保管用契約書に印紙を貼り、金融機関も自社保管用に印紙を貼るという対応が標準的です。

印紙税の負担者については契約書の条項に明記することで、後日のトラブルを防げます。「本契約に係る印紙税は借主の負担とする」といった一文を盛り込むことが望ましいでしょう。

不動産仲介業者として顧客に説明する際は、印紙代が別途必要であることを事前に伝え、金額を明示することが信頼関係の構築につながります。3,000万円の住宅ローンなら印紙代2万円が必要と具体的に伝えることで、顧客は資金計画を正確に立てられます。

電子契約に移行する場合、印紙税がゼロになることは借主にとって大きなメリットです。金融機関によっては電子契約の選択肢を提供しているため、顧客に電子契約のメリットを説明し、導入を促すことで顧客満足度の向上にもつながるでしょう。


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